掠れゆく飛行機雲や小春空

 

「方円」2012年1月号特別作品「生放つ」15句より1句。

「小春」とは旧暦10月の異称。立冬を過ぎてからの春のような暖かい晴れの日を指す。そんな季語がぴったり当てはまるような晴れの日、空を見上げると飛行機雲。飛行機はすでに遠くに飛び去った後。飛行機雲は他の雲に紛れて、やがて消える。じっと見つめながら、雲は形を変え、やがては消え去る運命なのだという事を、改めて感じて詠んだ句。

11月は暦の上では秋と冬の境目。立冬を過ぎたら冬という事になるが、なかなかそんな実感が沸かないというのが正直な所だろう。実際、各地の紅葉の名所は、11月中旬頃が見頃という所が多い。紅葉を詠もうとしても、季節は既に冬。暦に忠実になるなら、紅葉という季語は使えない。仕方なく「冬紅葉」「散紅葉」を使わざるを得ない。世間一般の意識では、今は秋真っ只中。俳句は季節の変化が早い。そこまで季節にこだわる必要はないとは思うが、長年有季定型の伝統的俳句に携われば携わるほど、今使いたいのに使えない季語というジレンマに陥りやすい。景色は景色、俳句は俳句と、分けて考えた方がいいのかもしれない。

 

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