コン年度は戌年。

きつねさんの年でもあるわけだが、それに近い、オオカミと同じオリジン立場にいるわんこの存在も忘れてはならない。

そういうわけで、前回に続き、再び故郷の飼い犬『バニラ』の記事を投稿する。

 

蛇足だが、これはひそかに初めてPCから本格的に投稿した画像記事である。

あらためて実感する。

こういうブログ記事投稿は、普通にここからがいいのだと…

再びPCからのインターネットが出来るようになった事に、ただただ感謝である。

私も意地を張ってないで(そういった事がそれが出来ないまま追い詰める原因に通じてるのだから…)、もっといい形のやり方で進展していかないとね…

 

というわけで、あらためて…

 

 

 

 

 

 

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前回は口を閉じてるシーンがほとんどだったが、コン回はようやく口を開けたフォトを撮影出来た。

わんこやイヌ科の動物の魅力は、やはり口を開けてるシーンにあるのだ。

 

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どアップのシーンでも舌を出す形で撮影。

口を開けてるのもそうだが、舌ペロのシーンもわんこの魅力である事も忘れてはならない。

 

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口を開けている顔は、やはりわんこにも顔による表情があるという事を実感させてくれる。

わんこは、顔じゃなく、しっぽの動きで気持ちを表すそうだが、それよりは抽象的でも、やはり顔からも気持ちや表情が伝わってくると言えよう。

 

 

 

 

穏やかな表情が基本のバニラであるが、基本は『主にそうである』事であり、『全て』ではない。

 

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バニラも、メスとはいえ、時にはこんな顔になる時もある。

ちなみに、これはあくまで『じゃれている』時の様子である。(シュマリ…じゃなくて、つまり『遊んでいる』)

※『シュマリ』とは、アイヌ語で『きつねさん』という意味

 

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活発な性格で知られるビーグルだが、相手がいないとこのようにぐてーんとした状態になる事もある。

活発と言えど、過剰に動いているというわけでもない元々猟犬という事もあり、いざとなったら活動できるように過剰に動きすぎないようにしているのだろう。

 

 

 

 

 

何度も言う事になるが、バニラは『メス』である。

その活発さは、とてもそうには見えない雰囲気であるが、時にはメスらしい振舞いを見せる事もある。

 

 

 

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バニラはこのように、セクスイなポーズをして誘ってくる時がある。

わんこが自らお腹を見せるのは、信頼の証である。

メスであるバニラがこういったセクスイな仕草でそれを示すのは、色んな意味で私を信頼してくれている証なのだろう。

 

 

 

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メスのわんこゆえの独特の座り方をしているのも、バニラの特徴の一つである。

一見ちょこんと座っているようにも思えるが、バニラは座る際、片方の足を横に倒すような形で座る。

これもまた、メスゆえのセクスイさを意識してるのだろうか…

 

 

 

 

 

かの有名な『スヌーピー』は、ビーグル犬だという。

顔の形といい、何より体の色といい、実際のビーグルと比べると、それを教えてくれない限りとてもそうとは思えない事実である。

活発でいたずら好きな性格は確かにビーグルらしいっちゃあらしいかもしれない。

 

 

もし、その事実を知っていたらビーグルを貰う時に真っ先に『スヌーピー』と名付けていたであろうか…

 

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…まさかね。

いずれにせよ、我が家はそういうありきたりやそのまま過ぎる名前はつけないという風習がある。

ましてやバニラは『メス』だからね…

それでも、スヌーピーに近いキャラクターであるのは事実だけど。

 

 

 

 

わんこのフォトは、やはり『THE DOG』みたく、どアップの顔を撮影するのが王道である。

 

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鼻先とまではいかなくも、こうしてそれに近い距離で撮影する事もできる。

 

 

しかし、なかなかゼロ距離撮影をさせてくれないのが、活発な性格をしたビーグルのサガなのである。

カメラを近づけると、少し近くまできたら顔をそらしてしまうので、どアップ撮影は意外に困難な事だった。

なので、バニラがそらさず、出来る限り近い距離で撮影してそれを補っている。

それでも、バニラの魅力を伝えるフォトを撮影出来ているのも事実である。

 

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また、ひそかに感づいているかもしれないが、バニラはカメラ目線にならないといった撮影する際の苦労もある。

顔を映すならば、カメラ目線は基本である。

確かに、カメラ目線ではないアングルでもそれなりの魅力はあるが、やはりこっちを向く形での撮影が一番いいものである。

 

 

もちろん、撮影する側として、そういった瞬間は極力見逃さない。(撮り逃す事は多いけど)←

 

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バニラの視線がこっちを向いたところを狙ってすかさず撮影。

見事、正面の舌ペロを撮影した。

これが、わんこの魅力を凝縮した珠玉の一枚である。

 

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そして再びバニラは横向きに。

カメラを向けてない時は、飛びかかってまで私の方を向くなら、それを撮影の時にも活かしてほしいんですけど…

『メス』だから、撮影に対してシャイなのかしら。

 

 

撮影の瞬間を逃さないようにするのは正面だけじゃない。

 

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待望のどアップシーン。

前回みたく、真正面からの『THE DOG』にはいかなかったが、見事舌ペロを含めたどアップシーンの撮影に成功した。

そうそう、わんこの魅力はこうでなくちゃね。

大きな鼻とマズル、そして何より舌ペロ…

この一枚はまさしく、バニラの魅力を凝縮したさらなるベストショットである。

 

 

 

 

 

 

他にも…

 

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多少映りが普通じゃないが、それもそのはず。

これは遠距離からズームして撮影したものだからである。

バニラは時に、こういった変わった寝方をする事がある。

こういう寝方は、ひそかに初めて見たものだった。

そして、この時にバニラ撮影に対する傾向が活かされる事となった。

 

 

バニラは、ああいう状態でいても、誰かが近づいてきたら『散歩に行くのかな』や、『遊んでくれるのかな』と真っ先に思い、体勢をすぐに元に戻してしまう。

そのため、こういった状態を撮影するためには遠くから撮影しなくてはならない。

そこでコン回、バニラが反応しない距離からズームを利用して撮影する事にした。

それで撮影したのがさっきのフォトである。

バニラのこういう寝姿もなかなな撮影出来ないものなので、これもいいショットである。

 

 

 

 

 

そしてコン回は、まさしく『瞬間を撮影した』という形で撮影に成功したフォトがあった。

 

それがこれである。

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バニラが大口を開けるシーン。

咄嗟に撮影したのもあり、どういう過程でバニラがこういう仕草をしたのかは覚えていない。

とはいえ、まさしく機会が訪れる事自体にまで及ぶほどそう簡単には撮影出来ない瞬間を見事撮影できた。

わんこのこういうシーンは、紛れもなく撮影の実感が持てる瞬間である。

私としては、このシーンをバニラ版の『こやーん』と名付けるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近頃のバニラは、ここに来た当時と比べてだいぶ関わりやすくなり、その規模は撮影だけでなく、スキンシップが出来るにまで発展した。

