優しい嘘を吐いて

その喉を緩やかに締める

いっそ何も見ないで

幸せだけを甘受して

その舌で絡め取って


ねぇ、泣かないで


その優しさで

僕を殺す前に


永遠を願うには

あまりに大人になりすぎた


それは愛ですか?

それは夢ですか?

永久には続かない

そんな絶望を隣に置いて


踏み出す度に

茨が食い込んで

それでも笑う

君の背中が遠くに見えて


そちらは夢ですか?

そちらは淵ですか?

祈りなんて

最初から手折った癖に


涙はもう流さないで

その優しさは

何時だって残酷で

切望にも似た憧憬を

ずっと描き続けているんだ


赤い道はずっと続いて

痛む足なんて一つも気にならなくて

それでも君は遠くて

優しさは隣にはなくて


それが夢ですか?

それが愛ですか?


永遠を願いましたか?

永遠に祈りましたか?


もう叶わないなら

流した涙も見ないふりして

茨を歩く人々は

忘れ去られた忘却の果てに


幽かな祈りを殺めて泣いた


そこに映らない

歪んだ箱庭

目蓋の奥に潜む

言葉には気付けないで


青い鳥は何時だって

這い蹲る様に翼を汚して

翠の瞳を瞬かせて

手折る様に心を閉ざした


願わないほうが

楽に呼吸出来る気がして

それでも開いてしまった

世界は夢を殺して

黄色く弾けた

どの言葉も聞こえないしないんだ

赤くなる視界に

バラバラに砕けた心は

足蹴にされては泣き喚く


誰のせいでもないと

耳を塞ぐように銃を持って

染み付いた雑音に

君の言葉を一つ落として


笑えよ、


そうすれば僕は

また此処から逃げ出して

翼を折る様に

走り出すというのに


嗚呼、此処は箱庭だ。


歪んで出口も見えない、

哀しい箱庭なんだ。


絶望の淵に

笑みを浮かべながら


きっと、それはそう。


愛おしいと嘯いた

誤魔化しきれない

何時かの憧憬も

嘘を吐き出した焦燥も

痛みを伴いながら

淡く零れ出した

色彩は涙を流す


誰の為でもない

暗く影を落とす

目蓋の奥底で

貴方は其れを

強く抱きしめた


次いで踊る貴方の背に

諦めの視線と慟哭を


何もかも忘れてしまうなら

きっと貴方は

思い出に変わるでしょう。


忘れられないなら

きっと貴方は

何一つ救われない

私の愛に沈むのです。


届かない様に

優しく真綿に包んで

吐き出す感情は

深く深く眠りについて


嗚呼、君はそうなるんだね。


返さない言葉は

笑える様にと

手向けられた花束に溺れて

転がり落ちていく

硝子玉から零れ落ちた

雫は静かに撥ね返る

何も伝わってはいないんだ


白んだ空と

上塗りされた群青に

僕は何も言えなくて


綺麗なんだ

もう何もいらないって

そう言って笑った僕は

溢れだす感情に泣き出した


震える指先は

目蓋を掠める

遠ざかる様に踏み出した

隠したままの言葉に

君が気付かない様に。


優しく在れる様に。

小さく願った

そこだけ切り取る様に

綺麗な世界だけ残して


君は其処で在れるまで。


どうすれば心は救われますか?

どうすれば君は救われますか?


嘘くさくなってしまった言葉は

届かない懺悔の中で

膝折り手向けた後悔の花束と


誰かに向けた銃口が

何時しか僕を迎えて

丁度嵌る為の歯車は

誰も揃わない様に

ちぐはぐに並べた


嗚呼、何時だって。そうなるように。


救われないと書き出した

文章なんて繋がらなくて

それだけの後悔と

それだけの懺悔と

それだけの思い出と

それだけの感情で


確かに此処に在るんだ

確かに其処に在るんだ

もう忘れてしまうけど、

もう忘れてしまったけど。


思い出に変わる前に

諦めたように俯いた

竦んだままの足を並べて

泣き出す空の色さえ

口に出せないままに


その鉄の塊は僕を殺せます。

その罪の固まりは僕を殺せます。


そうなんだって、そうなんだろうって。

踏み躙られた色彩は

忘れてしまった様にセピアに残る

焦燥と憧憬と共に歩き出して

手離した現実は僕を選んだ


どうすれば救われますか。

どうすれば救われますか。


答えなんて分からないのに。