東京ステーションギャラリーで「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」を観てきました。観に行ったのは、3月19日でした。
その前に、神奈川県立近代美術館葉山でも「アアルト展」を観ています。
神奈川県立近代美術館葉山館で「アルヴァ・アアルト―もうひとつの自然」を観た!
神奈川展
会場:神奈川県立近代美術館葉山
会期:2018年9月15日~11月25日
主催:神奈川県立近代美術館、読売新聞社
美術館連絡協議会
愛知展
会場:名古屋市美術館
会期:2018年12月8日~2019年2月3日
主催:名古屋市美術館、読売新聞社
美術館連絡協議会、中京テレビ放送
東京展
会場:東京ステーションギャラリー
会期:2019年2月16日~4月14日
主催:東京ステーションギャラリー
(公益財団法人東日本鉄道文化財団)
読売新聞社、美術館連絡協議会
青森展
会場:青森県立美術館
会期:2019年4月27日~6月23日
主催:アルヴァ・アアルト―もうひとつの自然展実行委員会
(青森県立美術館、青森放送、青森県観光連盟)
読売新聞社、美術館連絡協議会
「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」 図録から
総合的建築
「私たちを取り囲む環境、私たちの生活の枠組みを形づくっている街、村、交通網、自然、そしてその他の要素間の平衡を作り出すことが、文化というものを示す真のしるしである」。アアルトは1955年10月31日のフィンランド・アカデミー会員就任演説の中でこの原理を述べている。そして彼の生涯の活動を通じて、アアルトは都市部への集中と人口の流入を阻むため、周縁地の中にそれぞれの地方の核を作ることを主張した。フィンランドの木材産業からはいくつかの重要な依頼があり、アアルトは工場のみならず複合住宅施設(スニラ、1936-39年)、文化施設や行政施設(サウナッツァロ、1949-52年)も設計した。
より良いものを毎日の生活に
アルヴァ・アアルト略年譜
1898
フィンランド中西部クオルタネに生まれる
1921
ヘルシンキ工科大学建築学科卒業
1923
ユヴァスキュラで建築事務所設立
1929
第2回近代建築国際会議(CIAM)でモホイ=ナジ・ラースロー、ヴァルター・グロピウス、ル・コルビュジエらと知り合う
1933
パイミオのサナトリウム竣工
1935
家具等プロダクトの販売や、他国のモダンアートを紹介しながらグローバルな活動を目指すアルテック社を妻アイノや友人と設立
1937
パリ万博フィンランド館を手がける
1938
ニューヨーク近代美術館で個展開催
1939
ニューヨーク万博フィンランド館を手がける
1943
フィンランド建築家協会会長に選出され、1958年まで務める
1946
マサチューセッツ工科大学客員教授となる
1954
アアルトの夏の家(実験住宅)竣工
1956
ヴェネツィア・ビエンナーレのフィンランド館を手がける
1957
ヘルシンキに国民年金局竣工
1959
パリ郊外にルイ・カレ邸竣工
1963
アメリカ建築家協会ゴールドメダル受賞
フィンランド・アカデミー会長となる
1971
ヘルシンキにフィンランディア・ホール竣工
1976
ヘルシンキで永眠(享年78)
アアルトが50年以上にわたって関わった設計やプロジェクトは国内外を含め約500にのぼる
アアルトの遺伝子を継ぐ武藤章
建築―その真の姿は、人がその中に立った時にはじめて理解されるものである。
アルヴァ・アアルト
SD選書「アルヴァ・アアルト」(鹿島出版会、1969年)の冒頭分である。アアルトに直接薫陶を受けた唯一の日本人建築家武藤章が執筆した書籍である。雑誌「アルキテヘティ」を見て1960年単身でフィンランドに渡った武藤。現地ではじめてアアルトの建築に接し、それは彼の想像を上回る空間だったのだろう。彼以前、アアルトの建築を実際に目にして文章を書いた建築家はいなかった。アアルトの言葉であるが、武藤自身の気持ちの表れなのだろう。(和田菜穂子:「アアルトと日本」より)
「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」
