苔纏ふ土塀の甍余寒なほ

 

「方円」2022年4月号特別作品「穏やかなれ」15句のうちの1句。

この年の1月末、方円代表の先生より切羽詰まった様子のLINEを頂く。方円4月号に特別作品を寄稿する予定だった方が辞退されたとの事。誠に申し訳ないが、急遽2月締め切りで15句送って貰いたいとの内容。それを引き受け、色々吟行へ出かけた。この句は奈良・當麻寺へ赴いた際の一コマ。このお寺は何度か訪れているが、冬の万両の他にも見どころが多い。庭園の隅に土塀があり、苔に覆われて、瓦が緑色になっている。2月のまだ寒い中、逞しく生きている苔の生命力を詠んだ句。

「余寒」という季語と「春寒」という季語がある。暦の上では立春を過ぎたら春。とはいえまだ2月。まだまだ雪も降るし寒い日が続く。「余寒」とは「残る寒さ」とも言い、寒明けの寒さを指すのに対し、「春寒」は立春を過ぎてからの寒さを指す。前者はもう既に春になっているがまだ寒いという感覚を表すのに対し、「余寒」は寒が明けても寒さが残っているという感覚を表す。そう考えれば、今のこの時期は「余寒」と言うべきか。「寒さ」をより強調するなら余寒、「春なのに寒い」ならは春寒。どういう光景を詠むかによって使い分けが必要だ。私はいまだに悩む場合が多い。ご参考に。

 

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