世田谷美術館で「作品のない展示室」と「気になる、こんどの収蔵品~作品がつれてきた物語~」を観た! | とんとん・にっき

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世田谷美術館で「作品のない展示室」と、「気になる、こんどの収蔵品~作品がつれてきた物語~」を観てきました。

 

 

 

 

世田谷美術館の設計者は内井昭蔵(1933~2002)、菊竹清訓の一番弟子です。1982年にコンペを勝ち取り、1986年に完成、1989年に日本芸術院賞を受賞した作品です。ライトや、アアルトのモチーフが目につきますが、見事にまとまった建築となっています。

内井昭蔵の建築・世田谷美術館

 

内井昭蔵について、以下、ウィキペディアによる

1933年、東京市神田区に生まれる。祖父の河村伊蔵と父の内井進は建築家であり、進は金成ハリストス正教会と小田原ハリストス正教会の両聖堂、およびニコライ堂のイコノスタスの設計に関わった。幼少期から教会で過ごすことが多く、「ロシア正教会の持つ空間と祈りと形の関係が、幼少期にすでに強く印象づけられていたように思う」と述べ、こうした経験はモダニズム全盛期の学生時代を経た後に手がけた日蓮宗の寺院やYMCA野辺山高原センターなどにおける合理性のみの形態とは異なるアプローチ、さらには親しみやすさを旨とした公共建築への設計思想へとつながっていったと述べている。
1956年に早稲田大学第一理工学部建築学科卒業、1958年に早稲田大学大学院修士課程修了、菊竹清訓建築設計事務所入所。1967年に内井昭蔵建築設計事務所を設立し、1993年までこれを主宰。

世田谷美術館で開催された「内井昭蔵の思想と建築」でひときわ目を引いたのは、「皇居・吹上御苑の新御所」、1993年(平成5年)でした。大きな模型が出ていました。

世田谷美術館で「内井昭蔵の思想と建築」を観た!

 

僕の好きなは初期の傑作「東京YMCA野辺山高原センター 」、 1976年(昭和50年)に完成しました。内井さんの案内で見学会にも参加し、何度か家族で泊りにも行きました。それがあの名作が解体されてしまったと最近知り、がっかりしています。

内井昭蔵の建築・YMCA野辺山高原センター

 

前代未聞、「作品のない展示室」入口

 

作品のない展示室

 

作品のない展示室

 

私たちは、これまでに経験したことのない大厄災の時を迎えています。
社会の隅々まで影響がおよぶなかで、世界中の美術館が、美術館本来の在り方を問い、展覧会等々の事業を見つめなおしています。予定していた展覧会も準備に支障が生じ、海外から作品を借用することがむずかしくなり、まったく将来の見通しが立てにくい状態です。
そのような現状を考慮して、このたび「作品のない展示室」を、虚心にご覧いただくことにいたしました。
世田谷美術館は、四季折々にさまざまな表情をみせる都立砧公園のなかに位置しています。砧公園は、春には桜が咲きほこり、夏は大きな木陰が涼風をまねき、秋は多彩な木々の紅葉を楽しめ、冬には時に素晴らしい雪景色につつまれることもあります。
1986 年に開館した世田谷美術館は、建築家・内井昭蔵(1933- 2002)によって設計されました。そして、内井昭蔵は次の 3 つのことを、美術館設計の上でのコンセプトとしました。
「生活空間としての美術館」、「オープンシステムとしての美術館」、「公園美術館としての美術館」。
こうしたコンセプトに基づき設計された世田谷美術館には多くの窓があり、また来館者を迎えるのも正面玄関だけではありません。周囲の環境と一体化しようとする、とても開放的な建物になっています。美術館は単に収集し、保存し、展示するだけではなく、音楽、演劇といったパフォーマンスなど、さまざまなジャンルの総合化の機能も重要視される施設です。
実際に世田谷美術館では、開館以来、音楽会やダンス公演をはじめ、さまざまなプログラムを開催し、このたびの「作品のない展示室」でも、ギャラリーに「建築と自然とパフォーマンス」と題したコーナーを設
け、これまでの活動の一端をご紹介いたします。
窓を通して砧公園の緑ゆたかな風景を眺め、可能ならば、自らの心のなかに、これまで見てこられた数々の
展覧会の一齣でも想い浮かべてくだされば幸いです。

 

ミュージアムコレクション

「気になる、こんどの収蔵品

 ~作品がつれてきた物語~」

 

「気になる、こんどの収蔵品」展示会場
亀倉雄策の東京オリンピックポスターが見える

 

宮本三郎「国立競技場モザイク壁画
『より速く』下絵」1964年頃

 

佐藤忠良「ゆみ」1987年
 

木内克「母子像」制作年不詳
 

花澤徳衛「すもう」1995年

 

鈴木治「黒絵壺」制作年不詳

 

中川一政「向日葵」1980年

 

高木茂子「支那服の娘」1934年

 

中村哲「東京オリンピック」1964年

 

花森安治
「不詳(紅梅や春)ふたたびの日を釣し」
1975~76年頃

 

「気になる、こんどの収蔵品~作品がつれてきた物語~」

美術館のコレクションは、どのように作られるのでしょうか? みなさまは、どういったイメージをお持ちですが?

美術館は作品や資料の保管・調査研究・展示を大きな柱としていますから、「どのような作品を収集するか」は、とても大事な仕事のひとつです。現在、世田谷美術館には、アンリ・ルソーをはじめとする素朴派や世田谷ゆかりの作品など、およそ16,000点のバラエティに富む作品が収蔵されています。

縁あって世田谷美術館に収蔵された作品は、美術館開設準備室当時までさかのぼれば、約38年間にわたる購入や寄贈によって集められたものです。それrの一つ一つには、作家の想いが込められているだけでなく、当館に修造される前の旧蔵者の方々の作品との物語も寄り添っていると言えるでしょう。

たとえば、佐藤忠良のブロンズによる彫刻作品「ゆみ」の寄贈者は、若いころに佐藤家でお世話になり、その時にモデルとなった女性の大切な思い出の作品でした。早くに父を亡くした彼女にとって、佐藤は父親のような存在だったそうです。

本展「気になる、こんどの収蔵品」は、2013年8月から2014年1月にかけて開催した同タイトルの展覧会の続編となります。あれから6年のあいだに収蔵された作品をご紹介し、ご来場の皆さまに、そっと、それぞれの作品に寄り添うさまざまな物語をお伝えしたいと思っています。

 

「世田谷美術館」ホームページ

https://www.setagayaartmuseum.or.jp/

 

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