ロードでのフルマラソンのPBが4時間ちょうど。トレイルでもほどほど。山岳ウルトラでの最高走行距離71Kという、どこにでもいる市民ランナーな私が偉そうに講釈垂れるのは気が引けるが.....自分自身、「ベアフット系履き物」の魅力に、ここ4ヶ月ほどはまっている。

近年のランニング界において、ベアフット、またはベアフット的履き物(足袋であるとかサンダル等、シューズの形態から外れた者まで含め)を「良し」とするか/否か?は、まるでマルチンルターの宗教改革的ランニングイデオロギー。または、歴史的宗教 vs 新興宗教的センシティブさを感じさせる。ビブラムファイブフィンガーの効能に対する訴訟問題が発展する米国など、もう、端から見ていて「病気ですか?」という感じ。クリストファー・マクドゥーガルのベストセラー Born to Run へのアンチテーゼ臭がする。ま、あの本事態、米国的センセーショナリズム断定に充ち満ちていて、心にじーんとしみいるストーリーと「コイツ何様?」ならせん二重構造であったけれど。

自分の周りでも、自分個人として「ベアフット系」を履いて楽しむ分には問題ないが、ラン友に「いいわよぉ~」と漏らしてしまうと突然、友が半歩後ろに引く感じ。いやはや、異端者となりつつある自分を感じる。信仰するのは個人の勝手だが、布教(と思われる行動は)するべからず!

私の場合、「ベアフット系」を日々のランニングに取り入れて以来、長年の悩みであった股関節の痛みと、昨年末から出た座骨神経痛から解放された。だから、効果、というか、ご利益あったから、ベアフットに転んでしまった訳だ。ベアフット系とシューズ、履く頻度は半々。長距離を走る日は、今でもシューズを履いている。履き物変えたから痛みが治まったとは思っていない。走り方を変えたことが、根本的変化の元だと確信している。

単なる思い込みだが、着地がフォアフットか?かかとか?なんて問題ではない(シューズ履くとかかとの厚みで、自然にかかとが先に地面に触れるし)。シューズを履いていた時は身体の重心より前で着地していたものが、ベアフット系で走って、重心の真下で着地する感覚を自覚出来たことが一番大きい。いろいろな書物や雑誌で「重心の真下着地」について知識を得ていたが、シューズを履いている限りそれを試みても出来ているか/いないかを実感出来なかった。一方ベアフット系履き物は自分の走り方がシビアに感じられ、重心の前着地と真下着地の違いがハッキリと身体で体感出来る。

ベアフット系履き物は、自分の走り方をより直接的に感じられるところが優秀なのだと思う。

ま、布教すると友だちをなくしかねないので自粛しよう。自分自身にとって、痛みや故障から解放されたのだから、それで充分ではないか。

ところで、ミニマリストという言葉も最近よく見かける。ミニマムランニング。ハイテク機材やギア、シューズやサプリ、トレーニング計画から自由になる。最小限のものだけ身につけて、心のしがらみも軽く軽くして走る。ということだろう。ミニマリストの多くはベアフット系であるようだが、その逆、ベアフット系がすなわちミニマリストかどうか?そうじゃない場合があるし、自分自身、ベアフット系だけどミニマリストにはなれない。

元々、ランニングに限らずギアやガジェット大好き!駆使してはいないけど、何を買ってもある程度まで使いこなすことを是とするポリシー。サプリも愛用している。新しいもの大好き。であるからして、ベアフット系履き物というのも自分にとっては、使いこなしたいギアのひとつなのだ。

いや、これは危ないぞ。ヘタをすると穏健派のお友だちから見ると「尖ったベアフット」で、ミニマリスト/ベアフットのみなさんの目には「堕落した走資派」と映るかも。うむむむむ。どこにも居場所がなくなるって。むむむむむむむ。
The Himalayan Times紙に拠れば、元ネパール国営Nepal Telecom以外の携帯電話からは、警察と救急車依頼の緊急無料通報番号にしか電話できないそうだ。以下備忘録も兼ねて、ネパールの緊急通報電話番号をあげる。