当時のバニラは、撮影どころか触れる事もままならないほど活すぎるわんこだった。

それが今では、この撮影が象徴してるのを基本に、バニラも理想を遥かに超えるわんことなった。

これを機に、また色んな姿を見せてほしいな。

ね、バニラ。

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私にとって今までとは違う環境と境遇を得て、私の世界が広がる始まりとなった場所、市川。

学校に通うために住み、卒業した後も住み続け、いつの間にか9年の月日が流れていた。

 

 

そしてこの年、私はついに一つの区切りを迎えた。

 

 

 

 

 

 

私が下宿していた場所は、すっかりまっさらな状態になっていた。

先月のうちに置いてあったものは、全て実家に運んだからだった。

こうなる日が、ついに訪れたのだ…

 

 

 

 

 

今日私は、9年間住み続けた市川を発った。

市川に来て9年。

こうなる日を先月まで考えた事があっただろうか…

ひそかに、それが私をわざわざ追い詰めていた事などつゆ知らず…

 

 

 

 

 

昨年は、ひそかに今まで以上に色々大変な1年だった。

その規模は、今こうしてひとまずどうにかなっているのが奇跡としか言いようがないほど、私は多くの危機に瀕していたのだった。

 

 

しかし、同時に私は、それを通して今まで考えもしなかった事に色々気づく事になった。

今となっては、確かに大変な思いもしたが、それさえもひそかな意味を持っていたように私には思えた。

それはまるで、市川が『本当の生き方をするためにも、ここから離れろ』と私に間接的に伝え、それを促しているようだった。

 

 

 

そして先月、ついに私は全てを決める事となった。

普通の暮らしさえままならない以上、この先はどうなるかは定かではないけど、本当のこれからを築くために、市川を離れようと…

最初はあくまでしがみつくのをえらんでいたようにそれを拒絶していたが、今の状況からするともうここでも暮らしそのものが限界である以上、そうするほかないと悟ったのを機に、私の考えは変わっていった。

今を含む、これまでの事を踏まえると、市川で過ごしてきて最低限の進展があったと言える事はほとんどなかった。

そして、最近は市川にいる事に居心地に良さを覚えなくなっていた。

それはまるで、『もう市川に戻りたくない』と心が言っているかのように…

市川をしばらく離れて故郷で久々に暮らしている時、私は普通の暮らしが出来ている事とは別に、今までにない安心感を覚えた。

今の状況では、故郷もいづらいはずだったのだが、少なくとも市川にいるよりは安心した。

 

 

…つまりは、そういう事なのだろうか…

 

 

こうして、私はついに一大決心をするに至り、先月中旬、それに通じる事を実行したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は少しの間、市川を歩いていた。

 

 

少なくとも、私は市川には感謝している。

私の世界の広がりは、他でもない市川から始まったのだから。

市川にいたからこそ、私は今まで以上に世界を広げる事が出来た。

行った事のない場所い行けたり、ずっと疎遠だった場所が身近になり、行く事が出来るという意識を今まで以上に持つ事が出来た。

何より、市川にいたからこそ、私は『本当の生き方』に気づく事が出来たのだから…

 

 

 

 

 

2018年4月14日。

私はついに、9年過ごした市川を発った。

それは同時に、もう本当の意味で戻る事はないと言っていいような形での離脱だった。

 

 

 

 

 

 

私が市川で過ごした日々は、ここでは形にはできなかったけど、それは今市川を離れたこの瞬間から新たな気持ちのもとで私における『本当のこれから』を築く事へと通じていくであろう。

水道橋の大学に通う誼で9年前に住み始めた市川。

そこから、私に色んな新たな世界を幅広く体験する機会を今まで以上に与えてくれた市川。

私に『本当の生き方』への気づきを与えてくれた市川。

私を本当の次の舞台へ送るために、あえて私を突き放させてくれた市川。

 

 

 

 

 

 

今の私のこれからは、全て市川にいたからこそ築けた事…

しかし、それによるこれからを築く舞台は少なくともここではない。

ここは、あくまで大学に通うために住んでいた場所。

『本当の生き方』に気づけた場所は、ここであれど築いていく事となれば話は別…

ここに住んでいたそもそもの目的は、6年前に既に終わっている。

そして、それからは私が『本当の生き方』に気づき、それを築くためのここではない新たな舞台へ進む事に気づき、それを心から決心するのをずっと待っていたのだ。

全ては、『本当のこれから』を本当の舞台で築くために…

そして今私はようやくそこへ向かうための一歩を踏み出そうとしている。

きっとこれはようやく始められた形での『本当のスタート』。

全てはここから始まるのだ…

 

 

そうだよね、市川…

 

 

 

 

 

 

 

 

錦糸町に向かうためにいつも乗っていた総武快速線に乗り、私は市川を後にした。

当たり前のように身近な存在であった市川も、今となっては全てが懐かしいように思えた。

故郷以外で長い年月を過ごしたのは、市川だった。

市川に住んだ事で、今まで気づかなった様々な世界に広く気づく事ができた。

全ては市川にいたからこそ出来た事…

けれど、もう私は振り向かない。

市川もそう言っている。

『もう無理して踏み込まないでいい。本当に目指す舞台へ進んで』と…

 

 

 

 

 

 

 

市川。

今でも私は思うよ。

ここにいたからこそ色んな事に世界を広げる事ができた。

そして、それは私に新たな舞台とこれからに気づかせ、そこへ進む道を築いてくれた。

全ては、市川という場所があったからこそ気づけた事…

だからこそ、私は市川で築いた事を今この瞬間からも形にしていけるようにしていくよ。

市川、9年間ありがとう。

 

 

 

 

 

 

いつも通っていた改札。

その改札を通るのもこれで見納めだね…

全ては、次の舞台に進むため。

ここから通じる場所は、きっと次の舞台。

私はもう振り返らない。

市川が築き上げた事を糧に、私は本当の意味で前に進んでいく。

 

 

総武線快速に乗り、私は9年間過ごした市川を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の舞台へ…

「ディアルガ?」

ナオキがそう言った時、ディアルガがナオキの方を向いた。

「ナオキ、もしくはトライスと言ったな。一つ、オレの頼みを聞いてくれないか?」

「頼み?」

ナオキが言うと、ディアルガはナオキに言った。

「オレを戦いに参戦させてくれ。」

「え?」

ディアルガからの意外な要求に、ナオキは一瞬動揺した。

「ディアルガ…それ、本気で言ってるの?」

ナオキがそう言うと、ディアルガは即答した。

「もちろんだ。オレの方からお願いしたい。」

ディアルガは再びナオキに頭を下げた。

「ディ、ディアルガ!?」

またも神と呼ばれしポケモンから頭を下げられた事に、ナオキはさらに動揺した。

動揺しているナオキに対して、ディアルガは言った。

「オレが奴に捕らわれた時、オマエは命を懸けてオレを助けてくれた。そして、オレを無理やり縛り付けておのれの身勝手な目的でオレを利用しようとし、それによってシンオウ地方を支配しようとした奴をオレは奴以上に許さない。これらを踏まえれば、オレが奴と戦う利害はオマエと一致しているはずだ。」

