日本民芸館で「沖縄の工芸」展を観た! | とんとん・にっき

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日本民芸館で「創設80周年特別展 日本民芸館所蔵 沖縄の工芸」展を観てきました。 併設に「坂本万七撮影による戦前の沖縄写真」がありました。


近年、「大津絵」に再評価が進み、柳宗悦の「初期 大津絵」という著作も取り上げられることが多くなりました。もちろん、日本民芸館も「大津絵」をたくさん所蔵していることでも知られています。


たまたま所蔵していた「民藝」2009年9月号に、「琉球の富」という記事が掲載されていました。それには以下のようにありました。


柳宗悦が長年憧れていた沖縄にはじめて足を踏み入れたのは、1938年(昭和13)暮れのことであった。日本民芸館の開館より2年の後である。

貧しく遅れた土地と聞かされていた南海の島は、柳の眼でみれば驚くべき美の王国であった。古格を止めた朱里の町並み、絣の着物を着る琉装の婦人、歌や踊りが日常の中にある人々の暮らしぶりなど、そのどれもが柳を魅了した。そして、精霊への信仰こそ沖縄の人々の生活を支配する原理であり、沖縄の美を理解するための大きな示唆を与えてくれるものと考えたのである。

日本本土のどこよりも「日本の姿」をよく保存し、今なお地上に残されていることを奇跡のように思った柳は、沖縄で学ぶことがいかに多いかを知った。そして、民藝協会の同人らと共に沖縄の人々との交流のなかで、幅広く工芸文化の調査を実施し、多くの品々を蒐集していくのであった。

主な蒐集品は、型紙を使い顔料と染料で色鮮やかに染めた紅型、絹・木綿・芋麻・芭蕉などの織物、赤絵の碗や無釉の甕などの陶器、朱酒瓶などの漆器、さらには漁師が船内の水を掻い出す垢取までに及んでいる。

そして、柳はそれらをただちに日本民芸館で展観し、また雑誌「工藝」で特集号を組んだり、「琉球の富」「芭蕉布物語」などの著書の刊行を通じて、沖縄工芸の美を世に紹介し啓蒙したのである。

四度目の訪沖より五年後、沖縄は太平洋の激戦地となり文化財の殆どは壊滅的な打撃を被った。だが、民芸館に収蔵されていた千点を越える工芸品は幸いにも戦火を免れ、日本屈指のコレクションとして知られる。
 



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「琉球の富」(「民藝」2009年9月号より)

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「日本民藝館」ホームページ


oki1 「民藝」2009年9月号

発行日:平成21年9月1日

編集兼発行人:金光章

発行所:日本民藝協会








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