チャイコフスキー:ロミオとジュリエット/くるみ割り人形 カラヤン ベルリンpo (1982) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

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学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】
作曲:チャイコフスキー

曲名:幻想序曲「ロミオとジュリエット」 (22:02)

   バレエ組曲「くるみ割り人形」op71a (21:38)

演奏:カラヤン ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1982年9月 ベルリン フィルハーモニー

CD:POCG-1178(レーベル:DG、販売:ポリドール)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

今日は、チャイコフスキーの「幻想序曲:ロミオとジュリエット」について調べつつ、鑑賞しました。この曲は、バラキレフに勧められて作曲され、こまかな構成まで具体的に助言されたとのことです。第1稿から第3稿までの改訂も行われ、その際もバラキレフからの批評に基づいていてとか…。ということで、当時は五人組が六人組になったとも言われたようですが、出来上がりはまぎれもなく、チャイコフスキーの曲ですね。

 

幻想序曲という名称を、チャイコフスキーは「テンペスト」と「ハムレット」と「ロミオとジュリエット」の3曲に使っていて、これはいずれもシェイクスピアの戯曲につけられた音楽に使われています。他の2曲については、物語を追って聴いたことはないのですが、改めてこの曲を「ロミオとジュリエット」の物語のあらすじを思い出しながら聴くと、なるほどという事になります。3つの戯曲の中でも、最も有名なストーリーなので、聴いていて曲とも結びつきやすいなと思いました。20分で体験する「ロミオとジュリエット」のお話です。

 

この曲には作品番号が当てられていないのですが、長い期間を経て改訂が行われているので、第1稿は交響曲第1番と第2番の間、最終稿は第4番と第5番の間に相当する時期になっています。つまり、今聴かれる最終稿は、チャイコフスキーの円熟の時期の管弦楽となっていることになります。さて、CDを聴いてみます。

 

【演奏について】

ロミオとジュリエット

80年代に録音された、カラヤンの名曲CDの一枚です。細かいメロディを浮き立たせるとかではないのですが、それでも良く歌われながら演奏されていきます。このあたり、カラヤンの演奏の雰囲気に共通する感じです。オーケストラはもちろんベルリン・フィルですので、素晴らしい音を出しています。そして、ラストに向けて音楽は進んでいく訳ですが、とても物語性と合致した雰囲気が出ていると思います。カラヤンの演奏は全体を大きく俯瞰して、起伏を織り込みながら、物語性を前面に出して作り上げているのではないかと思いました。その中にはチャイコフスキーが円熟の管弦楽によって、この曲に表現した「ロミオとジュリエット」の物語が、見事に表現されている訳ですね。素晴らしい表現だと思います。

 

くるみ割り人形

演奏の印象としては、ロミオとジュリエットと同じなのですが、物語性が少ない分、曲の構成から音楽を聞かせるという形になると思います。速めのテンポで小気味良く進んでいく感じです。私はこの曲は、オーマンディ、アンセルメ、そして前回聴いたデュトワといったところで体験してきたので、それらの細部まで美しく磨き抜かれた演奏とは肌合いが違うところがありますが、カラヤンも立派な演奏には違いありません。小曲の連続は個々の性格を弾き分けて楽しく演奏されています。中国の踊りのフルートがとても歌っていて、大変気に入りました。全体として聴かせ所を意識した上での、テンポよくスッキリ進む印象で、ラストも凄く盛り上がりました。

 

それでも私的には、今まで聴いてきた手前か、オーマンディやアンセルメのスタイルの方が好きではあるのですが…。

 

【録音について】

この時期のDGのカラヤンの標準的な録音と思います。

 

【まとめ】

幻想序曲「ロミオとジュリエット」については、今まであまり気にしたことは無かったのですが、調べてみるとカラヤン・ウィーンpoの旧録も含めて5種類ありました。交響曲の余白に入っていることもあるので、いつの間にか増えていたということだと思いました。改めて主役として聴いてみると、いろいろと発見があって、大変面白かったです。

 

購入:2024/02/13、鑑賞:2024/02/17

 

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