ネパールのトレイルを走る時、万が一の連絡や救援のため、カトマンズでネパール国内の携帯電話を購入する事を強く勧めたい。パスポートコピー(写真記載面だけでなく、有効なネパールビザ記載ページコピーも必要)、パスポートサイズ写真1枚を添え、窓口の申込書に記載し指紋押捺が必要。SIMカード式のスマホであれば、日本国内キャリアでSIMロックを解除してあればカードを差し替えるだけで使用できる場合もある。ただし日本の電話機のSIMロックを解除した場合、割引契約の条件等に変化が出ないか、ご自分で自己責任で十分にご確認願いたい。

ネパールで新規に電話機購入するとしても、ガラゲータイプのものであれば2千円前後から。安全を買うと思って確保したい。

Ncellは、ネパール全国都市部や(外国人が行く)かなりの村落部も圏内となっている。トレイルや山岳地帯では圏外となる事もあるが、メジャーなトレッキングルートではかなり通じてしまう。近年、「携帯の圏外」を売り物にしているリゾートホテルなんかもある(世俗と遮断される贅沢)。

キャリアの選択については、時間とコミュニケーションが限られた旅行者にとってアクセスの面から、民間最大手Ncellに限られると思う。市内各所に支店があり、その他携帯電話ショップでもSIM購入可能。SIMのサイズ形状に併せ販売してくれる。

100 警察オペレーションセンター
101 消防署(火災のみで、救急は管轄外)
102 救急車依頼(火災は101)
103 交通警察(交通事故等)
104 行方不明の子供捜索
105 カトマンズ地区国軍
106 国軍警察
1111 ネパール政府直属「目安箱」(政府の不正、不便等の相談) 

Nepal Telecom (NTC) の携帯電話からは上記の番号全てに繋がる。ネパール最大手の民間Ncellの場合、警察(100)と救急車(102)のみ通話可能。

UTL等大手2社以外のキャリアでは、どの緊急番号にも繋がらない。 

この原因であるが、1から始まる緊急電話番号システムはNTCが構築しており、そのネットワークに他社回線が繋がらない事である。NTCはこれらを無料公開していると主張するし、一方民間はNTCが非協力的で回線接続に消極的であるとの見解。事実大手民間Ncellは、警察と救急車については独自に自社ネットワークを構築し、サービスを提供している。

普通に生活している部分では、緊急時に警察と救急車に連絡できればまず問題ないのでNcellで良いが、問題なのは、普通の電話回線への繋がりやすさである。警察は別として、一般サービスの信頼性は低い。いざという時公共サービスに頼るのではなく、個人対個人のネットワークでの救援を連絡する方が確実である。そんなとき、家族や親しい友人の携帯に「繋がる電話回線」が不可欠だ。

しかし、回線能力を超えてSIMカードを販売しているため、時間帯やエリアによっては「Network Busy」で絶望的に回線が繋がらない。 このためネパールで販売される携帯電話機の多くは、2枚のSIMカードが一台で使える機種である。NcellとNTC、別のキャリアのSIMを入れておき、その時々の状況で使用している。また会話回線普通の場合も、ショートメッセージSMSはかなり確実に送付できる。SMS機能は日本の携帯電話にもあり、国際SMSも可能である。これ、困った時にかなり便利なので憶えていてほしい。
昨日、リチャードと会って話をしました。

まずは3/22のレースで夜になっても所在不明であった2人の参加者について。ひとりは途中棄権しており、自宅に帰ってから電話があったとのこと。もうひとりの外国人男性はチトランから西に丘陵地帯の麓を回り込むコースではなく、そのまま南下してクレカニに向かう道に大きくコースアウトしてしまったとのこと。これまた(大変な思いしたと思いますが)無事が確認されたそうです。

