宮下規久朗の「モチーフで読む美術史2」を読んだ! | とんとん・にっき

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宮下規久朗の「モチーフで読む美術史2」(ちくま文庫:2015年7月10日第1刷発行)を読みました。本の帯にはセンセーショナルに「たったの数頁読むだけで絵画の謎が解ける」とあります。本当かどうかはこの本を読んでみてのお楽しみです。


本のカバー裏には、以下のようにあります。

好評既刊「モチーフで読む美術史」第2弾。美術館でよく見かける絵に描かれた50のテーマ(=モチーフ)を手掛かりに、美術を読み解く画期的な名画鑑賞入門。中世から近現代までの代表的な西洋絵画をはじめ、壁画や国宝の襖絵まで和洋幅広いジャンルを網羅。これであなたも美術通!美術館に行くのが楽しくなる。カラー図版250点以上。ウェブ連載をもとに再構成、加筆したちくま文庫オリジナル。


宮下規久朗:略歴

1963年名古屋生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院修了。美術史家、神戸大学人文学研究科教授。「カラヴァッジョ 聖性とヴィジョン」(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞などを受賞。ほかに、「モチーフで読む美術史」(ちくま文庫)、「食べる西洋美術史」「ウォーホールの芸術」「欲望の美術史」(光文社新書)、「カラヴァッジョへの旅」(角川選書)、「刺青とヌードの美術史」(NHKブックス)、「フェルメールの光とラ・トゥールの焰」(小学館101ビジュアル新書)、「知っておきたい世界の名画」(角川ソフィア文庫)など多数の著作がある。


本文に入る前に「読書案内」があります。「美術のモチーフや主題についてさらに興味を持たれた方は、既刊『モチーフで読む美術史』(ちくま文庫)をはじめ、以下の本を参考に、ぜひご自分でお調べください」とあり、11冊の本を紹介しています。フェアなやり方です。


ジェイムズ・ホール、高階秀爾監訳「西洋美術解読事典」河出書房新社、1988年。

柳宗玄、中森義宗編「キリスト教美術図典」吉川弘文館、1990年。

大貫隆、名取四郎、宮本久雄、百瀬文晃編「岩波キリスト教辞典」岩波書店、2002年。

ミシェル・フイエ、武藤剛史訳「キリスト教シンボル事典」白水社、2006年。

木村三郎「名画を読み解くアトリビュート」淡交社、2002年。

木村三郎「西洋近代絵画の見方・学び方」左右社、2011年。

宮下規久朗「食べる西洋美術史」光文社新書、2007年。

宮下規久朗「知識ゼロからのルネサンス絵画入門」幻冬舎、2012年。

高橋裕子「西洋美術のことば案内」小学館、2008年。

池上英洋「西洋美術史入門」ちくまプリマー新書、2011年。

ヒルデガルト・クレッチマー、西欧文化研究会訳「美術シンボル事典」大修館、2013年。


この本で取り上げられたモチーフは蠅、蜂、蝗、蜘蛛、象、熊、犀、鯨、狼、狐、猪、鹿、栗鼠、麒麟、一角獣、白鳥、鸚鵡、亀、蛙、海老、貝、野菜、サクランボ、ナツメヤシ、オリーブ、桜、松、ピアノ、ヴァイオリン、甲冑う、傘、旗、鎌、扇、煙草、硬貨、骰子、トランプ、眼鏡、シャボン玉、泉、彗星、雲、雨、雪、風、波、陰、坂、涙、全部で50です。前作より日本画の比率が多くなっているような気がします。なにしろ取り上げられた作品の数が多い。知っている絵もあれば、まったく知らない絵も出てきます。素人ゆえ、一喜一憂して、またそれが楽しい。

例えば、「貝―巡礼の象徴」。

取り上げられているのは、ヤン・ステーン「牡蠣を食べる女」1858-60年、鈴木基一「貝図」不詳、高橋由一「貝図」1878年、の3点です。


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例えば、「甲冑―武力や戦争の象徴」。

取り上げられているのは、アンドレ・マンテーニャ「カサエルの凱旋」(部分)1486-1505年頃、ボッティチェリ「剛毅」1470年頃、カラヴァッジョ「勝ち誇るアモール」1603年、高橋由一「甲冑図(武具配列図)」1877年、の4点です。


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「あとがき」には、以下のようにあります。
本書は、2014年4月から2015年3月まで「webちくま」に毎週連載していた「神は細部に宿る―続・モチーフで読む美術史」に何篇か書下ろしして加えたものである。2013年7月に刊行した「モチーフで読む美術史」の続編として書いたものだが、ウェブという媒体のため、字数も図版の数も自由あり、前著よりも大幅に図版を増やすことができた。一冊にまとめるにあたって、全般に短くしたが、用いた図版はでほとんどすべて残すことができた。結果的に前著よりも文章も図も増量されている。


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