本格的な理由を持ってここへ来たのは何ヶ月ぶりだろう。

何ヶ月ぶりというのは極論かなぁ…?

いずれにせよ、今日は本格的な理由での訪問である。






10時14分、浜松町に到着した。

土曜日であり、祝日であるだけに今日はたくさんの人だかりである。

たくさんの人だかりがあるのは、もう一つの理由があった。

そう、今日は…





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浜松町で開かれる文化放送提供のイベント、『浜祭』の日である。

私にとって浜祭は、今や毎年恒例のイベントである。

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通い始めて3年になるが、浜祭が文化放送提供だったのは今年度初めて知った。

文化放送メインだからこそそう言えるのだろう。



ポケモンセンタートウキョーのある汐留ビルの下にある会場。

浜祭のメインイベントはここで行われる。

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そこに配置されている巨大ピカチュウ。

今年度も忘れずにあるようで。

ここに入れる頃、私はおそらくこことは無縁、もしくは浜祭自体ない頃だったかもしれない。

一応、これと同じ違うキャラクターのコーナーをやった事はあったはずだけど…

子供の特権は、今しかない。

だからこそ、その時を大切にね。



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今年度もたくさんの人だかりである。

ここで文化放送の生放送が行われる。

毎年ここでは色んな著名人の生の姿を見る事ができる。

今年度は誰かな…

昨年度は、玉川さんと大竹さんだったっけね…

特に、玉川さんがここに復帰したのが印象に残る浜祭だったっけ…

大竹まことさんの生放送での色んな名言や名シーンに巡り会ったのも印象に残っている。

その時のワンフレーズが文化放送の入口のポスターにある。

今度から文化放送も積極的に聞こうかなぁ…



あらためて浜祭イベントスタート。



浜祭のイベントといえばもちろん…

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ポケモンウォークラリーである。

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今年度のスタンプ台は、ケルディオがメインだった。

メロエッタさんもいたっちゃあいたが…

マァいるっちゃあいるからいいけどね。



気を取り直してウォークラリースタート!

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最初のスタンプで恒例のピカチュウサンバイザーをゲット。

ピカチュウサンバイザーは、今やトウキョーではお約束規模になってるようだ。

その勢いでトウキョーでもメロエッタさんのサンバイザーも(はい次行こ次行こ)





それなりに時間はあったので、ひとまず他の場所も訪問してみる事にした。

スタンプのある場所の一つである世界貿易センタービルで小さくもひそかに大きなイベントが行われていた。



玉川美沙さんの冠番組、『ハピリー』のオリジナルTシャツの発売が行われており、しかも…

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なんとそこに生の玉川さんがいたのだ。

昨年度は、メインイベントステージに生出演してるのを見たが、今回はさらに距離が縮まる形でその姿を見る事ができた。

そのイベントは、オリジナルTシャツを買ったら玉川さんと握手できるという前代未聞かつ最高の内容だった。

今の私には、それができなかった。

これも私への当て付けなのだろう。

ただ撮影だけをしてるのが私としては、ただただ気まずかった。

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昼になり、玉川さんの生トークが行われた。

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鬼魂時代の当時の声が今も健在である。

例え今までの番組を離れども玉川さんは玉川さん。

色んな一新を経て帰ってきた玉川さんから今までにない魅力を覚えるものだ。

今度ハピリー聞こうかな…





あらためてウォークラリー再開。

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先程のスタンプ、そしてポケモンセンターの隣にあるビルにあったケルディオのスタンプを押してまず最初の目標達成。

一旦引き換え場所へ。



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スタンプ3つでピカチュウのクリアファイルゲット。

今年度は集めた数であり、全て集める必要はないらしい。

…だとしたらこの辺りだけで目標達成しちゃうやないか。

距離的な配慮をしてるのだろうか…

という事で4つ目のスタンプをゲットするため、文化放送本体へ…

文化放送にあったスタンプは、メロエッタさんだった。

『音』に合わせてここにしたのか、はたまたただの偶然か。




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最終目標達成の賞品は、特別クーポンだった。

今日中に2000円以上買い、このクーポンを出す事により、オリジナルナップサックをゲットできる。

…つまり、買えってか。

早く目標達成できる理由はここにあったのだろうか…

というわけで…

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久々のポケカー購入。

基本的にヨドバシカメラで買うだけに、今回はこうゆう時があったからこそここで買ったと言えよう。



合計2212円で目標金額達成。

というわけで…

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ナップサックゲット!


開封結果は以下の通り。



コールドフレア 全てハズレ

プラズマゲイル

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このフリーザーEXは、もしかしてシークレットレアだろうか…

EXは何枚か持っているが、これほどの光り方ではないだけにそうかもしれない。

コールドフレアが全滅だったのがここに現れたという事だろうか…



フリーズボルト


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噂の『エーススペック』が当たった。

HPを90回復するカードのようだが、エーススペックにしては地味な気もするが…



フリーズボルトで当てたカードはまだあった。






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なんとメロエッタさん!

そういえば、フリーズボルトにあるって言ってたっけね…

マクドでステップしか当たらなかったのが今ここで現れたと言うべきだろうか…





あらためて私は浜祭の続きをするため、メインステージへ向かった。

(後半へ続く)
「頼み…?」

ナオキは今までのプレッシャーが少しなくなったような心境の中、アカギに言った。

「報告によれば、キミはポケモンだけでなくトレーナーも同じ場所に立って戦うという変わった戦い方をするトレーナーだと聞いている。それならば、是非とも今度の戦いは、キミに戦ってもらいたい。」

「!?」

アカギからの意外な要求に、ナオキは一瞬驚愕した。

今の状況からすれば、ポケモンだけの戦いだとアカギが優勢になるはずなのになぜわざわざ…?

