観光列車「リゾートビューふるさと」で行く信州・大糸線『青春18きっぷ』一人旅 | サラリーマンおやじのさえずり小鳥っぷ(小旅行)

サラリーマンおやじのさえずり小鳥っぷ(小旅行)

サラリーマンおやじの休日ドライブと温泉巡り

冬の『青春18きっぷ』の季節になりました。利用期間が2018年12月10日から2019年1月10日までということで、今回最終5枚目をJR東日本長野支社が推す“のってたのしい3つの観光列車!白銀の世界が広がる、冬の信州へ旅しよう!”の企画に乗っかって「リゾートビューふるさと」に乗って大糸線への一人旅にでかけました。

 

ゆとりとおもてなしのリゾートトレインととして2010年10月から運行する「リゾートビューふるさと」が走る長野から松本までの篠ノ井線と松本から南小谷までの大糸線の沿線沿いには雄大な山々(穂高連峰や白馬三山等)、清涼な川(犀川や姫川等)や湖(仁科三湖)、澄んだ空、郷愁を誘う里山など、日本の「ふるさと」を思い起こさせる美しい風景(View)が広がります。車窓から、駅から、そして訪れた町から、その素晴らしい風景を楽しめる旅を創りだせる列車をイメージした名が「リゾートビューふるさと」です。週末やGW、夏休みなどを中心に、長野~南小谷間を、長野9:04発南小谷13:00着、南小谷15:16発長野18:28着の1往復しています。鉄道旅が好きなら一度は乗りたいローカル線です。

 

 

「リゾートビューふるさと」はハイブリッドシステムを搭載した列車です。ハイブリッドシステムとは、車のハイブリッド車と同様にディーゼルエンジンとリチウムイオン蓄電池を組み合わせ、駆動力に電気モーターを使用します。発車時に蓄電池充電電力を使用し、加速時にデーゼルエンジンも動作し両方の電気でモーターを回転させるしくみです。

 

 

篠ノ井線は信越本線の長野から4つ目の駅・篠ノ井から塩尻までを結ぶ66.7kmの路線です。急勾配と急カーブが続き、スイッチバックを行うことでも有名です。大糸線は松本と糸魚川の105.4kmの区間ですが、一つの路線ながら松本・南小谷がJR東日本、中土・糸魚川がJR西日本の管轄で「リゾートビューふるさと」はJR東日本の車両なので終点が南小谷までの70.1kmになります。路線は「北アルプス線」の愛称通り、車窓からの雄大な眺めが素晴らしく、県内ローカル線のピカ一でしょう。このルートは日本海側の新潟県糸魚川から塩を運んだ塩の道(千国街道)にも重なり、人の営みを感じさせる歴史遺産が心を和ませてくれます。

 

 

車を運転しての移動では、移り変わる車窓の眺めを堪能することは難しいものの、「リゾートビューふるさと」の車両に身を任せ頭をからっぽにして、日本三大車窓のひとつ、姨捨駅からの善光寺平の眺めや安曇野の風景、北アルプスの雄大さ、空の青さに浸って過ごすと身も心も浄化されていくような気がします。単なる移動手段ではなく、この列車に乗るのが目的でも十分に満足できますよ。

 

2両編成の車両で1号車44席、2号車34席+車イススペースの全席指定です。窓も車窓を楽しめるように大きくとられ、各車両には4台ずつ車内モニターが設置され運転室からの映像や観光案内DVDが映し出されています。

 

 

座席は通路より一段高くゆとりのある回転式リクライニングシートが配置され、座席の間隔が120cmと広く、ゆっくりと足を伸ばして寛ぐことができます。回転式なのは松本で篠ノ井線から大糸線に乗入れる際、進行方向が変わるので座席の向きを変える必要があるのです。

 

 

運転室の後方は展望室として、腰掛やソファーが設置されていて、運転士になった気分で前方を見ることができたり、側面の大型の窓から広い眺望を楽しむことができます。

 

 

長野駅を9:04分に出発した列車は信越本線を南下し、篠ノ井駅から篠ノ井線に入ると善光寺平の南縁にそって徐々に高度上げていき、次第に眺望が開けてきます。一度入込線に入線し、姨捨駅に着いたかと思うと行き過ぎて一旦停止し、いきなりバックで走りだして驚きますが、これが姨捨駅の魅力「スイッチバック」で、バックしながらあらためて姨捨駅に入線します。

 

 

擬洋風建築駅舎の姨捨駅周辺は、善光寺平、田毎の月で有名な棚田など、日本三大車窓光景と言われるほどに美しい眺めが広がっていますが、駅のホームがそのまま善光寺平が一望できる展望台になっています。

 

 

17分ほどの停車時間が設けられていて、ドアが開くと一斉に写真撮影タイムになります。姨捨駅のもう一つの魅力である山々に囲まれた細長い盆地の中央をゆったりと流れる千曲川と棚田の風景を眼下に、アテンダントに記念写真をとってもらったり、眺めたりしているとあっという間に発車の時間になりますよ。

 

 

10:27松本到着です。ここから大糸線にはいるので進行方向が変わります。その準備のため10:41の発車までの14分を利用して駅弁を買いにいきます。信州のローカル線でガタンゴトンと揺れる車内で駅弁を食べる、これぞ最高の楽しみです。自分の膝の上に掛け紙をとった駅弁を乗せて、何種類もの具をひとつひとつ口に運びがら、その土地のならではのおかずに舌づつみをうつことは至高の喜びです。

 