次のレースは9月27日。
ゴダワリ~プルチョウキ ウルトラトレイルレース

カトマンズ盆地の南側です。50kmについては、歯応えありますが、3月ほど過酷ではないコースです。

イメージ

マーキングについてもカトマンズにあるビニール製品工場で、黄色と赤など、より目立ちやすいカラーテープが入手できる見込みとのこと。

いくらマークをつけても、村の子供がすぐに取ってしまう問題については(悪意ないんですが、遊び道具ない村の子供には、ひらひらテープやリボンは魅力的なんですね)「レース翌日までそのままにしておいてくれて、翌日回収して(チェックポイントに)持ってきてくれたら、マーキング1個に付き何ルピーかのお小遣いを上げる方法などを考えている。マーク保全と回収の一石二鳥になればいいんだけど」とのこと。

レース翌日まで大会係員のテンションを保たなくてはならず、カトマンズで考えるようになかなかいかないネパールです。が、少なくとも、改善策を考えているということを共有したいと思います。3月の厳しいレースがあって、9月に改善策を使ってみて、そして来年1月3日のレースにつなげていきたいと思います。

9月に関してはこれから準備期間もありますから、私も50km完走を目指して、出来ればコース試走もやってみたいと思います。途中経過はまた、折々にここでご報告いたします。
これまで使用してきた「けぇがるね日記」ですが、ランニングについて書けば書くほど、日本の両親が心配するため、ここに移転します。過去記事は旧ブログにも残しますが、新規ポストについては今後はこちらで展開したいと思います。

身内のことが原因でお恥ずかしいですが、引き続き当ブログ「ランニング ネパール」も、よろしくお願い申し上げます。

親がむやみに心配すればするほど子は「隠す」と云う事で。自分も親として息子のことは心配ですが、賢く対処し、出来るだけ「隠されない」親子関係でいきたいと。自分がされて煙たいことは、息子にとっても煙たいはずです。

うちの親が心配している事態は、私が冒険的ランニングをしているから起こるのではなく、ランニングをしない/出来ない事によって引き起こされる可能性が高いこと。人生観の違う人には、説明しても理解出来ないのでしょう。立場違って息子にとっては、親たる私に似たような気持ちを抱くこともあるでしょう。

魔法の言葉「ま、いいんじゃない」てえのは、以外と大切です。
チトランバンジャン峠からは稜線を登り返してその後急激に下り、その後は小さく上り下りして最後にゴールのハッティバンまで樹林帯の下り道。残り約13km。

そんなところで、ヒョウにつかまってしまった。4本足じゃなくて、空から降ってくる方の。峠でのGPS標高表示が低かったのは、低気圧の前線が近づいて気圧が低くなっていたからなんだ!

ゴロゴロという雷鳴はそんなに近くないけれど、みるみる空は黒くなり、直径1センチもありそうなヒョウと雨が降ってきた。わー!と、丁度出てきた民家の軒先に避難した。30分ほど雨宿りし、ヒョウと雨が止んだところで先に進む。雷は恐いけれど、日没前にゴールしなきゃドツボだ!

正規の50kmコースと合流する尾根上の最高標高地点には、意外なことにしっかりした茶店があった。ここには最後のチェックポイントがある筈なんだけど、係員は誰も見かけない。と、スタート地点で見かけたもうひとりの女性参加者。うら若いネパール人おねえちゃんランナーが飛び出してきた。

「わぁ、おばさまが来た!私ね、ここまで来たんだけど独りだけで、雷とヒョウが恐くて雨宿りしてたのよ。一緒に行く人いればもう恐くないわ。私も行くわ」

足の速い彼女だが、私に合わせてくれる。そりゃ独りでは心細いよね。だが、さっきより激しいヒョウが降ってきた。わあわあわあ。みるみるトレイルが真っ白になる。

IMGP1311

もう引き返せないし、とにかく前に進もう。今まで何度も行ったことがあるチャンパデビまで行けば、ゴールも近い。コースは所々トレイルだが、殆どは石積みの道と階段だ。とにかく石積みを追っていけばよい。が、一箇所、彼女が「そっちじゃなくてこっち」と、トレイルの道を指し示す。向こうにはきれいな石積みの道が見えるのに。見ると木の幹に赤いリボンが結びつけてある。私は見落としていた。でも、向こうじゃないのかな?とも思いつつ先を行くと、ものすごい急傾斜の下りとなった。もうこうなったら下って下ってどこかに着くだろう。