それほどの余裕がアカギにはあるのだろうか。

それとも…

アカギは、さらに付け加えるように言った。

「報告によれば、キミはポケモンで例えるならば電気タイプに相当する技を使うそうだな。ならば、飛行タイプのゴルバット相手にはちょうどよいではないのかね?」

「!!」

ナオキは、自身が追い詰められてる事をアカギが見透かしている事を悟った。

「戦うならば、手応えのある戦いにしてもらわねば困る。キミが優勢な立場になればそれなりの手応えになるはずだが…さあ、どうするのかね?」

「………。」

ナオキは、そのまま戦えば確実に勝てる環境の中、わざわざタイプ的に不利な相手を向こうから要求してくるアカギの言動に今までにない気持ちを痛感していた。

極論に言うならば、完全にナメられてると言うべきだろうか…

その近くで、マグマラシ、レントラー、ロズレイドが心配そうな目でナオキを見ていた。

少し間を置いた後、ナオキは顔を上げた。

「…いいだろう。貴様の方から言うならその要求、飲んでやる!次は私自身が相手だ!」

「ほぉ。随分と物分かりがいいのだな。」

「私が追い詰められてるのが貴様に見えてる以上、それを覆せる機会を逃すわけにはいかないからね。さあ、始めようか!」

ナオキは腰の鞘からトライス・ソードを引き抜き、構えた。

「その剣を使って戦うわけか。これは面白い勝負になりそうだ。」

アカギは、相変わらず涼しい顔をしている。

「いくぞ!!」

ナオキは、ゴルバットに向かっていった。

(ナオキ…)

マグマラシは、ナオキを心配そうな目で見続けていた。

「ゴルバット、かみつく!」

ゴルバットが鋭い歯を光らせナオキに向かっていった。

「真正面から来るなら格好の餌食だ!トライス・ライトニング!!」

ナオキは、トライス・ソードを片方前に出して雷を放った。

「よけろゴルバット!」

ゴルバットは飛んでくる雷をひらりとかわした。

「くっ…ゴルバットはニューラには及ばねえが、それなりに素早さはある…真正面から攻撃されてもかわせるなんて、あのゴルバットはなかなかの素早さを持ってるみてえだな…」

「ゴルバット、どくどくのキバ!!」

ゴルバットは再び鋭い歯を光らせナオキに向かっていった。

今度の光り方は、歯そのものが毒の塊ようにまがまがしい光り方だった。

ナオキはおもむろにトライス・ソードを構えゴルバットの攻撃を防いだ。

ゴルバットの歯が触れたトライス・ソードの刃渡りに毒々しい煙が立ち上った。

(どくどくのキバというだけに、この技をまともに受けたらポケモンならまだしも私は色んな意味で危険だな…)

毒状態には普通の毒状態を越えた『猛毒状態』というのがある。

毒状態と違い、猛毒状態はターン毎にダメージが増加していく。

ポケモンの場合は、それで済む方なのだが、人間であるナオキは場合によってはそれでは済まされない事に成り兼ねない。

サターンの時は、ガーディアンの力によるそれなりの耐性でどうにかなったものの、だからといって過信するわけにはいかない。

ナオキは、噛み付いたゴルバットをトライス・ソードで薙ぎ払いその場から離した。

「ほぉ…とても人間とは思えない身のこなしだ。団員の中には、コスプレをしたトレーナーと呼ぶ奴もいたが、少なくともそれはただのコスプレではないというのは確かなようだな。」

「当たり前だ。そうでなかったら、わざわざこんな姿をしてこんな所に入ってこないからね。」

「ふ…これはおもしろい戦いになりそうだ。」

アカギは冷静な表情に好奇心を込めるような様子で言った。

「いくぞ!」

ナオキは、トライス・ソードを構えゴルバットに向かっていった。

「ゴルバット、かみつく!!」

「同じ手はくわないよ!」

ナオキは真っ先にゴルバットに向かっていった。

「くらえ、トライス・スラッシュ!!」

ナオキは閃光のような素早さでトライス・ソードを振りかざした。

シュバッ!!

「!」

ゴルバットはナオキの斬撃を再びひらりとかわした。

「ゴルバット、つばさでうつ!」

バキィ!

「がっ!」

ゴルバットの攻撃を直に受けたナオキは、地面にたたき付けられた。

「ナオキ!」

「ぐっ…!」

ナオキは、多少怯みながらもどうにかすぐに立ち上がった。

「飛行タイプの技は、電気タイプには今一つだが、キミの場合はそうもいかないようだな。」

タイプは相手が苦手側でも、こうゆう形で受けるとそれなりにダメージはあるようだ。

「電気タイプゆえの耐性はあるけど、技によってはそれが意味をなさないに等しい受け方になるわけか…」

ナオキは、体制を立て直すと再びトライス・ソードを構えた。

「今度は私の番だ!」

ナオキは、閃光のような速さでゴルバットに飛び掛かった。

ゴルバットもそれに合わせるようにナオキに向かっていった。

「ゴルバット、つばさでうつ!」

「ライトニング・スラッシュ!!」

トライス・ソードとゴルバットの翼のぶつかり合いが続いた。

電流を帯びているトライス・ソードに触れているゴルバットは少しずつ電流によるダメージを受けていた。

「防戦一方と思っていたが、それなりに攻めてはいたようだな。ならば…」

攻撃を防いだ反動でナオキが怯んだところを狙い、ゴルバットはナオキの背後に回った。

「ゴルバット、あやしいひかり!」

ゴルバットは、ナオキに向かって光の塊を放った。

シュバッ!!

「ぐっ…!」

ナオキに当たった瞬間、激しい光が広がった。

「ああ!大変ですわ!あれではナオキさんが思うように行動できなくなりますわ!」

ロズレイドはかなり慌てていた。

「まずい…ただでさえ攻撃を当てられないのに、それにあやしいひかりをされたら…」

「これでキミは思ったように行動ができなくなるはずだ。さあ、どうする?」

アカギは、ナオキに言った。

ロズレイドとレントラーは、心配そうな様子でナオキを見ていた。

その時…




「…その程度の光で…」

「?」

「私の閃光を止める事はできないよ!」

ナオキは閃光のような速さでゴルバットに向かった。

「トライス・スラッシュ!!」

ナオキは、ゴルバットにトライス・ソードを振りかざした。

バシュ!!

「ぐあっ!」

トライス・ソードの斬撃をくらい、ゴルバットの全身が電流に包まれた。

すかさずナオキは、それにラッシュをかけるようにゴルバットにトライス・ソードをぶつけた。

「くっ…ゴルバット、つばさでうつ!」

カキィィィン!

