TRIANGLE -23ページ目
それは愛ですか?
腐り落ちた草木を
踏み躙るその足を
止める事もせずに
哀で嘯いた事を
忘れてしまえ、と
蹲った身体を
独り守り続けた
誰も見ていない大地は
心が空っぽのままに
少しずつ死んでいく
感覚は思い出せないで
堕ちていく時の
風だけは今も鮮明に
只管その一言だけを
何度も何度も繰り返す
声も無いままに
君へと返す為の
小さな言葉を差し出して
笑うんだ、
何も知らないのに
もう何処にもないだろう
愛は此処にないんだ
僕は守り続けた筈の
正しい事は一つもない
枯れ落ちた嘘は
足元に散らばったまま
世界は冷たく蔓延る
まるで夢の様に
それなら君が僕に与えた
居場所はきっと何よりも
狂おしく悲しい
夢の場所なんだろうね
零れ落ちる痛み
その瞳は問う事もなく
ただ只管に見つめる
先は真黒に染められた
絶望だけが笑っている
この声の届く場所は
きっと誰もが耳を塞ぎ
息を止めて生きている
違うのだと笑えば
それは答えにならずに
手を取る事も出来ない
それこそ違うのだと
何も言わぬ口で
瞳を伏せた
怖いのだと言えず
死にたくないのだと
そんな一言も
淡く溶けていった
生きていく事が酷く辛く
そんな当たり前さえ
何時しか苦痛を覚え
「それなら生まれた意味は?」
「生きていく事の、意味は?」
悲しみを刻んだ
その瞳の奥で
君は独り指を差す
その意味を僕は知らない
君が選んだ意味を
僕は知らない
差し出した両手から
零れ落ちていく
感情論で語るには
あまりに柔らかく
触れるのを怖がる
子供の様な貴方
歪んだ表情の奥は
隠してしまう事ばかり
苦しむ姿なんて
見せたくはないから
それは夢を語る様に
幸せをなぞった
その足跡を辿る貴方は
深い悲しみに宿る
絶望に足を取られて
茨は痛みを携えて
越えていく事も出来ないまま
貴方にとっての優しい場所は
何時までも其処には
在る筈がないのよ
それだって本当は
分かっていたんでしょう
残酷な事だとしても
私が此処に居る事は
当たり前には成りえない事だから
幸せが撃ち殺される
差し出した両手も
振り落とされてしまって
痛みを引き連れた絶望は
何処までも堕ちていくけれど
きっと幸せであったと
笑って言えるならば
それで良かったのよ、と
私が貴方へ言ってあげるわ
その痛みを並べて
私が消えてなくなる
その時までは
貴方を護る為に
幸せが在る様に
線引いた
その先で
僕は何を望む?
大きな羽を広げ
飛んでいく鳥と
美しく揺蕩う魚と
浮かび上がる絶望
愛しています、
そうなのです。
愛おしいと
目蓋を伏せても
何一つ伝わらない
どれだって綺麗で
美しいものなのに
どれだけ口を開いても
出てこない言葉は
僕を遠ざけていく
愛しています、
信じてください
その線の先は
僕が選んだ、ので
溶けていく翼と
沈んでいく鱗に
僕が伸ばしたのは
上か、下か、
泣き出した心が
悲しいと死んでしまう様に
愛して、います、
愛しています。
頭の奥から聞こえてくる
嘘の様な喧騒と
誰かが笑ってる
歪んだ笑顔と囁いた声が
陽炎の様に指差す
死んでいく太陽は
僕の背中を焦がして
落ちていく様を
ずっとずっと見ていたんだろう
掻き分けた雑踏の先は
誰も居ないのにさ
彷徨い続けた
見上げた空だって
遠いのは分かってて
目が覚めた夢も
枯れていく草木も
投げ出した四肢に
腐り落ちていく幻想
誰かの浮かべた笑みに
その人差し指に
込められた意味を
僕は、知っていたから
生きていく理由を
何時だって求めて
眩んでしまった様に
この道の途中で
立ち止って振り返ったんだ
避けていく人混みと
頬に当たる冷たい風と
瞳を焼く様な太陽が
僕を突き刺していく
殺していく
死んでいくのは
太陽を腕に抱いた
僕の理想を
何時だって、そう。
落ちていく様は
それは、とても、綺麗で
世界は美しいと
笑ったのは
いつだったか
だれだったか。

