「頼み…?」
ナオキは今までのプレッシャーが少しなくなったような心境の中、アカギに言った。
「報告によれば、キミはポケモンだけでなくトレーナーも同じ場所に立って戦うという変わった戦い方をするトレーナーだと聞いている。それならば、是非とも今度の戦いは、キミに戦ってもらいたい。」
「!?」
アカギからの意外な要求に、ナオキは一瞬驚愕した。
今の状況からすれば、ポケモンだけの戦いだとアカギが優勢になるはずなのになぜわざわざ…?
それほどの余裕がアカギにはあるのだろうか。
それとも…
アカギは、さらに付け加えるように言った。
「報告によれば、キミはポケモンで例えるならば電気タイプに相当する技を使うそうだな。ならば、飛行タイプのゴルバット相手にはちょうどよいではないのかね?」
「!!」
ナオキは、自身が追い詰められてる事をアカギが見透かしている事を悟った。
「戦うならば、手応えのある戦いにしてもらわねば困る。キミが優勢な立場になればそれなりの手応えになるはずだが…さあ、どうするのかね?」
「………。」
ナオキは、そのまま戦えば確実に勝てる環境の中、わざわざタイプ的に不利な相手を向こうから要求してくるアカギの言動に今までにない気持ちを痛感していた。
極論に言うならば、完全にナメられてると言うべきだろうか…
その近くで、マグマラシ、レントラー、ロズレイドが心配そうな目でナオキを見ていた。
少し間を置いた後、ナオキは顔を上げた。
「…いいだろう。貴様の方から言うならその要求、飲んでやる!次は私自身が相手だ!」
「ほぉ。随分と物分かりがいいのだな。」
「私が追い詰められてるのが貴様に見えてる以上、それを覆せる機会を逃すわけにはいかないからね。さあ、始めようか!」
ナオキは腰の鞘からトライス・ソードを引き抜き、構えた。
「その剣を使って戦うわけか。これは面白い勝負になりそうだ。」
アカギは、相変わらず涼しい顔をしている。
「いくぞ!!」
ナオキは、ゴルバットに向かっていった。
(ナオキ…)
マグマラシは、ナオキを心配そうな目で見続けていた。
「ゴルバット、かみつく!」
ゴルバットが鋭い歯を光らせナオキに向かっていった。
「真正面から来るなら格好の餌食だ!トライス・ライトニング!!」
ナオキは、トライス・ソードを片方前に出して雷を放った。
「よけろゴルバット!」
ゴルバットは飛んでくる雷をひらりとかわした。
「くっ…ゴルバットはニューラには及ばねえが、それなりに素早さはある…真正面から攻撃されてもかわせるなんて、あのゴルバットはなかなかの素早さを持ってるみてえだな…」
「ゴルバット、どくどくのキバ!!」
ゴルバットは再び鋭い歯を光らせナオキに向かっていった。
今度の光り方は、歯そのものが毒の塊ようにまがまがしい光り方だった。
ナオキはおもむろにトライス・ソードを構えゴルバットの攻撃を防いだ。
ゴルバットの歯が触れたトライス・ソードの刃渡りに毒々しい煙が立ち上った。
(どくどくのキバというだけに、この技をまともに受けたらポケモンならまだしも私は色んな意味で危険だな…)
毒状態には普通の毒状態を越えた『猛毒状態』というのがある。
毒状態と違い、猛毒状態はターン毎にダメージが増加していく。
ポケモンの場合は、それで済む方なのだが、人間であるナオキは場合によってはそれでは済まされない事に成り兼ねない。
サターンの時は、ガーディアンの力によるそれなりの耐性でどうにかなったものの、だからといって過信するわけにはいかない。
ナオキは、噛み付いたゴルバットをトライス・ソードで薙ぎ払いその場から離した。
「ほぉ…とても人間とは思えない身のこなしだ。団員の中には、コスプレをしたトレーナーと呼ぶ奴もいたが、少なくともそれはただのコスプレではないというのは確かなようだな。」
「当たり前だ。そうでなかったら、わざわざこんな姿をしてこんな所に入ってこないからね。」
「ふ…これはおもしろい戦いになりそうだ。」
アカギは冷静な表情に好奇心を込めるような様子で言った。
「いくぞ!」
ナオキは、トライス・ソードを構えゴルバットに向かっていった。
「ゴルバット、かみつく!!」
「同じ手はくわないよ!」
ナオキは真っ先にゴルバットに向かっていった。
「くらえ、トライス・スラッシュ!!」
ナオキは閃光のような素早さでトライス・ソードを振りかざした。
シュバッ!!
