TRIANGLE -22ページ目
愛が零れる
君が語る物語は
何時も何処か甘く
まるで差し出された林檎の様
真っ赤な感情は罅割れる
その硝子玉は一体何を見てる?
濁った虚ろなその瞳は
何処へだって行けるのだろう
夜の煌びやかなレースを
土で汚しながら
何時までも何処までも
引き摺り歩くんだろう
堕ちてしまった星屑は
何度も踏み付けられて
それでも光り続ける
瞳を刺す光の先を
何度も指先で追い縋って
世界は変わらないでしょう
愛で雪いだ感情は
奪われない様に抱きしめて
君は何処にもいないでしょう?
愛は静かに浮かぶ
開いた白紙のページに
君は何度も泣いて
何度も愛を囁いて
恋を踏み潰した
気付いていたんだろう
転げ落ちたその硝子玉を
蹴飛ばした先で君は
何も言わずに笑って
独りっきりの愛の物語は
静かに自分を映す鏡で、
追いかける両目の硝子
知らないのは記憶を並べる
パズルは誰にも解けないでしょう
顔を覆い隠して
微かに覗いた口先は
悪魔の言葉を代弁する
花束は枯れていく
両手で差し出した
事実は割れ落ちた窓の奥
種はいつまでも芽吹かない
まるで狂ってしまう様に
苦し紛れの言葉の合図
燃え落ちる
腐り解けた
崩れ落ちた共感は
誰にも分かりはしない
撃ち落とされた翼
喉の奥を湿らせる
懸念はとうの昔に殺した
危険な事に変わりはない
ただ誰も手を伸ばさないだけ
この硝子玉は
誰に差し伸べられた
入れ替わった椅子に
静かに悪魔は腰を据える
代弁者はかくも騙る
咲き誇る懺悔の花は
どこまでも胸を貫いて
忘れはしないでしょう
自由を望んだのは
悪魔の愛を呑みこんだ証拠
追いかけた筈の硝子玉は
転げ落ちて何時までも
愛を語るには遅い時間で
繰り返す
その言葉を
その瞳を
何度も辿る
伸ばした手は
静かに弾かれる
自分を中心に
回り出した世界は
遠心力の外へ
僕を取り残してく
その冷え切った瞳は
涙に濡れていた事
喉の奥が乾いて
嫌になってしまったと
笑ってしまう事を
痛みを伴う愛を
傷だらけの両手で差し出す
いっそ笑ってくれよ
何度繰り返して
その胸に刺し貫いた
大切なものなんて
いっそ殺してくれよ
何度辿った先で
僕が消えてしまえばいいと
君を最後に見つけた
この両脚は
君までは続かない
まるで愛せないようだね
僕のこの言葉は
君を捕まえる為だけの
何の力も持たない
無力な枷みたいに
引き千切られた鎖は
引き摺られて堕ちていく
抱きしめたって
何の意味なんてないんだ
其処に愛だなんて
そんな綺麗なものはなくて
まるで汚れてしまった様に
笑えないなりに
理由を求めてしまって
嗚呼、君は僕を殺す様に
愛を丁寧に差し出して
まるで毒の様に
一つずつ壊していく
君まで伸ばした両手は
誰にだって掴めやしないのに
辿った足跡
振り返る背中は
何一つ見えやしなくて
笑えないのは理由があって
泣いていけないのも
全部全部僕のせいで
捨ててしまいたい感情は
入れ替わる様に
目まぐるしく移り変わる
本当は知っているんだろ
笑っていたって
泣いている様な表情で
吐き出した言葉の先を
君に向けて殺したって
何一つ変わらないんだろ
握りしめた掌は
爪立てて笑う
それは哀しいからか
追い付けない足跡は
呼吸が出来ない程に
溺れてしまった僕の
数少ない本音だろうね

