優しいのは貴方と

距離を置く為の戯言

その瞳は僕を見ないで

奥の罪悪を擽る


私は貴方の一番には

到底なれないでしょう

知っている事を

何度も繰り返して

信じたくないと

耳を塞いで

この掌に余るほどの

言葉で私を殺していく


優しい人には

私はなれなくて

その先で死んでいく

屍は言葉を持たず

私を見つめている

本当は、どうだって

言ったって意味がなくて


言葉は静かに口を塞いで

どうしたい、だなんて

聞かないでほしくて


それなら、そうだって

言ったって

見たって

聞いたって

知ったって

なんだって

意味はないんだ


その瞳が私を突き刺していく

さよならの言葉が

きっと最後の優しさなんだって

知りたくはなかったんだ


そこにあるノイズと

君が触れた罪悪は

僕の心を巣食っていく


在るがままに

その眼前に並べられた

僕が飲み込んだ言葉は

君の前に転がっては

無意識に踏み付けられる

気付かないんだろう

一つも当てはまらない

僕と君の価値観の隙間

知らない事だって

笑うんだろう


食されるままに殺された

小さな罪を重ねて

美しいものなんだって

君はそう言うのに

どうしてこんなにも

泣きそうに悲しくなる


不協和音は僕を蝕む

握られた両手の内だって

知りえない事があるって


溶け出す理由と

落ちていく意義が

僕の耳に届く

何にも聞こえやしない

泳いでいる筈の魚は

何時しか浮かんでしまった


その泡沫は舞い上がる

吐き出した言葉の先は

きっと何も見えないんだろう

愛しているだなんて

そんな嘘まで殺して


その剣が心臓を探す

これ以上逃げ出さない様に

その瞳を真直ぐに見つめる

翳した最後の熱を両手に抱いて


貴方が選んだのは

何時だって最善の罪で

振り向いたその背中を

僕は知らないままに

生き続ける

この呼吸を止めながら


差し出した掌を払う

見ないふりをしていた世界は

何時だって無慈悲なんだろう

血を流すことだって

貴方は厭わずに


その道はどれほどに苛酷で

煽られたままに倒れそうな根元で

泣き出したその身体を

支える程の力が僕にあるのか

飛ばされて居なくなった

その瞳の中でさえ

僕は生きていけるのか


深く吐き出した呼吸は

何時からか続いた僕の鼓動

宿り木を僕は抱いたまま


掻い潜った高架下

誰も居ない人影を追う

その右手を翳す

眩んだ世界に

人の群れが追い越してく


まるで表情がないんです

能面の様な顔で

誰も彼も前を向いて

それでも僕は此処で

独り俯いているんだ


足元蠢く影は

連れていかれてしまうから

引き摺った足跡を

延々追いかけた


高架下の雑踏を

縫う様に進む

まるで想像の世界だ

追い越した人は

誰も僕を気にしない


例えば僕が死んだって

誰も気にしないで

横目でも見てくれない

たった一人の心が

僕を求めて彷徨って

高架下の影の中

僕は独り膝を抱える

その裏側では

一体誰が泣いていた?


眩しいくらいの光は

僕の瞳を刺していく

繰り返した瞬きの向こうで

暗いままの世界が

静かに鎮座していた


走り抜けた先では

いつも通りの風景があって

僕の手は何時までも空いたままで

それでも僕は此処に居るのだと

どうしてか涙が出てくるんだ


吐き出したい言葉を並べて

丁寧に折り曲げて

僕は何も言えなかった


そうじゃないんだよ、

そうじゃないんだ。


怖くて怖くて、仕方ない

そんな風に僕を見ないで

君たちと同じ様には

世界を見れないから


捻くれたままの僕が

君たちと手を取るには

捨てるものが多過ぎるから

僕は何も言えなくなるんだ

いっそ見ないでくれよと

願う声も遠いまま


吐き出そうとした言葉は

何時も届かずに落ちていく

散らばった感情は

傷だらけで転げてるんだ


そうじゃないんだって

どれだけ叫んだって

もう君たちには届かないんだろ?

知っているからさ、

もう何も言わないでくれよ


いつだって思う時には

すでに遠くにあって

手に届かないところまで、


歌い続けた命を

僕は何を願えばいい?

問いかける言葉も

もう遅いんだって


知っているんだよ、

分かっているんだ。

それでも僕があげた声を

ずっと忘れないでおくれ。