ディアルガは、自らナオキに加勢したいと言った理由を出来る限り集められる形で述べた。

わざわざこうしたのは、神と呼ばれしポケモンが自ら申し出る形で協力してくれる事に対してナオキが動揺したからなのだろう。

「それに何より…」

「?」

ナオキが反応した後、ディアルガはナオキに言った。

「オマエのポケモンに対する『心』の強さを感じているからだ。オレにはわかる。オマエなら、オレと共に戦えるという事を…」

ディアルガは『心』から感じていた。

ナオキのポケモンに対する思い、そしてそれによる絆の強さを…

神と呼ばれしポケモンだからこそわかるのか、ディアルガはナオキの姿うを一目見ただけでそれが本当の事であると『心』から確信していた。

ナオキはしばらくディアルガを見ていた。

ディアルガの目は本気だった。

ナオキは、ディアルガの真っ直ぐ見つめる瞳から、ディアルガの『心』の思いを感じ取った。

「…わかった。それじゃあ、お願いするよ、ディアルガ。」

ディアルガは小さく頷いた。

「みんな、協力してくれてありがとう。これから、ディアルガと一緒に戦うけど、いいかな?」

マグマラシから始まる形で、ナオキの仲間達は即答した。

「ああ。わかったぜ。」

「絶対勝ってよ。」

「ナオキさんなら、神様と共に戦う事だって出来るはずですわ。」

「神様の前で失態晒すんじゃねえぞ!」

「ボクにはわかるよ。ディアルガと戦うのは、キミだからこそ出来る事だってね。」

「ありがとう。」

ナオキは、仲間達に感謝した。

「いい仲間を持ったな。」

ディアルガはナオキに言った。

ナオキはこくりと頷いた後、ディアルガに言った。

「君もその一人だよ、ディアルガ。」

ナオキがそう言うと、ディアルガは一瞬反応を示した後、顔を小さく動かしたような仕草をした。

それはまるで、ナオキに微笑んでいるかのようだった。

あらためてナオキは、アカギの方を向いた。

それに続いて、ディアルガもアカギの方を向いた。

神と呼ばれしポケモンがナオキ側についた状況でありながら、アカギは動じていないように冷静だった。

「ふん、『あかいくさり』もないものごときに、神が操れるものか。」

アカギは、さっきよりも多少熱が下がったような口調で言った。

それを聞いた事にぴくりと反応したように、ナオキがアカギを険しい表情で睨みつけた。

「それはどうかな。」

そう言うと、ナオキはディアルガの方を向いた。

それに続くように、ディアルガもナオキの方を向いた。

二人はしばらくお互いを見つめ合っていた。

それから少しの間、時が止まったように静かな状態が続いた。

しばらくして、ディアルガが最初に動いた。

ディアルガは何も言わず、小さくこくりと頷いた。

それに続くように、ナオキも小さく微笑むと、ディアルガに向かって小さくこくりと頷いた。

二人は息を合わせるように、同時にアカギの方を向いた。

「ふん。何を考えてるかはわからんが…いや、わかる必要などないだろうな。」

アカギはさっきまでの熱がだいぶ収まったように、以前のような冷静さを取り戻したような口調で言った。

「所詮、くだらない『心』による信頼か何かだと言いたいのだろうが、そんなまやかしの存在など、何の意味もなさん。自ら戦い慣れたポケモンを下げ、使いこなせるはずのないポケモン、しかも神と呼ばれしポケモンを従えて戦うなど、せっかくの勝機をわざわざ負けるために放り出すようなものだ。」

アカギは、完全に勝ち誇ったかのような雰囲気だった。

「『あかいくさり』もなしに神を従えようとして、せっかくの勝機を投げだした事を後悔するがいい。」

アカギに、あの時のようなボロクソな言われ方を再びされたに等しいような中、ナオキはその時とは違う、むしろ真逆な雰囲気でアカギを見ていた。

ナオキは言った。

「その言葉、私はそれ以上の真逆の言葉にして貴様に返すぜ!」

ナオキは、ディアルガの方を向いた。

「ディアルガ、あらためてお願いするよ。」

ディアルガは、こくりと頷き、アカギの方を向いた。

「ゆくぞ!ゆけ、ドンカラス、クロバット!」

アカギは二匹のポケモンに言った。

どうやら、もう一方のポケモンは『ドンカラス』と言うようだ。

少なくとも、ヤミカラスの進化系であるのは確かだろう。

「神と呼ばれしポケモンがついたぐらいのところで、何になる。おまえごときに神と呼ばれしポケモンが使いこなせるものか。」

アカギは、勝ち誇ったかのようにナオキに言った。

自らは『あかいくさり』を使って従わせた以上、それがないナオキにはディアルガを従わせる事など出来はしないと自身の視点から判断したのだろう。

例えそうでなくても、初めて組む事と、何よりレジェンドのポケモンである以上、ナオキとは息が合わず話にならないとアカギには予測できたというのもあるようだ。

すると、ナオキは言った。

「そんな御託言ってる暇があるなら、さっさとかかってきな。私はもういつでも戦えるよ。」

ナオキからの挑発に、アカギは再びあの時のような様子になり、言った。

「ならば容赦なくいかせてもらうぞ!ドンカラス、クロバット、奴を叩きのめせ!!」

アカギの荒げた声と共に、ドンカラスとクロバットがナオキに襲い掛かった。

ナオキは、一方では攻撃を防ぎ、もう一方ではそれに合わせる形でひらりと攻撃をかわした。

ディアルガもナオキに参戦しようと、前に出た。

「戦えるトレーナーばかりを狙ってオレをそっちのけにしてていいのか?『竜の波動』!!」

ディアルガは、ナオキを狙うアカギのポケモンに技を放った。

しかし、決してディアルガの存在を見逃していたわけではなく、二匹のポケモンはディアルガの攻撃をひらりとかわした。

「狙いは私ばかりだけど、ディアルガの事もそれなりに見ているというわけか…」

ナオキは、アカギのポケモンがナオキに気を取られているところを狙ってディアルガに攻撃のチャンスを与えようとしていたが、それはさすがに読まれていた事に気づいた。

アカギも、ナオキばかりを狙いつつも、それなりの判断は出来ているようだ。

ナオキは、ディアルガのもとに着地した。

ディアルガは、ナオキの方を向いた。

「奴は明らかにオマエだけを狙っている。オレが狙われる事はしばらくはないだろうが、オマエを狙う隙を狙って攻撃しても、かわされてしまう…オマエも、今の状態では、戦う事は出来ても、そう長く戦う事は出来まい。それまでに、奴のポケモンを倒すにはどうすればいいのか…」

