北朝鮮:核爆弾製造工程の公開、交渉力強化が狙いか
【ウィーン会川晴之】北朝鮮当局が国際原子力機関(IAEA)に核爆弾の製造工程の一部を公開したのは、今後の6カ国協議の焦点になる「核計画の完全申告」や「核施設の無能力化」に関する議論で、交渉力を強化しようとする狙いからとみられる。
北朝鮮はこれまでにも緊張を高めながら瀬戸際外交を展開してきた。査察をめぐりIAEAとの対立が深まった93年3月には核拡散防止条約(NPT)脱退を宣言。94年10月には核計画の全面凍結の見返りとして、日米韓から軽水炉2基(その後建設中止)を得る「取引」の合意に成功した。
2度目のNPT脱退表明(03年1月)直後の米朝非公式折衝では、核兵器保有の可能性を示唆。03年8月の第1回6カ国協議でも、北朝鮮は「圧力を加え続ければ、核実験に踏み切る」との考えを示し、06年10月にはそれを実行した。
金属プルトニウムをめぐっては、6カ国協議が停滞中の04年1月に訪朝した米科学者らを前に、北朝鮮当局者が木箱の中からガラス瓶入りの金属プルトニウムを取り出し「我々は抑止力を持っている」と主張した経緯もある。
IAEA筋によると、6月下旬に訪朝したIAEA実務代表団は、核廃棄物貯蔵施設の視察も許可された。ただ、代表団は核廃棄物の数量を確認したいと申し出たが、北朝鮮側は「それは『次の段階』で話し合うことだ」と要求を拒否、今後の取引材料の切り札とする意向を示している。
北朝鮮は6カ国協議の合意に基づく「初期段階措置」として核施設の稼働を停止した。合意を履行する姿勢を示すものの、「核計画の完全申告」「核施設の無能力化」など「第2段階措置」への取り組みは不透明だ。
IAEAに金属プルトニウム製造工程を示したことで、改めて核兵器製造能力を誇示し、6カ国協議を優位に運ぼうとの狙いが浮かび上がる。
毎日新聞 2007年7月18日 15時00分
北朝鮮:核爆弾製造工程の公開、交渉力強化が狙いか-アジア:MSN毎日インタラクティブ