こつこつと音を立てながらナオキ達は、人影のある方向へ進んでいった。
しばらく進んだ後、ナオキ達は人影と少し距離を置いた位置で足を止めた。
立ち止まった事に反応するように、人影はすくっと立ち上がり、ナオキ達のいる方を向いた。
「………そうか。キミが報告にあったギンガ団に逆らっているポケモントレーナーか…。」
「ギンガ団に逆らっているのは、私に限った事じゃないけどね。」
ギンガ団と戦っているのは、自分達だけに限らず、コウキやその仲間達もいるという事をナオキは強調したいのだろう。
人影の主は、ゆっくりとナオキ達のいる所へと歩み寄っていった。
マグマラシ、レントラー、ロズレイドは万一を考え体制を整えた。
影によって姿は隠されていたが、近づくにつれて少しずつ姿が明らかになっていた。
「こんな若造とは思わなかった。ギンガ団の幹部達がてこずらせたと聞いていたのでね。」
そう言い終えた瞬間、人影の主は足を止めた。
それと同時に影に隠されていた姿が明らかになった。
「…!」
姿が明らかになった瞬間、ナオキの中でひそかに忘れていた記憶が蘇った。
ナオキの目の前にいる人物…それは、全てにおいて見覚えのある人物だった。
そして、それと同時に全てを悟った。
「…なるほどね。ここ最近どうもしっくりこない日が続いてたんだけど、今ので全部晴れたよ。」
チャキ!
ナオキは、腰の鞘に収めていたトライス・ソードを引き抜き、反転させて構えた。
「やはり貴様は、敵だったか。」
ナオキは、ポケモン達より少し遅れて体制を整えた。
青いつんつんとした髪型で、壮年期に入って間もないくらいの年をした男…
ナオキは、テンガン山、そしてカンナギタウンでの事を鮮明に思い出した。
ナオキの目の前に立ちはだかる人物…
それは、テンガン山で初めて会い、その後カンナギタウンでも会った謎の人物―――アカギだった。
ナオキ達は、気付かないうちにギンガ団の黒幕に二度も遭遇していたのだ。
「しかもボスだったとはね…。二度も会っててその度に怪しいと思ってたのに、それに気付かなかったなんて…。私もまだまだというわけだ。」
ナオキは、リッシ湖以来の迂闊さを痛感した。
それに合わせるようにアカギはナオキに言った。
「私もまさかキミがそのトレーナーだったとは今初めて知った。正直驚いたよ。」
どうやら身近にいたのに気付かなかったのは、お互い同じようだ。
「さて、ここに来た理由は、わかる。『エムリット』、『アグノム』、『ユクシー』の3匹のポケモンの事だろう?」
「わかっているなら、話は早い。そのレジェンド達はどこにいる!?」
「あのポケモン達はもう必要ない。キミが引き取ってくれるなら処分する手間が省ける。自由にしたまえ。」
アカギのこの一言にナオキは、ぴくりと反応した。
「!?処分だと!?…なら、なおさら急いで助けなきゃいけないね。」
そうナオキが言った後、アカギはナオキに言った。
「だが、その前に…ギンガ団に盾突くキミの力を見せてもらいたい。」
「…いいだろう。この世界は、ポケモンで渡り合うのが礼儀…。そうでもしなきゃここを通してはくれないだろうからね。」
アカギは、モンスターボールを取り出した。
「では、いくぞ。まずは、このポケモンからだ。」
アカギは、モンスターボールを投げた。
投げたモンスターボールが開かれ、放たれた光と共にモンスターが現れた。
繰り出したポケモンは、ぱっと見ですぐにカラスだとわかる黒い鳥ポケモンだった。
ナオキは、そのポケモンに見覚えがあった。
そのポケモンは、シンオウではなく、ジョウトで見た事があるポケモンだったからだ。
「…ヤミカラスか。それじゃあレントラー、よろしく頼むよ。」
「まかせて。」
レントラーが前に出た。
「いくぞ!ヤミカラス、ナイトヘッド!」
ヤミカラスからゴーストタイプの波動が発せられ、レントラーを襲った。
「ぐっ!」
ヤミカラスのレベルはかなり高いらしく、レントラーはかなりのダメージを負った。
「素早さは、ヤミカラスが上か…。レントラー、かみなりのキバ!」
レントラーは、体制を立て直し、キバに電気を帯びた状態でヤミカラスに飛び掛かった。
「ヤミカラス、だましうち!」
ヤミカラスは、ふっと姿を消した。
「!?」
レントラーは、地面に着地して辺りを見回した。
「ど…どこに隠れた!?」
レントラーがそう言った瞬間…
「レントラー、後ろ!」
「え…」
バキィ!!
