春泥を踏みしめ愛宕詣でかな

「雲の峰」2025年5月号青葉集掲載。

「春泥」はその名の通り春のぬかるみの事。春先は雨量が増え、気温もまだ低く、土がなかなか乾かない事がある。また雪解けや凍解けによってぬかるみが発生する。これを春の季語としている。2025年の春分、愛宕山へ出掛ける。京都の北にある、標高924メートルの山。山頂の愛宕神社は防災鎮火の神様。ここで貰える火除けの札が、我が家の台所に貼ってあったが、古くなったので、いつか貰いに行かねばと思っていた。雪まだ残る山道、無事に登り切ってお札を貰い、別のルートから下山。その道は雪解けのまさに「春泥」で、下り坂という事もあり、足元がおぼつかなかった。それでもしっかりと地に足を付けて下山した。私にとって経験したことのない高さの山だったが、無事登り切った喜びを詠んだ句。

この山を登るのに、しばらく躊躇していた。924メートルという標高も原因だが、色々調べてみると「遭難が多発」「初心者は一人で登ると危険」などと書いてあった。私が登る山と言えば、せいぜい200~300メートルほどの低山。本当にそんな山に登っていいのかと躊躇していた。しかし、登山ルートがしっかりしていたので、早朝に出掛ければ大丈夫。休憩を多めに取れば行けるだろうと、まずは行ってみる事にした。行ってみると、所々に道標があり、迷うこともなく、そこまで険しい坂もなかった。事前情報としてネガティブな言葉を見つけてしまったら、どうしても尻込みしてしまう。実際やってみないとわからない。当然そういう注意喚起も頭に入れる必要はあるが、そればかりに捉えられてはいけないと学んだ登山だった。

 

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喧噪や喇叭水仙立ち尽くす

方円関西句会2002年4月出句作品

「水仙」は冬の季語だが、「黄水仙」「喇叭水仙」は水仙とは別種で、春の季語とされる。以前所属していた結社「方円」は地域ごとに月例句会を開いており、関西句会は京都会館(現・ロームシアター京都)の会議室で行われていた。この時は欠席投句だったが、後日「一番評判が良かった」と言われた。30代前半に詠んだ句。技量未熟な点はご容赦頂きたい。以前住んでいた家は閑静な住宅地。そこに幹線道路が開通し、徐々に賑やかになってきた。そんな家の軒下に、喇叭水仙がひっそりと咲いている。「喇叭」と言えば賑やかなイメージだが、静かに咲いている様子が、町の喧騒を避けているように思えて詠んだ句。

「人の口に戸は立てられない」という。この意味合いからは外れるが、最近特定の出来事に対して、ネット上で猛然と批判し、誹謗中傷する傾向が強い。文字として残るので、特に目立ってしまう。瞬間頭に浮かんだ思いを、やり切れなくて書き留めておこうという衝動によるものだろう。かっては当事者に電話で直接物申すのが主流だった。文字に残ったそれらの言葉に他人が反応して、ネット上で言い合いが始まるというのが世の常。誰しも心の中では思うところがある。それを口に出してしまった段階で、自分だけの意見ではなくなってしまう。それが根拠のないもの、自らの感情だけに由来するものであっても、他人に見える形で残ってしまう。「言論の自由」という鉄則があるが、他人の気分を害してまで主張する言論は、自由の範疇を越えている。確かにどこまでが許容範囲なのかという線引きは難しいが、少なくともこういう事象が続いてしまうと、喧騒の中の喇叭水仙のように、そこに咲く事自体憚られるという考えに至って、最悪の事態を免れない。そうなった場合に、誰も責任は取れないだろう。特にこのご時世、一旦自分の口や頭に戸を立てて、本当に公にしていい考えなのかを確認するという姿勢が、特に重要になってくる。かく言う私も、これらの言葉に反応している段階で、こうした事を懸念する資格は微塵もないし、かつてそういう言葉を発する側にいた事もあった。「お前が言うな」「いい子ぶるな」という批判もあるだろう。それでも言わずにいられなかった。何卒ご容赦の程。

 