彼女はものすごいスピードで、もう見えなくなった。自分がどこに向かっているのか混乱してきた頃、突然、チャンパデビの祠に飛び出した。

IMGP1318

力の女神チャンパデビに挨拶を。

あ゛、周りは深い冷たい水たまりになっていたのに気づかず、足がずぶ濡れだ。ええい、ままよ。ゴールは遠くない。きれいな石積みの階段を下る。何てことのない道なのに、脚が終わってる。ストックを頼りによたよたと下るしかない。そのあとは少しの登り返しなのだが、その少しの登りにあえぐ。ルートセッターが4本脚の方のヒョウに遭遇した樹林帯に入る。道がぬかるんでいて滑りやすい。転ばぬように気をつけながら、もう遠くないゴールを目指して走る。客観的に見れば早歩き?てなスピードだったかもしれないが、やっぱり走っていた。

まだゴールは見えないが、フェスティバル参加者のためのテント村が見えた。あ、ゴールゲートだ。誰もいないけど、気にしないや。そしてリゾートの門まで。

あ、誰かいるぞ。

「おめでとう~、おつかれさま」

やっとやっと、大会のちゃんとした役員に迎えられた。33kmコースの筈だが、自分のGPSは42km強の距離を叩き出していた。ずいぶん遠回りしたんだな。

そのままリゾート内の大会本部にしつらえられた、ガスストーブの前に連れて行かれた。走るのを止めると、震えが来るくらいの寒さだ。しばらくして、リチャードもやってきた。

IMGP1322
 
30分ほど後、カトマンズから湯たんぽとテルモスにコーヒー、ポップコーンと着替えを持って亭主と息子も車で到着。ああ、やっと終わった。のだが、実は、まだ終わっていなかった。

つづく 
村の子供たちが云うに
「この先の森では、時々追いはぎが出るゼ。危ないから行くのは止めな」
「ところで、お菓子もってるんだろ 。オレたちにちょうだいよ」
って、お菓子強盗かよ、オマエら。

しばらく行くと村のおばちゃんが云う。
「ここから先は女がひとりで歩く場所じゃないわよ。誰かと一緒に行きなさい」
って、その誰かがいないんじゃない......

手書きの概念図見ながら考えた。この先、樹林帯の強烈な上り坂だ。その横に、傾斜はそれ程じゃないけどものすごく遠回りのジープ道がある。よし、地元のバイクが行き来するだろうジープ道を行こう。遠回りでも安全だ。

IMGP1302

GPSウォッチの表示を標高に切り替えて、2,500mの高さの峠を目指して歩く。予想通り時々バイクが通りかかるが、みんな二人乗り。ネパール人は山道を行く時歩きじゃなくて、バイクや車であっても出来る限り誰かと一緒に行く。それが安全対策なのだ。1台だけひとりのバイクがやってきて、ヒッチハイクしたくなる気持をランナーの理性で押さえた。 

標高表示はまだ2,300m だ、まだ登りだな。と、前を見ると、チトランバンジャン峠のチェックポストがある。あれ?

コース説明ではやっと半分過ぎの距離(遠回りルートをした私のGPSでは、既に32km)。ここからウルトラコースはチトラン村に下り、山脈の麓を回り込み再度稜線まで登り切り、その後はゴールまで稜線を行く。 時間は午後2時。このままでは明るいうちのゴールは無理だ。チトランに下らず真っ直ぐ南下すれば、33kmのショートカットコースが設定されている。

残念だけど、ショートカットしよう。

そう決めて行こうとするが、チェックポイントの係員からチトランに行け!としつこく云われる。ショートカットコースのことを効いていないようで、33kmコースならこの下のチトランが30kmだからその先まで行けばいいじゃないか。と云う。そこから先にエスケープルートは全くないのに。お話にならない。