どこからともなく現れたヤミカラスがレントラーを背後から打撃を与えた。
「がっ!」
不意をつかれたレントラーは、だましうちをくらった勢いで遠くへ飛ばされた。
「レントラー!」
ナオキは、レントラーのもとに駆け寄った。
「ぐっ…。」
レントラーは、何とか踏ん張るような様子で立ち上がった。
「大丈夫?まだ戦えるかい、レントラー?」
「ああ…。タネポケモンとはいえ、油断したよ。あのヤミカラスは、かなりの実力だ…。」
得意なタイプでここまで追い詰められているのがその根拠だ。
「…どうやら、この戦い…。今まで以上に油断できない戦いになりそうだね。」
ナオキとレントラーは、アカギの方を向いた。
「どうしたのかね?まさか、これで終わりというわけではないだろうね?」
ナオキは、ひそかに追い詰められている事を感づかれているというアカギの言動に一瞬動じた。
「まだだ!確かに追い詰められてはいるけど、まだ倒したわけじゃない。」
「そうか。それならば、そうであってほしい。そうでなければ、張り合いがないからな。」
アカギの余裕を持った言動がナオキをさらに追い詰めた。
(このアカギという人物…。今まで戦った相手の中で一番強い…。油断しすぎてたわけじゃないけど…これはさすがに一筋縄じゃいかないわけだ…)
ナオキの表情には、ひそかに焦りが見えていた。
(レントラーも次の攻撃を受けたら危ない…。一撃も受けずにヤミカラスを倒さないと勝ち目はないな…。だとしたら…)
ナオキは、少し考え事をしていた。
「ナオキ、どうだ?」
レントラーは、ナオキに言った。
「………。」
ナオキは、まだ考え続けていた。
アカギは、その様子をただ見ていた。
今なら攻撃をするチャンスに等しい状況にもかかわらずそれをしないのは、余裕を見せているからなのだろうか。
…その時…
「………!」
ナオキの中に一筋の閃光がよぎった。
「レントラー…」
ナオキは、レントラーの耳に顔を近づけた。
しばらくして、レントラーはこくりと頷き、ヤミカラスの方を向いた。
「何やら作戦を練っていたみたいだな。おもしろい、その話していた作戦とやら、見せてもらおう。」
そう言うと、アカギはヤミカラスに言った。
「ヤミカラス、ダメおし!」
ヤミカラスは、レントラーに先程よりも強い勢いで襲い掛かった。
ダメおしは、受ける前にダメージを受けているポケモンを攻撃する際、ダメージが倍になる技。
この勢いは、タイプ一致と、その条件成立によるものなのだろう。
「レントラー、かわして!」
レントラーは、ヤミカラスの攻撃を寸前で回避した。
「隙だらけだ!ヤミカラス、だましうち!」
旋回したヤミカラスは、姿を消した。
「!」
「やばいですわ!またあの技を受けたら…。」
ロズレイドがそう言った瞬間…
「!」
ヤミカラスが再びレントラーの真後ろに現れた。
「とどめだ!」
ヤミカラスがレントラーに襲い掛かった。
その瞬間…
「今だレントラー!ほうでん!!」
「何っ!?」
アカギがそう言った瞬間…
バリィィィィィ!!
レントラーから全体に向かって高圧電流が発せられた。
発せられた電撃は、背後にいたヤミカラスを飲み込むように襲い掛かった。
「ぎゃああああ!!」
ヤミカラスは、電撃をまともに受け、その勢いで動きを止めてしまった。
「今だよ、レントラー、かみなりのキバ!!」
レントラーは、すかさずヤミカラスに飛び掛かった。
ヤミカラスは、空中で電撃をくらった事により麻痺していた。
レントラーは、キバから電気を発して大きく口を開き、ヤミカラスにがぶりと噛み付いた。
バリバリバリバリバリ!!
