「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」

 

無料公開始めました。

 

もう読んだ方も、そうでない方も、お楽しみいただければ嬉しいです。

 

★Amazonのレビューでは5つ星の4.6、レビューは151レビュー(2022.8.13時点)頂いています。

みるこむ

5つ星のうち5.0 不思議な感覚

2022年5月23日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

心が暗くなった時、なにかを変えたくて気づきたくて、色々な本を読みましたが、読み終えた時、「じゃぁどうすれば良いの?」「そのやり方が知りたいのに」で終わってましたが、この本は「やってみよう」という気になりました。 
具体的なやり方が書いてあるわけではないけど、出来そうな気がする。読み終えた時、不思議な感覚になりました。
今の私が知りたいことがたくさん書かれていて助けになりました。

 

★お読みない方は、学識サロン(登録者51万人)さんが作ってくれたこの画像(約10分)をご覧いただけると、どんな本かお分かりになると思います。(感謝!)

 

 

15日には「本要約チャンネル」さんで、日本文学の傑作と、より詳しくご紹介いただきました。

 

 

 

 

最初からお読みになりたい方は、こちらからお読みくださいね。

 

 

 

 

第4話『いのちの循環』

 

 

森を抜け、僕はご主人様や仲間の声が聞こえないところで止まった。

 

 「やった。やったぞ」

 

ついに、ほんとうの自分への第一歩を踏み出したんだ。

 

 

 

深呼吸を、してみる。

 

冷たい朝の空気気が、鼻孔を冷たく流れ、肺に張り込んでくる。

 

 

 

ああ、なんて気持ちがいいんだろう。

 

新鮮な森の精気が、僕の体を満たしていくようだ。

 

 

 

 なんだろう? 何か違うぞ…

 

 

濃密な森の匂い、さわさわと流れる木々の音、きらめく太陽の光…

 

 

 

このあたりの森は熟知していた。

 

どこにどんな木があり、どこに小川が流れていて、どこに獲物の通り道や住処があるか…。

 

今までの僕にとって森は仕事場でしかなかった。

 

でも、いま僕を包んでいる森は、まるで違っていた。

 

そう、頭の中にあった地図が、いきなりありありといのちになって目の前に現れたみたいだった。

 

 

 

 そう、ここは良く知っている森だけど、初めての場所みたいだ…

 

 森って、こんなに美しかったんだ…

 

 

 

太陽の光がキラキラとはじけるように輝いている。

 

小鳥のさえずりが音楽のように心地よく響き、木々や草たちの香りが僕の心を包み込む。

 

今、僕は森を感じ、森と一体になっていた。

 

 

 

 「これがダルシャの言っていた『自由』なのか…?」

 

 

 

 束縛を離れた自由、誰の命令も、誰の指示も、誰からの評価もされない自由、それは解放だ。

 

なんの役割も、なんの役務も、なんの義務もない…そう、僕は自由だ!

 

 

 

「自由って、最高だ!」

 

 

 

微笑みながら独り言をつぶやいた。

 

 「さて、北だ、北に行こう!」

 

 

 

方向は分かっていた。僕は北に向かって歩き始めたが、ふと立ち止まった。

 

 「まずいな…」

 

 

 

ベレン山に行く途中、北の谷を通らなければならない…

 

北の谷はあの『ガルドス』がおさめていた場所だった。

 

あの屈強なイノシシ、無敵の岩のような『ガルドス』…。

 

 

 

僕は『ガルドス』の鋼鉄のような筋肉と巨大斧のような牙を思い出して身震いをした。

 

僕のしっぽの半分は、ガルドスと戦ったとき、食いちぎられてどこかに行ってしまった。

 

 

 

 あそこは危ないな

 

 

 

ガルドスはその猛々しい気性と優れた統率力でイノシシのみならず、他の動物たちをも統治し、皆の尊敬を一心に集めていた存在だった。

 

僕たちがご主人さまと一緒にガルドスと戦って、激闘の末に倒した光景は多くの動物たちが目撃していたことだろう。

 

しかも、ガルドスにトドメを刺したのは他ならない僕だった。

 

北の谷では、僕は尊敬する主を討った“憎き敵”なんだ。

 

 

 

でも、ベレン山には行く道は他には無いし…

 

 

