溢れだしそうな程

遠くに思い出す

きっとそれだけが

唯一の事なんだと

分からないふりをして


何度だって繰り返して

その度に涙を流した

誰かの吐いた嘘に

気付くたびに嘘を吐いて

重ねてしまった事

塗り固めた事

全部が嘘になれば良かった


そうやって広がって

笑えなくなるたびに

君が言いたかった事を

思い出すんだ

一つを丁寧に殺して

二つを静かに折り畳んだ

君が言いたい全部の事を

見ないふりして


綺麗なものだけを集めた

其処に残った残照に

きっと僕は気付かないで

君が進んでいった

その道の先で

鮮やかな日溜まりを見つけて

君の手を振りほどいてまで

僕は背中を見せるんだ


良いよ、

もう良いよって

言ったって

分からないだろう

それでも

冷たくなっていく

言葉の全てが

死んでしまうまで

何度だって

伝えて、

泣いて。

分かってる、


温かくも悲しい事を

嫌いには、慣れない事も

僕だけの知ってる

それがきっと

溢れだしたままの

弾かれた全ての愛で

不確かな輪郭と

曖昧な言葉を

君にまで届ける様に


嘘で蓋をした

僕の言葉と心を。


君を嫌いになりたくて

何度だってそう吐き出して

拙いまま繕う笑みも

何処か歪んで見えて


飲み込んだ言葉は

何処に在るんだい?

返る筈もない返事と

あやふやになったままの事と

どうして僕が居る事が

こんなにも痛みを伴うのか


誤魔化す様に浮かべた

ほんのささやかな事

君だけが僕のものだと

何時の頃かの錯覚で

忘れてしまい事も

少しずつ増えた


嫌いになってしまえば

溶け出していく心も

小さく折り畳んだ感情も

もう思い出さなくて良い気がして

どうしてか何時だって僕は

君を一番に思い浮かべているんだ


曖昧に君を愛して

曖昧に僕は隠した

あまりに幼い稚拙な言葉で

また笑ってしまえば

きっとそれだけ良かった


二人だけの

形になるように


辿る指先

曖昧な感情

回した視界の奥で

君は口端を上げる


「歪むには、

丁寧に折り曲げた後に

君が愛した

全てを手向けて


其処に何が在る?

其処に誰が在る?」


優しく問う様に

首に指を這わせて

綺麗な物だけ

一つ二つと並べて

撓んだ糸を千切る

君は物言わぬ

ただの人形の様に

硝子玉の瞳と

意味を失った

檻の中の獣


「狂気を選んで、

失うのは容易い

ただ一つ、

正しいと肯定した世界が

もし歪んでいるだけなら

君も僕も

結局は狂っているだけだ。」


報われる事など

無い事も分かっていた

其処に理解を挟むより

其れを見てしまった

白黒に隠れた雑音の世界は

ぷつりと途切れて

電波の端に座る

君の居場所を探して


また歪んでいく、

糸を断ち切って君の元へ

満たされるはずなど

在る筈も無いのに

何を望んだのか

何を選んだのか

自分でも分かっていないのに


選んだのは

ただの歪んだ事象で、


耐える眼差し

亡骸と残骸

静かに逸らして

視界を埋める

紅の嘘


罪を重ねると

罰を望むなら

この指先から

零れ落ちていく

無限に広がる

闇を引き連れて

泥沼に嵌っては

携えた言葉も

消えてしまう


鍵をかけてしまえば

誰も見えないまま

奥の方に隠した

涙の影で

貴方は笑う

散らばったままの欠片も

鏤めた丘のその先


失くしたものばかり

この手に残らず

願うだけの

骸の笑みを


閉ざして

見ない様にした

捕まったままの腕も

立ち止ったままの足も


何処から聞こえる

祭囃子すら

意味を持たない

音の海


時間が過ぎる度

還る事も厭わず

静かに溺れる

呼吸の波が

喉を押し潰していく

言えないままの言葉は

沈んでいくというのに


貴方は笑わない

僕も笑わない

貴方は知らない

僕だけが、知っている


其れを聞いて

貴方が答えた

それが全てだというのなら

きっと僕は要らない

理不尽な言葉も

伝わらないなら感情も

そうだと肯定すれば

それまでの世界で


いっそ見ないで

何も聞かないで

答え合わせは

何時だって貴方の為だけだ


知っている事も

知らない事も

分かっている事も

分からない事も

貴方が居るのなら

それが全部答えだ


何も言わずとも

時間だけが与えてくれる

誰かの祈りなど

聞こえた囃子の音に隠されて