日朝作業部会 孤立論に乗せられるな | trycomp2のブログ

日朝作業部会 孤立論に乗せられるな

 北朝鮮による拉致問題は、具体的な進展がなかった。今後も国交正常化に向けて話し合いを続けるというが、時間稼ぎにすぎないのではないか。政府は基本姿勢を堅持して取り組むしかない。

 六カ国協議にもとづく日朝作業部会が、モンゴルのウランバートルで二日間にわたって開かれた。

 「懸案は解決されなかったが、じっくりと意見交換ができた」

 部会の後、日本代表は会談の意義をこう説明した。確かに、北朝鮮はこれまでの木で鼻をくくったような対応に比べると、いくぶんの柔軟さは見えた。

 北朝鮮代表団も「国交正常化のため誠実に努力することで一致し、今後も誠意を持って頻繁に協議を続ける」と「誠実」を強調した。

 しかし、日本側が「過去の清算」と並行して、拉致問題の解決を重ねて求めたのに対して、「拉致は解決済み」という従来の主張を変えることはなかった。

 金正日総書記が拉致事件を「謝罪」し、日朝平壌宣言で「懸案の解決」を明記してからもうじき五年になる。北朝鮮はこれまで五人の被害者とその家族を返しただけだ。「誠実」は言葉だけだ。

 あえて「誠実」を口にしたのは対米関係をにらんでのことだろう。

 北朝鮮は、直前の米朝作業部会で年内に核施設の無能力化で合意した見返りとして、「米国がテロ支援国リストからわが国を削除する」(北朝鮮外務省)と公表した。

 米国も言及する拉致問題に柔軟に対応するという姿勢を見せて、テロ支援国指定の解除を確実なものにするという狙いからだろう。

 しかし、拉致問題について基本的な姿勢に変化はなかった。核問題で今年中に何とか成果をと狙うブッシュ政権の足元を見て、日米離間策が有効と判断してのことだろう。

 米国側は指定解除について、「北朝鮮がやるべき点がまだいくつかある」と、早期実現を否定する。

 ここは、政府は米国との密接な意思疎通を図る必要がある。安易な妥協は、北朝鮮の戦術に乗せられ、北朝鮮の「核放棄」を遠ざける結果を招くだけだからだ。

 今月中には、六カ国協議の全体会合が予定されている。北朝鮮の核施設の「稼働停止」に続く「核施設の無能力化」などの具体的な行程表をまとめる場になるはずだ。

 政府は、周辺国に対して重ねて核と拉致問題の相関関係を説得するしかない。「拉致の解決なくして国交正常化なし」。乗り遅れ論、孤立論などに惑わされることなく、腰を据えてかかる必要がある。

中日新聞:日朝作業部会 孤立論に乗せられるな:社説(CHUNICHI Web)