ディアルガは、ナオキの事を心配していた。

一応まだ戦えるとはいえ、さっきの戦い以前に、ディアルガを助けるための戦いでの傷が残ってる以上、ナオキが戦い続ける事が出来ないのは周知の通り。

アカギも、ナオキに防戦一方の状態を強いて体力を間接的に体力を奪い、最終的にナオキが戦えなくなったところを狙ってとどめを刺そうとしている狙いがあるのだろう。

このまま向こうがナオキ達の攻めを回避し続ければ、確実にナオキ側が不利であるのは確かである。

ディアルガも、いくらレジェンドで神と呼ばれしポケモンであるとはいえ、2対1で戦うのは不可能ではないにせよ、さすがに厳しい。

ましてや、今2対2の状態で戦っていてこの状況にいるならなおさらである。

すると、ナオキは言った。

「大丈夫だよ。」

「?」

ナオキのこの一言に、ディアルガは一瞬きょとんとした。

「ディアルガが私と共に戦ってくれる事になった時から私はわかっているんだ。『君となら勝てる』ってね。」

ナオキは自信を持った様子で言った。

根拠はわからなくても、ディアルガにはそれが本当である事だけは確かだと『心』から感じていた。

ナオキはディアルガに言った。

「ディアルガ、ちょっといいかな?」

「?」

ディアルガは、ナオキに顔を近づけた。

ナオキはディアルガに顔を近づけると、耳打ちするような様子で何かを話し始めた。

その様子をアカギは余裕ぶった様子で見ていた。

「ふん、神と呼ばれしポケモンと何を話しているかは知らんが…いや、知る必要はないだろうな。知ったところでおまえごときに出来るはずもないのだからな。」

アカギは、ナオキを見下すような様子で言った。

その雰囲気は、トバリの時にナオキの事を否定した時以上のものだった。

「『心』というまやかしの存在ごときで、神と呼ばれしポケモンを従わせるという幻想にとらわれた時点でおまえの負けは既に決まっていたようなものだ。今度こそおまえを始末し、再びディアルガをこの手に…」

 

 


ビシャアアアアアアアアン!

 

 


アカギが話している途中、それに割り込むようにナオキはアカギのポケモンに雷を放った。

アカギのポケモンは、間一髪かわしたが、アカギは唐突の攻撃に一瞬動揺した。

動揺しているアカギに対して、ナオキは言った。

「さっきから御託はいいと言ってるのに、本当にうるさいよ。今は貴様からけしかけた戦いの最中だよ。そんな御託を並べてる暇があるなら、私がディアルガと話してる間にそれをさせない意味もこめて私を攻撃すればよかったのにさ。」

トバリで自らがナオキに言った事が返ってきたかのように、ナオキからのさらなる挑発を受けたアカギは一瞬憤慨しそうになりながらも、どうにか抑えた。

「く…ならばその出来るはずのない戦いでせいぜいあがくがいい!」

そう言ってアカギは、再びナオキに向かって二匹のポケモンをけしかけた。

それに対して、今度はディアルガが先に応戦した。

「『ラスターカノン』!」

ディアルガの胸元の部分から、鋼のエネルギー弾が放たれた。

「ふん、そんなものくらうものか。」

アカギのその一言に合わせるように、二匹のポケモンはひらりとかわした。

その時…

「隙あり!『トライス・スラッシュ』!」

ザシュ!

ディアルガの『ラスターカノン』をかわす過程で二手に分かれたのと、ナオキのいる範囲に一匹が入ったのを狙い、ナオキはクロバットを切りつけた。

「何っ!?」

アカギが目の前の光景に動揺した時、それに続いてディアルガが攻めた。

「『竜の波動』!」

ディアルガは、かわす過程で隙を作ったのを狙い、今度は見事技を命中させた。

「な…なんだと…?」

アカギは、目の前の光景にさらに動揺していた。

ナオキとディアルガは、今会ったばかりの関係。

しかも、ボールで捕まえる事も一切していない。

何より、ディアルガはレジェンドで、しかも神と呼ばれしポケモン。

言うなれば、神様そのもの…

それなのに、ナオキとディアルガはお互いそんな事は一切関係ないかのように、絶妙なコンビネーションを見せていた。

それはまるで、ナオキとディアルガが見えない何かでつながっているようだった。

それに続くように、ナオキとディアルガは初対面とは思えないような息の合ったコンビネーションでアカギのポケモンを追い詰めていった。

その光景をアカギは、呆然とした様子で見ていた。

「バ…バカな…『あかいくさり』もなしに、神と呼ばれしポケモンを従えるなど…」

アカギが動揺している中、ナオキは言った。

「私は、ポケモンに鎖をつけたりなんかしない!互いに心と心の『絆』を通じあう事が出来れば、神と呼ばれし存在でも、私に協力してくれるんだ!」

ナオキは、初めて組んだとは思えないほどディアルガと息の合う形で、最高のコンビネーションを見せた。

初めてであり、しかもレジェンドで神と呼ばれしポケモンとここまで息の合う戦いが出来る事は、ナオキとディアルガの『心』が通じ合っている事を象徴していた。

『縛り付けて』無理やり従わせるのではなく、お互いがお互いを思い、共に信頼を持ち、絆を『結んで』戦いに臨む。

そんなナオキの『心の絆』は、鎖とは真逆の、お互いを結び合い、共に一つとなって、ただ共に戦ってくれる事に限らない大きな可能性を生み出していた。

神と呼ばれしポケモンと共に戦い、お互いがお互いを支え、単体では発揮できない事を、想像を遥かに超越する規模で出来るようになり、それはまた新たな可能性を生み、形にしていく…