いまの僕は仲間もいない、ひとりぼっちだ。

注意深く、用心深く、警戒しながら進むしかない。

 

 

見つかったら、終わりだ…。

 

 

 

さっきの幸福感はどこかに飛んでいってしまった。

僕は、抜け目なく周囲を窺いながら歩き始めた。

 

 

しばらく歩くと、急に空腹感を感じた。

 

 

そういえば、朝から何も食べていなかったっけ…

 

今朝の朝食も食べる気にならず、口をつけなかった。

 

 

 

食べとけばよかったかな…

 

ハリーの言った通りかもしれない。決まった時間に決まった場所でご飯が食べられるというのはなんて楽だったんだろう。

これからは自分で食べ物を見つけなければならないんだ。

 

 

 果たして、僕にそれが出来るだろうか?

 

 このまま、獲物が獲れなかったら、どうしよう

 

 飢え死にしたら、どうしよう

 

 

 

そう考えると、僕の胸は不安でいっぱいになった。

 

 

もしかして、ダルシャの言っていたことを真に受けて、うかつなことをしてしまったんではないだろうか? 

 

心の中に早くも後悔に似た気持ちが湧いてきた。

 

 

 

しかし、自分で何とかするしかない。

 

そう、もう自分でやるしかないんだ。

 

そう、自由って、そういうもんなんだ。 

 

 

 

僕は自分を奮い立たせるようにブルブルッとかぶりを振ってから、周囲を見渡し、必死になって獣道をさがしはじめた。

 

 

 

一時間ほど探したころだろうか。小動物の獣道を見つけた。

 

僕はそこで待ち伏せをすることにした。

 

身を隠し、気配を消してさらに一時間、その獣道に灰色のウサギがやってきた。

 

 

 

僕は飛びかかれる距離まで用心深く待った。

 

ウサギはそれとは知らずに、トコトコと近づいて来る。

 

僕はパッと飛び掛り、首筋にガブリと噛み付いた。

 

ぐっとあごに力を加えると、ぽたぽたと生暖かいものが口から地面に滴り落ちた。

 

ジタバタ動いていたウサギは、しばらくすると観念したようにおとなしくなった。

 

僕はゆっくりと口を開いてウサギを地面に落とした。

 

 

 

 

僕は生まれて初めて自分が生きるために、自分で食べるために、命を奪った。

 

僕は思わず、ウサギに向かって言った。

 

 「すまない、でも、君を食べないと、僕が死んでしまうんだ」

 

 

 

 

ウサギはつぶっていた目をびっくりしたように開け、苦しそうに話した。

 

 

「はっ、これは変わった奴だ。

 

どのみちおいらを食べるんだろう? 

 

ま、いいんだ。気にするな。おいらはここで死ぬ。

 

そして君に食べられる。

 

きっとこれは決まっていたことなんだろう。

 

おいらのいのちは、君のいのちの一部になるんだよ。

 

おいらのいのちと君のいのちが一緒になるんだ。

 

君もそのうち死ぬだろう、そして誰かに食べられる。

 

この世界は、そうやってつながっているのさ。

 

そういうふうに出来てんのさ。

 

つながっていないのは人間のやつらだけだ。

 

君が人間の手先じゃなかったのが、唯一の救いさ。

 

さあ、ひと思いにやってくれ」

 

 

 

そう言うと、目をつぶった。

 

 

 

そんなこと、考えたこともなかった。

 

食べたものと一緒になる。

 

いのちが一緒になる。

 

身体は死んでも、いのちは続いていく…。

 

 

 

じゃあ、僕が今まで食べてきたものは、いったい何だったんだ? 

 

今まで殺してきた獲物たちは、いったい何だったんだ?

 

 

 

 

僕はウサギにトドメを刺し、食べ始めた。食べているうちに熱いものが胸の奥から湧きあがってきた。

 

この世界はみんなつながっているんだ。

 

いのちという大きなつながり、大きな流れなんだ。

 

僕も、このウサギも、みんな、みんな、つながっているんだ…。

 

 

 

 「ありがとう…ありがとう…」

 

 

 

ぽたぽたと涙が流れ落ちてきた。涙で目が曇って、前が見えなくなった。

 

 

 

僕の一部になったウサギのためにも、僕はしっかりと生きていかなきゃいけない。

 

それがウサギのいのちに対する責任だ。

 

