日米関係のきしみ懸念=対北政策、軌道修正も-安倍首相退陣で政府
「テロとの戦い」に日本が踏みとどまれるかどうかが焦点となる中での安倍晋三首相の退陣表明は、日米関係にきしみを生じさせかねない。後継首相選出までの政治空白を考慮すると、11月1日で期限が切れるインド洋での海上自衛隊の給油活動の中断が不可避な情勢となったためだ。政府は、次期政権でも海自活動を可能とする新法制定に全力を挙げ、影響を最小限に食い止めたい考えだ。
町村信孝外相は12日午後、給油活動の継続問題について「(後継首相に)誰がなろうと新法でいく方向性は大きく変わらない」と指摘。高村正彦防衛相も「日本のため、国際社会のために必要で、次の内閣でも引き続きやってもらいたい」と述べた。
ただ、政府・与党が目指していた新法案の月内提出は困難な情勢となり、「民主党の出方次第では今国会での成立さえ危ぶまれる」(与党筋)。首相の退陣表明に伴い、自民党総裁選など新たな政治日程が入るためだ。町村外相は「日米の大きなきずながこの辞任劇で揺らぐことはあり得ない」と語ったものの、給油継続という「国際公約」は宙に浮く形となった。
一方、首相が手掛けた中国との関係改善もペースが落ちる懸念がある。首相は年内訪中で中国側と合意している。政府は「共同文書で確認した方向性は継続されるのが外交の常識」(外務省幹部)と後継首相の早期訪中で調整する考えだが、東シナ海ガス田開発問題をめぐる対立も絡み中国側の対応は不透明だ。
また、北朝鮮政策では、拉致問題を最優先課題に掲げ一貫して強硬姿勢で臨んできたが、具体的な成果を得られないままでの退陣となる。米朝協議が進展している状況を踏まえ、後継政権は対話の道も模索することになりそうだ。
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首相辞意で拉致家族会「日本はどうなるのか」
安倍首相が辞任の意向を伝えたことを受け、拉致被害者の家族会は12日午後、一様にショックを口にした。拉致問題は安倍内閣発足以来、最重要課題に掲げてきた。「拉致問題はどうなるのか」「残念としかいえない」。安倍内閣を支持してきた家族らは衝撃の大きさに言葉を失った。
家族会事務局長で、増元るみ子さん=拉致当時(24)=の弟、照明さん(51)は、東京都文京区にある家族会の事務所でテレビの速報を見た。「いやになるな…。どうしよう」と話したまま、言葉が続かない。「日本はどうなるのか」と前途を危ぶんだ。
有本恵子さん=拉致当時(23)=の母、嘉代子さん(81)は、自宅でテレビを見ていた。「今、北朝鮮は手をたたいて喜んでいますよ。残念の一言です」。また、低い支持率を案じ、「なんとか(踏ん張って)と思っていたのに」と唇をかんだ。
(2007/09/12 13:32)
首相辞意で拉致家族会「日本はどうなるのか」|首相|政治|Sankei WEB
安倍首相が辞意 突然表明に困惑広がる
安倍晋三首相は12日、インド洋での海上自衛隊の給油活動継続のめどが立たないことや、閣僚らの相次ぐ不透明な政治資金処理問題などで国政が混迷した責任を取って、辞任する意向を自民党幹部に表明した。首相は辞任の理由について「自らの求心力がない」と与党幹部に述べた。首相は午後、記者会見する。参院選での自民党惨敗にかかわらず続投を選択したことへの批判が根強かった。ただ臨時国会が開会されたばかりの突然の辞意表明に政界で困惑が広がっている。
首相の辞意を受け、12日の衆院本会議での代表質問は流会の見込み。自民党は早期に新総裁を選出する。安倍首相を支えてきた麻生太郎幹事長らを軸に後継選びが進むものとみられる。
首相は選挙後も「改革を続行することが私の責任だ。政治空白をつくるべきではない」と、引き続き政権を担う方針を強調。党役員人事、内閣改造で「人心一新」を図り、政権の立て直しをしたばかりだった。
今月9日の訪問先のシドニーでの記者会見では、海上自衛隊の活動継続に「職を賭する」と発言、実現しない場合に退任の考えを示していた。ただ民主党の反対は強く、活動継続の見通しは立っていない。
また8月27日の改造直後に遠藤武彦農相が組合長理事を務める農業共済組合で国からの補助金不正受給が発覚し、遠藤氏は辞任。さらに鴨下一郎環境相、上川陽子少子化担当相と相次いで不透明な政治資金処理問題が発覚。野党側は首相の任命責任を問題視し、問責決議案提出も視野に攻勢を強めていた。
安倍内閣は昨年9月26日に発足。小泉純一郎前首相の靖国神社参拝で冷えきっていた中韓両国との関係改善に着手。教育基本法改正、憲法改正のための国民投票法制定など、「戦後レジーム(体制)からの脱却」に取り組んだ。
しかし、昨年12月に政治資金問題で佐田玄一郎行政改革担当相が辞任。今年5月には事務所の光熱費問題などを問われた松岡利勝農相が自殺。さらに原爆投下発言で久間章生防衛相、松岡氏の後任である赤城徳彦農相がそれぞれ辞任するなど、閣僚のスキャンダル、失言が相次いだ。
年金記録不備問題への対応への批判もあって、7月29日投開票の参院選では自民党の獲得議席が37まで落ち込む歴史的な敗北を喫した。
(共同)
東京新聞:安倍首相が辞意 突然表明に困惑広がる:政治(TOKYO Web)