落ちていく

林檎の果実

追いかける様に

翼を折った

純白は

静かに穢れる


『それは、誰の祈り?』


貴方が望んだ

綺麗な世界は

いつしか、

汚くなってしまって

『今日』を願う事を

諦めていた


貴方は誰?

此処は何処?

どれが願いなの?


腐っていく

私を繋ぐ鎖

首輪は願いを悟る

錆付いた感情も

捨てる前に刺した


足元に広がるのは

歩いてきた血の跡

茨は何度も踏んで

刺さった針の温度

貴方を失うと笑った


『誰の、願い?』


貴方は、何処にいるの?

引っ張られた

黒い足枷が

涙を引き摺る

縺れた足音

砕かれた願いは

腐り落ちた翼の中に見た


『誰が、祈る?』


林檎は、戻らない

貴方の手元には

偽りの楽園だけ


薄紅色が

ちらちらと陰る

春海の死線

撫ぜるのは

凪の風


隠し事は

増えていく

出来ない事も

言えない事も

貴方は

知らないのに


掌で触れる

海の中で

足掻く、

抜けていく

酸素

伸ばした

腕の先で

薄紅は

翳す

それは、

誰の××?


嗚呼、

終わる

また今日も

同じだ

越えられない

爪先で

弾く

その先で

春色を殺す


呼吸は

止まる

僕は

絶えない

浮付いている

何処からか

流れる

音、

おと、

オト。


またね、

また僕が

呼吸出来るまで

生きていられるまで

薄紅が

視界を

覆うまで


またね、


行き詰りの壁際で

笑ってる仏像蹴り飛ばす

未来なんて明るいもん

始めからありはしねぇ


馬鹿と天才は紙一重で

アイツの笑った顔の裏で

思う感情に拳銃を向ける

両手を翳した腕の隙間

見据えた視線はまるで、


人差し指3センチ引いて

腐り切った人の匂いが

路地裏で噎せ返った

喉奥に突っ込んで

引っ張り出した言葉は

アイツには届かない


走り出した路地の先

壁は行き先を塞いでる

聞きたくない音ばかり

この世界に満ち溢れて


嗚呼、この世界は実に生き辛い


俺ばかりを拒んでいる様だ


振り上げた片足を

崩れかけた木箱に乗せる

見下す様に見てきた黒猫は

失わせた視界の中

溺れる様に喘いでいる

掌の中で冷たくなった

まるで俺の人生みたいだ!


街中に響き渡る破裂音に

俺は知らず知らず口の端を上げた

なんと幸せな事か!

あの仏像はもう視界には入らない

ざまぁみろ、ざまぁみろこの野郎!

俺の人生は、俺だけのものだ!


この世界が、俺の未来だ!


色、が


綺麗に滲んだ


空は、遠い。


冷たくなった


身体は悲しく


軋んだ心は


寂しかった


気付かない様に


気付かれない様に


優しいままで


美しいままで


この色彩に溺れる


鮮やかな空は


私を置いていって


色を。


色に。


描いた


放物線を


なぞる様に、


君の頬に


触れる様に。


茜の空は


紺碧に溶け始めた


傷口は


柔らかく包む様に


口付けた


景色は、


もう見えないよ。


悲しいね、


哀しい、


とても


綺麗なのに


どうしても


悲しくて


君の手を引くんだ


同じ帰り道を


下っていく様に


色に、


おちていく。


手折る様に

祈りを砕いた

分かりやすい

件の運命


永久の願いなど

意味を持たずに


『私は貴方の幸せを願って、』


生きていれば

幸せなんだと

花咲く丘で一言、

添える様に呟いて

祈る十字を焼いた


指折る度に

焦燥に苛まれる

貴方は知っていますか

足音を鳴らして

近付くのは終焉の鐘

音は途切れる様に

小さく泣いていた


『この歌を捧げよう』


きっとそれは幸せ、

貴方が手を伸ばした

最後の時間

不満を零しては

苦笑いを浮かべるばかりの


偽善紛いの上辺の真実

それが貴方の為なんて

壮大な嘘を重ねて

でも誰も知りません

誰も分かりません

ただ其処に在るのは

小さな祈りだけ

明日を生きる事を厭わない

ただの小さな命だけ


ならそれを捧げようか

明日を生きる為だけに

腕を掲げて

掌を合わせて

指を曲げて

目蓋を閉じる、


貴方が笑っていられるなら

私が隣で笑っていられるなら