「!」
ゴルバットはナオキの斬撃を再びひらりとかわした。
「ゴルバット、つばさでうつ!」
バキィ!
「がっ!」
ゴルバットの攻撃を直に受けたナオキは、地面にたたき付けられた。
「ナオキ!」
「ぐっ…!」
ナオキは、多少怯みながらもどうにかすぐに立ち上がった。
「飛行タイプの技は、電気タイプには今一つだが、キミの場合はそうもいかないようだな。」
タイプは相手が苦手側でも、こうゆう形で受けるとそれなりにダメージはあるようだ。
「電気タイプゆえの耐性はあるけど、技によってはそれが意味をなさないに等しい受け方になるわけか…」
ナオキは、体制を立て直すと再びトライス・ソードを構えた。
「今度は私の番だ!」
ナオキは、閃光のような速さでゴルバットに飛び掛かった。
ゴルバットもそれに合わせるようにナオキに向かっていった。
「ゴルバット、つばさでうつ!」
「ライトニング・スラッシュ!!」
トライス・ソードとゴルバットの翼のぶつかり合いが続いた。
電流を帯びているトライス・ソードに触れているゴルバットは少しずつ電流によるダメージを受けていた。
「防戦一方と思っていたが、それなりに攻めてはいたようだな。ならば…」
攻撃を防いだ反動でナオキが怯んだところを狙い、ゴルバットはナオキの背後に回った。
「ゴルバット、あやしいひかり!」
ゴルバットは、ナオキに向かって光の塊を放った。
シュバッ!!
「ぐっ…!」
ナオキに当たった瞬間、激しい光が広がった。
「ああ!大変ですわ!あれではナオキさんが思うように行動できなくなりますわ!」
ロズレイドはかなり慌てていた。
「まずい…ただでさえ攻撃を当てられないのに、それにあやしいひかりをされたら…」
「これでキミは思ったように行動ができなくなるはずだ。さあ、どうする?」
アカギは、ナオキに言った。
ロズレイドとレントラーは、心配そうな様子でナオキを見ていた。
その時…
「…その程度の光で…」
「?」
「私の閃光を止める事はできないよ!」
ナオキは閃光のような速さでゴルバットに向かった。
「トライス・スラッシュ!!」
ナオキは、ゴルバットにトライス・ソードを振りかざした。
バシュ!!
「ぐあっ!」
トライス・ソードの斬撃をくらい、ゴルバットの全身が電流に包まれた。
すかさずナオキは、それにラッシュをかけるようにゴルバットにトライス・ソードをぶつけた。
「くっ…ゴルバット、つばさでうつ!」
カキィィィン!