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暫くは人来ぬ郷や雉鳴けり

「方円」2012年5月号清象集掲載。

雉は日本の国鳥。春の繁殖期に己の縄張りを主張するため、「ケーンケーン」と高い声を出す。「人来ぬ郷」という表現をしているが、ここは奈良県明日香村。観光客がひっきりなしに来る場所でもある。しかし、観光エリアから外れると、普通の村であり、田園風景。普通の生活がある。そんな静かな明日香村に、雉が声を張り上げて鳴く。人の気配はないが、普通の生の営みがそこにはある。そんな光景を詠んだ句。

私の職場は京都市の南の方。通勤に近鉄京都線を利用している。奈良から京都までを走る路線で、電車には外国人観光客がよく乗っている。最近はその数が増えている気がする。こんな所にもいるのかという場所でもよく見かける。京都は一大観光都市。同時にそこで生活を営む人もいる。雉が鳴いていた明日香村は、観光エリアと生活エリアが明確に分かれているという印象が強かった。しかしオーバーツーリズムが叫ばれる昨今、人の営み、生の営みというものが脅かされるのではないかという懸念がある。どの地にも住民がいて、生活を営んでいる。それを忘れないように、土地の人たちに敬意を示すことが出来ればいいのだが、そう考える人ばかりでもなさそうだ。案じられる。

(絵はAIによる創作です)

 

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枯苔の貼り付く岩や冴返る

「方円」2008年5月号雑詠掲載。

「冴返る」は春の季語。「寒戻る」と同じ意味として使われる。暖かくなりかけた頃にまた寒さが戻る事を指す。一方「余寒」は寒明け後すぐの寒さの事。どちらかというと「まだ寒さが続く」という表現で、「冴返る」とは異なる時期を表している。寒さが戻ったとある場所の川辺。大きな石に染みのようなものが付いている。よく見ると、枯れた苔が岩に張り付いていた。いかにも寒々しい光景だが、苔の必死に生きようとする姿が、春の寒さの中で鮮明に目に焼き付いて詠んだ句。

読み返してみると、この句はあまり感心できない。まず「枯れる」と「冴返る」が季重なり。この場合は「冴返る」の方が季語としては強いが、「枯れる」という一見季語と見間違うものを入れるのはあまり良くない。しかし、実際見たものは枯れた苔が岩に張り付いている様子。それならば「枯苔」よりも、別の言い方をするべきではないか。今はどの季節喉の場面を詠もうとしているのかという事を、見る人にはっきり示すような言葉を選ばなければ伝わらない。そう考えたら、こんな風に校正できる。

冴返る巌に残る苔の跡

そうすると、今度は「冴返る」という季語が合っているのかと考える。校正は何度行っても良いと知ろう。

(絵はAIによる創作です)

 

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薺咲く奥処は子等の秘密基地

「雲の峰」2025年5月号青葉集掲載。

薺は春の七草のひとつとされるため、単に「薺」なら新年の季語。「薺の花」や「薺咲く」など、花にフォーカスを当てると春の季語になる。どこにでも咲く白い花。アブラナ科というだけあって、小さな菜の花のような形をしている。母校の中学校にほど近い田園風景。引っ越し前はこの辺りを朝の散歩道としていた。その一角の畑に、薺の花が沢山群がっている。その後ろは竹藪になっていて、奥に何があるかは伺い知れない。子どもはこういう場所を「秘密基地」と称して遊ぶのだろう。そんな想像を巡らせて詠んだ句。

昔の子供たちは、自分たちで遊びやゲームを作り出し、自分たちでルールを決めて遊んだ。ものを考えだす想像力、実際に作り出す創造力は果てしないものがある。今の子供は、市販されているゲームで遊ぶ。ある程度の想像力は必要なのだろうが、大方のストーリーやルールは出来上がったもの。昔のような創造力はそこまで必要ない。子どもだけではなく大人も、巷に文字として溢れる種々雑多な情報を鵜吞みにして、自ら考えることなく妄信する危険性を孕んでいる。大宅壮一が述べた「一億総白雉化」という、私の大嫌いな言葉がある。曰く、テレビなどの低俗なメディアが人間の思考力を低下させると。そういう貴方はどれほどの知識と知恵を持っているのか。持たざる人間を下に見ているのかと、私はややひねくれた見方をする。しかし、そう言わせるほど、様々な情報がオードブルのように並べられているのも確か。かく言う私も、この言葉に怒っている段階で、巷に溢れる情報の虜になってしまっている。もう一度昔に戻って、想像力と創造力を高める事も大切だろう。何もない野原に秘密基地を作った子どもの時のように。

 

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