ナオキとディアルガの『心の絆』は、ただ一緒に戦うだけに限らない大きな力をお互いの想像を超える規模で生み出していたのだった。

それはまるで、神を超えるかのように…

アカギのポケモンは、もはや防戦一方だった。

「おのれええええええええええ!!」

もはや完全に冷静さを失ったアカギは、自暴自棄になったかのようにナオキに向けてドンカラスとクロバットをけしかけた。

ナオキに向かってくる二匹のポケモン。

しかし、ナオキにとってこの状況はもはや格好の獲物だった。

「いくよ、ディアルガ!」

ディアルガはこくりと頷き、ナオキと共に向かってくる相手の方を向いた。

ナオキとディアルガは息が合うように、同時に体勢を構えた。

二人のもとにドンカラスとクロバットがせまる。

その瞬間、ナオキとディアルガは同時に技を放った。

「くらえ!『グロリアス・ギガ』!!」

「『時の咆哮』!!」

ナオキの全身を光が包み込み、ナオキがトライス・ソードを振り下ろした瞬間、先ほど放った『テラ・グロリアス』と似たような大きな光の塊が放たれた。

『テラ・グロリアス』よりは下の技のようだが、それでもそれに劣らない規模の光の塊が雷を帯びながら飛んでいった。

ディアルガは、一旦口を閉じて頭を下げた後、勢いよく頭を上げ、それと同時に空にまで大きく響き渡るほどの大きな咆え声を上げた。

すると、ディアルガの咆哮が大きな波動となり、アカギのポケモンに襲い掛かった。

二人の技がアカギのポケモンに向かっていく。

するとその瞬間、二人の放った技が一つになり、大きな光に包まれた波動になった。

そして…

 

 


ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

 

 

アカギのポケモンに着弾した瞬間、お互いの目の前は大きな轟音と眩い光に包まれた。

その轟音は、アカギのポケモンの叫び声をかき消し、その光はアカギのポケモンがどうなってるのか目に見えないほどその様子を覆い隠してしまった。

その轟音と光は少しの間続いた。

ほんの少しの間であっても、その間はまるで長い時間のように思えた。

まるで、お互いにそれぞれの形で時が止まったかのように…

『テンガン山』の頂上に、大きな光の柱が少しの間佇んでいた…

 

 

 


轟音と光はやがて収まり、再び時は動いた。

動き出した時は、最初は静かな時間の中で動いていた。

その静かな時間の中、同じ時と場所にいながら、お互い違う中にいる状態でたたずんでいるそれぞれの姿があった。

アカギは、しばらく呆然とした様子でその場に立ちすくんでいた。

アカギの目の前には、戦闘不能になり、地べたに倒れ込んでいるドンカラスとクロバットの姿があった。

そして、その背景には自身とは真逆に、神と呼ばれしポケモンと共に立ち尽くすナオキの姿があった。

アカギは、崩れ落ちるようにその場に膝をついた。

うつむいたまま握りこぶしをわなわな震わせながらアカギは言った。

「…認めるか…!神話の力を…従えたのではなく、我が物にしたというのに!!」

悔し紛れに叫ぶアカギに、ナオキは言った。

「戯れ言を抜かすな。貴様は神の力なんか得てすらいないし、従えてもいない。貴様は、ただ神を無理矢理縛りつけて従えたつもりでいて、本当の神の後ろでこそこそ隠れてそう抜かしてただけに過ぎない。」

ナオキは、そう言うと、それに続くようにアカギに言った。

「そして私も、ディアルガの協力のもとでいても、神の力を得てはいないし、従えてもいない。ただ、心を通じあえてもらえた神と呼ばれしポケモンから、力を貸してもらえた。ただそれだけの事さ。」

ナオキは、体勢を整えた。

最初に前に出たのは、マグマラシだった。

「さあ、かかってきな!貴様のくだらない野望が潰えた事に対する私への八つ当たりなんだろうけど、そんな理由ごときじゃ私には勝てないよ!」

ナオキは、一触即発のような中にいるアカギをさらに挑発するように言った。

その言動は、ナオキが余裕を持っているからのように思えたが、ナオキはそれとは別の雰囲気を醸し出しているようだった。

アカギは、それに即答するように言った。

「それならば、容赦なくいかせてもらう!ゆけ、マニューラ!」

アカギが最初に繰り出したのは、頭部に扇子のようなものがつき、かぎつめがさらに鋭くなったポケモンだった。

名前からして、ニューラの進化系なのだろう。

「いくぞ!」

トバリ以来のナオキとアカギの戦いが始まった。

先手を取ったのは、マニューラだった。

「マニューラ、『つじぎり』!」

アカギの一声と共に、マニューラが飛びかかった。

「マグマラシ、『火炎放射』!」

マニューラの素早さに対抗する形で、マグマラシも応戦した。

 

 


バッ!

 

 

マニューラは、火炎放射をひらりとかわした。

「!」

マグマラシが避けられた事に怯んだ瞬間、マニューラが飛びかかった。

「く…」

マグマラシは、どうにか防御しようとした。

その時…

 

シュバッ!

 

マニューラは、マグマラシを避けるように飛びかかっていった。

「…なんだ、アイツ…?勢いがつきすぎて外したのか…?」

マグマラシは、マニューラの行いに懐疑を抱いた。

今の状態なら、マグマラシに攻撃を直に当てる事は普通に出来ていた。

それなのに、命中率が100%である技を外すなんて…

その時、マグマラシの中で一筋の不安がよぎった。

「…やべえ!アイツの狙いは…」

マグマラシは、咄嗟にマニューラの飛びかかった方を振り返った。

その瞬間、マグマラシの不安が的中したように、マグマラシは慌てた。

「ナオキの方だ!」

マニューラが飛びかかったのは、マグマラシの後ろにいたナオキの方だった。

マグマラシが振り返った時、既にナオキにマニューラのかぎつめが襲いかかっていた。

 

 


ザシュ!!

 

 


マニューラのかぎつめがナオキを襲った。

「ぐあっ…!!」

マニューラの斬撃をくらったナオキは、その勢いで遠くに飛ばされた。

 

 

ズザザザザザ…

 

 

飛ばされたナオキは、地面に叩きつけられ、その勢いで地面に引きずられた。

「あの野郎!トレーナーを直に狙いやがった!」

ムクホークが言った。

「ナオキ!」

マグマラシは、ナオキのもとに駆け寄った。

「ぐ…」

ナオキは、体を持ち上げるように立ち上がった。

「大丈夫か、ナオキ!?」

マグマラシは、心配そうにナオキに言った。

「マグマラシ…私なら大丈夫だよ。君が咄嗟に判断してくれなかったら、直撃してたよ。」

ナオキは、マニューラに切り裂かれる前に、トライス・ソードを引き抜き、咄嗟に防御していた。

直に切り裂かれるのは免れたものの、それなりの威力はあったようで、切り裂き傷があり、遠くに飛ばされた事で多少のダメージを受けた。

ナオキは、体を持ち上げるように立ち上がった。

「思った通り、奴は野望を砕かれた事に対する私への憎しみと怒りによって、完全に私を直にたたきのめそうとしている。あの様子からすれば、私をポケモンバトルで負かすだけじゃ済まされないのは明らか…下手すれば…いや、負ければ確実に殺されるかもしれないね。」