トライス・ソードとゴルバットの翼がぶつかった反動でゴルバットはナオキから離れた。
「バ…バカな…あやしいひかりを確かに食らったはず…なのに、なぜ正確に攻撃が当てられる?」
ナオキの様子からして明らかに状態異常が起きているとは思えない。
「私達には特殊な力があってね。あやしいひかりみたいに、『心』に影響を与える技や効果は一切通用しないのさ。」
「!」
これは、ガーディアン・ケーストの加護によるものである。
ケーストの力は、魔法耐性なのだが、それは自身にも及ぶため、多少効力を下げてこのような形になったのだという。
ケーストいわく、『どんな事があっても心を汚されてはならない』という理由が込められてるのだという。
「な…なんだと…?」
「すごい…そんな力があったなんて…」
「という事は、混乱させられないだけでなく眠り状態にもさせられないという事?」
「そうだよ。君達にもあるからこれからの戦いに活用してね!」
ガーディアンの加護は、仲間になったポケモン全てに及ぶ。
そのため、この力はナオキとマグマラシだけでなく、その後仲間になったポケモン全員に与えられている。
ナオキが谷間の発電所でマーズに言っていたセリフはその中のこの力を意味していたのだ。
「…その不思議な力はどうあれ、まだ勝負はついていない。戦いを続けよう。」
アカギは、先程とは違うような様子でナオキに言った。
今までナオキ自身が戦う事やその不思議な力にかなり興味津々な態度を示していたというのに、今の加護についてはまるで冷めたような反応を示していた。
技が効かない程度の力は、ポケモンの特性にもあるからなのだろうか…
ナオキは、トライス・ソードを構えた。
「ゴルバット、かみつく!」
ゴルバットがナオキに襲い掛かる。
ナオキは、それをかわした。
ゴルバットはすぐに向きを変えた。
「ライトニング・スラッシュ!!」
ナオキはゴルバットに飛び掛かり、雷の電流を帯びたトライス・ソードを振りかざした。
ゴルバットはそれをひらりとかわした。
「かみつく!」
再びゴルバットがナオキに襲い掛かる。
カキィィィン!
ナオキは、トライス・ソードでそれを防いだ。
ナオキは、そのままトライス・ソードを振りかざしてゴルバットを薙ぎ払った。
ゴルバットは、それを受け流すようにどうにかかわした。
「互いに防戦一方だな…だったらこれで決める!!」
ナオキは、トライス・ソードを構えた。
その瞬間、トライス・ソードが光に包まれ、姿を変えた。
「いくぞ!」
ナオキは、ゴルバットに飛び掛かった。
ゴルバットもその後に続くように、ナオキに向かっていった。
「くらえ!シャイン・スラッシュ!!」
ナオキは、雷を帯びたトライス・ソードをゴルバットに振り下ろした。
「ゴルバット、つばさでうつ!」
バシィ!!
「!!」
ゴルバットは振り下ろされたトライス・ソードをつばさではたき飛ばした。
「振り下ろす形の攻撃は横からの攻撃に弱い。剣を下に振り下ろしたのが失敗だったな。」
アカギは勝負あったなという様子でナオキに言った。
「それは、どうかな?」
「何っ!?」
アカギがそう言った瞬間…
バシュ!!
「ぐぁっ!」
ゴルバットに閃光のような斬撃が襲い掛かった。
ナオキは、もう片方のトライス・ソードを使ってゴルバットを攻撃したのだ。
「見ての通り、トライス・ソードは二本あるんだよ。攻撃を破った事に気を向けすぎてその事を見逃したみたいだね。」
「!」
アカギは、今頃になってナオキの武器がもう片方ある事に気付いた。
あれほどずっと見ていたはずなのにアカギはその事を一瞬忘れていたのだ。
他人を追い詰めた気になると、目の前にある大事な事さえも見逃す時がある。
そういう理由でアカギは、トライス・ソードの事を忘れていたのだろう。
ナオキの斬撃をまともに受けたゴルバットは、まだ倒れてはいないもの、怯んでいた。
そこへ…
「まだだ!」
ナオキは、もう片方のトライス・ソードが握られていた手を開いた。
「来い、トライス・ソード!」
そう言うと、ゴルバットにはたき飛ばされたトライス・ソードがナオキの手に向かって飛んでいった。
これは、ガーディアン・エルマの加護である。
エルマは、武器を舞い戻らせる力があり、それを手から離れたものを戻す力として与えている。
ナオキは、エルマの加護で戻ってきたトライス・ソードを掴んだ。
「とどめだ!ライトニング・クロス!!」
ナオキはシザークロスのようにゴルバットに向かってトライス・ソードを振りかざした。
「ぎゃああああああ!!」
ゴルバットは、全身が電流に包まれた。
ナオキが着地すると同時にゴルバットは地面にたたき付けられ戦闘不能になった。
アカギはたいした反応もせずゴルバットをボールに戻した。
「おもしろい…そして興味深い。」
ポケモンが全滅したにもかかわらずアカギは表情一つ変えなかった。
ナオキは今までのプレッシャーが少しなくなったような心境の中、アカギに言った。
「報告によれば、キミはポケモンだけでなくトレーナーも同じ場所に立って戦うという変わった戦い方をするトレーナーだと聞いている。それならば、是非とも今度の戦いは、キミに戦ってもらいたい。」
「!?」
アカギからの意外な要求に、ナオキは一瞬驚愕した。
今の状況からすれば、ポケモンだけの戦いだとアカギが優勢になるはずなのになぜわざわざ…?