トライス・ソードとゴルバットの翼がぶつかった反動でゴルバットはナオキから離れた。

「バ…バカな…あやしいひかりを確かに食らったはず…なのに、なぜ正確に攻撃が当てられる?」

ナオキの様子からして明らかに状態異常が起きているとは思えない。

「私達には特殊な力があってね。あやしいひかりみたいに、『心』に影響を与える技や効果は一切通用しないのさ。」

「!」

これは、ガーディアン・ケーストの加護によるものである。

ケーストの力は、魔法耐性なのだが、それは自身にも及ぶため、多少効力を下げてこのような形になったのだという。

ケーストいわく、『どんな事があっても心を汚されてはならない』という理由が込められてるのだという。

「な…なんだと…?」

「すごい…そんな力があったなんて…」

「という事は、混乱させられないだけでなく眠り状態にもさせられないという事?」

「そうだよ。君達にもあるからこれからの戦いに活用してね!」

ガーディアンの加護は、仲間になったポケモン全てに及ぶ。

そのため、この力はナオキとマグマラシだけでなく、その後仲間になったポケモン全員に与えられている。

ナオキが谷間の発電所でマーズに言っていたセリフはその中のこの力を意味していたのだ。

「…その不思議な力はどうあれ、まだ勝負はついていない。戦いを続けよう。」

アカギは、先程とは違うような様子でナオキに言った。

今までナオキ自身が戦う事やその不思議な力にかなり興味津々な態度を示していたというのに、今の加護についてはまるで冷めたような反応を示していた。

技が効かない程度の力は、ポケモンの特性にもあるからなのだろうか…

ナオキは、トライス・ソードを構えた。

「ゴルバット、かみつく!」

ゴルバットがナオキに襲い掛かる。

ナオキは、それをかわした。

ゴルバットはすぐに向きを変えた。

「ライトニング・スラッシュ!!」

ナオキはゴルバットに飛び掛かり、雷の電流を帯びたトライス・ソードを振りかざした。

ゴルバットはそれをひらりとかわした。

「かみつく!」

再びゴルバットがナオキに襲い掛かる。

カキィィィン!

ナオキは、トライス・ソードでそれを防いだ。

ナオキは、そのままトライス・ソードを振りかざしてゴルバットを薙ぎ払った。

ゴルバットは、それを受け流すようにどうにかかわした。

「互いに防戦一方だな…だったらこれで決める!!」

ナオキは、トライス・ソードを構えた。

その瞬間、トライス・ソードが光に包まれ、姿を変えた。

「いくぞ!」

ナオキは、ゴルバットに飛び掛かった。

ゴルバットもその後に続くように、ナオキに向かっていった。

「くらえ!シャイン・スラッシュ!!」

ナオキは、雷を帯びたトライス・ソードをゴルバットに振り下ろした。

「ゴルバット、つばさでうつ!」

バシィ!!

「!!」

ゴルバットは振り下ろされたトライス・ソードをつばさではたき飛ばした。

「振り下ろす形の攻撃は横からの攻撃に弱い。剣を下に振り下ろしたのが失敗だったな。」

アカギは勝負あったなという様子でナオキに言った。

「それは、どうかな?」

「何っ!?」

アカギがそう言った瞬間…

バシュ!!

「ぐぁっ!」

ゴルバットに閃光のような斬撃が襲い掛かった。

ナオキは、もう片方のトライス・ソードを使ってゴルバットを攻撃したのだ。

「見ての通り、トライス・ソードは二本あるんだよ。攻撃を破った事に気を向けすぎてその事を見逃したみたいだね。」

「!」

アカギは、今頃になってナオキの武器がもう片方ある事に気付いた。

あれほどずっと見ていたはずなのにアカギはその事を一瞬忘れていたのだ。

他人を追い詰めた気になると、目の前にある大事な事さえも見逃す時がある。

そういう理由でアカギは、トライス・ソードの事を忘れていたのだろう。

ナオキの斬撃をまともに受けたゴルバットは、まだ倒れてはいないもの、怯んでいた。

そこへ…

「まだだ!」

ナオキは、もう片方のトライス・ソードが握られていた手を開いた。

「来い、トライス・ソード!」

そう言うと、ゴルバットにはたき飛ばされたトライス・ソードがナオキの手に向かって飛んでいった。

これは、ガーディアン・エルマの加護である。

エルマは、武器を舞い戻らせる力があり、それを手から離れたものを戻す力として与えている。

ナオキは、エルマの加護で戻ってきたトライス・ソードを掴んだ。

「とどめだ!ライトニング・クロス!!」

ナオキはシザークロスのようにゴルバットに向かってトライス・ソードを振りかざした。

「ぎゃああああああ!!」

ゴルバットは、全身が電流に包まれた。

ナオキが着地すると同時にゴルバットは地面にたたき付けられ戦闘不能になった。

アカギはたいした反応もせずゴルバットをボールに戻した。

「おもしろい…そして興味深い。」

ポケモンが全滅したにもかかわらずアカギは表情一つ変えなかった。
マグマラシとニューラの激突はさらに続いた。

「マグマラシ、火炎放射!」

「ニューラ、きりさく!」

先手を取ったのはマグマラシだった。

背中の炎を燃え上がらせ、大きく息を吸い込み口から灼熱の炎を放った。

バッ!

「!」

ニューラは、それをひらりとかわした。

「マグマラシ、右に避けて!」

「くっ…!」

マグマラシは咄嗟にナオキに言われた通り、右へサイドステップをするようにニューラの一撃をかわした。

「やっぱりニューラは速過ぎるぜ…攻撃してもかわされちまう…どうすりゃいいんだ…」

マグマラシは、瞳だけを動かしてナオキの方を見た。

ナオキは、ぱっと見でわかるほど焦りを見せるような顔をしていた。

(ナオキも苦戦してるなんて…ボスとはいえ今回オレ達はやばい奴を相手にしちまったって事か…こいつはやべえな…)

マグマラシは、頬に汗をかきながら流し目で見ていた瞳を元の視点に戻した。

ナオキ達が今までにない焦りを見せている一方で、アカギの方は対峙した時と同じくらい表情を変えていなかった。

「どうした?防戦一方じゃないか。さっきの逆転劇はまぐれだったのかね?」

アカギの余裕を持った言動がナオキの焦りをさらに上乗せした。

「こないのなら、こちらからいかせてもらう。ニューラ、みだれひっかき!」

バッ!

ニューラは、ものすごいスピードでマグマラシに飛び掛かった。

「マグマラシ、避けて!」

「くっ!」

マグマラシは、横に飛んでニューラの攻撃をかわした。

「隙だらけだぞ。」

「!?」

マグマラシが攻撃をかわした瞬間、ニューラが素早い動きで向きを変え、かぎ爪を光らせた。

「ニューラ、だましうち!」

ドガッ!!

