吐き出した言の葉は

悲しげに伏せた睫毛に

落ちた影を踏んだ


何度も同じ様に繰り返す

君の後を着いて回って

その首に手を添える

いっそ溺れてしまえば、

返らない言葉の言い訳も

きっと出来ただろう?


抉じ開けた唇から溢れた

ただの呼吸音を撃ち殺して

毟られた翼を隠した

何の意味もないだろう

どれだけ嘘を吐いても

どれだけ君を守っても

ただただ苦しいだけの

取り留めもない絶望でしかなくて


止めてしまえば良かったのだと

いつも其処まで来てから思うから

引き止められた、

その腕を離す事が出来ないんだ


爛れたままの傷口を

腕に抱くにはあまりに

醜く抉れたままだから

何も見ないふりをして

その言葉を撃ち落として

静かに隠してしまってくれよ


引き摺られたままの心は

生きて呼吸するには

脆く弱いままだから


返らない事は知らないで

それでいいと認めてくれよ

君の後で死んでいく

他愛の無い言葉で

僕が沈んでしまう前に


廃れた街並みと

踏み躙った灰の色彩


それを差し出して

これを頂こうか、

利害の一致に浮かれた

その二つの瞳は濁り切って

愛は格安なのですよ

汚く擦り切れた指先ですら

神を殺してしまって


崩れた積木は

二度と戻らない夢の城

腹の中に飼っていた

本当の心は歯形に塗れて

バラバラになってしまえば

何だって分からないだろう?


だって夢の話なら

誰にだって出来るのさ

足跡だらけの正しさと

手形だらけの間違いに

手を伸ばしたのは君が先だって

云わなくたって分かってるだろう?


廃れた街並みに落ちていく

嘘は誰の為でもないのさ


天秤にかけたしまえば

誰だって自由になれるだろう

その皿の上で踊っているのは

見下したと思いこんだ君だろう?


誰も彼も愛を売りさばいて

見晴らしのいい夢を生きるふりしてさ

肝心な事は全部全部殺したあとなのにね


宛先を忘れた涙を

すり減らして息をする

泡になった呼吸は

何にも変えずに詰まらせる

もう何も言えなくなって


線路の向こうで

笑う君が両手を離す

落ちていく言葉は

汚く足元に散らばる


握りしめた右手は

鉄格子に食い込んで

伝える事も出来ない心を

柔らかく腐らせた


それは正しさを正当化する為の

嘘吐き達の墓場代わりに

沈んでは窒息しそうな世界を

僕は殺してしまえと

壊せもしない檻に力を込めた


死んでしまったままの屑と

群れては積み上がる

雑多に暮れた死骸の山と

もう知らないままで居たいと

突き放した両手に

付いて回る罪悪の鎖


線路に転げ落ちた

突き刺した言葉は

ささくれ立ったままに

君は何も言わないだろう

大切な物を置いていったまま


行き先を忘れた涙が

何処にも行けない様に。


夢を語るその口で

最初に嘘を張り付けて

白く尾を引く水面は

茶色く濁ったまま


埋めた口元は

愛を失って

一人を知る程に

独りは死んでいく

まるで夢の中の様で


揺れては溶ける

本当の言葉も

赤く染め上げた

掠れた布目も

どれもこれも

柔らかな愛を語る


知らないでおいてよ

簡単に掻き消える

擦り切れた靴底を

静かに蹴り上げて

両手に抱いては

擦り抜けていく

マグカップの底に


まるで愛の様で

自由は殺されて

翼は毟られた

愛した二つの瞳は

返してあげない

それが信じた先で

夢を語る世界の果て


変わらないモノを

二人で生きていく

茶色く沈んだ

言葉を選ばないで

マグカップは罅割れる

まるで愛などないように


正しいのは何だろう

正しいのは誰だろう

選んだのは何だろう

選んだのは誰だろう


僕の選択は

誰かの選択の後ろで

まるで当たり前の様に

最後で最悪を

指差し笑う


期待なんて最初から

何処にもなかったんだろう?

選ばれたのは

何時だって君のほうだ


正義を振り翳した

その右目を突き刺して

見開いたその左目を

見ないふりする事を覚えた


僕じゃないんだよ

君でもないけれど

じゃあ誰だって言うんだ?

大事な物は選べないって

誰が決めてしまったんだ?

それなら要らないじゃないか

何一つ要らないじゃないか


選んだのは君だろう?

積もり積もった言葉は

継ぎはぎだらけの刃だ

握った両手から離れない

血に塗れた声は

君が望んだものだろう?