それほどの余裕がアカギにはあるのだろうか。
それとも…
アカギは、さらに付け加えるように言った。
「報告によれば、キミはポケモンで例えるならば電気タイプに相当する技を使うそうだな。ならば、飛行タイプのゴルバット相手にはちょうどよいではないのかね?」
「!!」
ナオキは、自身が追い詰められてる事をアカギが見透かしている事を悟った。
「戦うならば、手応えのある戦いにしてもらわねば困る。キミが優勢な立場になればそれなりの手応えになるはずだが…さあ、どうするのかね?」
「………。」
ナオキは、そのまま戦えば確実に勝てる環境の中、わざわざタイプ的に不利な相手を向こうから要求してくるアカギの言動に今までにない気持ちを痛感していた。
極論に言うならば、完全にナメられてると言うべきだろうか…
その近くで、マグマラシ、レントラー、ロズレイドが心配そうな目でナオキを見ていた。
少し間を置いた後、ナオキは顔を上げた。
「…いいだろう。貴様の方から言うならその要求、飲んでやる!次は私自身が相手だ!」
「ほぉ。随分と物分かりがいいのだな。」
「私が追い詰められてるのが貴様に見えてる以上、それを覆せる機会を逃すわけにはいかないからね。さあ、始めようか!」
ナオキは腰の鞘からトライス・ソードを引き抜き、構えた。
「その剣を使って戦うわけか。これは面白い勝負になりそうだ。」
アカギは、相変わらず涼しい顔をしている。
「いくぞ!!」
ナオキは、ゴルバットに向かっていった。
(ナオキ…)
マグマラシは、ナオキを心配そうな目で見続けていた。
「ゴルバット、かみつく!」
ゴルバットが鋭い歯を光らせナオキに向かっていった。
「真正面から来るなら格好の餌食だ!トライス・ライトニング!!」
ナオキは、トライス・ソードを片方前に出して雷を放った。
「よけろゴルバット!」
ゴルバットは飛んでくる雷をひらりとかわした。
「くっ…ゴルバットはニューラには及ばねえが、それなりに素早さはある…真正面から攻撃されてもかわせるなんて、あのゴルバットはなかなかの素早さを持ってるみてえだな…」
「ゴルバット、どくどくのキバ!!」
ゴルバットは再び鋭い歯を光らせナオキに向かっていった。
今度の光り方は、歯そのものが毒の塊ようにまがまがしい光り方だった。
ナオキはおもむろにトライス・ソードを構えゴルバットの攻撃を防いだ。
ゴルバットの歯が触れたトライス・ソードの刃渡りに毒々しい煙が立ち上った。
(どくどくのキバというだけに、この技をまともに受けたらポケモンならまだしも私は色んな意味で危険だな…)
毒状態には普通の毒状態を越えた『猛毒状態』というのがある。
毒状態と違い、猛毒状態はターン毎にダメージが増加していく。
ポケモンの場合は、それで済む方なのだが、人間であるナオキは場合によってはそれでは済まされない事に成り兼ねない。
サターンの時は、ガーディアンの力によるそれなりの耐性でどうにかなったものの、だからといって過信するわけにはいかない。
ナオキは、噛み付いたゴルバットをトライス・ソードで薙ぎ払いその場から離した。
「ほぉ…とても人間とは思えない身のこなしだ。団員の中には、コスプレをしたトレーナーと呼ぶ奴もいたが、少なくともそれはただのコスプレではないというのは確かなようだな。」
「当たり前だ。そうでなかったら、わざわざこんな姿をしてこんな所に入ってこないからね。」
「ふ…これはおもしろい戦いになりそうだ。」
アカギは冷静な表情に好奇心を込めるような様子で言った。
「いくぞ!」
ナオキは、トライス・ソードを構えゴルバットに向かっていった。
「ゴルバット、かみつく!!」
「同じ手はくわないよ!」
ナオキは真っ先にゴルバットに向かっていった。
「くらえ、トライス・スラッシュ!!」
ナオキは閃光のような素早さでトライス・ソードを振りかざした。
シュバッ!!