噛み付いた瞬間、痺れていたヤミカラスにさらなる高圧電流が走った。
激しい電流の音と共に叫び声をあげ、ヤミカラスは、そのまま錐揉みになり、地面に落ちていった。
レントラーは、ヤミカラスから離れ、地面に着地した。
ドシャ…
ヤミカラスは、地面にたたき付けられ戦闘不能になった。
その様子をアカギは、かなり冷静な表情で見ていた。
「ほぉ…なるほど…。ヤミカラスがだましうちで背後から襲ってくる事を計算に入れ、どこにいても当たるほうでんを撃ち、ヤミカラスを怯ませ、その隙にかみなりのキバで仕留めたというわけか…。」
ナオキがレントラーに話していた作戦をアカギはほぼ理解したようだ。
ただ見ただけでここまでわかる事からすると、意表をつかれたような程ではないようだ。
ヤミカラスが逆転負けしたにもかかわらず、冷静でいられるのはそのためなのだろうか…
ヤミカラスの戦闘不能が確定した瞬間、レントラーは少しふらついた。
「レントラー!」
「本当に危なかったよ…。今ので倒せなかったら、もうオレは負けていたよ…。」
レントラーは、もう立っているのがやっとだった。
「よくやったよ。ゆっくり休んでてね。」
ナオキは、レントラーを後ろに下げた。
「では、次の勝負といこうか。」
アカギは、次のポケモンを繰り出した。
モンスターボールが開かれ、二本足で立っている大きな鋭いかぎつめを持ったポケモンが現れた。
次のポケモンも見覚えのあるポケモンだった。
「かぎつめポケモン、ニューラか…。それなら…」
ナオキは、マグマラシのいる方を向いた。
「オレの出番みてえだな。」
マグマラシは、ナオキの言いたい事を真っ先に理解したように言った。
ナオキは、こくりと頷いた。
「よろしく頼むよ。」
マグマラシは、こくりと頷いた。
「ニューラ、きりさく!」
素早い動きでニューラがマグマラシに切り掛かった。
「マグマラシ、かわして火炎放射!」
マグマラシは、ニューラの攻撃をひらりとかわして、すかさず火炎放射をぶつけた。
「かわせ、ニューラ!」
ニューラは、さらに素早い動きで火炎放射をかわした。
「くっ…あいつは、オレよりも素早いのはジョウトにいた時から知ってたが、このニューラはそれ以上を覚悟しなきゃいけないみたいだな…。」
マグマラシは、体制を整えた。
「ニューラ、だましうち!」
ヤミカラスの時のようにニューラは、すっと姿を消した。
「また、その技か…。ナオキ!」
ナオキはこくりと頷き、マグマラシに言った。
「マグマラシ、ふんえん!!」
マグマラシは、背中と額の炎を燃え上がらせ、ほうでんのように体全体から爆発するように炎を発した。
その時…
「!」
マグマラシは、ふと背後から何かの気配を察知した。
その瞬間…
ドガッ!