村の人に尾根筋ルートを確認するが、ここでもまた「女ひとりでは行くな」で辟易。地元の人の言うことは正しい。実に正しい。しかし今日の自分は、トレイルランナーな訳で。元々無理なことをやりに来た訳よ。って、説明しても理解してもらえないのは当然だ。 

本日最後の無謀な頑張り!と足を先に進めた。あれ、ゴロゴロとかいう音が聞こえるのは気のせいかな?あれ、心なしか空が暗い。あれ、あれ、え゛ーーーっ

つづく 
事前の連絡では、スタート地点たるカトマンズ盆地北西部までのシャトルバスは、始発のパタン午前6時発。だが6時半になっても全然来ない。コースセッターのナランが電話で確認したところ、13.5km参加者の直接ハッティバン(ウルトラコースではゴール)に行くバスしか手配されていないという。あ゛、こんなにいっぱい人がいたのは、殆どみんな13.5の方だったのか!ウルトラ組は6人。すぐに路線運転の乗り合いマイクロバスを止め、みんなで代金シェアでチャーターしてスタート地点に向かった。出だしからこれかよ。参るなぁ。

バラジューの北側にあるナガルジュン国立公園ゲートには、合計16人のランナーが集結。そのうち女性は私と、もう一人の(ネパール人)女の子。薄いコットンの半袖Tシャツとジャージのスラックス。手に1リットルの飲料水ボトルという超軽装の彼女はスリムで、いかにも走れそう。一方彼女の母親世代のオバハンたる私は、日本から買ってきた折りたたみ超軽量ストックを久しぶりに使うぞ!な、フル装備。

スタート前のコースブリーフィングが始まった。

IMGP1292

説明するのはコースセッターのナラン(写真中央横向きの男性)。前夜届いたメイルとほぼ同様の内容に引き続き、注意事項。

「ヒョウに注意して下さい」

「は?」

「コース上には野生のヒョウが出る可能性あります。事実ボクたち、マーキングで走ってた時、ゴール手前の樹林帯で大型犬ぐらいの大きさのヒョウに、結構至近距離で遭遇しちゃってもう。恐かったぁ~」

ええい、ままよ!と、午前7時45分スタート。最初は石段の上りが4km弱続く。最初はゆっくりと、今回はスィーパーをつとめてくれる世界的にも有名な女性プロトレイルランナー、リジー・ホーカーさんといっしょに最後尾につける。リジーは何度もネパールで走っているが、今回は結構深刻な故障中で走れず、歩いてスィーパーをしてくれていた。

IMGP1297

仏塔のあるジャマチョはポカポカと暖かく、この天候がこのまま夕方まで続いてくれることを祈った。2km程ジープ道を下り西に折れる。分岐点には国立公園内を警備する国軍兵士が立っていてくれて、誘導があった。結構ちゃんと、レースマネジメントしてるじゃない......

IMGP1298
 
ここからは、絵に描いたように美しく、走れて身体にも優しい五つ星のトレイルだ。ここを快適に飛ばさないなら、トレランをする意味がない。「やっほ~」と、歓声上げて走る。きっとリジーも走るだろうと思ったら歩き続けたようで、後ろから彼女の気配が消えた。

樹林帯を抜けたところで、軽装の国軍兵士から「こんにちは、ニホンジンですか?」と、日本語で声をかけられた。ビームドゥンガ上の駐屯地にいる太尉殿で、カトマンズの日本語学校で身につけたらしい。 更に下って、カトマンズ郡とダディン郡の境界線上にある村、ビームドゥンガ。ここで最初のチェックポイント。何度も行きつけの村の茶屋に設置されていたが、ここにはレース係員ゼロ。茶屋のオバちゃんがコーラと水をくれる。ゼッケン確認なし。しばし休憩し、再スタート。バトバンジャンの峠までひと登り。そして、トリブバン国道上のタンコットまで下る。のだが、人の気配濃い村落部に下るに従い道はいくつも分岐していて、マーキングは見つからない。村の人たちに道を尋ねながら下って、国道が見えて、どんどん走って、あれ?