「!」
ゴルバットはナオキの斬撃を再びひらりとかわした。
「ゴルバット、つばさでうつ!」
バキィ!
「がっ!」
ゴルバットの攻撃を直に受けたナオキは、地面にたたき付けられた。
「ナオキ!」
「ぐっ…!」
ナオキは、多少怯みながらもどうにかすぐに立ち上がった。
「飛行タイプの技は、電気タイプには今一つだが、キミの場合はそうもいかないようだな。」
タイプは相手が苦手側でも、こうゆう形で受けるとそれなりにダメージはあるようだ。
「電気タイプゆえの耐性はあるけど、技によってはそれが意味をなさないに等しい受け方になるわけか…」
ナオキは、体制を立て直すと再びトライス・ソードを構えた。
「今度は私の番だ!」
ナオキは、閃光のような速さでゴルバットに飛び掛かった。
ゴルバットもそれに合わせるようにナオキに向かっていった。
「ゴルバット、つばさでうつ!」
「ライトニング・スラッシュ!!」
トライス・ソードとゴルバットの翼のぶつかり合いが続いた。
電流を帯びているトライス・ソードに触れているゴルバットは少しずつ電流によるダメージを受けていた。
「防戦一方と思っていたが、それなりに攻めてはいたようだな。ならば…」
攻撃を防いだ反動でナオキが怯んだところを狙い、ゴルバットはナオキの背後に回った。
「ゴルバット、あやしいひかり!」
ゴルバットは、ナオキに向かって光の塊を放った。
シュバッ!!
「ぐっ…!」
ナオキに当たった瞬間、激しい光が広がった。
「ああ!大変ですわ!あれではナオキさんが思うように行動できなくなりますわ!」
ロズレイドはかなり慌てていた。
「まずい…ただでさえ攻撃を当てられないのに、それにあやしいひかりをされたら…」
「これでキミは思ったように行動ができなくなるはずだ。さあ、どうする?」
アカギは、ナオキに言った。
ロズレイドとレントラーは、心配そうな様子でナオキを見ていた。
その時…
「…その程度の光で…」
「?」
「私の閃光を止める事はできないよ!」
ナオキは閃光のような速さでゴルバットに向かった。
「トライス・スラッシュ!!」
ナオキは、ゴルバットにトライス・ソードを振りかざした。
バシュ!!
「ぐあっ!」
トライス・ソードの斬撃をくらい、ゴルバットの全身が電流に包まれた。
すかさずナオキは、それにラッシュをかけるようにゴルバットにトライス・ソードをぶつけた。
「くっ…ゴルバット、つばさでうつ!」
カキィィィン!
