「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」無料公開です。

(本篇)

第1章「旅の始まり」

第2章「三つの存在」

第3章「恐れ」

第4章「エゴ」

第5章レグードゥの森

第6章女神シャーレーン

第7章最後のたたかい

 

本で読みたい方は。

 

もう読んだ方も、そうでない方も、お楽しみいただければ嬉しいです。

 

最初からお読みになりたい方は、こちらからお読みくださいね。

 

 

前回は…

 

 

(64)魂の声

 

「待ってほしい。よく理解できない…。では、どうしてそこに優劣が発生するのだ? 

 

勝つ者と負ける者、生き残る者と死んでいく者が生まれるのだ? 

 

すべてが同じでひとつのものだったら、そこには平等、公平な世界しかないではないか? 

 

みんなが笑って平和に生きていく、そんな夢みたいなおとぎ話は幻想だ」

 

 

(ほんとうの世界、真理の世界では、優劣はありません。

 

“敵”も“味方”もありません。

 

それはただ単なる個性や役割の“違い”であって、あなたが考えているような優劣や“勝ち負け”は存在しません。

 

なぜなら、元をたどれば、すべてはひとつの存在(Being)だからです。

 

私たち一人一人の存在は、大いなる存在の別の側面を、それぞれが表現しているだけなのです)

 

「分からない。理解できない」

 

(では聞きます。あなたの右足と尻尾は、同じですか?)

 

「何を言っている? 同じな訳なかろう」

 

(では、あなたの右足と尻尾はどちらが優れていて、どちらが劣っていますか?)

 

「いや、それぞれ役割が違うから、そういう基準では話すことは出来ない」

 

(では、あなたの右足と尻尾はあなたの一部ですか?)

 

「いかにもその通り、胴体でつながっている。しかし、それがいったい、何の関係があるのだ?」

 

(私たちはそれぞれが右足であり、尻尾なのです。私たちは大いなる存在という根源と、皆つながっているのです)

 

 

シーザーは怪訝そうな表情をさらに険しくし、首を横に傾けた。

 

 

「?」

 

 

(大いなる存在という全体から見れば、あなたは右足であり、私は尻尾なのです。ただし、そのつながりを忘れ、右足と尻尾がそれぞれ分離していると思い込んでしまっているのです)

 

 

「分離…」

 

 

(つまり、右足と尻尾が争いあい、競い合い、殺しあっているということです)

  

 

それじゃ、いずれ死んでしまう…

 

 

(したがって、誰かを傷つけるということは、自分自身を傷つけていることと同じことなのです)

 

 

「…」

 

 

(私は“癒す”という特殊なちからを与えられました。そして私の魂はこのちからを使いたいと言っています) 

 

「しかし…我々は敵ではないか」

 

(私たちは、ひとつです。私が癒しているのは、あなたであり、そしてそれは“わたし自身”なのです)

 

 

 

「我々はひとつ…私には、…分からぬ」

 

 

(シーザー、私たちが傷つけ合うということは、右足が尻尾を痛めつけ、傷つけていることと同じことなのです。

 

それはとても無意味なことなのです) 

 

 

「黒い犬よ、つまり、他者を傷つけることは、自分自身を傷つけることと同じ意味なのだ」

 

ゾバックがシーザーに言った。

 

 

 

「お前はあの“赤い魔獣”か?」

 

「そう言われていた時期もある」

 

 

「でも…」僕も思わず話しかけた。

 

 

「でも、シーザー、君も聞こえたんだろう?『魂の声』が!」

 

シーザーが振り向いた。

 

「『魂の声』?」

 

「そうだ、『魂の声』だよ。

 

だからこそ、君はシャーレーンさまを助けるために、銃の前に飛び出したじゃないか」

 

 

 

「確かに…あの時は…」

 

シーザーは言いかけると、言葉を続けた。

 

 

「あの時は、そうせねばならない、そういう声がどこからか聞こえたのだ」

 

「それがたぶん、『魂の声』だよ。君も聞こえたんだよ。『魂の声』が!」

 

「あれが…『魂の声』…なのか…」

 

 

ヴェルキンが言った。

 

 

「『魂の声』を一度でも聞いたなら、その声には逆らえない。

 

一度でも聴こえてしまったなら、決して消えない。

 

聴こえないようにすればするほど、苦しむことになる。

 

シーザー、お前は魂の声を聴いたのだ」

 

 

(65)へつづく

 

 

【お知らせ】

●9月末に「ほんものさがし」という YouTube 番組に出演させていただきました。

全部で3回収録をしていただきまして、その第3回目が公開されました。

 

(第1回)

(第2回)

 

●「さとりをひらいた犬」が Audible になりました。

ジョンやゾバック、クーヨやシャーレーンなどのキャラクターたちが、音声になって飛び出してくるということを想像するだけで、言葉にできない思いが湧き上がってきます。

 

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●こちらも素晴らしいです。

ご覧になっていない方は、ぜひ一度ご覧ください。

【動画・英語版/翻訳動画(各回約10分)】

(最新動画)

 

 

(予告編/1分半)

 

(エピソード1)

 

(エピソード2)

 

(エピソード3)

 

エピソード4

 

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よくご質問いただくので、以前書いた記事をリンクしておきます。

おすすめのお茶や飲み物など

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おススメの本②(劇的寛解事例)

おススメ本③(生還者たちの体験記)

おススメ本④(食事関連)

 

 

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