「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」
無料公開始めました。
もう読んだ方も、そうでない方も、お楽しみいただければ嬉しいです。
★Amazonのレビューでは5つ星の4.6、レビューは160レビュー(2022.8.25時点)頂いています。
みるこむ
2022年5月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
心が暗くなった時、なにかを変えたくて気づきたくて、色々な本を読みましたが、読み終えた時、「じゃぁどうすれば良いの?」「そのやり方が知りたいのに」で終わってましたが、この本は「やってみよう」という気になりました。
具体的なやり方が書いてあるわけではないけど、出来そうな気がする。読み終えた時、不思議な感覚になりました。
今の私が知りたいことがたくさん書かれていて助けになりました。
学識サロン(登録者51万人)さんが作ってくれたこの画像(約10分)をご覧いただけると、どんな本かお分かりになると思います。
「本要約チャンネル」(登録者100万人)さんで、日本文学の傑作と、より詳しくご紹介いただきました。
最初からお読みになりたい方は、こちらからお読みくださいね。
❾赤い魔獣
マフィーたちと別れて二日たった。
いま、僕の目の前に、大きな壁のようなベレン山が黒々とそびえ立っている。山は来る者を拒絶するかのように、鉛色の重苦しい気に包まれていた。
ほんとうに、あの赤い魔獣がいるんだろうか…
「さて、ここから先は…」
ふと視線を上げると、僕の視界の隅に巨大な楠(くすのき)が森の木々から突き出ていた。
高さは五十メートルほどもあるだろうか、とてつもなく巨大な楠だ。
まわりの木々がまるで雑草のように小さい。
僕はその楠が手招きをしているように感じた。
よし、まずはあそこへ行ってみよう!
僕はそこに何が待っているかも考えずに、まるで火に引き寄せられる昆虫のように、巨大な楠へ向かって道なき道を歩き始めた。
岩を越え、草を掻き分け、倒木を乗り越えながら楠へと近づいていく。
楠へあと百メートルほどの距離に近づいたときだろうか、何とも言えぬ気配を感じて立ち止まった。
こ…これは何?
楠を中心とした空気が、暗く、重く、地面の中にめり込んでいるように感じた。
背中にビリビリと電気が走った。
何かいる…もしかして、『赤い魔獣』?
全身の毛が、緊張でそそけ立った。
心臓がバクバクと音を立て始め、足のさきっぽが冷たくなった。
行くべきか、戻るべきか…?
もう一度目を閉じて自分に聞いてみたが、答えは同じだった。
「僕のエゴは逃げろと言っている。でも、僕の魂は行けと言っている」
覚悟せい…
コウザの言葉が、低く胸に響く。
風下に移動して身をかがめ、細心の注意を払って一足ずつ、そろり、そろり、と楠に近づいていった。
楠に近づけば近づくほど、空気は重く、息が苦しくなってくる。
まるで楠の周りだけ重力が何十倍にでも重くなっているみたいだ。
「これが…これが“恐怖”…」
大きなこぶのような節くれだった楠は、それ自体が巨大な生物のように周囲を威圧し、支配していた。
真っ黒で巨大な幹から発する目に見えないエネルギーが、周囲を黒っぽい灰色に染めあげ、肝心の楠がよく見えない。
勇気をふりしぼって一歩ずつ前に進む。足が重く、なかなか前に進まない。
肺に鉄板が入ったように、息苦しい。
やっと楠まで三十メートルほどの距離に来た。
耳が詰まって鳥の声が聞こえなくなった。
空気に押しつぶされそうになりながら、足を一生懸命踏ん張って、草の陰から楠を偵察した。
楠以外は何も見えない。
幹の太さはゆうに十メートルを超えている。
なんて大きさなんだろう。
そして幹の反対側に、何かとてつもない巨大な圧力を感じる。
警戒レベルを最大に上げ、楠の幹をゆっくり静かに迂回しはじめた。しばらく回り込むと、幹の影からなにやら動物の毛が見えてきた。
『赤い魔獣』!
その赤黒い剛毛は、人間の弾丸をも跳ね返すと伝え聞いていた『赤い魔獣』の毛にそっくりだった。足がブルブルと震えだした。
こ…殺される。
勇気を出せ、勇気を出すんだ!
勇気を振りしぼって、静かに幹の回り込みを続けた。
数歩進むと、その動物の足が見えてきた。
それはまぎれもなく、熊の足だった。
しかも、それは見たことも聞いたこともないほどの、巨大な大きさだった。
足に続き、大木のような太い腕と巨大で真っ黒な大爪、赤黒い剛毛に覆われた巨大な胴体が見えてきた。
そして、ふと気づくと、僕はいつの間にか、この巨大な怪物の正面に立ってしまっていた。
なんとそこで、僕の足はまるで呪文にかかったかのように、動かなくなってしまった。
う…動けない…
怪物の顔を見ると、目をつぶっている。寝ているのだろうか?
い…いや、そんなはずはない。もうとっくにこちらの気配に気づいているはずだ。
怪物の胸がゆっくりと上下していた。
怪物は、そのゆったりとした動きと、ごうごうと重く響く呼吸の音だけで、この場を完全に制圧してしまっていた。
う…動けない…
足は凍りついたように、動きを止めてしまった。
その時だった。まるで僕が自分の目の前に来るのを知っていたかのように、巨大な大熊がゆっくりと目を開けた。
それは、真黒な穴だった。
❿『恐怖の遁走』へ続く
(今日のほっこり)
頑張れー、セミっ子。
お散歩中にみーこが迷って歩いているセミっ子を発見
木に戻してあげました。
最初に見つけたのがみーこで良かった。
ジョンならひと口で、パクリと食べちゃいますから(笑)。
★生還体験記です。
ベストセラーになりました。
★講演などの画像です。よろしければ。
★オススメのお水やお茶など
よくご質問いただくので、以前書いた記事をリンクしておきます。
オススメの本①(読むと元気になる)
おススメの本②(劇的寛解事例)
おススメ本③(生還者たちの体験記)
おススメ本④(食事関連)
★講演会など
その①
「時空の杜」リボーン(再誕生)・リトリート
9月2日(金)~4日(日)
生きているうちに、1回死にましょう!
お申込みはこちらから
その②
またまた長崎に行きます。
その③
「時空の杜」サレンダー瞑想キャンプ
10月20日(木)~23日(日)
お申し込みはこちらから