ナオキの見る先には、野望を『あかいくさり』と共に打ち砕かれた事により、今までとは真逆の、むしろ今までにないような形相でナオキを見るアカギの姿があった。

その感情を殺したとは思えない、怒りと憎悪に満ちた表情は今までにない殺気を漂わせていた。

今のアカギは、例え人間相手であろうと容赦しないと言っていいであろう。

ましてや、ポケモンと同じ立場で戦うナオキならなおさらである。

「でも、その心配はないよ。」

「?」

明らかに危険な状況でありながら、ナオキが意外な事を言ったのに対して、マグマラシ達はきょとんとした。

ナオキは言った。

「奴がああいう状態であるなら、その時点で確信したんだ。『私達の勝ち』だってね!」

「…!」

マグマラシは、ナオキの言った事に『そういう事か!』というような反応をした。

どうやら、マグマラシにはナオキがそう確信した理由がすぐにわかったようだ。

ナオキは、体制を立て直し、アカギの方を向いた。

「私がポケモンと同じ立場で戦ってる事を間に受けてたとはね。どうやら、この戦い、ただのポケモンバトルとして受け止めちゃいけなさそうだ。」

「ふん、言ったはずだ。私の野望を邪魔した以上、例え人間であれど容赦はしない。もう二度と邪魔をされないよう、ポケモンバトルで叩きのめすだけに限らず、おまえの全てを排除してやる!!」

アカギの言動は、ナオキがあの時挑発した以上の殺気に満ちていた。

ナオキがポケモンと同じ立場で戦う存在である以上、それを理屈にナオキを直に狙い、そして排除する事はもはや確信以外ないわけだ。

命を狙われているに等しい中にいながら、それでもナオキは冷静な様子でいた。

「言ってくれるね。逆恨みも甚だしいったらないよ。」

ナオキは、トライス・ソードを構え、マグマラシの側に行った。

「貴様がそうくるならば、私もそれなりの対処をさせてもらうよ。」

アカギは、ナオキ本人が参戦する形で対処すると思ったらしく、さっきより緩くなったような口調で言った。

「ふん、ならばいくぞ。マニューラ、再び『つじぎり』だ!」

アカギの指示と同時にマニューラは再び飛びかかった。

案の定、狙いはナオキの方だった。

今度は先を読んだように、ナオキはトライス・ソードで防御した。

しかし、アカギの指示なのか、マニューラの性格によるものなのか、その後もマニューラのナオキに対する攻撃は続いた。

その度に、ナオキはトライス・ソードで攻撃を防ぎつつ、マグマラシに指示をした。

「今だよマグマラシ!」

ナオキがそう言うと、マグマラシはマニューラに向けて『火炎放射』をぶつけた。

マニューラは、それを間一髪でひらりとかわした。

「私ばかりを狙っていていいのかな?私を狙ったところでマグマラシの格好の餌食になるだけだよ!」

ナオキは、アカギを挑発するように言った。

その挑発をしている言動は、ナオキがそれだけ余裕を持っているように思えるようなものだった。

しかし、一概に、むしろひそかにそうとは言えないような感じのあるようだった。

というのも、ナオキは『ナオキを直に狙ってくる事に対する防御』はしているものの、『ナオキ自身が反撃をする』事はしていなかったからだ。

いつものナオキならば、防御に徹する事はなく、防御と共に攻撃に転じる戦い方をするものだった。

しかし、今のナオキは明らかに攻撃を防いでばかりいる、というよりもむしろ、防御しか出来ないような様子だった。

その様子からアカギは察した。

「ふん、どうやらポケモンに命令できないほど防戦一方のようだな。ならば…」

そう言うと、アカギはもう一つボールを取り出した。

「ゆけ、ギャラドス!」

アカギは、取り出したボールを投げ、新たなポケモンを繰り出した。

「! あいつ、ナオキが満足に戦えないのをいい事にさらにポケモンを追加してダメ出ししやがった!」

ムクホークは、アカギの考えを察したように反応して言った。

「まずいな…ただでさえナオキが常に狙われてるのに、そんな中でさらにそれをしてくる奴を加えてくるなんて…」

レントラーは、額に汗をかきながら言った。

今の状況は、紛れもなくナオキが追い詰められている中で、さらにダメ押しを加えた状況だった。

ディアルガを助けるための戦いの影響で満足に戦えず、常に自身が直に狙われる中で、その相手がさらに加わった状況…

誰がどう見てもナオキが不利である以外の何ものでもない状況である事だけは確かだった。

ナオキ側に緊迫した空気が漂う。

その状況の中、ナオキは言った。

「…好都合だ。」

そう言うと、ナオキはトライス・ソードを構えた。

その構え方は、さっきまでの防御に徹した構えではなく、むしろ、防御をやめたような両手を下に下げた体勢だった。

アカギは、ナオキの状態を察したように言った。

「どうやら、自らの身を守るのに精一杯な状態が続いて体力の限界がきたようだな。」

アカギは、マニューラとギャラドスをダブルバトルの配置のようにその場に集めた。

「せめて最後は仲間と共に始末してやる。」

そう言って、アカギは二匹に言った。

「ゆけ、マニューラ、ギャラドス!奴らにとどめをさせ!」

アカギの指示と共に二匹は同時にナオキとマグマラシに向けて飛びかかった。

お互いピクリとも動かない状態のナオキとマグマラシに、二匹の攻撃が容赦なく襲い掛かった。

 

 

 

 


その瞬間…

 

 


シュバッ!

 

 


「!?」

アカギは、目の前の目の当たりにした光景に一瞬動揺した。

さっきまで防戦一方のような状態だったはずのナオキとマグマラシが、さっきまでとは打って変わるような形で二匹の攻撃をひらりとかわしたのだ。

二人は息が合うように、同時に着地した。

それと共に、ナオキとマグマラシは共に攻撃体勢になった。

目の前の光景に動揺しながらも、アカギはどうにか体勢を整えようとした。

「くっ…おのれ…偶然かわせたからと言っていい気になるな!」

アカギは、二匹に再びナオキを狙うのを命令して攻め続けた。

しかし、二人はさっきとは真逆のように二匹の攻撃をかわした。

それだけではない。

「くらえ、『ライトニング・スラッシュ』!」

「隙だらけだぜ!『火炎車』!!」

ナオキとマグマラシは、息を合わせるように同時に攻撃をぶつけた。

二人の攻撃は、アカギのポケモンに同時に直撃した。

「な…なんだと…」

アカギは、再び動揺した様子でその光景を見ていた。

さっきまで仲間でさえもそうとしか思えないほど、ナオキは追い詰められていたはず…

しかし、アカギがもう一匹のポケモンを出した瞬間、あたかもそれがスイッチになったかのように流れが変わった。  
その瞬間、ナオキは急に調子を取り戻したかのように、今度はアカギ側が防戦一方になるような形で一気に攻めだした。

ナオキとマグマラシの攻めのラッシュは、止まらなかった。

アカギも負けじと反撃したが、その度に今度は余裕であるかのように防がれ、同時に反撃をくらわされた。

アカギが今の状況をとらえきれないうちに、ナオキとマグマラシは同時に飛びかかった。

「とどめだ!『ライトニング・グランドクロス』!!」

「オレもいくぜ!オリジナル技、『シール・メテオ・フレア』!!」

ナオキは、トライス・ソードを交差して振り下ろした。

その瞬間、大きなクロスの形をした雷が放たれ、ギャラドスに襲い掛かった。

マグマラシは、全身を炎のオーラが包み込み、その瞬間『ふんか』を発動したように、マグマラシの額から大きな炎の塊が柱を描くように空に放たれた。

炎の柱が空に吸い込まれるように飛んでいくと、その場所が真っ赤に染まり、その瞬間空から流星群のように無数の矢のような形をした炎の塊が降り注ぎ、マニューラを襲った。

 


バリィィィィィ!!