トライス・ソードとゴルバットの翼がぶつかった反動でゴルバットはナオキから離れた。
「バ…バカな…あやしいひかりを確かに食らったはず…なのに、なぜ正確に攻撃が当てられる?」
ナオキの様子からして明らかに状態異常が起きているとは思えない。
「私達には特殊な力があってね。あやしいひかりみたいに、『心』に影響を与える技や効果は一切通用しないのさ。」
「!」
これは、ガーディアン・ケーストの加護によるものである。
ケーストの力は、魔法耐性なのだが、それは自身にも及ぶため、多少効力を下げてこのような形になったのだという。
ケーストいわく、『どんな事があっても心を汚されてはならない』という理由が込められてるのだという。
「な…なんだと…?」
「すごい…そんな力があったなんて…」
「という事は、混乱させられないだけでなく眠り状態にもさせられないという事?」
「そうだよ。君達にもあるからこれからの戦いに活用してね!」
ガーディアンの加護は、仲間になったポケモン全てに及ぶ。
そのため、この力はナオキとマグマラシだけでなく、その後仲間になったポケモン全員に与えられている。
ナオキが谷間の発電所でマーズに言っていたセリフはその中のこの力を意味していたのだ。
「…その不思議な力はどうあれ、まだ勝負はついていない。戦いを続けよう。」
アカギは、先程とは違うような様子でナオキに言った。
今までナオキ自身が戦う事やその不思議な力にかなり興味津々な態度を示していたというのに、今の加護についてはまるで冷めたような反応を示していた。
技が効かない程度の力は、ポケモンの特性にもあるからなのだろうか…
ナオキは、トライス・ソードを構えた。
「ゴルバット、かみつく!」
ゴルバットがナオキに襲い掛かる。
ナオキは、それをかわした。
ゴルバットはすぐに向きを変えた。
「ライトニング・スラッシュ!!」
ナオキはゴルバットに飛び掛かり、雷の電流を帯びたトライス・ソードを振りかざした。
ゴルバットはそれをひらりとかわした。
「かみつく!」
再びゴルバットがナオキに襲い掛かる。
カキィィィン!
ナオキは、トライス・ソードでそれを防いだ。
ナオキは、そのままトライス・ソードを振りかざしてゴルバットを薙ぎ払った。
ゴルバットは、それを受け流すようにどうにかかわした。
「互いに防戦一方だな…だったらこれで決める!!」
ナオキは、トライス・ソードを構えた。
その瞬間、トライス・ソードが光に包まれ、姿を変えた。
「いくぞ!」
ナオキは、ゴルバットに飛び掛かった。
ゴルバットもその後に続くように、ナオキに向かっていった。
「くらえ!シャイン・スラッシュ!!」
ナオキは、雷を帯びたトライス・ソードをゴルバットに振り下ろした。
「ゴルバット、つばさでうつ!」
バシィ!!
「!!」
ゴルバットは振り下ろされたトライス・ソードをつばさではたき飛ばした。
「振り下ろす形の攻撃は横からの攻撃に弱い。剣を下に振り下ろしたのが失敗だったな。」
アカギは勝負あったなという様子でナオキに言った。
「それは、どうかな?」
「何っ!?」
アカギがそう言った瞬間…
バシュ!!
「ぐぁっ!」
ゴルバットに閃光のような斬撃が襲い掛かった。
ナオキは、もう片方のトライス・ソードを使ってゴルバットを攻撃したのだ。
「見ての通り、トライス・ソードは二本あるんだよ。攻撃を破った事に気を向けすぎてその事を見逃したみたいだね。」
「!」
アカギは、今頃になってナオキの武器がもう片方ある事に気付いた。
あれほどずっと見ていたはずなのにアカギはその事を一瞬忘れていたのだ。
他人を追い詰めた気になると、目の前にある大事な事さえも見逃す時がある。
そういう理由でアカギは、トライス・ソードの事を忘れていたのだろう。
ナオキの斬撃をまともに受けたゴルバットは、まだ倒れてはいないもの、怯んでいた。
そこへ…
「まだだ!」
ナオキは、もう片方のトライス・ソードが握られていた手を開いた。
「来い、トライス・ソード!」
そう言うと、ゴルバットにはたき飛ばされたトライス・ソードがナオキの手に向かって飛んでいった。
これは、ガーディアン・エルマの加護である。
エルマは、武器を舞い戻らせる力があり、それを手から離れたものを戻す力として与えている。
ナオキは、エルマの加護で戻ってきたトライス・ソードを掴んだ。
「とどめだ!ライトニング・クロス!!」
ナオキはシザークロスのようにゴルバットに向かってトライス・ソードを振りかざした。
「ぎゃああああああ!!」
ゴルバットは、全身が電流に包まれた。
ナオキが着地すると同時にゴルバットは地面にたたき付けられ戦闘不能になった。
アカギはたいした反応もせずゴルバットをボールに戻した。
「おもしろい…そして興味深い。」
ポケモンが全滅したにもかかわらずアカギは表情一つ変えなかった。