窪島誠一郎の「最後の絵 絶筆をめぐる旅」(芸術新聞社:2016年5月10日初版第1刷発行)を読みました。
「絶筆」に関連して、最近、下の本を読みました。売れているのか、本屋で平積みになっていた本ですが、僕は、あまり感動しませんでしたが…。
中野京子の「『絶筆』で人間を読む 画家は最後に何を描いたか」を読んだ!
「信濃デッサン館」
「信濃デッサン館」
「無言館」
「無言館」
良く知られているように、窪島誠一郎は、信州にある「信濃デッサン館」「無言館」の館主です。窪島は、明大前にある「喜怒哀楽」をもじった「キッド・アイラック・アート・ホール」の館主でもあります。数奇な運命をたどって再会した父親は、あの水上勉でもあります。今まで書いてきた、下記の関連記事を見れば分かります。なかでも僕は、「私の『母子像』」が一番好きです。
窪島誠一郎「私の『母子像』」
清流出版:2008年8月
それと相通じるものが今回読んだ「最後の絵 絶筆をめぐる旅」にあります。取り上げられた画家が夭折の画家が多いことが気になります。窪島は、「物書きの端クレ」と自称していますが、彼は意識していないと思いますが、父親ゆずりの文章の上手さがあります。なにしろ、どこを読んでも読み易い。そして窪島は、どの絵に対してもあたたかい愛情をもって接しています。
画家が死んでから、
のこされた
絵たちの
呼吸が始まる
人生最後の作品をめぐる
画家20人の物語
もともと絵には、その作品の前に立つ者の心を過去に遡らせたり、未知の明日を空想させたり、忘れかけていた遠い記憶を喚起させたりする力がある。しかもそれが「絶筆」であればなおされあである。
碑とは知らず知らず、画家の最後の絵の具の一滴のなかに、それまで生きた自分自身の人生をふりかえり、そこにある喜怒哀楽、哀別離苦の暦をめくり直す。
(「はじめに」より)
「絶筆美術館」目次
窪島誠一郎:
1941(昭和16)年東京生まれ。信濃デッサン館・無言館館主、作家。印刷工、酒場経営などを経て、1964(昭和39)年、東京世田谷区に小劇場運動の草分けとなる「キッド・アイラック・アート・ホール」を設立。1979(昭和54)年、長野県上田市に夭折画家のデッサンを展示する「信濃デッサン館」を、1997(平成9)年、同館隣接地に戦没画学生慰霊美術館「無言館」を設立。「父への手紙」「『明大前』物語」(筑摩書房)、「信濃デッサン館日記」「無言館の坂道」「雁と雁の子」(平凡社)、「無言館ノオト」「石榴と銃」「鬼火の里」(集英社)、「無言館への旅」「高間筆子幻景」(白水社)、「粗餐礼讃」(芸術新聞社)など著書多数。第46回産経児童出版文化賞、第14回地方出版文化功労賞、第7回NHK地域放送文化賞を受賞。2005()平成17年、「無言館」の活動で第53回菊池寛賞受賞。
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「信濃デッサン館」「無言館」「無言館第2展示館」:建築編
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窪島誠一郎の「明大前」物語を読む!
「無言館ノオト――戦没画学生へのレクイエム」
以下、僕の好きな画家の絶筆
松本竣介「彫刻と女」
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