 

ドドドドドドドドドド!!

 

 

「ぎゃああああああああああ!!」

ただでさえ効果抜群の電気技を、今までの電気を遥かに超える高電圧でくらったギャラドスは大きな声をあげた。

マニューラは、もはやかわせる場所もない中で無数に降り注ぐ炎の矢をあび、大声をあげた。

全ては一瞬だった。

電気がおさまり、降り注ぐ炎の矢が止んだ時、そこにあったのは、戦闘不能となって倒れているアカギのポケモンと、アカギの方を向く形でたたずんでいるナオキとマグマラシの姿だった。

「バ…バカな…」

アカギはいまだに目の前の光景が信じられないでいた。

戦いが始まった当初から戦いは間違いなくこちらが優勢だった。

実際ナオキもマグマラシも満足に戦えている状態じゃないのは明らかだった。

それなのに、なぜ…

すると、その事を察したかのようにナオキが言った。

「どうやら戸惑っているようだね。私が普通に戦えた事に。」

「!」

ナオキに自らの考えを見透かされた事に気づいたアカギは、思わずピクリと反応した。

ナオキは、アカギに言った。

「あの時、私はそれなりに普通に戦う事は出来ていたけど、貴様が1対1で戦う事にしていたから例え私が狙われる事になっても、あえて私は戦わなかったのさ。」

「!」

ナオキの意外な一言に、アカギは隠せない動揺をあらわにした。

「私がマグマラシ一人に対して、貴様もマニューラ一匹を考えたら、いくら私が狙われる形とはいえ、2対1で戦うのは、割に合わないだろうと思って、あえて貴様からの攻撃を防ぐ事だけにしていたのさ。それをわざわざ2対2にしてくれたのは、これで心置きなく私自身も戦える事になったからまさしく好都合だったよ。」

アカギは、ナオキが言った事にさらに動揺した。

アカギは、あの時のナオキの防戦一方な状態からもうまともに戦えないと思っていたが、それは勘違いだった。

ナオキは戦いが始まった時から、ひそかに余裕を見せていたのだ。

最初の不意打ちは仕方ないが、それ以降はとある理由を背景に、ナオキは常に冷静な判断をしつつ、1対1の戦いをあくまで守る形で防戦一方のような戦い方をしていたのだ。

アカギがそれをナオキがもう戦えない状態にあると勘違いするのを計算に入れていたのは定かではないが、さっきまでの状態は完全にナオキが余裕を持った中で自らのペースに乗せていたのだった。

その時…

「ぐ…」

マグマラシが体勢を崩した。

「マグマラシ!」

ナオキは、マグマラシの方を向いた。

「すまねえ、ナオキ…どうにか戦えたけど、もうオレには立つ事が精一杯みてえだ…」

マグマラシは、立つ事までは出来たが、もう戦う事が出来る状態じゃないとナオキは一目でわかった。

(私は防御だけをしていたからそれなりに体力は温存出来たけど、それまではマグマラシにずっと戦ってもらってたからな…倒せたまではよかったけど、マグマラシに予想以上の負担を強いてしまったか…)

その様子を察したように、アカギは冷静な様子で言った。

「安心するのはまだ早いのではないのかね?わたしのポケモンはまだいるぞ。」

そう言うと、アカギは二匹のポケモンを繰り出してきた。

一匹は、まるで親分のような姿をしたカラスのポケモン、もう一匹はナオキがジョウト地方で見た事があるコウモリポケモンのクロバットだった。

前者はおそらくヤミカラスから進化したポケモンなのだろう。

(マニューラといい、今のポケモンといい…さっきまで進化していなかったポケモンをこんな短期間で進化させるとは…少なくとも、アカギのポケモンバトルでの実力は本物だと認めざるを得ないな…)

ナオキがこう思っている背景には、ナオキがさっき述べた勝機がある理由とは別に、アカギにもそれなりの実力がある事が確かである事をあらためて実感し、ひそかに焦っている部分があった。

ナオキ本人やナオキ側のポケモンは、先ほどのディアルガを助け出す戦いの後が響いている状態だったので、それなりに戦えても満足に戦えるとは言えないのが実状だった。

自身を含め、満足に戦える状態とは言えない一方で、向こう側は万全の状態で戦えるポケモンが二匹もいる…

しかも、アカギは常にナオキをターゲットに狙う形で戦っている…

ポケモンもナオキ本人も満足に戦えない状態の中で、バトル本編だけでなく、ナオキ自身の身を守る事もしなくてはならない形で戦わなくてはならない事は、いまだにナオキが不利である事を物語っていた。

「ここまでわたしを追い込んだ事。それは認めてやろう。」

アカギはナオキに言った。

ナオキは、その言動が単なる上から目線ではなく、ナオキがひそかに追い詰められている中で自身を追い込んでいる事を見据えている中での事だという事がわかった。

ナオキは、相手に余裕を持たせないために冷静に振舞っていたが、アカギに見透かされているように、内心では焦っていた。

ナオキが最初に余裕を持ってるように振舞ったのも、内心の焦りをごまかすためだったのだ。

(奴が少なくともトバリで戦った時のポケモンを持っているのはわかっていたけど、それがみんな進化していて、しかもトバリでは連れていなかったポケモンまでいたのは予想外だった…さっきの戦いでは、どうにかなったけど、この流れからすれば私の仲間達で戦いきれるだろうか…)

ナオキの仲間は、アカギよりも多くいるが、マグマラシとナオキ本人同様、ディアルガを助けるための戦いでかなりの深手を負っている。

そのため、どこまで満足に戦えるかわからず、戦ってる中でそのあおりを受ければ間違いなくナオキ側が不利になる。

ナオキ自身も、マグマラシほどではないにせよ、既に限界が近い。

 

 

