【映画評】ドント・ルック・アップ 傑作キター!ブラックコメディSFの快作!
最近、Disney+やめてNetflixにしたんですが…
いやー、なんかすごい時代になりましたね。アカデミー作品賞取るような映画を映画会社じゃなくて映画配信会社がバカバカ作っちゃうんだから。もはや配信無くして映画は語れないすねえ。
「ローマ」の時から、劇場でも観れない、TSUTAYAでも借りられない、BDも売ってない映画がアカデミー最優秀作品賞取っちゃうなんて、個人的には「ふざけんなー!」だったんですが、もうそんなことも言ってられないってことですか。でもNetflixは契約者の減少に困ってんですよね。ある程度観てしまえば契約止めちゃえばいい、それは観る側の自由な選択だし、Netflixが今後も大枚はたいて質の良い映画を作っていくか、ビジネスモデルとして今後も有効か、注視していきたいです。
そんな話はさておき「ドント・ルック・アップ」でございます。私的には「博士の異常な愛情」以来のSFブラックコメディの大傑作です。
天文学者が彗星を発見。それが地球に半年後に衝突するというんで大統領に報告に行くんだが、大統領は数か月後に選挙を控えている上になんやかんやと忙しく、専門家に調査させて静観するとか言っちゃう。テレビを使って訴えてもネットのネタにされちゃう始末。地球の危機を前にして、みんななんかおかしいぞ地球人!
トランプ大統領の引き起こした米国民の分断や、SNSに夢中になって重要なことから目を背ける人々など、現代社会を痛烈に皮肉る。
隕石が地球にぶつかるという、SF世界でありふれたネタであり、我々はその手の映画を見慣れているだけれども、今、現実にそんなことが起きたら、世の中こういうノリになってしまうかも…と、絵空事では無いと気づき、ゾッとさせられます。
ディカプリオの「我々はすでにすべてを持っていたんじゃないだろうか」というセリフ。大事なことはスマホの中じゃなくて目の前にあるんだ、それこそが唯一確かなものだ…というセリフが染みます。はいオススメ。
【映画評】アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 同じことの繰り返し
前作のアマゾンから舞台は南太平洋に移り、海の生き物たくさん、海っぽいおねいさんも出てきて楽しいぞ!
はっきりわかった。ジェイムズ・キャメロンという作家は(少なくとも今は)、映画というものを映像技術の展示会のように考えてる。ストーリーは映画を映画として成立させるための手段のようなものであって、とりあえず辻褄さえあっていれば良いと考えてるようにしか思えない。
だって前作と同じことの繰り返しなんだもん。
平和に暮らしてるパンドラ星人→地球人がやってきて荒らす→戦闘→パンドラ星人の勝利
一応テーマらしいものを出そうとして、やたら家族家族と連呼するが、結局子供一人死なしちゃう。
罪のない海の部族はジェイクと家族を守るために犠牲を払うことになる。
最後にジェイクが対峙するのは、またまたクオリッチ大佐。しかも丁寧にアバター化して出てくるという、お前はゾンビか?
文明に頼りすぎず自然と共生しよう、力づくで奪う者には毅然と立ち向かおう、という前作のシンプルだが深いテーマもどこへやら。完全にアトラクションと化してしまった。いやそれも映画の楽しみの一つではあるんだけど、膨大な予算はこういうものを作るために費やされたのか…と、少々寂しい気分です。
【映画評】ひまわり 戦争の悲劇っていう感覚が日本人とかけ離れてる…
NHK BS にて視聴 1970年のイタリア映画
ウクライナで撮影されたってことで、ちょっと話題になってます。
戦争で別れ別れになった男女の悲劇、ってことだが、なんというか男のダメっぷりがひどくて腹立たしい。
男はイタリアからロシアの戦線に送られ、ショックで記憶喪失になり、戦後ロシアで妻子を持ってしまう。元妻は万難排して夫を探し当てるも、そんな夫の姿にショックを受けて泣いて帰ってしまう。で、なんと男は元妻を見た瞬間に記憶を取り戻したらしく、元妻の後を(たぶん結構時間が経ってから)追ってしまう。しかし元妻にも既に夫と子供がいて…
いやもう話にならんでしょ。事情はともあれ今の妻子に対して責任果たせよ。それとも記憶戻ったとたんに今妻に興味無くなった?さすがイタリア人だな!
民間人も大量に犠牲になった日本人とは、第二次大戦に対する感覚、その重さみたいなものが根本的に異なっているんだと感じた。
見渡す限りのひまわり畑の下に大量の兵士が埋まっている、と語られるシーンと、見渡す限りに続く兵士の墓だけは説得力があった。
ウクライナで撮影されたということに物語上の必然性とかは無いです。なんかすぐ近くに原発があるところでみんな普通に暮らしてるんで、そこはビックリ。