「がっ!!」

ズザザザザ…

背後から攻撃を直にくらったマグマラシは、地面に引きずられるように遠くへ飛ばされた。

「マグマラシ!」

「ぐっ…」

マグマラシは踏ん張るようにしてどうにか立ち上がった。

「ふぅ…まだ大丈夫みたいだね…」

ナオキは、額に汗をかきながら胸を撫で下ろした。

(…とはいえ…マグマラシももう限界が近いのは明らかだ…ニューラの方は、まだ一打も受けてない…マグマラシがさっきの一撃で倒れなかったのは幸いしたけど、次はない…)

ナオキの表情には、先程以上の焦りが出ていた。

その一方で、アカギは顔色一つ変えない涼しい表情だった。

(これ以上長く戦い続ければ、攻撃を受ける前にマグマラシの体力がなくなるのは確実…だとしたら、次の一撃で決めなきゃ勝機はないと思った方がいい…だが、私達の方から攻めてもあの素早さでは簡単にかわされる…そうなっちゃえば、今度こそ確実に私達の負けだ…何か確実に技を当てる方法は…)

ナオキは、今まで以上に考えを巡らせた。

相手も相手なので、そう長く考えてるわけにはいかない。

そのプレッシャーがナオキの思考を阻害した。

「ナオキ…」

満身創痍のマグマラシは、心配そうな目でナオキを見ていた。

ナオキはマグマラシと目を合わせた。

心配そうな目で見ているマグマラシにナオキは小さく微笑んだ。

「大丈夫だよ、マグマラシ。君がまだ負けてない以上、私も最後まで戦う。そして必ず勝ってみせるよ。マグマラシ、心配してくれてありがとう。」

そのマグマラシに言った一言がナオキの心を少し落ち着かせてくれた。

その時…

ナオキの中に白い閃光が過ぎった。

(…よし!今こそ『あの技』を使う時だ!)

ナオキは、マグマラシに駆け寄った。

「マグマラシ、これが最後のチャンスだよ。聞いて…」

ナオキは、マグマラシに耳打ちで何かを話した。

「…わかったぜ!必ずそのやり方で決めてみせる!」

「頼んだよ。」

そう言うと、ナオキとマグマラシは前を向いた。

「またも何やら作戦を考えついたようだな。だが、そのいつ倒れてもおかしくない状態で無傷のニューラを倒す事はできるのかね?」

「それは、私のマグマラシを倒してから言うんだね!いくぞ!」

マグマラシは、前足を踏ん張るように構え、相手をキッと睨み付けた。

「マグマラシ、影分身!!」

「おう、いくぜ!」

マグマラシは、体制を構えた。

その瞬間…

シュババババババ!!

風を切るような音と共に、マグマラシの分身がたくさん現れた。

「す…すごい!キミって影分身が使えたんだ!」

レントラーは、意外な光景にかなり驚いていた。

「使える機会がなかったから、君達が知らないのも無理はないね。」

どうやらこの技は、今回まで使った事がなかったようだ。

(今のマグマラシなら、『あの状態』にもなってるはずだ。ニューラの技を受けたのも、これが狙いでもある以上、私の狙い通りにいけば…)

マグマラシは、体制を整えた。

もちろん、影分身もズレる事なく、同じ動きをしている。

「影分身か。そんなもの、横に切り裂けばすぐに破れる!ニューラ、きりさく!」

ニューラは、マグマラシの影分身を全てとらえるようにかぎつめを真横に薙ぎ払った。

その時…

ボッ!!

「!!」

ニューラがマグマラシの影分身に触れた瞬間、ニューラのかぎつめが松明のように燃え上がった。

「何!?」

意外な光景にアカギは、初めて表情を変えた。

「あの影分身…普通の影分身じゃありませんわ!」

ロズレイドは今まで見た事のない光景に目を丸くしていた。

「オレの影分身は、普通と違ってな。火の塊で作った影分身を生み出す特別な技なんだ!」

火の塊に直に触れたニューラは、弱点とあまりの熱さに怯んでしまった。

「今だよ、マグマラシ!!」

「おう、いくぜ!!」

そう言うとマグマラシは、額と背中の炎をさらに燃え上がらせた。

「火炎放射!!」

ゴァァァァァァ!!!

マグマラシは、疲れを押し返すありったけの力を込めた勢いでさっき放った火炎放射とは一回りも二回りも大きい火炎放射を放った。

「!!」

熱さに怯んでいたニューラは、何かの気配を感じてようやく我に返った。

しかし、その時はもう手遅れだった。

ニューラが気配を感じた方を振り向くと、そこにはものすごい勢いの炎が迫っていた。

それに気付いた瞬間、よける間もなくニューラは激しい炎に飲み込まれた。

炎が止んだ時、そこには先程まで無傷同然だったニューラが全身黒焦げになり、仰向けになって倒れていた。

それを見た後、マグマラシは、力尽きるようにその場に崩れた。

アカギは、慌てた様子を見せないまま、ニューラをモンスターボールに戻した。

「またも逆転負けというわけか。先程マグマラシが放った技の威力からして、一回受けたくらいなら耐えられるはずだったが…今の火炎放射は、その時とは比べものにならないほどの威力だった…」

マグマラシが放ったさっきの火炎放射は、アカギの計算を上回るほどのものだったらしい。

最初に火炎放射を放った時、アカギはマグマラシの火炎放射の威力を把握しており、避けられる事も含め一回は耐えられると計算していたようだ。

「マグマラシの特性『猛火』さ。ピンチになった時、炎タイプの技の威力が上がる何気に忘れる事が多い御三家共通の特性だよ。」

ナオキは、マグマラシを抱きかかえながらアカギに言った。

「ニューラの素早さは、大概のポケモンを追い越せる。そうである以上、素早さが売りのマグマラシでも勝ち目はない。だから、確実に一撃で仕留められるチャンスを待っていたのさ。素早さの高いポケモンは、その分防御が薄いからね。」

アカギはまたもナオキの作戦を把握したように言った。

「なるほど。技をかわされる以上、技をぶつけ合う戦いは不利と判断して、確実に一撃で仕留められるよう最大限の威力を発揮出来る機会を作っていたというわけか。ニューラの技を受けていたのは、隙を作るためだけでなく、特性を発動させるためだったというわけだな。」

猛火を発動させ、ニューラを油断させるために、ニューラの技をあえて受けていたのがナオキのひそかな狙いだったが、額に流れている汗がひそかに狙い以上に追い詰められていた事を物語っていた。

(特性を発動させるまではうまくいったけど、ニューラに隙を作るまでは出来なかった…マグマラシが影分身の発展技『火炎分身』を使えなかったら確実に負けていたな…)

戦いには勝ったが、ナオキの表情は安心感を感じさせない形が今も続いていた。

アカギは、なおも冷静な様子を見せている。

「さて、これが最後のポケモンか。」

そう言ってアカギは、モンスターボールを取り出した。

(! 3匹目だと…?)