「がっ!」
マグマラシは、背後から強い衝撃を受け、その勢いで飛ばされ、そのまま地面にたたき付けられた。
「マグマラシ!」
マグマラシは、体を引きずるように立ち上がった。
「ぐっ…バカな…?ふんえんもほうでんと同じ全体攻撃の技だってのになぜニューラがくらわなかったんだ…?」
マグマラシのその懐疑を察知したようにアカギが言った。
「ほうでんと違い、ふんえんは攻撃範囲が少し狭い。発する直前に遠くに離れ、僅かな隙間を安全地帯にすればわけない事だ。」
ニューラの素早さがあるからこそできる攻略法というわけだ。
(先程の作戦をもう学習してるとは…。やはり…このアカギという人物はただものじゃない…。どうやらこの戦い…そう安々と攻略できるなんて思わない方がよさそうだな…。)
ナオキは、サターン以来、いやそれ以上の焦りを見せていた。
それが本当の焦りだという事を額の汗が物語っていた。
しばらく進んだ後、ナオキ達は人影と少し距離を置いた位置で足を止めた。
立ち止まった事に反応するように、人影はすくっと立ち上がり、ナオキ達のいる方を向いた。
「………そうか。キミが報告にあったギンガ団に逆らっているポケモントレーナーか…。」
「ギンガ団に逆らっているのは、私に限った事じゃないけどね。」
ギンガ団と戦っているのは、自分達だけに限らず、コウキやその仲間達もいるという事をナオキは強調したいのだろう。
人影の主は、ゆっくりとナオキ達のいる所へと歩み寄っていった。
マグマラシ、レントラー、ロズレイドは万一を考え体制を整えた。
影によって姿は隠されていたが、近づくにつれて少しずつ姿が明らかになっていた。
「こんな若造とは思わなかった。ギンガ団の幹部達がてこずらせたと聞いていたのでね。」
そう言い終えた瞬間、人影の主は足を止めた。
それと同時に影に隠されていた姿が明らかになった。
「…!」
姿が明らかになった瞬間、ナオキの中でひそかに忘れていた記憶が蘇った。
ナオキの目の前にいる人物…それは、全てにおいて見覚えのある人物だった。
そして、それと同時に全てを悟った。
「…なるほどね。ここ最近どうもしっくりこない日が続いてたんだけど、今ので全部晴れたよ。」
チャキ!
ナオキは、腰の鞘に収めていたトライス・ソードを引き抜き、反転させて構えた。
「やはり貴様は、敵だったか。」
ナオキは、ポケモン達より少し遅れて体制を整えた。
青いつんつんとした髪型で、壮年期に入って間もないくらいの年をした男…
ナオキは、テンガン山、そしてカンナギタウンでの事を鮮明に思い出した。
ナオキの目の前に立ちはだかる人物…
それは、テンガン山で初めて会い、その後カンナギタウンでも会った謎の人物―――アカギだった。
ナオキ達は、気付かないうちにギンガ団の黒幕に二度も遭遇していたのだ。
「しかもボスだったとはね…。二度も会っててその度に怪しいと思ってたのに、それに気付かなかったなんて…。私もまだまだというわけだ。」
ナオキは、リッシ湖以来の迂闊さを痛感した。
それに合わせるようにアカギはナオキに言った。
「私もまさかキミがそのトレーナーだったとは今初めて知った。正直驚いたよ。」
どうやら身近にいたのに気付かなかったのは、お互い同じようだ。
「さて、ここに来た理由は、わかる。『エムリット』、『アグノム』、『ユクシー』の3匹のポケモンの事だろう?」
「わかっているなら、話は早い。そのレジェンド達はどこにいる!?」
「あのポケモン達はもう必要ない。キミが引き取ってくれるなら処分する手間が省ける。自由にしたまえ。」
アカギのこの一言にナオキは、ぴくりと反応した。
「!?処分だと!?…なら、なおさら急いで助けなきゃいけないね。」
そうナオキが言った後、アカギはナオキに言った。
「だが、その前に…ギンガ団に盾突くキミの力を見せてもらいたい。」
「…いいだろう。この世界は、ポケモンで渡り合うのが礼儀…。そうでもしなきゃここを通してはくれないだろうからね。」
アカギは、モンスターボールを取り出した。
「では、いくぞ。まずは、このポケモンからだ。」
アカギは、モンスターボールを投げた。
投げたモンスターボールが開かれ、放たれた光と共にモンスターが現れた。
繰り出したポケモンは、ぱっと見ですぐにカラスだとわかる黒い鳥ポケモンだった。
ナオキは、そのポケモンに見覚えがあった。
そのポケモンは、シンオウではなく、ジョウトで見た事があるポケモンだったからだ。
「…ヤミカラスか。それじゃあレントラー、よろしく頼むよ。」
「まかせて。」
レントラーが前に出た。
「いくぞ!ヤミカラス、ナイトヘッド!」
ヤミカラスからゴーストタイプの波動が発せられ、レントラーを襲った。
「ぐっ!」
ヤミカラスのレベルはかなり高いらしく、レントラーはかなりのダメージを負った。
「素早さは、ヤミカラスが上か…。レントラー、かみなりのキバ!」
レントラーは、体制を立て直し、キバに電気を帯びた状態でヤミカラスに飛び掛かった。
「ヤミカラス、だましうち!」
ヤミカラスは、ふっと姿を消した。
「!?」
レントラーは、地面に着地して辺りを見回した。
「ど…どこに隠れた!?」
レントラーがそう言った瞬間…
「レントラー、後ろ!」
「え…」
バキィ!!
