返り花人とは迷ふものなりと
「方円」2023年2月号円象集掲載。
何度か紹介した季語かもしれないが、改めて。
「返り花」とは、小春日の暖かい気候に誘われて、季節外れの花が再び咲く事。一般的には「帰り花」と書く事が多い。「忘れ花」「狂い咲き」とも呼ばれる。俳句では専ら桜の事を指すが、他にツツジや山吹などもこう呼ばれる。いつも散歩するコースの近くに中学校があり、その通学路に桜並木がある。大方冬には裸木になっているが、時折咲いている花もある。ちらほらと咲いている花は、どことなく遠慮がちに見える。この時私は悩み、落ち込んでいたのだろう。恥ずかしながらその時の自分の心理状況は忘れてしまったが、みんな悩みながら生きているんだと、妙に納得したのは何となく覚えている。そんな情景と心理状態を詠んだ句。
今年は例年より気温が高い日が続き、畦道には未だにアカマンマが色付いていた、カンナの花がまだ咲いていたりする。最近になって、漸く冬らしい気候になった。今日もこの寒い中咲いている桜を見たが、果たして「帰り花」なのか「咲き残り」なのか。どちらにしても、こんな寒さの中で咲いている事に感銘を覚える。今日見た桜も小さく、向こうを向いていた。「咲く時期を間違った。自分は場違いだ」とでも言いたげに。気休めかもしれないが、「そんな事はない」と言いたい。どんな生物も生物社会の一部なのだから。
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