ナオキは、アカギにまだポケモンがいる事に一瞬動じるような反応をした。

「最後のポケモンは、これだ。」

アカギはモンスターボールを投げた。

最後に出されたポケモンは、ぱっと見すぐにコウモリだとわかるあごにまで達するほどの大きな口をしたポケモンだった。

「あれは、ゴルバット…」

「私の持つポケモンは、これが最後だ。」

アカギの持つポケモンは、これが最後のようだ。

今まで大多数の敵相手にも動じず戦ってきたナオキに今まで感じた事のないプレッシャーがのしかかった。

いつもならポケモンの数を問わずたいした反応を示さないナオキだったが、今回は違った。

いつもならば、『数が全てじゃない』という理由でたくさんのポケモンを出されても動じなかった。

だが、今回は数的には『たった3匹』なのだが、ナオキとしては、『早くも最後』ではなく、『ようやく最後』に到達したという受け止め方になっていた。

最後の一匹が今のナオキにとっては、あと数十匹も残されているような威圧感のように感じられた。

その一方で、アカギは最後の一匹であるにもかかわらず最初とほとんど変わらないくらい涼しい顔をしていた。

レントラーもマグマラシも先程の戦いにより、もうまともに戦える状態ではなかった。

今まともに戦えるポケモンは、ロズレイドだけだった。

「ロズレイド、君に戦ってもらっていいかな…?」

「確かゴルバットは、飛行、毒タイプでしたよね…明らかに私では不利ですわ…」

ロズレイドのタイプは、草と毒タイプ。

メインで使える技のほとんどがゴルバットにはいまひとつの効果を持つ技だった。

その時…

「待ちたまえ。」

「?」

アカギから発せられた一言に反応してナオキは動きを止めた。

アカギはナオキに言った。

「一つ、私からの頼みを聞いてほしい。」
こつこつと音を立てながらナオキ達は、人影のある方向へ進んでいった。

しばらく進んだ後、ナオキ達は人影と少し距離を置いた位置で足を止めた。

立ち止まった事に反応するように、人影はすくっと立ち上がり、ナオキ達のいる方を向いた。

「………そうか。キミが報告にあったギンガ団に逆らっているポケモントレーナーか…。」

「ギンガ団に逆らっているのは、私に限った事じゃないけどね。」

ギンガ団と戦っているのは、自分達だけに限らず、コウキやその仲間達もいるという事をナオキは強調したいのだろう。

人影の主は、ゆっくりとナオキ達のいる所へと歩み寄っていった。

マグマラシ、レントラー、ロズレイドは万一を考え体制を整えた。

影によって姿は隠されていたが、近づくにつれて少しずつ姿が明らかになっていた。

「こんな若造とは思わなかった。ギンガ団の幹部達がてこずらせたと聞いていたのでね。」

そう言い終えた瞬間、人影の主は足を止めた。

それと同時に影に隠されていた姿が明らかになった。

「…!」

姿が明らかになった瞬間、ナオキの中でひそかに忘れていた記憶が蘇った。

ナオキの目の前にいる人物…それは、全てにおいて見覚えのある人物だった。

そして、それと同時に全てを悟った。

「…なるほどね。ここ最近どうもしっくりこない日が続いてたんだけど、今ので全部晴れたよ。」

チャキ!

ナオキは、腰の鞘に収めていたトライス・ソードを引き抜き、反転させて構えた。

「やはり貴様は、敵だったか。」

ナオキは、ポケモン達より少し遅れて体制を整えた。

青いつんつんとした髪型で、壮年期に入って間もないくらいの年をした男…

ナオキは、テンガン山、そしてカンナギタウンでの事を鮮明に思い出した。

ナオキの目の前に立ちはだかる人物…

それは、テンガン山で初めて会い、その後カンナギタウンでも会った謎の人物―――アカギだった。

ナオキ達は、気付かないうちにギンガ団の黒幕に二度も遭遇していたのだ。

「しかもボスだったとはね…。二度も会っててその度に怪しいと思ってたのに、それに気付かなかったなんて…。私もまだまだというわけだ。」

ナオキは、リッシ湖以来の迂闊さを痛感した。

それに合わせるようにアカギはナオキに言った。

「私もまさかキミがそのトレーナーだったとは今初めて知った。正直驚いたよ。」

どうやら身近にいたのに気付かなかったのは、お互い同じようだ。

「さて、ここに来た理由は、わかる。『エムリット』、『アグノム』、『ユクシー』の3匹のポケモンの事だろう?」

「わかっているなら、話は早い。そのレジェンド達はどこにいる!?」

「あのポケモン達はもう必要ない。キミが引き取ってくれるなら処分する手間が省ける。自由にしたまえ。」

アカギのこの一言にナオキは、ぴくりと反応した。

「!?処分だと!?…なら、なおさら急いで助けなきゃいけないね。」

そうナオキが言った後、アカギはナオキに言った。

「だが、その前に…ギンガ団に盾突くキミの力を見せてもらいたい。」

「…いいだろう。この世界は、ポケモンで渡り合うのが礼儀…。そうでもしなきゃここを通してはくれないだろうからね。」

アカギは、モンスターボールを取り出した。

「では、いくぞ。まずは、このポケモンからだ。」

アカギは、モンスターボールを投げた。

投げたモンスターボールが開かれ、放たれた光と共にモンスターが現れた。

繰り出したポケモンは、ぱっと見ですぐにカラスだとわかる黒い鳥ポケモンだった。

ナオキは、そのポケモンに見覚えがあった。

そのポケモンは、シンオウではなく、ジョウトで見た事があるポケモンだったからだ。

「…ヤミカラスか。それじゃあレントラー、よろしく頼むよ。」

「まかせて。」

レントラーが前に出た。

「いくぞ!ヤミカラス、ナイトヘッド!」

ヤミカラスからゴーストタイプの波動が発せられ、レントラーを襲った。

「ぐっ!」

ヤミカラスのレベルはかなり高いらしく、レントラーはかなりのダメージを負った。

「素早さは、ヤミカラスが上か…。レントラー、かみなりのキバ!」

レントラーは、体制を立て直し、キバに電気を帯びた状態でヤミカラスに飛び掛かった。

「ヤミカラス、だましうち!」

ヤミカラスは、ふっと姿を消した。

「!?」

レントラーは、地面に着地して辺りを見回した。

「ど…どこに隠れた!?」

レントラーがそう言った瞬間…

「レントラー、後ろ!」

「え…」

バキィ!!