生きるということは、いのちに対して責任を果たすことなのかもしれない。

 

 

 

僕は、決意も新たに歩き始めた。

 

夜になる頃、やっと北の谷へさしかかった。

 

 

 

暗くなったら危ない。明るくなってから北の谷へ入ろう。

 

気配を隠せる場所をきょろきょろと探すと、せり出した大きな岩と、茂った枝葉で身を隠せるちょうどいい場所を見つけた。

 

よし、今晩はここで一休みだ。

 

僕はすぐ、ぐっすりと眠りに落ちていった。

 

「❺闘い」へ続く

 

 

 

 

 

 

(リアル・ジョンのこと)

ジョンが我が家に来てから約4ヶ月経ち、すっかり家族の一員になりました。

 

 

 

先住の「みーこ」はまだ若干警戒モードを解いていませんが、同じ室内にいることは出来るようになりました(笑)。

 

ジョンも夏毛に変わってきて、全身が茶色っぽくなってきました。

 

彼は昨年の10月ころ、栃木県の宇都宮の山で生まれ、雪の冬山で子犬時代を4ヶ月過ごして山中で捕獲され保健所へ。

 

そこで(恐らく)恐怖の数ヶ月を過ごしたあと、あと4日後に殺処分のギリギリセーフのタイミングで、縁あって我が家に来ました。

 

最初は、人と目を合わせられなかったです。

 

いまはアイコンタクトどころではなく、ひっくり返ってナゼナゼ大好きの甘えん坊です。

 

 

彼の経験なのでしょう、お散歩も普通のワンコたちと違って、いつも周囲を警戒していて、特に作業着を着ている系の人の気配を感じると、僕らより先に50メートル以上先から発見し、道を曲がって回避します。(男性は警戒します)

 

我が家ではアムロの様な「ニュータイプ」と呼んでいます(笑)。

 

彼は山生まれの山育ちなので、はお散歩は「狩猟タイム」です

今日も渋柿3個、セミ2匹、よく分からない虫、乾いたミミズ(生は食べません)を美味しく頂いていました(笑)

 

 

 

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★生還体験記です。

ベストセラーになりました。

 

 

 

★講演などの画像です。よろしければ。

 

 

 

 

★オススメのお水やお茶など

よくご質問いただくので、以前書いた記事をリンクしておきます。

おすすめのお茶や飲み物など

サプリなど

オススメの本①(読むと元気になる)

おススメの本②(劇的寛解事例)

おススメ本③(生還者たちの体験記)

おススメ本④(食事関連)

 

★講演会など

その①

心理学(TA・交流分析)無料ZOOMセミナー

またまた、やります!!

今年1月と2月に開催して大好評だった、心理学TA(交流分析)の無料ZOOM講座をまた開催します。

◎8月20日(土)13:30~16:30(zoom)

(同じ内容を2回開催します)

 

お申込みはこちらのページから出来ます。

https://strokefullife.org/application_form

 

前回参加された方は良くお分かりだと思いますが、この講座では、いわゆる無料セミナーによくある「ほかの講座の案内」や「広告宣伝」などは、ほぼありません。

中途半端に終えて、あとはお金払ってね、みたいなこともありません。

がっつり3時間、TAを学びます。

『心理学に興味がある、もっと自分を知りたい、自分のエゴの特徴を知りたい』

こういったことにご興味のある方は、ぜひいらしてください

 

 

その②

無料お話し会「リーラの会」

8月26日(金)20時~22時(ZOOM)

 

「がん」を含めて(ガンでなくても、もちろん歓迎)、病気や気持ちや環境など、その中で感じていること、悩んでいることなどを語り合える仲間がいるだけで、心が軽くなります。

人は、話すことによって癒されるのです。
(カール・ロジャース談)

 

7月26日は約55名の方がいらっしゃいました。

本音で語り合える仲間って大事だと思います。

 

 

 

その③

「時空の杜」リボーン(再誕生)・リトリート

9月2日(金)~4日(日)

生きているうちに、1回死にましょう!

リボーン・リトリート案内

お申込みはこちらから

 

その④

またまた長崎に行きます。

 

 

その⑤

「時空の杜」サレンダー瞑想キャンプ

10月20日(木)~23日(日)

サレンダー瞑想キャンプ案内

お申し込みはこちらから