From:ななころ
プライベートオフィスより
◆前回までのあらすじ
地方のある都市の鉄骨アパート。
満室想定で720万円。
それが、たったの400万円。
表面利回り180%を超える収支。
修繕費を入れても1年も経たず資金を回収できてしまう計算になります。
(物件情報はややぼやかしています。)
しかし、その物件は、「道路に接していない」という致命的な問題を抱えた物件だったのです。
さらに、過去に近隣とのトラブルを抱える、訳ありどころか、訳あり×3の物件。
駐車場不足の問題まで浮上してきました。
それでも刻一刻と入札の期限が迫ってきています。
入札すべきか悩みます。
それでも、1つだけ希望があったのです・・・
第一話 2020年2月25日「ものすごいお宝物件が!驚愕」
第二話 2020年2月26日「利回り180%超え1棟アパートの致命的な問題」
第三話 2020年2月27日「満室時家賃収入720万円/年が400万円の鉄骨アパート、なぜこんなに安いのか?」
第四話 2020年2月28日「「なんだこのくそ記事」というコメントをもらいました。致命的な問題は「公売」ではなく・・・」
第五話 2020年3月2日「現地調査でとんでもない事実が判明!?利回り180%超え1棟アパート」
第六話 2020年3月3日「高利回りアパート、1つの問題が解決すると新たに1つ問題が・・・」
◆唯一の希望は?
さまざまな訳ありを抱えた物件ですが、唯一の希望がありました。
それは、訳あり過ぎて「誰も入札はしないだろう」という希望です。
以前にも触れましたが、公売や競売は良い条件の物件が出ると、入札者が増えて、結局は市場価格と落札額が変わらなくなってしまうケースも多々あります。
今回の物件も、満室時720万円/年の潜在家賃収入を生む鉄骨アパートが、入札最低価格が400万円ですので、普通に考えたら落札金額は相当上がります。
しかし、「接道していない」「近隣トラブル」「駐車場不足」「全空」といった問題を抱える物件ですから、入札してくると予想されるのは不動産業者か相当な経験者に限定されます。
不動産業者や相当な経験者は、決して希望的な甘いシュミレーションで入札したりはしないでしょうから、入札したとしてもかなり低い金額となるでしょう。
そのため、入札最低価格400万円に近い金額で落札できる可能性が高いということです。
◆誰も入札してこないと予想した理由
さらに、誰も入札してこない確率は高いと考えていました。
なぜなら現地ヒアリングする際に、
「隣地や近隣の人に、他にも誰か尋ねてこなかったか?」
と受講生に聞くように助言していたからです。
いずれも「誰も来ていない」という答えを得ていたのです。
また、念の為に入札日直前にも隣地所有者に電話尋ねたそうですが、「まだ誰も来ていない」ということでした。
ですから、最低入札額400万円か、もしくは近い金額で入札すれば良いと考えたのです。
◆あなたなら入札する?
そして、いよいよ決断の日がやってきました。
入札日です。
もう一度物件の概要を整理します。
=== <物件概要> ===
最低入札金額・・・400万円
満室時家賃収入・・・720万円
物件・・・3階建て鉄骨アパート
間取り・・・2DK × 20戸
家賃相場・・・2.5万円~3万円
入居状況・・・全空
土地面積・・・400平米
延床面積・・・400平米
築年・・・1980年代(築30年超)
エリア・・・地方、県内では1位か2位の都市
駅・・・新幹線停車駅から約2km
その他・・・室内洗濯置場無し、3点ユニット、大規模修繕は必須
訳あり・・・接道なし、隣地へ越境、近隣と過去にトラブル、駐車場4台分のみ
(物件情報はややぼやかしています。)
=== ここまで ===









さて、この物件は入札するべきでしょうか?
あなたなら入札するでしょうか?
入札するとしたらいくらで入札するでしょうか?
遊び感覚でちょっと一緒に考えてみるとより楽しめると思います。
果たして結果は・・・
(つづく)

◆編集後記
年初に予想していた通り、中国を発として混沌とした世の中となってきています。
2020年1月8日「2020年はどんな年になる?不動産投資をするには?(2)」
そして、みなさんもお気づきの通り、物件価格も下がってきていますね。
「おっ、これは!?」という物件も増えてきました!
ななころも物件購入に向けた活動が慌ただしくなってきました。
経済学者ロバート・マートンの「予言の自己成就」という言葉があります。
=== <予言の自己成就> ===
ある小学校での実験では、二人の心理学者があるクラスの子どもたちに偽のテストをして、教師たちには、このテストで子どもたちの潜在的知能が測れると説明した。
二人はテストの結果を入念に調べるふりをして、その後教師たちに、テストを受けた子どものうち四人の知能がこれから何ヶ月かのうちに飛躍的に伸びるだろうと言った。心理学者たちは前もってクラスの名簿からでたらめに四人を選びだしていた。
さてどうなったであろうか?
その四人はほんとうに成績がよくなったのだ!驚くことに、教師が、自分や親たちの期待に押されて、四人の子どもに力を注ぎ、いつもより注意深く、熱心に教えていたのである。
(「世界は感情で動く、行動経済学からみる脳のトラップ 」より)
=== ここまで ===
ななころはこの「予言の自己成就」が好きで、普段からよく活用しています。
ただ、今回のトイレットペーパー不足デマが実現してしまうように、悪い予言が成就されてしまうこともあります。
ですので、「予言の自己成就」の使い方に注意をしたいものですね。。。