どこからともなく現れたヤミカラスがレントラーを背後から打撃を与えた。

「がっ!」

不意をつかれたレントラーは、だましうちをくらった勢いで遠くへ飛ばされた。

「レントラー!」

ナオキは、レントラーのもとに駆け寄った。

「ぐっ…。」

レントラーは、何とか踏ん張るような様子で立ち上がった。

「大丈夫?まだ戦えるかい、レントラー?」

「ああ…。タネポケモンとはいえ、油断したよ。あのヤミカラスは、かなりの実力だ…。」

得意なタイプでここまで追い詰められているのがその根拠だ。

「…どうやら、この戦い…。今まで以上に油断できない戦いになりそうだね。」

ナオキとレントラーは、アカギの方を向いた。

「どうしたのかね?まさか、これで終わりというわけではないだろうね?」

ナオキは、ひそかに追い詰められている事を感づかれているというアカギの言動に一瞬動じた。

「まだだ!確かに追い詰められてはいるけど、まだ倒したわけじゃない。」

「そうか。それならば、そうであってほしい。そうでなければ、張り合いがないからな。」

アカギの余裕を持った言動がナオキをさらに追い詰めた。

(このアカギという人物…。今まで戦った相手の中で一番強い…。油断しすぎてたわけじゃないけど…これはさすがに一筋縄じゃいかないわけだ…)

ナオキの表情には、ひそかに焦りが見えていた。

(レントラーも次の攻撃を受けたら危ない…。一撃も受けずにヤミカラスを倒さないと勝ち目はないな…。だとしたら…)

ナオキは、少し考え事をしていた。

「ナオキ、どうだ?」

レントラーは、ナオキに言った。

「………。」

ナオキは、まだ考え続けていた。

アカギは、その様子をただ見ていた。

今なら攻撃をするチャンスに等しい状況にもかかわらずそれをしないのは、余裕を見せているからなのだろうか。

…その時…

「………!」

ナオキの中に一筋の閃光がよぎった。

「レントラー…」

ナオキは、レントラーの耳に顔を近づけた。

しばらくして、レントラーはこくりと頷き、ヤミカラスの方を向いた。

「何やら作戦を練っていたみたいだな。おもしろい、その話していた作戦とやら、見せてもらおう。」

そう言うと、アカギはヤミカラスに言った。

「ヤミカラス、ダメおし!」

ヤミカラスは、レントラーに先程よりも強い勢いで襲い掛かった。

ダメおしは、受ける前にダメージを受けているポケモンを攻撃する際、ダメージが倍になる技。

この勢いは、タイプ一致と、その条件成立によるものなのだろう。

「レントラー、かわして!」

レントラーは、ヤミカラスの攻撃を寸前で回避した。

「隙だらけだ!ヤミカラス、だましうち!」

旋回したヤミカラスは、姿を消した。

「!」

「やばいですわ!またあの技を受けたら…。」

ロズレイドがそう言った瞬間…

「!」

ヤミカラスが再びレントラーの真後ろに現れた。

「とどめだ!」

ヤミカラスがレントラーに襲い掛かった。

その瞬間…

「今だレントラー!ほうでん!!」

「何っ!?」

アカギがそう言った瞬間…

バリィィィィィ!!

レントラーから全体に向かって高圧電流が発せられた。

発せられた電撃は、背後にいたヤミカラスを飲み込むように襲い掛かった。

「ぎゃああああ!!」

ヤミカラスは、電撃をまともに受け、その勢いで動きを止めてしまった。

「今だよ、レントラー、かみなりのキバ!!」

レントラーは、すかさずヤミカラスに飛び掛かった。

ヤミカラスは、空中で電撃をくらった事により麻痺していた。

レントラーは、キバから電気を発して大きく口を開き、ヤミカラスにがぶりと噛み付いた。

バリバリバリバリバリ!!

噛み付いた瞬間、痺れていたヤミカラスにさらなる高圧電流が走った。

激しい電流の音と共に叫び声をあげ、ヤミカラスは、そのまま錐揉みになり、地面に落ちていった。

レントラーは、ヤミカラスから離れ、地面に着地した。

ドシャ…

ヤミカラスは、地面にたたき付けられ戦闘不能になった。

その様子をアカギは、かなり冷静な表情で見ていた。

「ほぉ…なるほど…。ヤミカラスがだましうちで背後から襲ってくる事を計算に入れ、どこにいても当たるほうでんを撃ち、ヤミカラスを怯ませ、その隙にかみなりのキバで仕留めたというわけか…。」

ナオキがレントラーに話していた作戦をアカギはほぼ理解したようだ。

ただ見ただけでここまでわかる事からすると、意表をつかれたような程ではないようだ。

ヤミカラスが逆転負けしたにもかかわらず、冷静でいられるのはそのためなのだろうか…

ヤミカラスの戦闘不能が確定した瞬間、レントラーは少しふらついた。

「レントラー!」

「本当に危なかったよ…。今ので倒せなかったら、もうオレは負けていたよ…。」

レントラーは、もう立っているのがやっとだった。

「よくやったよ。ゆっくり休んでてね。」

ナオキは、レントラーを後ろに下げた。

「では、次の勝負といこうか。」

アカギは、次のポケモンを繰り出した。

モンスターボールが開かれ、二本足で立っている大きな鋭いかぎつめを持ったポケモンが現れた。

次のポケモンも見覚えのあるポケモンだった。

「かぎつめポケモン、ニューラか…。それなら…」

ナオキは、マグマラシのいる方を向いた。

「オレの出番みてえだな。」

マグマラシは、ナオキの言いたい事を真っ先に理解したように言った。

ナオキは、こくりと頷いた。

「よろしく頼むよ。」

マグマラシは、こくりと頷いた。

「ニューラ、きりさく!」

素早い動きでニューラがマグマラシに切り掛かった。

「マグマラシ、かわして火炎放射!」

マグマラシは、ニューラの攻撃をひらりとかわして、すかさず火炎放射をぶつけた。

「かわせ、ニューラ!」

ニューラは、さらに素早い動きで火炎放射をかわした。

「くっ…あいつは、オレよりも素早いのはジョウトにいた時から知ってたが、このニューラはそれ以上を覚悟しなきゃいけないみたいだな…。」

マグマラシは、体制を整えた。

「ニューラ、だましうち!」

ヤミカラスの時のようにニューラは、すっと姿を消した。

「また、その技か…。ナオキ!」

ナオキはこくりと頷き、マグマラシに言った。

「マグマラシ、ふんえん!!」

マグマラシは、背中と額の炎を燃え上がらせ、ほうでんのように体全体から爆発するように炎を発した。

その時…

「!」

マグマラシは、ふと背後から何かの気配を察知した。

その瞬間…

ドガッ!

