梅七分大日像は印結ぶ
「方円」2005年4月号雑詠掲載。
今から20年前に詠んだ句。場所は恥ずかしながら忘れてしまったが、真言宗系のお寺の境内か周辺の梅林と思われる。梅が満開とは言わないが花の色、香りが目立つようになった季節。本尊の大日如来は静かに印を結んで、世の平安を祈る。お寺にはありふれた光景だが、ギスギスした今の世の中でこそ鑑賞したい句。そう言えば大げさかもしれないが、そんな意味で選んだ。
調べたところ、大日如来とは密教では中心的な存在で宇宙そのもの。宇宙を動かすエネルギーでもあり、身の回りすべてに存在するという。よく見かける印の結び方は金剛界の大日如来が結ぶ「知拳印」というもので、大日如来の知恵を表すという。私の勝手なイメージとしては、縦に突き立てた左手の親指を右手に持って、さらに右手の親指を上に突き立てる、いわば「イイネ」を縦に並べた印だと思っていたが、実際は「左手を握りしめて人差し指だけを立て、その人差し指を右手で覆うように握り、この時右手の人差し指と親指で左手の人差し指の頭を押さえる」というのが正しい印の結び方だという。言われてみればそんな結び方だった。私たちが仏を見るとき、たいていは顔だちを見て、全体をあまり見ない事が多い。全体を細かく見ることによって、新たな発見がある。これを句作のヒントにできれば。
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