タンコットより更に西のナーグドゥンガ方面に出る道に迷い込んだみたいだ。引き返し、方向転換して、地形に当たりをつけながらタンコットに着いた。しかし、あるべきチェックポイントの場所には何もない。あれ~?ここで主催者から携帯に場所確認の電話があった。チェックは無視して良いとのことなので、そのまま次のポイント、チトランバンジャン峠へ向かった。この登りが今回、最大の急傾斜である。

タンコット警察脇の、人家が点在するジープ道をどんどん先に進む。とにかく進む。このどこかで、尾根筋まで一気に登る樹林帯トレイルに入る筈なんだが......

「おーいオバちゃん、そっちはヤバいぜ」

突然背後から、呼び止める子供の声が。

つづく 
今年で3回目となったHimalayan Outdoor Festival。カトマンズ盆地の外輪山南側の景勝地、ハッティバンリゾートをメイン会場に、マウンテンバイク、ボルダリング、キャンピング、トレイルランニングなどのアウトドア関係が一堂に会し、昼間は泥んこ、夜は生バンドとビールでダンス!というお祭りである。近年カトマンズには、欧米のアウトドア用品の正規代理店や販売店も増え、それらがスポンサーとして名を連ねている。今年のメインスポンサーは、The North Face。協賛企業一覧バナーはこちら。
名称未設定 1

さて、トレイルランニングについては穏健に13.5kmの周回トレイルと、今回から50kmウルトラトレイルレースが加わった。ウルトラはカトマンズ盆地の外輪山北西部にあるナガルジュン国立公園ゲート(バラジューからカカニに向かう道路の途中)をスタートし、ビームドゥンガ~(トリブバン国道上の)タンコット~チトラン・バンジャン~チトラン村~ファケル~ダンラ~チャンパデビ~ハッティバン。

8km

過去、アンナプルナのトレッキングルートで行われた71kmと50kmのウルトラトレイルを走ったが、それらよりずっと厳しい今回のコース。アンナプルナの50km冒頭8kmはロードで、ちゃんと走れる。しかし今回は全て上り下り。加えて、外国人トレッキングのためのルートは出来る限り急傾斜を避けて、穏便な設定で形作られている。カトマンズの場合、地元で生まれ育った人たちの(車道がなかった時代に作られた)生活のためのトレイルだ。ものすごい急傾斜でも、最短距離で結ぶことを至上としている。

加えて、トレッキングルート上の村は、村の観光経済に寄与する外国人に優しい。一方それ以外の場所では、地元の人たちと明らかに違うランナー。特に外国人を見る目は冷たいことがある。何故なら村の経済に外部の人間が寄与することは殆どないし、地元の人たちが苦労して、本当は車やバイクで移動したいところに、快適な生活をしていると思われている格好の部外者が、脳天気に遊びで走って乱入してくるからだ。

もし、生まれた立場が逆だったら......私だって。

IMG00291-20140321-1641

自分の実力から考えると、当然13.5kmの方に行くべきだったが。今回は思うところあって、敢えてウルトラに挑戦することを決めた。コースの概要はメイル添付で送られてきたGPSログのみ。さすがに不安になって自分の手書きでコース概念図を作ったレース前夜。夜9時半になってやっと、コース説明のメイルが届いた。以下、届いた文面をそのままコピーしたい。

Hello everyone, 
Sorry for late email. 
Bus 6am from St Xaviers Jawalakhel >  Rangasala > Sorakhutte > Balaju Chowk > Nagarjun Gate Army post. 

If you are lucky, chiya at hotel there, then when everyone is there, start. The course is marked with holi powder paint (注釈: ホーリー祭りで使われた色の付いたパウダー), yellow, red. And material in trees. If you have google earth, study the route with the attached file. There may or may not be race numbers. If not, give your name to check point people. Please take enough money to buy extra food/water for the journey - limited food/water will be available. 

