北朝鮮報道 「臨時中止で100万トン」 独自解釈、各国懸念
【北京14日原田正隆】北朝鮮の核放棄に向けた6カ国協議での合意内容について、北朝鮮国営メディアが自国に都合の良いように報道しているとして、韓国など関係国から「次回協議の紛糾要因になりかねない」との懸念が早くも出ている。
13日に6カ国協議が採択した共同文書は、北朝鮮が核施設を「活動停止・封印」し、最終的に「無能力化」すれば、見返りとして「上限100万トンの重油に相当する経済・エネルギー・人道支援を行う」としている。
これに対し朝鮮中央放送と平壌放送は同日夜、「各国は朝鮮の核施設稼働臨時中止に関して、重油100万トン相当の経済・エネルギー支援を提供することにした」と伝えた。
協議筋は「報道は北朝鮮指導部による共同文書の解釈にほかならず、『稼働臨時中止』では、60日以内に取らなければならない初期段階措置の『閉鎖・封印』にならない」と指摘。韓国政府関係者は「北朝鮮の国内宣伝用」としながらも「今後の作業部会で北朝鮮が『今すぐ重油100万トン分の支援を』と要求しかねない」と懸念を表明した。
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙・朝鮮新報(電子版)も14日、北朝鮮が取るべき措置に関し、共同文書の「核施設の無能力化」や「すべての核計画の申告」には言及せず、「支援規模は重油100万トンに相当」と伝えた。
=2007/02/15付 西日本新聞朝刊=
[北朝鮮報道 「臨時中止で100万トン」 独自解釈、各国懸念] / アジア・世界 / 西日本新聞
北への支援決定、「拉致」看板の安倍政権に重圧
日本政府は、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議で決まった北朝鮮へのエネルギー支援については「間接的な協力」にとどめ、当面は拉致問題の進展に全力を挙げる方針だ。
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ただ、同問題を話し合う日朝国交正常化作業部会の行方には、不透明な要素も多い。日本が孤立する恐れもあり、拉致問題への取り組みを看板としてきた安倍政権は難しいかじ取りを迫られている。
安倍首相は14日の衆院予算委員会で、北朝鮮への重油支援について、「5万トンも95万トンも、拉致問題の進展がなければ当然、出すわけにはいかない」と強調した。北朝鮮が第1段階としてとる核施設の「活動停止・封印」の見返りの5万トンだけでなく、第2段階の「無能力化」の95万トンについても、拉致問題の進展が支援の前提になるという考えを表明したものだ。
ただ、質問に立った原口一博氏(民主)が「何をもって『進展』とするのか」とただしたのに対しては、首相は「判断するのは我々だ」と述べただけだった。
政府には作業部会での議論について、「拉致被害者が帰ってくる事態になれば『進展』と言えるが、例えば、北朝鮮が再調査を約束しただけなどの場合は判断が難しい」(外務省幹部)と懸念する向きがある。こうした指摘が出るのも、重油支援への参加を当面見送る日本の姿勢が先々、参加国の足並みを乱しかねない可能性があるからだ。
しかし、首相はむしろ、6か国による今回の合意が、北朝鮮に拉致問題への取り組みを促す「圧力」になると見ているようだ。
この日の委員会審議でも、「ある作業部会の進ちょくは、他の部会に影響を及ぼしてはならない」という共同文書の文言を基に、拉致問題の進展を待たずに他の参加国が次の段階へ進むことを懸念する声が出た。これに対し、首相は「その直後に、『五つの部会で策定された諸計画は、全体として調整された方法で実施される』とある。最終的に全体で完結するように調整する。(この文言は)私どもが主張して入れた」と反論し、他の参加国の存在が逆に、拉致問題でも日本の後押しになると強調した。
首相は14日夕、6か国協議で日本の首席代表を務める佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長を首相官邸に呼び、「拉致問題解決のため、作業部会で全力を尽くしてほしい」と指示した。
(2007年2月14日20時12分 読売新聞)
北への支援決定、「拉致」看板の安倍政権に重圧 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
<北朝鮮核問題>合意文書の「あいまいさ」論議 予算委など
北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議で採択された合意文書の「あいまいさ」が、14日の衆院予算委員会や自民党の外交関係合同部会で議論になった。野党は北朝鮮の核廃棄に向けた「初期段階措置」に対する「見返り」支援の条件や、日本が支援にどう関与するのかを追及。自民党からも、合意によって拉致問題が置き去りにされる可能性への懸念が出された。
「(日朝国交正常化などの)作業部会の設置がなければ、5万トンは供給しないのか」。民主党の原口一博氏は、北朝鮮への「見返り」となる重油5万トンの支援時期をただした。日本は5万トンの支援は行わない方針で、支援開始の決定に関与できるか不透明。拉致問題などを協議する日朝作業部会が動き出す前に、他国が支援に踏み切ることを懸念したのだ。
麻生太郎外相は「(作業部会が)具体的に動くと分かったらまず5万トン(支援)」と答えたが、作業部会開催が支援の条件との明言は避けた。
合意文書は、北朝鮮が「すべての核計画の申告と既存の核施設の無能力化」を実施すれば、さらに重油95万トン相当の支援を行うとしている。
安倍晋三首相は、拉致問題の進展がなければ日本は95万トンも支援しない考えを示したが、原口氏は「作業部会で誠実な対応が出れば進展とみるのか、拉致問題の全面的解決をもって支援するのかでは相当幅がある」と「進展」の定義をただした。首相は「どこまで行けば進展と言えるかは、我々が適切に判断する」と述べるにとどめた。
一方、自民党の外交関係合同部会では、平沢勝栄衆院議員が「韓国は日本も95万トン支援に応じるとみている」と指摘。外務省は「韓国は希望としては日本を含めているが、日本の立場は明確に理解してくれている」と理解を求めた。舛添要一参院政審会長は「拉致問題が進展しないと安倍政権に打撃になる。今回の合意が最悪のシナリオになることはないか」と、この合意が逆に拉致問題解決の妨げになる可能性を指摘した。【田中成之、中田卓二】
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