苔むせる尊徳像や建国日
「方円」2009年4月号雑詠掲載。
2月11日は建国記念の日。この日は神武天皇の即位日とされ、戦前まで紀元節と呼ばれていたが、1948年に廃止。1966年に再び国民の休日に制定されたため、建国記念の日は春の季語とされる。この句で詠まれている「尊徳像」とは、昔小学校の校庭によく建てられていた二宮金次郎像の事。最近はすっかり見なくなった。二宮尊徳とは、江戸後期の農政家で、経世済民を目指して報徳思想を唱え、報徳仕法と呼ばれる農村復興政策を指導した人物。幼少のころに家計を支えるため働きながら学んでいた姿を、薪を背負いながら書物を読む姿として銅像や石像にして、努力・勤労のシンボルとしていた。2009年の建国記念の日、そんな像を旅先の小学校の前で見た。かなり古くて苔むしている。この像は、昔から生徒の成長を見守っていたのだろう。そこに長い歴史を感じて詠んだ句。
この像について、「歩きスマホを助長させる」という保護者の抗議があり、いつしか座って薪を横に置いて書を詠む姿に変えられたという話を聞く。まあ、ごもっともなご指摘ではある。一方、それを想像させるのは親の発想であり、子どもの自由な発想力を親が阻害するのではという声も、実際に聞いてはいないがあったかもしれない。両極端な意見ではあるが、いずれも否定できない。私は別に金次郎像が学校にあろうがなかろうが別に何も思わない。ただ、こういう意見のぶつかり合いが仮にあったとすれば、できれば子供の無限の発想力・可能性を、新芽のうちから摘み取ってしまって欲しくはないなと、ただ思うばかりだ。
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