日朝作業部会 危険な「人道支援再開」
6日に終了した日朝国交正常化作業部会で、協議が継続されることが確認されたことから、日本政府は、人道支援再開も視野に入れ始めた。北朝鮮を今後も拉致問題をめぐる協議のテーブルにおしとどめ、拉致問題で誠意ある対応を促す狙いからだ。だが、拉致被害者、横田めぐみさん=拉致当時(13)=の「偽遺骨」問題に抗議して一切の人道支援を停止した経緯を考えると、解決に向けた道筋が見えない中での支援再開はあまりにも代償が大きい。
「拉致問題は大切な問題だ。この問題が前進をしなければ、ただ話し合っていても、それは成果とはいえない」
安倍晋三首相は6日夜、今回の協議結果に厳しい見方を示した。
拉致問題をめぐり北朝鮮側は作業部会で、従来の「拉致は解決済み」という表現こそ使わなかったが、部会後の会見では「これまでと同じく、すべて解決したとのわれわれの立場を表明した」(金哲虎北朝鮮外務省アジア局副局長)と言い放った。
北朝鮮に誠意ある対応を求めてきた日本政府の主張に照らせば、およそ「進展」とは呼べない不十分なものだ。
にもかかわらず、与謝野馨官房長官は6日夜、記者団に「北朝鮮の水害支援が相互の関心事項なら日朝間で話し合えばよい」と検討を示唆。外務省も例外的な緊急支援との見方を強調する。
北朝鮮への人道支援停止は、平成16年末に「横田さんの遺骨」が偽物であるとの鑑定結果に基づくものだ。例外的とはいっても、今後、同様の災害が起きた場合の支援につながりかねない。日朝交渉を北朝鮮ペースにさせないためにも、人道支援には慎重な対応が求められる。(赤地真志帆)
日朝作業部会 危険な「人道支援再開」|政策|政治|Sankei WEB
日朝作業部会 孤立論に乗せられるな
北朝鮮による拉致問題は、具体的な進展がなかった。今後も国交正常化に向けて話し合いを続けるというが、時間稼ぎにすぎないのではないか。政府は基本姿勢を堅持して取り組むしかない。
六カ国協議にもとづく日朝作業部会が、モンゴルのウランバートルで二日間にわたって開かれた。
「懸案は解決されなかったが、じっくりと意見交換ができた」
部会の後、日本代表は会談の意義をこう説明した。確かに、北朝鮮はこれまでの木で鼻をくくったような対応に比べると、いくぶんの柔軟さは見えた。
北朝鮮代表団も「国交正常化のため誠実に努力することで一致し、今後も誠意を持って頻繁に協議を続ける」と「誠実」を強調した。
しかし、日本側が「過去の清算」と並行して、拉致問題の解決を重ねて求めたのに対して、「拉致は解決済み」という従来の主張を変えることはなかった。
金正日総書記が拉致事件を「謝罪」し、日朝平壌宣言で「懸案の解決」を明記してからもうじき五年になる。北朝鮮はこれまで五人の被害者とその家族を返しただけだ。「誠実」は言葉だけだ。
あえて「誠実」を口にしたのは対米関係をにらんでのことだろう。
北朝鮮は、直前の米朝作業部会で年内に核施設の無能力化で合意した見返りとして、「米国がテロ支援国リストからわが国を削除する」(北朝鮮外務省)と公表した。
米国も言及する拉致問題に柔軟に対応するという姿勢を見せて、テロ支援国指定の解除を確実なものにするという狙いからだろう。
しかし、拉致問題について基本的な姿勢に変化はなかった。核問題で今年中に何とか成果をと狙うブッシュ政権の足元を見て、日米離間策が有効と判断してのことだろう。
米国側は指定解除について、「北朝鮮がやるべき点がまだいくつかある」と、早期実現を否定する。
ここは、政府は米国との密接な意思疎通を図る必要がある。安易な妥協は、北朝鮮の戦術に乗せられ、北朝鮮の「核放棄」を遠ざける結果を招くだけだからだ。
今月中には、六カ国協議の全体会合が予定されている。北朝鮮の核施設の「稼働停止」に続く「核施設の無能力化」などの具体的な行程表をまとめる場になるはずだ。
政府は、周辺国に対して重ねて核と拉致問題の相関関係を説得するしかない。「拉致の解決なくして国交正常化なし」。乗り遅れ論、孤立論などに惑わされることなく、腰を据えてかかる必要がある。
中日新聞:日朝作業部会 孤立論に乗せられるな:社説(CHUNICHI Web)
北朝鮮人道支援、「前向き」を修正・官房長官
与謝野馨官房長官は6日の記者会見で、北朝鮮への人道支援について「外交上の案件と切り離すべきだとは発言しなかったはずだ」と語った。
与謝野長官は4日の記者会見で「その時々の政治的な困難を乗り越える場合も可能性はある」と指摘。「人道上の支援はやはり人道上の支援としてやや独立してものを考えてもいい分野だ」と述べ、「外務省に大いに検討してもらいたい」などと語っていた。
6日の会見では「切り離すことのできる場合もあるのではないかという、わずかな可能性について言及した」との認識を強調、事実上、軌道修正した。これに関連し、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の南昇祐副議長が同日、内閣府に置いていった北朝鮮船舶の入港禁止措置の解除を求める要請書について、「(内閣府が)内容証明付きで送り返すと聞いている」と語った。(07:02)
NIKKEI NET(日経ネット):政治ニュース-政策、国会など政治関連から行政ニュースまで