アルヴァ・アアルト[1898-1976]は、「マイレア邸」「パイミオのサナトリウム」「ヴィープリ(ヴィーボルク)の図書館」など、個人邸宅から公共建築までを設計したフィンランドを代表する建築家です。建築にあわせて、家具をはじめ壁面タイルやドアノブに至るまでをデザインするなどディテールへのこだわりも徹底していました。また、アームチェアやスツール、照明器具、流線形のガラス器など、彼が手がけたプロダクトデザインは、今やフィンランドデザインのシンボルといえるほど世界中で親しまれています。アアルトは、人々の暮らしをより豊かにしたいというヒューマニズムの考えに基づきながら、フィンランドの豊かな自然のなかに見出した有機的なフォルムを設計やデザインにとり入れました。その建築やデザインに触れると、周囲の環境との親和性や、空間と光の調和のなかに、「もうひとつの自然」のような存在を感じるのはそのためでしょう。
本展はヴィトラ・デザイン・ミュージアムとアルヴァ・アアルト美術館の企画による国際巡回展で、ドイツを皮切りに、スペイン、デンマーク、フィンランド、フランスの各国で開催され、生誕120年を迎えた2018年、日本においては20年ぶりとなる個展が実現しました。アアルトの魅力の再発見の機会をどうぞお見逃しなく。
「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」
2018年10月25日初版第1刷発行
編集:
和田菜穂子(建築史家、
国際巡回展日本展担当コーディネーター)
発行所:
株式会社図書刊行会
モダニズムに自然の要素を取り入れ、人々の暮らしをより良くする建築や家具デザインなどを追求した、フィンランドが生んだ20世紀を代表する建築家アルヴァ・アアルト(1898-1976)。建築における有機的な形態と素材の優れた相互作用を体現したパイミオのサナトリウム(1933)やマイレア邸(1939)、近代家具の展開に画期的な役割を果たした《アームチェア 41 パイミオ》(1932)や《スツール 60》(1933)、フィンランド・デザインのシンボルになっているガラス器《サヴォイ・ベース》(1936)など、その多彩なる活動を、300点に及ぶオリジナル図面や写真でたどる。 日本の建築家3名(坂茂、藤本壮介、堀部安嗣)の、アアルトに関するインタビュー・講演録を特別収録。コラムや、アアルトと日本との関わりを追ったエッセイも収録した充実の一書。同名の国際巡回展日本展の公式図録。
過去の関連記事:
小泉隆「アルヴァ・アールトの建築 エレメント&ディテール」を読んだ!
ギャラリーエークワッド「アイノ・アールト アルヴァ・アールトと歩んだ25年」を観た!
手持ちのアールト・武藤章関連の図書
「アルヴァ・アアルト」
発行:昭和44年3月5日第1版
著者:武藤章
「ALVAR AALTO」
Band Ⅱ 1963-1970
Les Editions dArchitecture Artemis Zurich
「ALVAR AALTO」
アルヴァ・アアルト作品集
第1巻
1979年8月7日発行
第2巻
1979年6月26日発行
第3巻
1979年5月28日発行
編:エリサ・アアルト
カール・フライク
訳:武藤章
発行者:二川幸夫
発行:A.D.A.EDITA
「アルヴァー・アールト 1898-1976」
20世紀モダニズムの人間主義
展覧会カタログ
会期:1998年12月19日(土)~1999年2月15日(月)
編集:セゾン美術館/デルファイ研究所
発行・発売:デルファイ研究所
発行日:1998年12月15日
うれしいことがひとつ!
何年か前に捨てようと思っていた段ボール箱の書類のごみの中から、
出てきたんですよ、アアルトの本が。つい先日のことです。
この本、全巻セットで持っていたのですが、ある時、
神保町の南洋堂に、二束三文で売ってしまいました。
それとは別に、特に好きな建築だけを別にバラで購入していたものです。
GAグローバル・アーキテクチュア
No10 アルヴァ・アアルト
ルイ・カレ邸 1956-59
No16 アルヴァ・アアルト
イマトラの教会 1957-59
セイナヨキ・シティ・センター 1958-
No24 アルヴァ・アアルト
セイナッツアロの町役場 1950-1952
カンナネラケライトス 1952-1959