石垣に猫の居座る四温かな
「雲の峰」2025年3月号誌上句会主宰推薦句。
冬、寒い日が3日ほど続くと、次に暖かい日が4日ほど続くと言われている。これを「三寒四温」と呼ぶ。春へと季節が一進一退と誤解されがちだが、そうではない。また「三寒」と「四温」を分けて使う場合もある。この句は和歌山城を訪れた時の一コマ。天守へと続く石垣の中腹に、猫が座ってじっとこちらを見ている。目が合っても逃げるでもなく、ただそこにじっと居座っている。そこで冬日の温かさを噛み締めているようにも見えて詠んだ句。
猫は人間よりも身軽で、高いところに容易に上ることが出来る。なので、石垣の中腹にも軽々登り、そこでじっと日光浴などをする。人はそれほど身軽ではなく、きちんとした道を歩くことしかできない。天守の最上段も絶景だが、猫がいる石垣の中腹から城下を眺めれば、また違った景色が見られるに違いない。山も頂上と中腹では景色が違う。景色が違うと感じることも違う。俳句や詩歌に於いて、そうした視線の違いは、言葉のチョイスも変える。一度あの視点から周囲を見渡し、普段とは違う感覚を持ちたいものだ。
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