どこからともなく現れたヤミカラスがレントラーを背後から打撃を与えた。
「がっ!」
不意をつかれたレントラーは、だましうちをくらった勢いで遠くへ飛ばされた。
「レントラー!」
ナオキは、レントラーのもとに駆け寄った。
「ぐっ…。」
レントラーは、何とか踏ん張るような様子で立ち上がった。
「大丈夫?まだ戦えるかい、レントラー?」
「ああ…。タネポケモンとはいえ、油断したよ。あのヤミカラスは、かなりの実力だ…。」
得意なタイプでここまで追い詰められているのがその根拠だ。
「…どうやら、この戦い…。今まで以上に油断できない戦いになりそうだね。」
ナオキとレントラーは、アカギの方を向いた。
「どうしたのかね?まさか、これで終わりというわけではないだろうね?」
ナオキは、ひそかに追い詰められている事を感づかれているというアカギの言動に一瞬動じた。
「まだだ!確かに追い詰められてはいるけど、まだ倒したわけじゃない。」
「そうか。それならば、そうであってほしい。そうでなければ、張り合いがないからな。」
アカギの余裕を持った言動がナオキをさらに追い詰めた。
(このアカギという人物…。今まで戦った相手の中で一番強い…。油断しすぎてたわけじゃないけど…これはさすがに一筋縄じゃいかないわけだ…)
ナオキの表情には、ひそかに焦りが見えていた。
(レントラーも次の攻撃を受けたら危ない…。一撃も受けずにヤミカラスを倒さないと勝ち目はないな…。だとしたら…)
ナオキは、少し考え事をしていた。
「ナオキ、どうだ?」
レントラーは、ナオキに言った。
「………。」
ナオキは、まだ考え続けていた。
アカギは、その様子をただ見ていた。
今なら攻撃をするチャンスに等しい状況にもかかわらずそれをしないのは、余裕を見せているからなのだろうか。
…その時…
「………!」
ナオキの中に一筋の閃光がよぎった。
「レントラー…」
ナオキは、レントラーの耳に顔を近づけた。
しばらくして、レントラーはこくりと頷き、ヤミカラスの方を向いた。
「何やら作戦を練っていたみたいだな。おもしろい、その話していた作戦とやら、見せてもらおう。」
そう言うと、アカギはヤミカラスに言った。
「ヤミカラス、ダメおし!」
ヤミカラスは、レントラーに先程よりも強い勢いで襲い掛かった。
ダメおしは、受ける前にダメージを受けているポケモンを攻撃する際、ダメージが倍になる技。
この勢いは、タイプ一致と、その条件成立によるものなのだろう。
「レントラー、かわして!」
レントラーは、ヤミカラスの攻撃を寸前で回避した。
「隙だらけだ!ヤミカラス、だましうち!」
旋回したヤミカラスは、姿を消した。
「!」
「やばいですわ!またあの技を受けたら…。」
ロズレイドがそう言った瞬間…
「!」
ヤミカラスが再びレントラーの真後ろに現れた。
「とどめだ!」
ヤミカラスがレントラーに襲い掛かった。
その瞬間…
「今だレントラー!ほうでん!!」
「何っ!?」
アカギがそう言った瞬間…
バリィィィィィ!!
レントラーから全体に向かって高圧電流が発せられた。
発せられた電撃は、背後にいたヤミカラスを飲み込むように襲い掛かった。
「ぎゃああああ!!」
ヤミカラスは、電撃をまともに受け、その勢いで動きを止めてしまった。
「今だよ、レントラー、かみなりのキバ!!」
レントラーは、すかさずヤミカラスに飛び掛かった。
ヤミカラスは、空中で電撃をくらった事により麻痺していた。
レントラーは、キバから電気を発して大きく口を開き、ヤミカラスにがぶりと噛み付いた。
バリバリバリバリバリ!!