その時…

「待て。」

「…?」

ナオキは、後ろから声がしたのに反応して一旦止まった。

ナオキは、声がした事に対して、見るからに意外そうな顔をしていた。

ナオキがそういった様子になったのは、その声が明らかに『ナオキのパーティーにいるポケモンの声』じゃなかったからだった。

ナオキは、声がした方を振り返った。

ナオキが振り返った方に、その声の主はいた。

声の時点で既にわかっていたが、ナオキはいまだに意外そうな顔をしていた。

ナオキに話しかけてきたのは、ディアルガだった。

 

 

新たなスタートが幅広い場所でスタートする4月。

 

 

学校も職場も、それぞれが新たなスタートを飾っている事だろう。

 

 

 

私は、学校を6年前に卒業して以降、4月のそういった実感とはしばらく無縁だった。

 

 

 

マァ、それが私自身にこういった今の流れに通じる遠因になっていたのだろうが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういった流れを過ごして6年。

 

 

 

そして、今いる場所に降り立って9年。(いつの間にそんなに経っていたとは…)

 

 

 

コン年度、私は今までにない、4月というスタートを久々に実感する事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先月、私はこれからに向けた事を様々な面で行っていた。

 

 

 

正直、先月は、これもまさしく3月という大きな区切りを迎える月を学校卒業以来の実感をする月であった。

 

 

 

今までの事を大きく変える、まさしく卒業以来の大きな変化に通じる事をその月、私は進めていた。

 

 

 

その中で、私はコン日に至るまでの今までの在り方を述懐していた。

 

 

 

私が今の場所に移ってコン年度で9年。

 

 

 

学校に通う目的で、今の場所に住み始め、卒業後は故郷よりもここにいる方がやれる事があるという理由で、それからいつしか6年間居座り続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在…

 

 

 

私は、3年前に本当の生き方に気づいた事以外は、特に変わった事はなく、いつまでもこのままでい続けている日々を過ごしていた。

 

 

 

本当の生き方を見出し、それに向けた事を進めようとしていたが、それから立て続けにそれどころではない事にたびたび見舞われ、ようやく実行出来たのが昨年の事だった。

 

 

 

しかし、それも長くは続かず、いつしか私は、最低限の暮らしもままならない境遇の中で過ごしていた。

 

 

 

正直、昨年はよくコン日まで乗り切れたものだとあらためて思う…

 

 

 

そして、コン年度の春…

 

 

 

私は、ついに大きな決心をする事になったのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までの私を思い起こすと、3年前に本当の生き方を見出した以外の私は、結局今までのような適当に過ごしていた以外の何ものでもなく、それがいつしか私をなし崩し的に追い詰める事に通じていっていたのだと先月になり、ようやく悟った。

 

 

 

私は、今まで明確なビジョンも持たず、ただ流されるままに日々を過ごしていた。

 

 

 

それは、今考えれば、大学生活も同じだった。

 

 

 

与えられた環境の中でやるべき事はほとんどやらず、留年直前だったとしか言えない中でどうにか卒業して(というか、『させてもらえた』というのが正しいか…)、卒業した後も、あくまで『親に言われたから』という理由だけで、今思えば特に目指している事ではなかった公務員試験を適当にやり、一次試験さえ通過できそうにないやり方で試験対策をしていた…

 

 

 

今思えば、私がコン日に至るまで過ごしていた日々は、本当の生き方を見出した後でさえ結局元の木阿弥になるような形で、完全に間違ってる以外の何ものでもない中で過ごしていた以外の何ものでもなかったと痛感した。

そして、その事に気づいたのは、先月の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3月は、これからに向けた事に対して色んな事があった。

 

先月は、私にとって本当に大きなターニングポイントの月だったとあらためて思う…

その背景にあったのが、その月、私が『今までの私の在り方』を見直した事だった。

今までの私を全てにおいて振り返ってみると、今になってようやく気付いた事があった。

それは…

 

 

 

 

『コン日に至るまでの今までの私は全てにおいて間違った中にいた』という事だった。

 

 

 

 

今の私の視点で今までの事を思い返してみると、今までの私は全てにおいて何一つ本格的にやらず、常に適当かつ中途半端な在り方の中で過ごしていた事に初めて気づいた。

本当の生き方のもとではなく、あくまで『そう言われたから(本当はやりたい事じゃないにもかかわらず)』という理由だけで、特に最低限もやろうとせず、そういった在り方が当たり前に思うほど根付いてしまった中で私はコン日までの日々を過ごしていたのだった。

それは、やがて私の身に起きる事をわざわざそういうあり方に関する事ばかりにまで発展して、それはもはや私の日々の過ごし方そのものどころではない事にまでになっていた。

しかし、そういった中にいて、それが明らかに異常だとひそかにわかっていながら、私はわざわざなし崩し的に状況が悪化していく以外の何ものでもない状況をわざわざそれが当たり前の事のように続けていたのだった。

ずっとそういった中にいた私だったが、先月になり、ようやく私は初めて心から気づいた。
私は、ずっと間違った在り方以外の何ものでもない中で築かれた『今までの私』に流され、振り回されていただけだったのだ。




そういった適当な生き方をしていた事から脱却する一歩をようやく踏む事が出来たのは、2015年の事だった。

その年、私は初めて『私の意志で決めた生き方』を見出し、これこそが私の在り方そのもののターニングポイントとなったのだった。

しかし、本当の生き方を見出したからといってそこから私のこれからが好転していくかと思えたが、そうではなかった。
むしろ、この時でさえも『今までの私』が根強く抵抗してそれに通じる事をさせないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、3月。

私は、故郷にいた。

市川にいる時とは全てが違うフィールド…
今となっては、ずっと疎遠になり続けていた故郷が今まで以上に近く感じられた。

その別天地は、私に今まで考えすらしなかった事を、考えるにとどまらず、心から決心させる事へと導いてくれた。

故郷の地で、私はついに一大決心をした。

 


私は市川にいる間、流されるままに『今までの私』にずっとい続けていた。
そこにい続けたまま、私は本当の生き方を見出しながら、結局何一つ本当の進展を果たしていなかった。

本当の生き方や本格的に取り組める事が実際ありながらも、それをわざわざできなくするような事になったりして、結局また今までの在り方になり、それをずっと繰り返してコン日まで過ごしていた。

本当の生き方でさえも出来なくするほど、

 

 

故郷にいる時、私は心から気づき、そして初めて本当の形での決心をした。

 

 

 

 


私には覚悟が足りないどころか、覚悟自体していなかった。

 

本当の生き方を形にするため、今私は今出来る形で覚悟を決めよう…

 

 

 

 

 

 

 


今、私は市川を離れ、今までの私を全て捨てる!

 

 

新たなスタートを切るため、私は今いる舞台を離れ、本当の舞台へと進む一歩を踏む。

 

私が本当に望む本当の生き方をするのは、本当の新たな舞台そのものに降り立った時だ!

 

 

 

 

 

私は9年過ごした市川を離れる決心を3月、ついに固めたのだった。