米朝の6か国協議代表、北京で会談
北朝鮮の核問題を話し合う6か国協議をめぐり、アメリカと北朝鮮の代表が18日午後、中国の北京で会談しました。北朝鮮の金正日総書記が8日間にわたり中国を訪問し、胡錦濤国家主席と会談した直後だけに、6か国協議の再開に向けて打開策が話し合われたとの見方が強まっています。TBS News i
アメリカと北朝鮮の会談については、これまでのところ、公式発表などはありません。しかし、米朝の首席代表であるヒル国務次官補とキム・ゲグァン外務次官を乗せたと見られる車が、日本時間の18日午後2時前に相次いで釣魚台迎賓館に入っており、6か国協議の議長国、中国の仲介で米朝の接触が行われたことは間違いありません。
6か国協議は、北朝鮮のマネー・ロンダリング疑惑などをめぐって行われたアメリカによる金融制裁に北朝鮮が反発し、再開の見通しがつかなくなっています。
このため、協議の議長役である中国の武大偉外務次官がキム・ゲグァン次官と先月末に接触し、再開問題を話し合いました。
一方、ヒル国務次官補も先週、北京を訪れ、武大偉次官と意見交換をしたばかりです。さらに、北京の外交筋は、「訪中していた金正日総書記は胡錦濤国家主席らとの会談で6か国協議再開問題を話し合った」と指摘しています。
こうした一連の動きを受けて、18日、改めて米朝の直接会談が持たれたわけで、協議再開へ向けて何らかの打開策が話し合われたと見られます。
北朝鮮「一定の措置」 偽ドル札問題、昨年末に中国と協議
北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記が中国を訪問する直前の昨年末、金総書記の側近が訪中し、米国が主張する偽札問題などで調査や措置をとる用意があることを伝えていたことがわかった。外交筋が明らかにした。金総書記は17日、核問題などを中心に胡錦涛(フーチンタオ)国家主席と会談したとみられる。金総書記の帰国後、6者協議の再開に向けた各国の動きが活発化する可能性がある。(高槻忠尚、北京=坂尻信義)asahi.com :朝日新聞今日の朝刊-国際面
●妥協点探る動き
北朝鮮の朝鮮中央通信は17日、「米国の(金融)制裁と圧力が6者協議再開を阻んでいる。制裁を解除せず、圧力と威嚇の度合いを高める限り、我々の対応措置は強まるだろう」と伝えた。金総書記の北京入りにあわせ、米国を牽制(けんせい)する内容だが、水面下では「着地点」を探っていた。
外交筋によると、6者協議の北朝鮮首席代表、金桂寛(キムゲグァン)外務次官が昨年末、訪中して瀋陽で中国の武大偉(ウーターウェイ)外務次官と協議した。金次官は、金融制裁が解除されない限り6者協議には応じないとする従来の姿勢を繰り返す一方、米国が主張する米ドル札偽造や資金洗浄(マネーロンダリング)など不法行為の証拠が確実なら、関与した北朝鮮の人物を調査し、「一定の措置」を取ることも可能との考えを示したという。
米国が昨年秋、マカオの銀行に事実上の金融制裁を科して以降、北朝鮮は態度を硬化、事情説明をしたいとする米国の提案を拒んできた。金次官の発言は「国家犯罪」を認めないものの、「個人による不正」の存在の可能性を示唆した形だ。
北朝鮮は核問題をめぐる6者協議の枠組みを維持し続けなければならないと強く認識している。本格的な経済制裁に道を開く国連安保理での審議が現実味を帯びてくるからだ。米国は「6者協議と司法手続きは別問題」との姿勢を崩しそうになく、国際金融犯罪で米国といたずらに対立を深めるのも得策ではない、との思いが発言ににじむ。
北朝鮮側の意向は中国を通じて米国に伝えられ、6者協議の米国首席代表、ヒル国務次官補も関心を示したとされる。だが、金融制裁はブッシュ大統領が直接、厳正な対処を指示した問題。米国としても「国家犯罪」に目をつぶったまま安易に取引に応じることはできないとみられる。
