睫毛に乗り上げた

円らな雫は瞬き

滑り落ちて波紋

裾を翻しては

泣きそうになる瞳を

伏せて背を向ける


「――、貴方は」


続かないのは

伝えても意味がないから

無駄だと枝差しながら

微笑む貴方の隣は

もう誰もいない

赤い視界の中じゃ

見守る事すら

出来やしないのに


笑っている

彼の人は思い出せないまま

忘れていくんだろう

橋の上で泣き崩れる

袖で拭う目元

薄く桃色に染まり

貴方をその硝子に映して


「――のくせに、」


責める事など

誰にも権利はない

もうあの場所は

土に埋もれてしまった

最愛の場所へ


誰も、


還れない。


嫌い

嫌い

嫌い

好きじゃない

聴きたくない

貴方の考えなんて要らない

貴方の望みなんて知らない

どうして押し付ける?

どうして良いなんて言える?

何を求めてるの?

同意同調

緩和して規制。


望んでません

要りません

この身体に流れて

血管を突き破る

差し出したソレも

私からしたら腐って見える

ただの甲高い声に群がる姿は

まるで蟻の様

押し付け逃げ出す

口汚く笑ってる

マナーもルールも

貴方の中で完結

それではい幸せ。なんて

なんて滑稽で楽観的


それは本当?

それは真実?

嫌いなのに何を欲しがるの?

燃えた跡に残るのは灰だけ

吸い込んだ空気さえ焼けて

喉元から肺を焦がしていく

通行禁止

思考停止

規約は読み流して

上書き保存

何も言わないでよ

何も聴かせないで

耳を塞いでるのに

動いた言葉で全て分かるの


嗚呼、なんてくだらない

安直で反吐が出る

電波の環状線に

見つけた魚の泡

浮かんだ七色の色彩に

石を投げ入れた


咥えた飴に

見えない明日

振り始めの雨に

影を追いかけた


青空なのにさ

雨降ってんだ

きらきら煌めいて

地面で弾けてる

アスファルトの熱に

浮かされた様に呟く


変わらないよ

そんな簡単には

振り向いたその先で

君は笑いながら

背中を叩いて

僕の前を歩いていく


ばかだなぁ

考えても仕方ないのに

どうしようも無い事なら

考えなければいいんだよ

そう言った君は

ばかみたいに転げた


単純な思考回路に

明確な発言の中身

言葉の意味なんて

最初から、知らないよ

ならさ、これからでいいよね


咥えてた飴は

いつしか溶けてちゃって

降ってた雨も

気付けば止んでた

お安い会話の中で

世界を構築してくんだよ

どれだけ悩んでも

僕には解決できないから


笑って坂を下りようか

君の背中に向けて

鞄を投げ付けながら

ふざけた愛の言葉で

君は笑ってくれるから


お安い愛の言葉で

ふざけた世界を生きようか


ざらつく咥内

温度は皆無

ぼやけた視界

解像度は低いまま


君の言葉を咀嚼する

嚥下した奥で

折る様に肺が痛んだ

肋骨は響かせながら

飲み込んだ跡を

ゆっくりと追った


レンズは割れて

君は笑ってる

モザイク処理は

君が泣いてるから

嘘だよ、

ホント。


粘りつく様な

痛みを分け与える

気付かなくていいよ、

僕が知ってるから

手から力を抜いて

辿る様に散らばる


無表情に

硝子を映した


それが。


指先で見つめる

それは、何の世界?

美しいのは

見えてるものだけ

手の中じゃ

何も光らないから


速度は増して

その背を追う

貴方はきっと、


今、これを


弾き出して

泣き出して

翳したものが

正義だと嘯くなら

その旗を

打ち抜いて

焼いてしまえばいい

崩れかけた指標も

導けないなら

ただガラクタなんだから


また一つ、

上に重ねてみる

透明なそれを

濁す様に

波紋を広げてみる

爪が抉る

記憶も夢も

遠くに見えるなら

届かない様に


蓋を閉めて、

またそれを。

これを。


思い出してよ、

悲しいって言うなら

頂戴よ?

綺麗なものだけが

良いなんて、

誰が言ったの?


私は私、

貴方を飛ばす様に

片腕を高く上げた