悲しげに顔を伏せ

何時か忘れてしまう事を

小さく怖がっていた


それは罪になりますか?


動くの止めた時計が

動かない瞳を縫い付けて

針が腐っていく

僕の足も壊れた様に

錆付いた思考は

何も伝える言葉を持たず

ただ其処にあるだけで


優しいものは何もない

いっそ苦しみだけだと

泣きそうな顔を歪めて

笑う事を諦めた


移動する季節は

陽炎を引き摺って

世界の終わりを夢見た様に

凍り付いた世界に目を閉じた


悲しい程に苦しく

優しい程に辛い

柔らかに胸に満ちた

張り裂けそうな程に、

期待は痛みで心を貫いた


呼吸すら、痛く。


呼ばれない名前は

最果てに溺れてしまった

立ち止る足は

何も映さない硝子の壁


それが罪であるなら

これが罰であるように。


例えばの噺だ。


それは夢の様で

君の人生が真白に滲んで

そっから先が無くなれば?


誤魔化せない焦りと

理不尽な順路を辿って

笑えない嘘塗れで

地図は黒に塗り潰されて

進み出す足さえも

竦んでしまってさ!


馬鹿みたいに引き攣る

その頬にキス一つ落として

問題ないよ、なんて。さ


例えばだ、

例えばの噺。


その先真っ逆さまに落ちて

ぐっちゃぐちゃの人生と

上手く笑えないって

そう言ってもさ

この心を君には渡せなくて


丁寧に折り曲げて

オブラートに隠した

心臓は理想に溺れて

本当のところ君は知ってるか?

我が儘だなんて事は

分かってる癖にさ、


例えばの噺で

君は変われないだろう?



憂鬱を引き連れて

引き摺る影と意味を

一つ、二つと

継ぎはぎの様に繋ぐ


それは絆された様に

それは引き攣れた様に


嗚呼、可哀想に

なんて。


思ってもいない癖に

浮かべた笑みの奥で

嘲笑っているのを

僕は知っているよ


謝罪の後に見える痕

辿る道筋は絶望に蓋をして

間怠っこしい言い訳を

丁寧に置いていくんだ


歯車は軋んでいる

薇は転がり落ちて

笑えないや、

ほら。


それは衝動にも似た

確信犯の計画で

希望的観測は

曖昧に歪んでいった


この馬鹿らしい茶番を

何度も繰り返して

きっと君は

僕を嗤うだろうね


可哀想に、なんて。


思う事すら忘れてさ。


どれだけ積み上げて

どれだけ心を削れば

バランスがとれるのだろう?


「僕らしい」が

少しずつ僕じゃなくなって

歪んでいく。

笑みも心も、世界も

夢だったら、

幸せなのに。


自信なんて何処にもないよ

ただ只管に走り続けて

君が笑うだけで

僕は救われた気でいたのに


消えてしまおうか

必要とされないなら

笑えないなら


この呼吸は

何時止めればいい?


この心臓は

何時止めればいい?


そんな簡単な事も

何一つ分かりはしないのに

僕は今日も救われない。


救われるつもりも、ないまま。


外は真白に映る

煌びやかな世界は

僕を独り置いていく


美しい、と

呟いた言葉も

喉の奥に貼り付いたまま

君の背中を追う


疲れた様に

その背を丸めて

祈りを手向ける様に

枯れた花を片手に掲げ

願いは滲む

解けない優しさを捧げて


綺麗な微笑みを浮かべ

この世界を語ろうか

その言葉も

その瞳も

祈りにも似た懺悔で


渡せない言葉は

踏み躙られた祈り


嗚呼、やはり美しい。


世界に捧げるには

あまりにも鮮やかな

綺麗な願いで。