一方、6者協議の議長国・中国は中朝首脳会談を契機に制裁問題で「各国が受け入れられる妥協策」(外務省報道官)に道筋をつけたいと考えている。広州や深センなど経済開放モデル地区を金総書記が直接見たことで、北朝鮮の経済改革促進につなげられれば、という思惑もある。
金総書記視察 北朝鮮カード強化 中国、支援を再確認へ
【北京=伊藤正】中国指導部は、秘密訪中した北朝鮮の金正日労働党総書記が、改革・開放の最前線である広東省を視察したことを、北朝鮮が経済再建に本腰を入れる兆候として歓迎、支援強化を再確認する見通しだ。これによって中国は、北朝鮮への影響力をさらに増し、核問題の六カ国協議の推進を図るとみられるが、米国などが指弾している北朝鮮の犯罪行為を放置したままでは、国際社会の疑念を招く可能性もある。Sankei Web 産経朝刊 金総書記視察 北朝鮮カード強化 中国、支援を再確認へ(01/18 05:00)
金正日総書記の広東省訪問は、一九八三年に故金日成主席に同行して初訪中した際、トウ小平氏に勧められ深センを視察して以来だった。金正日氏は当時、「中国は修正主義になった」と述べたといわれ、九四年に北朝鮮のトップになった後も独自路線を続け、中国とは一線を画してきた。
金総書記は二〇〇〇年五月に就任後初訪中、翌年一月には上海を視察し、改革・開放を称賛、国内で価格改革に着手したものの失敗。経済困難が深刻化する中で、先軍政治という軍事力による政権維持に努めた。
北朝鮮支援を重ね、根気強く北の変化を待ち続けた中国にとって、北朝鮮の核は中国の安全保障や対米関係などに深刻な打撃になった。中国の専門家筋によると、北朝鮮への強硬措置も検討されたが、「圧力よりも支援が有効」との結論になったという。
同筋は、二〇〇三年以降、中国の支援拡大で、北朝鮮の対中依存が強まったとする。九〇年代以降、低迷していた中朝貿易は〇四年に十四億ドルに拡大、昨年は十六億ドル前後へと伸びた。中国企業の対北朝鮮投資も徐々に増えつつある。
中国は、北朝鮮をソフトランディングさせることが、核問題の平和解決の早道とみており、六カ国協議が前進した後の昨年十月、呉儀副首相に続いて訪朝した胡錦濤国家主席が中国の改革・開放の成果を誇示し、北朝鮮にも改革を促した背景だった。金正日氏がそれから三カ月もせずに訪中、広東省を視察したことは、中国に学ぶ姿勢を見せたともいえる。金氏は胡錦濤主席との会談で、五年前の上海視察後に江沢民国家主席(当時)に語ったのと同じく、改革・開放をたたえ、学びたいと表明したはずだ。
中国とは条件が大きく異なる北朝鮮が、中国モデルを導入するとの期待は中国側にはない。しかし金総書記が、対中依存を深めることは確実であり、中国指導部が今回の訪中を歓迎する理由でもある。
金総書記が胡主席に対し、米国の金融制裁の不当性を訴え、理解を求める可能性もある。四月にも訪米予定の胡主席は、おそらく一層の経済・政治支援を表明するにとどめるとみられるが、いずれにせよ、中国が「北朝鮮カード」をどう使うか、国際社会の関心を呼ぶことになろう。
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【最近の金正日総書記の訪中】
2000年5月29-31日
北京を訪問。近郊の工場などを視察
01年1月15-20日
北京、上海を訪問。半導体工場、証券取引所などを視察
04年4月19-21日
北京を訪問。農村などを視察
06年1月10日から
上海、広州、深セン、北京などを訪問。港湾施設やハイテク産業関連施設などを視察