噛み付いた瞬間、痺れていたヤミカラスにさらなる高圧電流が走った。
激しい電流の音と共に叫び声をあげ、ヤミカラスは、そのまま錐揉みになり、地面に落ちていった。
レントラーは、ヤミカラスから離れ、地面に着地した。
ドシャ…
ヤミカラスは、地面にたたき付けられ戦闘不能になった。
その様子をアカギは、かなり冷静な表情で見ていた。
「ほぉ…なるほど…。ヤミカラスがだましうちで背後から襲ってくる事を計算に入れ、どこにいても当たるほうでんを撃ち、ヤミカラスを怯ませ、その隙にかみなりのキバで仕留めたというわけか…。」
ナオキがレントラーに話していた作戦をアカギはほぼ理解したようだ。
ただ見ただけでここまでわかる事からすると、意表をつかれたような程ではないようだ。
ヤミカラスが逆転負けしたにもかかわらず、冷静でいられるのはそのためなのだろうか…
ヤミカラスの戦闘不能が確定した瞬間、レントラーは少しふらついた。
「レントラー!」
「本当に危なかったよ…。今ので倒せなかったら、もうオレは負けていたよ…。」
レントラーは、もう立っているのがやっとだった。
「よくやったよ。ゆっくり休んでてね。」
ナオキは、レントラーを後ろに下げた。
「では、次の勝負といこうか。」
アカギは、次のポケモンを繰り出した。
モンスターボールが開かれ、二本足で立っている大きな鋭いかぎつめを持ったポケモンが現れた。
次のポケモンも見覚えのあるポケモンだった。
「かぎつめポケモン、ニューラか…。それなら…」
ナオキは、マグマラシのいる方を向いた。
「オレの出番みてえだな。」
マグマラシは、ナオキの言いたい事を真っ先に理解したように言った。
ナオキは、こくりと頷いた。
「よろしく頼むよ。」
マグマラシは、こくりと頷いた。
「ニューラ、きりさく!」
素早い動きでニューラがマグマラシに切り掛かった。
「マグマラシ、かわして火炎放射!」
マグマラシは、ニューラの攻撃をひらりとかわして、すかさず火炎放射をぶつけた。
「かわせ、ニューラ!」
ニューラは、さらに素早い動きで火炎放射をかわした。
「くっ…あいつは、オレよりも素早いのはジョウトにいた時から知ってたが、このニューラはそれ以上を覚悟しなきゃいけないみたいだな…。」
マグマラシは、体制を整えた。
「ニューラ、だましうち!」
ヤミカラスの時のようにニューラは、すっと姿を消した。
「また、その技か…。ナオキ!」
ナオキはこくりと頷き、マグマラシに言った。
「マグマラシ、ふんえん!!」
マグマラシは、背中と額の炎を燃え上がらせ、ほうでんのように体全体から爆発するように炎を発した。
その時…
「!」
マグマラシは、ふと背後から何かの気配を察知した。
その瞬間…
ドガッ!
「がっ!」
マグマラシは、背後から強い衝撃を受け、その勢いで飛ばされ、そのまま地面にたたき付けられた。
「マグマラシ!」
マグマラシは、体を引きずるように立ち上がった。
「ぐっ…バカな…?ふんえんもほうでんと同じ全体攻撃の技だってのになぜニューラがくらわなかったんだ…?」
マグマラシのその懐疑を察知したようにアカギが言った。
「ほうでんと違い、ふんえんは攻撃範囲が少し狭い。発する直前に遠くに離れ、僅かな隙間を安全地帯にすればわけない事だ。」
ニューラの素早さがあるからこそできる攻略法というわけだ。
(先程の作戦をもう学習してるとは…。やはり…このアカギという人物はただものじゃない…。どうやらこの戦い…そう安々と攻略できるなんて思わない方がよさそうだな…。)
ナオキは、サターン以来、いやそれ以上の焦りを見せていた。
それが本当の焦りだという事を額の汗が物語っていた。