TRIANGLE -107ページ目
僕の隣で
君が笑ってる
泣きそうな顔で
笑ってる
僕は。
今日も泣いている
不安定な心と
揃わない足並みで
二人手を取って
歩いてきたのに、
それが正しいんだって
寄り掛かって
寄り添って
そうやって
生きてきたのに、
気付かないうちにさ
君の事を忘れちゃって
振り向いても
見回しても
君の姿がないんだ
君を殺したのは
僕だったのに
意味もなく胸元を抑えて
笑えないで引き攣る顔で
何度も何度も
知らない君の名を呼ぶんだ
知らない事にも気付かないで
僕が君を殺したのに
僕が君を食ったのに。
今もう一度
僕の名前を呼んで
僕の隣で笑ってくれるなら
僕はきっと死んでもいいと
『君』になっていいと
そう思えるのに
僕の名前が死んでいく
僕の心が死んでいく
ずっと二人だった
ずっと一緒だった
君の名前が
僕の心から消えていく
君を食った僕の世界から
君が消えていく。
僕が生きていく。
広げた美しい景色と
過ぎ去った過去の吐息に
永遠の話をしようか、
二人ぼっちの
綺麗な物語を。
どれだけ語っても
何も変わりはしないよ
僕は知っているんだ
君の事も、
これからの事も。
温かい掌を
その頬に押し付けて
湿った感情も全部
拭ってしまえばいいね
きっとそれが幸せなんだって
綺麗事も一緒に並べて
この鮮やかな
鮮烈な記憶に残して
二人の言葉と
この心ごと全部
形を、音を、愛を、全部を
またもう一度
君と触れる為に
語っていくんだ
そしてまた
君を愛して、
呼吸をするんだ。
思い出さなくてもいい様に
耳を塞いでいたなら
苦しまなくて良かったのかな
分からないけど、
知らないけどさ。
そうやってるうちに
全部を抱え込んで
笑えないねって呟いて
一つ一つ丁寧に
傷口に触れていくんだ
僕は弱いから
何も見たくなくて
伏せ目がちに俯いちゃって
アルファルトに落とされた
視線だけが全部本当なんだ
幸せの一つも
この手じゃ救われなくて
それだけでいいんだよ、
なんて。
そんな嘘に泣きそうになるんだ
吐き出した言葉も
ぐるぐる回る世界も
嫌なもんだらけで
だけど僕が此処にいる事が
今までの全てなんだって
分かってるはずなのにな
笑えないんだよ、
苦しくて、辛くて。
言えない言葉で
足元も見えなくてさ
俯いた視界の中に
満ちていってしまうんだ
もうあのアスファルトも
茹だる様な暑さも
凍える様な寒さも
もう此処には何もないんだ
思い出したくはないけど
全部幸せだったんだって
今頃気付いてさ、
苦しくて悲しくて、
とても寂しいけどさ。
歩き出した君の背中が
もう塞がれた壁の向こうで
二度と会えなくなっても
なんでかな。
今なら生きていける気がするんだ
これが正しい世界の姿なら
きっと誰もが皆傷付くだろうけど
それでも僕は幸せだったって
言える気がしたんだ。
寂しいだけの
言葉の方向で
顰めたって
歪めたって
戻らないよ
戻れないよ
生きる事も
生きてく事も
死ぬ事も
死んでいく事も
全部全部理由を付けて
悲しまない様に
寂しくない様に
どれだけ重ねたって
意味なんか一つもなくて
失ってばっかりで
笑えなくなってばっかりで
そればっかりで
こればっかりで
泣きたくなるんだ
夢見たくなって
だけど罅入ってさ
割れちゃってさ
どうしもなくてさ、
今笑って
泣いて
怒って
歩き出した事を
君にもう一度
その瞳で見てほしくて
この頭ん中に浮かぶ
全部を否定したんだ
それでも良くて
それでも悲しくて
それでも僕は
君が大好きで、
この言葉も
この気持ち も
君への思いも
全部僕の心だ
ただ、それだけなんだ。
塞いで、塞いで
何も見ないで聞かないで
そのままでいて
何も変わらないまま
僕のまま
夢の跡に躓いて
曖昧に笑いを零す
何もかもが
綺麗にくすんで
白く溺れていく意識が
馬鹿みたいに笑い合う
愛を語る、
嘘みたいに触れて
繰り返した言葉の裏の裏
霞がかった記憶も
揺らめきながら
前に枝垂れかかる
嘘吐き、
退屈の合間に欠伸を隠して
二人ぼっち
足跡の向こう側で
誰かが手を振っている、
僕がいた。
愛を騙る
嘘ばっかりのクセに
正当化と偽善の背中
繰り返して触れて腐る
それだけの事だって
気付いてるクセに、
クセに。
僕を語る
本当の言葉が
蹴飛ばされた底のほう
耳にかけた髪の毛も
瞬きに揺れる睫毛も
きっときっとそうだって
憂う喉元に突き立てた
哀を騙る。
溢れだしたのは
悲しいだけの幸せと
軋んだ心の深いところ
本当はそうなんだろう。
だろうって、
そう言って。
語る、
騙る。