Checkpoints:
CP1: Bhimdunga chia pasal
CP2: Thankot Traffic Checkpoint
CP3: Chitlang Bhanjyang
CP4: Chitlang village
CP5: Danda - after the climb from Phakel on the pass before Champadevi. 
Finish: Hattiban. 

Description: 
  1. Start to Jamacho - climb direct from start to summt. 
  2. Continue on ridge and road for 2km. Look for turn to right, west on small road. Marked with yellow powder paint. Don't continue down main jeep road too far. 
  3. Follow that road to army checkpoint on edge of valley overlooking Dhading. 
  4. Turn left at army camp, follow top of ridge to Bhimdunga chiya pasal CP1.
  5. Climb up from CP1 following markings climbing up but not to tower. Pass around hill on east side, descend to Thankot checkpoint. 
  6. Pass police post on left around hill, then continue right, out of valley on jeep road for 1.5km.
  7. Then climb up ridge, up to chitlang bhanjyan on jungle trail. 
  8. From chitlang bhanjyang, to take shortcut 33km route, continue over the hills. To take 50km route, go down into valley. Checkpoint is there somewhere 9803982339
  9. Continue around east to phakel, climb up to danda - water / biscut available - continue to hattiban .
この程度の説明で、50kmを走れと云う。文章を日本語にして、さっき作った概念図の下に手書きで加えていたら。外からものすごい水音がする。あ、雨だ。しかも、ものすごい豪雨。マズいぞ!雨でマーキングの粉なんか流れて消えちゃうじゃないか。が、まあ、仕方ない。とにかく寝よう。

当日早朝、集合時間、集合場所によく知った顔、新しい顔が続々集結。結構な人数じゃん。女性も何人もいるし。だが我々ウルトラ組は、のっけから強烈な仕打ちを受けることとなる。

つづく
アンタ、どんだけネパールが嫌いなの?って。私の嫌いな祭り、ホーリー(祭りの概要はクリックで)が日曜日にやってくる。はい、春の訪れと豊作を祈願する祭りで、仲間内で当日水や色粉をかけ合うのについては何も不満ございません。

問題なのは.....

祭りの一週間前、カトマンズ旧王宮広場に「チール」という色とりどりの布で飾られた柱が立てられます。これ以降1週間は、ホーリーの遊び解禁と相成るわけで。で、道行く見ず知らずの人に、家の屋上や窓から水をザパーッ!とふっかけようが、水風船を投げつけようがお構いなし。住宅街をジョギング中、色水をぶっかけられたこともあり。水風船だって、4階建て5階建ての家も多いカトマンズ。当たるとアザが出来るくらい痛いこともある。甚だしい場合は、汚水を投げつけてくるから。

腹が立つのは、隠れて、道行く無防備の人を攻撃するってこと。卑怯千万であるが、抗議すると「コレハ、ネパールノ ブンカ フウシュウ デース」と鼻の穴をふくらませるDQNが多いこと。

ホーリーとは、卑怯と弱いもの虐めがネパールの伝統文化であることを、子供に教え込む祭りである。 この延長線上に、バンダもチャッカジャム(交通封鎖)もあるわな。

ネパールの老人は嘆く。昔はこんなじゃなかった。もっと穏やかに楽しく、仲間同士で楽しむ祭りだったと。

しかし、今年、ホーリー前の無差別水攻撃が目に見えて収まっている。今までぬるかったネパール警察が今年は、知らない人に水や粉をかけることを厳禁。アルコールや大麻をキメてバイクや車を運転するのも厳罰に処す。やった場合は逮捕して司法手続きに送る(去年までは拘束だけで釈放していた)。家の屋上からやった場合は誰か分からなくても、その家の持ち主を逮捕する。 と。

毎年店先で売られる水鉄砲が、今年は殆ど見かけない。 

いいぞ、警察。つーか、毎年の乱痴気騒ぎに、市民が疲れたのかもね? ホーリー当日、ご家族親戚、ご近所、お友だちで楽しく、節度ある一騒ぎは良いものよ。それこそ、素晴らしいネパール ノ ブンカ デース!

ホーリー、ヘーィ(ホーリー万歳)!