購入した駅弁は「アルプス道づれ おむすび弁当」小梅と野沢菜・やまごぼうの2種のおむすびが入った竹籠風の容器に入ったお弁当です。人参、里芋の煮物のほか、焼き塩鱒、鶏の山賊焼、などさまざまに詰まっています。渦状のだし巻き玉子が花を添えています。

 

 

松本を出発した列車はしばらく住宅の多い郊外の風景の中を走り、南豊科あたりから安曇野らしい田園風景が広がり始めます。広い車窓には燕岳や常念岳や有明山といった名山が迫ってくるスケールの大きな景色が飛び込んできますよ。青空に冠雪した山々の稜線が映えます。10:59穂高駅到着です。

 

 

往路の穂高駅では27分の停車時間があり、ボランティアガイドによる歩いて5分のところにある穂高神社への参拝ミニツアーに参加できます。穂高駅は穂高神社の社殿を模し、瓦屋根の駅舎に風格があります。傍らには五穀豊穣や子孫繁栄、無病息災などを祈願し、村人たちが道の辻に祭った守り神「道祖神」の石の表面に彫られた寄り添う男女が穏やかな表情で佇んでいます。

 

 

安曇野を開いた海洋民族である安曇野族を始祖に祀った穂高神社は、交通安全・産業の守り神として知られています。穂高岳を御神体として仰ぐ里宮で穂高岳の方角に向いて本殿は建てられています。、上高地に奥宮がありますね。

 

 

少し時間があるので、澄んだ空気の下、プラットホームで思いっきり深呼吸です。11:26穂高駅を出発します。

 

 

進行方向左側(西側)の車窓には田園風景の向こうに低い里山が見えます。ときおりその低い山々の向こうに北アルプスの険しい山並みも見えてきます。大糸線はこのあたりから終点の南小谷まで北アルプスに沿って北上していきます。天気が良ければ北アルプスが良くみえます。

 

車内では信濃大町までの時間を利用して地元信濃大町もんぺの会の方による民話を聞くことができます。この日は「犀龍と泉小太郎」の話でした。

 

 

車窓には高野川を渡る鉄橋からは、蓮華岳、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、など2600mを越える北アルプスの山並がどんどん大きく迫ってきます。

 

 

11:47信濃大町駅に到着です。12:02の出発時間を利用して往路時にふるまいが行われます。この日は地元アルプスロマン館の黒部おやきに北安醸造のグランプリ受賞甘酒のおもてなしがありました。

 

 

信濃大町駅を発車すると、木立に視界をさえぎられることが多くなりますが、木立の間から突然清らかな湖面が顔をだします。“北アルプスの鏡”と呼ばれる仁科三湖(木崎湖・中綱湖・青木湖)の東の端を巡るように線路が延びます。

 

 

いくつも並ぶ小さな無人の駅舎のすぐ向こうに湖水、湖の向こうには平地はなくいきなり山で不思議なやすらぎを感じる光景です。列車は「稲尾」「海の口」「簗場」の無人駅に一時停車するという嬉しい一時をプレゼントしてくれますよ。

 

 

海の口駅は「おねがいティーチャー」というアニメの舞台になった味のある駅舎です。主人公が宇宙船を隠した湖が目の前木崎湖ですが、そんな設定にも肯けてしまいます。

 

 

仁科三湖の最も北側に位置する青木湖には気象条件が揃えば白馬三山が湖面の映り込んで素敵です。

 

 

仁科三湖が車窓から消えてしばらく北上すると12:40、白馬駅到着です。このあたりが大糸線が北アルプスに最も接近するところで、白馬駅の改札を出ると駅正面に北アルプスがどーんと聳えます。しかし停車時間2分なのでここは下りませんでした。白馬駅隣の信濃森上駅からの眺めも八方根や岩岳を真正面にこの上ない絶景です。もっとも大糸線の車窓はすべて北アルプスの大パノラマなのです。

 

 

白馬を発車し、姫川の清らかな流れに並走しながら大糸線はゆきます。茅葺きの大屋根をトタンに葺き替えた民家の集落をいくつも過ぎ、13:00終点・南小谷駅に到着です。

 

 

山中にふさわしくひっそりと駅舎が佇んでいます。南小谷駅は大糸線の途中駅ですが、JR東日本と西日本の境界駅であり、電化、非電化の境界駅でもあります。南側のJR東日本区間は電化されていて、北側のJR西日本区間は非電化のローカルです。

 

 

このまま日本海側の糸魚川に抜けてもよかったのですが、折り返しの「リゾートビューふるさと」15:16で長野に戻る計画で糸魚川まで単行きの気道車では片道1時間かかることから今回は断念し、近くの温泉で温まることにしました。駅前からタクシーに乗り約5分(タクシー代1400円)下里瀬温泉「サンテインおたり」に向かいます。

 

 

国道148号、糸魚川街道沿い、姫川の清流を望む温泉宿。クアハウス内の浴場では、寝湯に圧注湯、泡沫湯、源泉の冷泉古代ひのき湯、サウナなど6種類のお湯を楽しめます。少しぬるめの温泉は良く温まり、美肌の湯としても好評です。泉質がナトリウム炭酸水素塩・塩化物泉で泉温は31.8℃で加温しています。効能は神経痛、筋肉痛、冷え性、きりきずに効きます。

 

 

温泉のあとはご当地サイダーである栂池高原の雪どけ水で作られた「栂池・雪どけサイダー」をいただきます。炭酸強め、甘さ控えめ、すっきり爽快な味わいが人気です。