「がっ!」

マグマラシは、背後から強い衝撃を受け、その勢いで飛ばされ、そのまま地面にたたき付けられた。

「マグマラシ!」

マグマラシは、体を引きずるように立ち上がった。

「ぐっ…バカな…?ふんえんもほうでんと同じ全体攻撃の技だってのになぜニューラがくらわなかったんだ…?」

マグマラシのその懐疑を察知したようにアカギが言った。

「ほうでんと違い、ふんえんは攻撃範囲が少し狭い。発する直前に遠くに離れ、僅かな隙間を安全地帯にすればわけない事だ。」

ニューラの素早さがあるからこそできる攻略法というわけだ。

(先程の作戦をもう学習してるとは…。やはり…このアカギという人物はただものじゃない…。どうやらこの戦い…そう安々と攻略できるなんて思わない方がよさそうだな…。)

ナオキは、サターン以来、いやそれ以上の焦りを見せていた。

それが本当の焦りだという事を額の汗が物語っていた。
翌日。

元気を取り戻した一行は、ロッジを後にした。

ロッジを後にしたナオキ達は、テンガン山を通り外に出た。

テンガン山には色んな場所に通じる出口がある。

コウキとナオキは、迷う事なく東の方角に向かった。

エイチ湖にいた時から、彼らの向かう場所はもう決まっていた。







コウキとナオキは、ジュピターが言っていた事を頼りにトバリシティに向かった。

「そういえば、前に私がヒカリちゃんに会った時もギンガ団をここで見かけたんだよね。」

「トバリシティで?」

「そう。そこでヒカリちゃんがギンガ団に襲われて、その後私達で力を合わせてなんとかやっつけたんだ。」

「そうだったんだ。」

当時は『ナオキの姿』でだったが、コウキはその時にはいなかったので、トライスの状態である今の姿で話してもコウキは疑いを持たなかった。

ナオキは、ひそかにまた違う姿での事を話してしまった事に少し焦りを見せたが、どうにかそれを表に出さずに済んだ。

今の姿を忘れて違う姿の時の事を話す事がナオキの癖になってるようだ。

ナオキは、シンジ湖での事をひそかに気にしていた。

結局、あれはごまかしきれたと言えるのだろうか…

ナオキは、あらためてそれを気掛かりに思った。





二人は歩き続けていた。


しばらく歩くと、ナオキは足を止めた。

「ここがギンガ団の本拠地…ギンガビルってわけだ。」

二人の前に大きなビルがそびえ立っていた。

『トバリシティギンガビル』

ジュピターがエイチ湖で言っていたギンガ団の本拠地である。

「ギンガ団の本拠地がここにあったとはね…。トバリシティは常にギンガ団の脅威にさらされてたって事。悪の組織という名の漆黒の闇に包まれた町。まさに『漆黒のトバリ』ってわけだ。」

ナオキはカード真拳に合わせた事を言った。

ナオキ達は階段を登っていった。

すると、そこに一人の団員がいた。

「どうだ!このアンテナ!詳しい事は知らないがとにかくすごいアンテナだ!」

誰が来たのかはわからず、少なくとも近くに人がいるのにだけ気付いていた団員は堂々と大きな声で言った。

(詳しい事は知らない…?団員なのになぜ知らないんだ?)

ナオキは団員の一言に疑問を抱いた。

その時、団員がナオキ達の存在に気付いた。

「やや!お前は!」

「え、誰だっけ?」

ナオキはとぼけた様子で言った。

ナオキは本当に知らないようだが、彼はナオキ達の事を知っているようだった。

「お前はおれを覚えていなくてもおれはお前を覚えている!お前のせいでピッピは取り上げられて…相方は田舎に帰り…」

ナオキは団員の言っているセリフの中で思い当たるのを見つけてようやく思い出した。

「あー、エイチ湖の時のザコ兵か!」

ナオキは『ピッピ』というセリフでその事を思い出した。

「ぐっ…。知らない!おれは倉庫の鍵なんて知らないぞ!」

そう言って団員は一目散に逃げていった。

その時、チャリンという音がした。

「あの時、オレ達であっさり倒したからすっかり忘れてたな。」

「本当。まさかあの時のザコ兵がまだいたなんてね。しかも相方に逃げられるなんて。本当ご苦労なこった、だね。」

そう言った時、ナオキはふと下を見た。

「あれ?これって…」

ナオキは近くに落ちていた何かを拾った。

「鍵っぽいね。」

そこにはわかりやすく『倉庫の鍵』と書いてあった。

「さっきのあいつが落としていったみたいだな。」

「あいつ…発電所の時の団員と同一人物だったりして…」

ナオキは谷間の発電所の時の事を思い出していた。

あの時も花畑で戦った後に団員が鍵を落としたために入れたのだ。

こうしてあっさり鍵を手に入れた二人は早速ギンガ団の倉庫に行った。

倉庫内に入ると、そこには怪しいドアがあった。

「この形式のドア…。明らかに普通のドアじゃないな…」

倉庫には普通自動ドア式のドアはない。

開いた先が単なる倉庫だったとは思えないようなドアだった。

「早速鍵はこれに合うみたいだ。」

ナオキはさっき拾った鍵を鍵穴に合わせてみた。

「トライス、開けてみようぜ!」

「OK!」

ナオキは鍵穴に倉庫の鍵を刺した。

ガチャ!

