沖縄の高齢者の食生活
沖縄の高齢者の食生活は、伝統的な沖縄の食習慣や生活習慣を現代に至るまで守っていると考えられています。沖縄の食生活の特徴は次のとおりです。
- 植物性たんぱく質が豊富。大豆由来の豆腐やみそ、ゴーヤやナーベラ(へちま)、ハンダマ(水前寺菜)、ボタンボウフウ(長命草)などの伝統的な野菜、昆布、モズクなどの海藻などを使用する。
- 肉類の摂取が制限されている。豚肉は下茹でをして脂肪分を除く、ヤギ(山羊)のナベを囲むなど、必要な蛋白源を確保するのに役立てる。
- 主食は繊維質が豊富な芋で、白米を常食にする人はまれ。
- 塩分摂取量は日本一少ない。
- 腹八分目の食事をとる。
研究者たちが沖縄の長寿の秘密を解き明かそうと、何十年もかけて遺伝子や生活習慣を調べてきたのも無理はない。
中でも最近、研究者が注目している実に興味深い要因のひとつが、炭水化物の多い食生活だ。沖縄の食事はたんぱく質に対する炭水化物の割合が目立って大きい。特にサツマイモが豊富で、カロリー源のほとんどを占める。
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「今は高たんぱく、低炭水化物食を勧めるダイエットが人気だが、それとは全く逆」と指摘するのは、オーストラリアのシドニー大学で栄養と老化の研究に取り組むサマンサ・ソロン・ビエット博士だ。
アトキンス式やパレオ(旧石器時代)式といった食事法が大きな人気を呼んでいるにもかかわらず、高たんぱく食が実際に長期的な健康効果をもたらすことを示す証拠はごく少ない。
では逆に、炭水化物とたんぱく質を10対1の割合で取る「沖縄比率」が長生きと健康の秘訣なのだろうか。そんな説をもとに生活習慣を変えようとまで言い出すのは、あまりにも早すぎる。
しかし人間を対象にした追跡調査や動物実験で出てきた最新の結果からみて、この仮説は本気で注目する価値がありそうだ。
研究結果によれば、たんぱく質を抑えて炭水化物を多く取る食生活は体にさまざまな生理反応を引き起こす。そしてこの反応が、がんや心血管疾患、アルツハイマー病など老化に関連するさまざまな病気から私たちを守ってくれるという。
その効果を得るのに最適なバランスが、沖縄比率で確保できるのかもしれない。