家庭の社会経済的背景と子供の学力 -努力してもダメか?
特に目新しい話ではないのですがこうやってきっちりデータで見
せられると淋しい気持ちになってしまうのが家庭の社会経済的
背景(SES)と子供の学力の関係の話です。SESは両親の学歴
と世帯の収入から割り出した指標でそれと文科省の学力調査正
解率の相関関係を調べたものが公表されています。元データを見
てみるとたとえば小学校の算数Bでは一番低いSESの層の平均
正答率が47.7で最高層が70.3と驚くべき格差です。ただ、SESが
高い層ほど学力が高いという話はある程度仕方がないとは思って
いましいた。
しかしもっと驚いたのは、SES最下層の子供が1日3時間勉強
して獲得する学力の平均値はSES最上位層の全く勉強しない
層の学力を下回っていることが統計的に優位だということです。
平たくいうと「貧乏低学歴の両親の下での子供はいくら努力して
も金持ち高学歴の両親の子供にかなわない」です。自分の感覚
だと別に家庭がお金持ちでなくても努力すれば認められる
社会だと思っていただけに悲しい気持ちになりました。
ただ、救いは学校によってはこのSESを超えた成果を上げて
いる学校があるということです。つまり、学校の指導によっては
SESによって想定される以上の学力を出しているところがある
ということです。家庭学習のフォローや少人数指導などかなり
学校が丁寧な指導を行っているといると学力は高まるようです。
また、低いSESの層が集まる学校の学力のばらつきは多い
ですが、高いSESの層が集まる層の学力のばらつきは低く
見えました。低いSESの層が集まる学校の中にはいわゆる
吹き溜まりのような超低学力の学校が少なからずあるようです。
日本も悪い意味でアメリカ化が進んできている気がします。以前
自分がアメリカでリムジンを雇った際に運転手と話をしました。
彼は中近東の国(どこか忘れました)からの移民でしたがニュー
ヨーク近郊のホワイトプレインズ(日本人大企業の駐在員など
も住む比較的高級住宅街のある市)に住んでいると言ってい
ました。かなり、自分の年収的にはこのような街に住むのは
大変なのだが自分と妻はほぼ無休に近く働き、子供をお金持
ちの優秀な子が多いホワイトプレインズの公立学校に通わせ
ているのだと語っていました(思わずチップも弾んでしまいこれ
も彼の戦術かもしれませんが・・・)。彼は子供が割と勉強が
できいい大学に行けそうだと嬉しそうに語っていましたので
これ自体はいい話だと思います。しかし、アメリカでは完全に
住んでいるところで公立の学力差も絶望的に格差があり、格差
の固定化が進んでいます。このように親が相当無理をしないと
子供も這い上がれないわけです。
確かに日本の財政は苦しいとは思いますが、少人数学級やき
め細かい学習で子供をフォローしていただきたいとおもいます。
このような分野は将来への投資ですから個人的には年金など
よりも大切と思います。教員の方々からつまらない書類仕事や
無駄な会議からは解放して子供の教育に実際にかける時間を
増やしてあげてくださいと切に思います。
以下にデータがあります。ある程度わかっていたこととはいえ
データで見ると結構衝撃的でした。
石油会社はなぜ統合したがる -出光と昭和シェルの経営統合より
出光興産と昭和シェル石油が経営統合しました。日本経済新聞を読む
限り、ロイヤルダッチシェルがとにかく儲からない日本での石油精製・
販売事業から撤退したがっていたのが読み取れます。
では出光・昭和シェル側の統合メリットはなんなのでしょうか?記事で
は一体運営による生産・輸送の効率化が挙げられています。しかし、
製油所は閉鎖せず、工場は別々に6か所あるわけですから生産の
効率化は限られたレベルかと思われます。輸送費については昭和
シェルで約400億、出光で約680億で両者を合わせた際の7兆円を
超えるコスト構造から考えるとあまり大きいとは言えません。
製油所も明らかに被らないのは出光の苫小牧製油所くらいで昭和
シェルの川崎と出光の市原、昭和シェルの四日市と出光の愛知県
知多がなぜ地域的重複がないといえるのか理解に苦しみます。
両者のガソリンスタンド7000は当面ブランドを維持していくと発表
していますが、「過当競争」を防ぐためには再編は避けて通れない
道だと思います。
多分現状で本音を言うと大騒ぎになってしまうので出さないと思い
ますが、本丸はブランドを統一して、ガソリンスタンドや精油・備蓄
施設の大幅な統合でしょう。その結果生産・輸送の効率化も図れ
投資余力も生まれます。「対等の精神」も経済合理性の面で割り
きって両者区別なく対等に行うならいいですが、「たすき掛け」
や「痛みは対等に」のような「経済合理性を欠く対等」だと、ダメな
巨象ができるだけでしょう。
吉本興業の減資 -単なる税金逃れ?
ついにというか、いわゆる有名大企業で税制上の中小企業優遇を
堂々と使おうという実例が出てきました。日経の記事では財務の
改善を図るためと書かれていますが、資本金から資本準備金に
振り替えても自己資本の中の科目振替にすぎないですから全然
財務指標も改善しません。よく減資で見るのは減資して繰越損失を
会計上はいったんなくすという方法ですが新聞記事を読む限り
そのような例には思えません。
ただ、大企業の欠損金の繰越控除が平成29年4月開始事業年度
からは繰越控除前所得の50%しか認められなくなる予定なので
欠損がある大企業にとって減資をしたくなる誘因は高いと思わ
れます。たとえば10億の欠損がある会社が業績が回復して10億
の税引前利益があったとすると中小企業は10億-欠損10億で、
所得はゼロとみなされ税金はかかりません。しかし、この例だと
大企業は50%の5億しか認められませんから(10億-5億)x25.5%
(現行の税率と仮定)=1.275億も法人税だけで負担しなくては
なりません。また、資本金が1億円を超えていると外形標準
課税がかかり赤字でも課税されます。
この例は脱税ではありませんが租税回避と言えるでしょう。私は
違法ではないが法が意図していない経済合理性の乏しい行為に
よって税金の負担を免れる行為を租税回避だと思っています。
ただ、これも資本金の額で大企業か中小企業か分けるという
税法の経済活動に合致しない条文に問題があると思います。
大企業に対し外形標準や欠損金の繰越控除の制限で増税を
していけば当然このような行為は続出してくると思われます。
「点滅信号みんなで渡れば全然怖くない」です(違法ではない
ので点滅信号)。早期の税法改正が望まれます。
ただ、吉本といい前回のシャープといい、関西系の大企業から
このような例が出てくるのは「どこが悪いねん!」という感じで
なんとなく笑えます


