私にとって今までとは違う環境と境遇を得て、私の世界が広がる始まりとなった場所、市川。

学校に通うために住み、卒業した後も住み続け、いつの間にか9年の月日が流れていた。

 

 

そしてこの年、私はついに一つの区切りを迎えた。

 

 

 

 

 

 

私が下宿していた場所は、すっかりまっさらな状態になっていた。

先月のうちに置いてあったものは、全て実家に運んだからだった。

こうなる日が、ついに訪れたのだ…

 

 

 

 

 

今日私は、9年間住み続けた市川を発った。

市川に来て9年。

こうなる日を先月まで考えた事があっただろうか…

ひそかに、それが私をわざわざ追い詰めていた事などつゆ知らず…

 

 

 

 

 

昨年は、ひそかに今まで以上に色々大変な1年だった。

その規模は、今こうしてひとまずどうにかなっているのが奇跡としか言いようがないほど、私は多くの危機に瀕していたのだった。

 

 

しかし、同時に私は、それを通して今まで考えもしなかった事に色々気づく事になった。

今となっては、確かに大変な思いもしたが、それさえもひそかな意味を持っていたように私には思えた。

それはまるで、市川が『本当の生き方をするためにも、ここから離れろ』と私に間接的に伝え、それを促しているようだった。

 

 

 

そして先月、ついに私は全てを決める事となった。

普通の暮らしさえままならない以上、この先はどうなるかは定かではないけど、本当のこれからを築くために、市川を離れようと…

最初はあくまでしがみつくのをえらんでいたようにそれを拒絶していたが、今の状況からするともうここでも暮らしそのものが限界である以上、そうするほかないと悟ったのを機に、私の考えは変わっていった。

今を含む、これまでの事を踏まえると、市川で過ごしてきて最低限の進展があったと言える事はほとんどなかった。

そして、最近は市川にいる事に居心地に良さを覚えなくなっていた。

それはまるで、『もう市川に戻りたくない』と心が言っているかのように…

市川をしばらく離れて故郷で久々に暮らしている時、私は普通の暮らしが出来ている事とは別に、今までにない安心感を覚えた。

今の状況では、故郷もいづらいはずだったのだが、少なくとも市川にいるよりは安心した。

 

 

…つまりは、そういう事なのだろうか…

 

 

こうして、私はついに一大決心をするに至り、先月中旬、それに通じる事を実行したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は少しの間、市川を歩いていた。

 

 

少なくとも、私は市川には感謝している。

私の世界の広がりは、他でもない市川から始まったのだから。

市川にいたからこそ、私は今まで以上に世界を広げる事が出来た。

行った事のない場所い行けたり、ずっと疎遠だった場所が身近になり、行く事が出来るという意識を今まで以上に持つ事が出来た。

何より、市川にいたからこそ、私は『本当の生き方』に気づく事が出来たのだから…

 

 

 

 

 

2018年4月14日。

私はついに、9年過ごした市川を発った。

それは同時に、もう本当の意味で戻る事はないと言っていいような形での離脱だった。

 

 

 

 

 

 

私が市川で過ごした日々は、ここでは形にはできなかったけど、それは今市川を離れたこの瞬間から新たな気持ちのもとで私における『本当のこれから』を築く事へと通じていくであろう。

水道橋の大学に通う誼で9年前に住み始めた市川。

そこから、私に色んな新たな世界を幅広く体験する機会を今まで以上に与えてくれた市川。

私に『本当の生き方』への気づきを与えてくれた市川。

私を本当の次の舞台へ送るために、あえて私を突き放させてくれた市川。

 

 

 

 

 

 

今の私のこれからは、全て市川にいたからこそ築けた事…

しかし、それによるこれからを築く舞台は少なくともここではない。

ここは、あくまで大学に通うために住んでいた場所。

『本当の生き方』に気づけた場所は、ここであれど築いていく事となれば話は別…

ここに住んでいたそもそもの目的は、6年前に既に終わっている。

そして、それからは私が『本当の生き方』に気づき、それを築くためのここではない新たな舞台へ進む事に気づき、それを心から決心するのをずっと待っていたのだ。

全ては、『本当のこれから』を本当の舞台で築くために…

そして今私はようやくそこへ向かうための一歩を踏み出そうとしている。

きっとこれはようやく始められた形での『本当のスタート』。

全てはここから始まるのだ…

 

 

そうだよね、市川…

 

 

 

 

 

 

 

 

錦糸町に向かうためにいつも乗っていた総武快速線に乗り、私は市川を後にした。

当たり前のように身近な存在であった市川も、今となっては全てが懐かしいように思えた。

故郷以外で長い年月を過ごしたのは、市川だった。

市川に住んだ事で、今まで気づかなった様々な世界に広く気づく事ができた。

全ては市川にいたからこそ出来た事…

けれど、もう私は振り向かない。

市川もそう言っている。

『もう無理して踏み込まないでいい。本当に目指す舞台へ進んで』と…

 

 

 

 

 

 

 

市川。

今でも私は思うよ。

ここにいたからこそ色んな事に世界を広げる事ができた。

そして、それは私に新たな舞台とこれからに気づかせ、そこへ進む道を築いてくれた。

全ては、市川という場所があったからこそ気づけた事…

だからこそ、私は市川で築いた事を今この瞬間からも形にしていけるようにしていくよ。

市川、9年間ありがとう。

 

 

 

 

 

 

いつも通っていた改札。

その改札を通るのもこれで見納めだね…

全ては、次の舞台に進むため。

ここから通じる場所は、きっと次の舞台。

私はもう振り返らない。

市川が築き上げた事を糧に、私は本当の意味で前に進んでいく。

 

 

総武線快速に乗り、私は9年間過ごした市川を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の舞台へ…