その音と共にドアのロックが解除された。

それと同時に鍵は根本から折れてしまった。

「随分と脆いな…。鍵は折れちゃったけど、これでドアは開くようになったはずだよ。」

「よし、早速中へ突入だ!」

コウキはナオキを促すように言った。

「OK!みんな、準備はいいかい?最初から全力で行くよ!」

ナオキはマグマラシ達に言った。

「おう!いよいよ一番の見せ所が来たぜ!」

「ギンガ団にこれ以上好きなマネはさせないぜ!」

「心の美しさを持たない者に思い知らせてあげますわ。」

マグマラシ、レントラー、ロズレイドはそれぞれの思いを込めた一言を言った。

倉庫のドアが開いた。

「コウキくん、気を引き締めて行くよ。くれぐれも油断しないようにね。」

「うん!」

コウキは力強く頷いた。

ナオキ達は前を向いた。

「行こう!」

この一言と同時に彼らはドアの中へ走っていった。







倉庫の中は地下に続いていた。

「倉庫にこんな基地があったなんて…」

コウキは辺りを見回しながら言った。

「きっと、ここが奴らの秘密の通路なんだろうね。」

ナオキ達はしばらく歩き続けた。

その時…

「…む?」

ナオキは何かに気付いた。

「トライス、どうしたの?」

コウキがナオキの方を向くと、ナオキは小さい笑みを浮かべていた。

「…どうやら…早速お出ましのようだ。」

ナオキの見た先にはたくさんの団員達がいた。

「侵入者だ!」

「どうやってここに!?団員しか持ってない鍵がなければ入れないはずだぞ!」

団員達は予想外な出来事に開いた口がふさがらなかった。

「初っ端から全力でいかなきゃいけないみたいだね。」

「そうみたいだな。」

二人は戦闘モードに入った。

「コウキくん、いくよ!」

「おう!成長したオレの力を見せてやるぜ!」

ナオキはトライスソードを構え、マグマラシ達も戦闘体制になった。

コウキはモンスターボールを構えた。


「行け!ゴルバット!」

「スカンプー!」

「ドクケイル!」

団員達は一斉にポケモンを繰り出した。

「数では奴らの方が有利か。ま、私達には関係ないけどね。」

「キミがあの時言ってたからね。『バトルは数が全てじゃない』って。」

コウキはナオキと一緒に戦った時の事を思い出していた。

「そういう事!」

ナオキはコウキに小さく微笑みながら言った。


「行け!あの二人をなんとしてでも止めるんだ!」

団員のポケモン達が一斉に飛び掛かって来た。

それと同時にナオキ達も反撃を始めた。

「トライス・ライトニング!」

トライスソードから雷が放たれた。

「ぎゃあああああ!」

雷はゴルバットに直撃した。

「やったか?」

コウキがそう言った時、ナオキはピクリと反応した。

「いや、まだみたいだ!」

ゴルバットは何とか踏み止まった。

それでも弱点のタイプをつかれてかなりダメージを負っているのは確かだった。

「少しはレベルが上がったみたいだね。これだと私達も少してこずるかもしれないな。」

それでも内心は余裕を見せているようだった。

「みんな、油断しないで全力でいくよ!」

「おおー!」

激戦は続いた。

ナオキ達は団員を蹴散らし前に進んでいった。

それからしばらくして…


「ん?これは?」

ナオキは何かを見つけた。

そこには丸い形をした光るパネルがあった。

「レントラー、これって…。」

「ああ、間違いないね。これはワープパネルだ。」

二人はこのパネルに見覚えがあった。

ナオキとレントラーが出会った時に、ちょうど同じ物を見た事があったのだ。

「どこかに行けるかもしれないね。」

「そうだな。オレがギンガ団に捕われた時も、こういうワープパネルで移動してたからな。」

「OK。コウキくん、行くよ。」

「OK!」

ナオキ達はワープパネルに足を踏み入れた。

無論、サイズの都合上、1人ずつ入る事になっているが。

ギュワワワワーン!

この音と共に、ナオキ達は別の部屋に飛んだ。

「着いたぞ。ここは…」

着いた場所は倉庫みたいな所だった。

大きい箱が何個か並べられている。

レントラーは目を光らせた。

諺ではなく、本当に光らせている。

「ん?」

レントラーは何かに気付いた。

「どうしたのレントラー?」

「箱の裏に何かあるみたいだ。」

レントラーは箱の裏側に行ってみた。

「これは?」

レントラーは何かを見つけたようだった。

「レントラー、何かあった?」

「今持ってくる。」

そう言うと、レントラーはその見つけた物をくわえて持ってきた。

「これだ。」

「…これは?」

それは1枚のカードだった。

見た目からしてカード真拳ではないのは確かである。

「これはギンガ団のカードキーみたいだ。」

「え?何でそれがわかるんだ?」

「だってまたここにわかりやすく書いてあるんだもの。」

「あ、本当だ。」

倉庫の鍵と同じく『ギンガ団の鍵 トバリビル用』と書かれていた。

「ギンガ団ってとことんドジだよね…。」

ナオキは呆れ果てていた。

「何はともあれ、これでトバリのギンガビルに突入できるね。」

「だね。よし、早速行こう!」


二人はギンガビルに向かっていった。



ギンガビル内。

二人はビルの中でも団員を蹴散らしながら進んでいった。

「くっ…まだ快進撃を続ける気か…。だが、もう実験は終わったぞ!」

「実験!?」

ナオキはその一言に反応した。

(ギンガ団は三大レジェンドをどうするつもりなんだ…?)

ナオキの中で大きな不安がよぎった。

「コウキくん、急ごう!」

「うん!」

コウキが頷くと二人は走っていった。





「だいぶ進んだな。」

「団員もそろそろ全滅した事だろうね。油断はできないけど。」

二人は話しながら歩くと、急に足を止めた。

「…あれは…。」

中を見ると、そこには見覚えのある人物の姿が見えた。

「………。」

ナオキはしばらく黙り込んでいた。

「どうしたのトライス?」

コウキはナオキに話かけた。

ナオキはしばらく黙り込み、ようやく口を開けた。

「コウキくん。」

「?」

しばらく間をおいて、ナオキは言った。

「君は先に外に出ていてくれないかな…?」

「え?」

ナオキからの一言にコウキは一瞬驚愕した。

「ここから先は君が行くと危険だ。だからここから先は私達で行く。」

「え?トライス、それってどういう事?」

ナオキからの唐突な一言にコウキは戸惑いを隠せなかった。

「ここから先は、今まで私達が戦ってきた以上にやばそうな相手がいるんだ。君も私と同じくギンガ団の要注意人物にされてるからヘタすればバトルで負かされるだけでは済まされないかもしれない。」

ナオキはコウキの事を案じていた。

バトルにおける実力ではなく、コウキの身の危険を…

コウキはしばらく考えた後に言った。

「…わかった。じゃあオレは先に外に出て待ってるからね。そのかわりちゃんとキミも戻ってきてよ。」

「OK。すぐは無理かもしれないけど、少なくとも必ず君の後に続けられるようにするよ。」

ナオキは小さく微笑みながらコウキに言った。

「それじゃあ後で。絶対戻ってきてね!」

コウキは念押しでナオキに言うとその場を後にした。




ナオキはコウキを見送った後、ドアの方を向いた。

「…行くよみんな。準備はいい?」

ナオキがそう言うと、マグマラシ達はこくりと頷いた。

ナオキ達はドアを開けた。

ドアが開くと、ナオキ達は前に向かって歩いていった。

ナオキ達の向かう先に、一つの人影があった。