米朝、ウラン濃縮で攻防 核計画申告、年内の期限迫る
北朝鮮の核問題で、高濃縮ウラン(HEU)による核開発計画を申告するかどうかをめぐって米朝の意見が対立していることが関係者の話でわかった。5日まで訪朝したヒル米国務次官補は、これらの問題を協議するため7日、いったん帰途につく。北朝鮮の核計画の申告期限である年末が迫る中、北朝鮮を米のテロ支援国家指定から解除する問題も絡めた、激しい駆け引きが続きそうだ。
平壌から北京入りしたヒル氏は5日、申告をめぐって米朝間に「明らかに違いがあった」と認めた。
ヒル氏は訪朝した際、HEUに関する「過去の取り組み」を申告に含めるよう迫った。関係者によると、これまでHEU計画を否定してきた北朝鮮側は、この問題を申告することに否定的な発言を繰り返し、金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官との会談でも申告の1次リストは示さなかった。米などが指摘する、HEU計画に必要な遠心分離器の材料となる高強度アルミニウム管の輸入について、金氏は「ロケット開発に使った」などと話しているという。
北朝鮮はHEU問題を申告すれば米国内で批判が噴出することを懸念している、との指摘がある一方で、単に「北朝鮮内部で意見調整ができていないのではないか」(協議筋)との見方も出ている。
HEU以外にも、ブッシュ大統領自身が申告に含めるよう求めた核の拡散活動など、北朝鮮が越えなければならないハードルは残る。
一方で北朝鮮は、申告とともに年内の実施が6者協議で合意された、原子炉などを無能力化する作業には前向きに取り組んでいる。関係筋によると、ヒル氏や6者協議参加国の代表団が寧辺の核施設を視察した際、北朝鮮は報道機関の同行を打診してきた。米側が慎重な姿勢をみせたため実現しなかったが、外国メディアの寧辺での取材を北朝鮮が認めるのは異例で、作業の進展ぶりをアピールする狙いがのぞく。
申告をいつまでも引き延ばすのは北朝鮮にとっても得策ではない。テロ支援国家指定解除にも影響するからだ。韓国の宋旻淳(ソン・ミンスン)外交通商相によると、ライス米国務長官は「申告すれば解除を議会に通知する」との考えを示したという。申告が遅れれば遅れるほど、解除も先延ばしになる可能性が高い。
6者協議では北朝鮮から申告の1次リスト提出を受けて首席代表会合で検討し、年末までに最終申告を固めるとの手はずだった。首席代表会合の年内開催ができなければこれは不可能になる。
ヒル氏は訪朝後、「1次リストにしろ、提出のときには信頼できる内容にしなければならない」と繰り返し、こうした手続きを経ずに1度の申告で「合格」となるよう北朝鮮に求めている。
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北朝鮮への米大統領親書 退任前成果狙う、「クリントン末期」に酷似
【ワシントン=立尾良二】ブッシュ米大統領が北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記あてに親書を出した背景には残り約1年2カ月の任期中に朝鮮半島非核化を前進させ外交の成果にしたい強い意向がある。11月末に主催した中東和平国際会議と同様、クリントン前大統領の政権末期の焦りに酷似している。
6カ国協議で10月に年内の核施設の無能力化とすべての核計画の申告で合意。ブッシュ大統領としては「年内に履行」できれば来年の大統領選で共和党政権の偉業とアピールできる。さらに米朝関係正常化に向けて、ライス国務長官の訪朝など目に見える成果を残すことが可能になるとの読みもありそうだ。
このため、ブッシュ大統領が朝鮮戦争の休戦協定に代わる平和協定締結の意思を表明したり、ライス長官もテロ支援国家指定解除を示唆。また無能力化などの見返りの重油支援の予算措置を早々と講じるなど、北朝鮮が望む「アメ」をいくつもぶら下げてきた。
クリントン前大統領の末期にも、当時のオルブライト国務長官が現職閣僚として初めて北朝鮮を訪問。「米朝関係のさらなる発展を期待する」旨の親書を金総書記に手渡した。今回の親書も両国関係の改善や発展を期待する内容で、直接言及しないもののテロ支援国家指定解除などを含むことをにおわせ無能力化と完全申告の「年内履行」を促したとみられる。
ただ、クリントン前大統領も2000年に中東和平工作で失敗したように、08年末までに和平合意を目指すとしたブッシュ大統領の中東和平工作も実現は危ぶまれている。北朝鮮の核問題でも、シリアへの核開発協力疑惑を棚上げして進めるブッシュ政権の焦りを懸念する声が根強い。
中日新聞:北朝鮮への米大統領親書 退任前成果狙う、「クリントン末期」に酷似:北朝鮮問題(CHUNICHI Web)
「拝啓、委員長殿」=金総書記あて親書で米大統領
【ワシントン6日時事】ブッシュ米大統領は北朝鮮の金正日労働党総書記にあてた1日付の親書の書き出しで、「ディア・ミスター・チェアマン」(拝啓、委員長殿)と、金総書記が兼任する国防委員長の肩書を使った。また、親書には自ら手書きで署名した。ペリノ大統領報道官が6日明らかにした。
北朝鮮では、国防委員長が国家最高ポストと位置付けられているため、「委員長」の肩書を使用したとみられる。
ブッシュ大統領はこれまで、記者会見などで金総書記を「独裁者」と批判し、呼び捨てにすることが少なくなかった。しかし、核問題をめぐる6カ国協議の合意履行が重大な局面を迎える中、核計画の全面開示を求めた初の親書では最大限の敬意を払った形だ。
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