今までも何度か書いたと思いますが、昔と違って今は server を大変安く用意できます。しかも、月割りどころか日割り・時間割りで借りることができます。
20年近く前に職場で顧客向け server (on-premiss) を用意した際の費用感は年間30万円~50万円という感じでした。ところが、VPS が手軽に借りられるようになり、顧客数が同程度 (同性能という意味ではなく、近年求められる一応の仕様) だと費用感は年間2万円~4万円という感じです。
反応速度が強く求められるのでなければ、国内の最安値は RAM 1GB (IPv4/IPv6) で1時間70銭です。64人くらいまでの将棋大会ならこれで足りると思います (swap を設定すれば速度と引き換えに RAM 不足を解消できます)。将棋大会が10時間だとすると7円、前日から準備して server を動かすとしても30円もあれば足ります。
あとは簡単に設置できて運用できる将棋大会用 Open Source Software (OSS) が生まれればいいと思うのです。で、まあ、そういうものを作って公開したいのですが、結局は時間がないですね…。
AWS (の無料範囲) を使うともっと安く済むかも知れません。AWS は費用計算が複雑で計画を立てにくいので私は手を出したことがないですが…。
あとは OSS だけあれば激安で大会運営ができる (多分例会運営もできる) という感覚は、多くの人にとって (安すぎて) 意外なのではないかと思います。
逆の例もあります。
私は北海道出身なので JR 北海道の苦境が気になっています。
2023年11月に「北海道鉄道活性化フォーラム」なるものが開催されたようです。
個人攻撃をするつもりはないので個人名を伏せて引用します。
北海道○○会・○○常任理事「住民の利用のみで鉄路を維持するのは困難。北海道の食や自然を十分に生かした観光列車を継続的に走らせて(集客を図ることが必要)」
これに対して、北海道の交通関係という web site が批判的見解を持っています。
結局当サイト管理者が高橋はるみ知事時代に参加したフォーラムから変わらず「観光列車」ですよ。その観光列車としてちゃんと定着して一般的な利用が見込めて、少なくともその観光列車で鉄道利用者の確保や収益が改善した事例が全く出せていないのに、結局観光列車でって話です。
私もこの批判と同意見でして、赤字が大きな鉄道路線は (大抵は) 観光列車では問題が解決できないと考えています。
問題の根底には誤った費用感がある気がします。
四季島・瑞風・ななつ星といった列車は高い区分だと100万円以上の券が売られているので、地元の日常的な1回数百円 (場所によっては千数百円) の運賃と儲かるように見えるのでしょう。
でもまず、車輛製造だけでかなりの費用が掛かります。ななつ星で1編成30億円、ゆふいんの森で1編成8億円だそうです。最初にその金額を負担できるのか (JR 北海道にはその体力がないので自治体で負担するしかないと思われます)。何年間で減価償却するのか。また、こういった観光列車は通常の列車よりも1編成当たりの乗客数が少ないため、1回の運行ごとの費用を考えると利益なんて殆ど出ないものと思われます。
すごく大雑把な数値を設定してしまいますが、廃線の危機に瀕する 100km の路線の赤字が年間10億円として、そのうち5億円を観光列車で稼ぐとなると、毎月4000万円くらいの収益を上げないといけません。勝手に粗利益率20%と設定すると2億円の売上に相当します (減価償却費とか保線費とか無視しています)。1人100万円の旅行だとして「その地域に月間200人の観光需要がありますか?」という話になります。1人10万円なら月間2000人です。
まあ、私も専門家ではないので私の費用感もかなりズレている可能性が高いのですが、観光列車で過疎路線を救えると思っている人は更にズレているのではないかと思います。
職場でもそれ以外でも「○○って簡単に実現できますか?」みたいな質問をちょくちょく受けるのですが、「それらは全て無料で実現できます」「それは1回7円の費用が掛かります」「それは7桁~8桁の予算が必要です」みたいに質問者の想定と実態とがずれていることがかなりあります。
私が子どもの頃は、世の中の費用感が実際の費用と何桁もずれることはあまりなかったのではないかと思います。多分、大きなズレが発生しだしたのは PC が普及しだした頃で、当時、自動車と同じ感覚で「高くてもいいから10年後もしっかり使える PC がほしい」という方が何人もいたことを覚えています。(10年後もしっかりつかえるようにするためには、10年間どの企業にも覆されない CPU architecture などが必要になり、そんなものは Intel だろうが NVIDIA だろうが実現できていないので、数十兆円出してそれらの企業を買収してもまだ足りません。)
かなり高齢の方にはこのあたりの感覚を分かってもらうのが難しいように感じます。
VPS が本当に安いので、将棋大会用 OSS さえあれば日本中の将棋関係者 (のうち何割か) がとても助かると思うのですが、まずはこの費用感を知ってもらう必要があるので、他人に話をしたことはあまりありません。