コラムなタイム -55ページ目

本との気持ち15

「「カチン」ときたときのとっさの対処法」植西 聡 著
(KKベストセラーズ、定価500円)

 最近、ちょっとしたことで「カチン」ときたことがあった。それでコンビニで目に付いたのがこの本。早速読んだ。早く気持ちの整理をしたくて速読してみた。いつものようにまず「まえがき」と「あとがき」を読んで、次に編集の構造をつかむために目次をしっかりと読む。とにかく本を手にした動機を解決できればよいのだ。だから具体的な対処法が分かればよく、読むと言うより探すという感じで眼力を効かせて接続詞や文末を追う。眼からウロコ、とっておき、猿でもわかる、1分でできるとかじゃないけれど、ハウツウ本はこの読み方が一番だ。
 それで、3つの対処法に書かれている最も効き目のありそうな手法をまとめてみると、

1)冷静に対処するには、相手の発言を目の前でメモしながら聞く。こちらのその意外な行動の事実に驚いて相手のペースを崩すことができ、優位に話を進められる。さいごはこちらの代替案を示して打ち切る。

2)とりあえず対処するには、聞くときは相手と目をあわせず、視界から相手を消して意識をそらす。話すときは、しっかり相手の目を見て話す。

3)味方に付ける対処法には、熱いものを飲んだり、甘いものを口にしたりするのもよく、相手にも進める手法もあるが、趣味を真似たり、人づてに相手をほめたりするのもよいだろう。

4)その他、事例が多く挙げられていて利用価値は充分。相手の得意なことについてほめ殺しをする、アドバイスをお願いする、土産話のつもりで新しい情報を提供する、孫や奥さんの家族の話をする、前もって信頼できる人に決めた時間に電話を入れてもらうよう頼んでおき退散できるようにしておく、などがある。

 そして、実践した行動を習慣化することがだいじ。小さな成功を喜べる自分になれる。この本はまさしく「お助け本」となるにちがいない、ぜひ一読を。じっくり読んではいけない。パラパラと読んで印象を絶対化することをおすすめしておく。

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本との気持ち14「治子の瞳」

『ノスタルジア美術館』太田治子(求龍堂刊・1200円)
『万里子とわたしの美術館』太田治子(朝日新聞社刊・1400円)
『私のヨーロッパ美術紀行』太田治子(朝日文芸文庫・500円)
『絵の中の人生』太田治子(新潮選書・1300円)

 僕の本の読み方の一つに一人の著者を続ける方法がある。または一年間、同じテーマの本しか読まないというのもある。後者ではゴッホがある。今回は前者で太田治子である。動機は昨年太宰治生誕100年で何冊かを再読したこと、また以前から太宰の短編小説「饗応夫人」のモデルが今住んでいる山形市の出身で画家だった桜井浜江の絵を好きだったということなど、ひさしぶりに太宰の周辺のことが気になってきていたからだ。そして偶然にも、太宰と太田静子の子、太田治子の本『絵の中の人生』を手にしていた。
 読んだ4冊に通じるのが著者太田治子の泰西絵画についての感想であるが、母静子との心の交流を描いている。それは異性に対する密やかな感慨や我が子万里子への限りない愛情だったりする。太宰の存在が底流にあることが随所に伺われ、胸を突く言葉がほとばしる文脈も少なくない。レンブラントの「ヘンドリッキェ」は愛人で、彼女とは亡き妻の遺言で結婚ができなかったくだりでは、著者は「母も作家の父の愛人であったことを思うと、絵のヘンドリッキェと母が似ているという事実がますます嬉しく思われてくるのだった。」と『万里子とわたしの美術館』で書いている。『私のヨーロッパ美術紀行』では、同じレンブラントの「居酒屋の放蕩息子」の自画像を見て、「「おとうさんがほしい」と思うことがあった。この世であったことがない父は、「パパ」でも「お父さん」でもなかった。空の上の神さまのように思われた。」またロダンの愛人カミーユ・クローデルの彫刻の自画像「パンセ」についてのくだりでは、「「あなたが生まれていなければ、私は死んでいたかもしれない」妻子のある作家との間に私を生んだ母は、そういった。」愛人のままの悲しみにくれながら孤独のうちに死んだカミーユが無縁でない存在として書かれている。一方、シャガールの絵の空を飛ぶカップルに結婚の憧れを見る。
 僕にとっての収穫は『ノスタルジア美術館』で、イコンを描いた山下りんと現存する絵のない高間筆子の章があったこと。また日本の最初の女流西洋画家ラ・グーザ玉の存在を知ったこと、さらに彫刻家碌山荻原守衛は中村屋夫人の相馬黒光との失恋が原因で自殺していたことなどあらためて知ることが多くあった。画家の周辺には時代の波が大きく押し寄せ、その波に翻弄された生き様がそのまま表現活動に現れた。その傑出の才能が花開いた時代でもあったろう。いずれも、そんな時代の底流で生きた画家達を優しい目で見た太田治子の美術評の書である。
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本との気持ち13

「1人ビジネスらくらく起業法」 小林敏之 著
(あさ出版・1470円)

 老後が間近に来て、しきりと考えることがある。それは気楽に小遣い稼ぎができないものだろうかと。アンケートのサイトをかじって小銭稼ぎをしたり、書き物のバイトを時折したりはしているものの、もう少し恒常的な稼ぎをしたい、そんな不似合いな野心が芽生えたところで手にした本がこれ。しかし資金も抜きん出た技術もない。夢で終わるのは分かってはいるものの、とりあえず読んでみた。
 「情報や知識を商品化して講座を開く」というのがこの本のテーマ。コストがかからないのが魅力で、講座の参加者を顧客にしていく手法。ニュースリリースで認知を広げ、最終的には講座の内容を本にして売る。講座のつくり方の10段階のステップが書かれており、内容はツボだけをしっかり押さえた書き方がされていて、読みやすく理解もしやすい。あとは実行のみとなるが、やりたい講座を探さなければならない。むくむくと不似合いな野心だけが膨らんだ。

1人ビジネスらくらく起業法/小林 敏之

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