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【映画評】インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(ネタバレ無し) 原点回帰に大成功、手堅い傑作!

当ブログとしては珍しく、最速鑑賞の最速ブログでございます。

 

インディ・ジョーンズと運命のダイヤルでございます。

 

まず一言。

 

観るべし!

 

…前作でズッコケた貴方、冷蔵庫と一緒に俺の意識も飛んだわ…とお嘆きの貴方。

 

心配ございません!

 

思い起こせば前作「クリスタルスカルの王国」は、そりゃまあボロクソに言われたもんです。

冷蔵庫の件は言うまでもなく、インディ・ジョーンズの世界に宇宙人持ち込むなとか、クラシカルなインディに'50Sの雰囲気が合わないとか、若手ばっかりアクションしててインディが映えないとか、登場人物が多すぎて話がしっちゃかめっちゃかだとか。

 

スピルバーグからバトンタッチして起用されたジェームズ・マンゴールド監督。彼はおそらく、そういった前作への不満を払拭することに腐心しつつ、「インディ・ジョーンズらしさ」とは何か(インディその人のキャラクターも含め、作品世界全体のこと)について研究し尽くし、それを作品に反映させたものと思います。

おそらく監督自身、このシリーズのファンか、少なくとも愛着があるのでしょう。

 

これって「スターウォーズ フォースの覚醒」で成功したパターンなんですよね。

ジョージルーカス監督による、ファンの間でも評価の割れた前日譚3部作(ep.1~3)の後起用されたJ.J.エイブラムズ監督が、オリジナルシリーズ(ep.4~6)を徹底的に研究し、ボツ設定なども復活させ、まずはファンを納得させることに腐心した。

シリーズ物って長く続いて、ましてや監督が同じままだと、やる方も飽きて来るのか、何か変わったことしないとマズいんじゃないか、と考えるみたいなんですよね。

でも長く続くってことは固定ファンがいるということでもあり、この層の期待に沿えないというのは評価の点で非常にマズい。映画の売り上げそのものに影響する。その分新規ファンが開拓出来れば良いんですが、なんかそれも上手く行かないんよね。

 

人気シリーズということは、そもそも魅力があるということだし、結局はその魅力を大切にしながら、その世界観をベースにしながら、新しい物語を紡いでいく(発展させる、というのか)、というのがいいと思うんです。フォースの覚醒は喝采をもって迎えられ(後が続かなかったけど)、本作品もおそらく高い評価を得られるのでは無いでしょうか。

 

御年80歳のハリソン氏にアクションなんかさせて大丈夫かと心配でしたが、うまく撮ってます。衰えているところをちゃんと見せ、無理を感じさせない範囲でアクションさせ、若手にお株を奪われるわけでも無く、実に良い匙加減。

ヒロインのお姉さんもいい味だしてますが、特筆すべきはマッツ・ミケルセン!知的な悪役をやらせたらバツグンの存在感を魅せるこの方の今回の役どころはナチの(やっぱ、インディの敵はナチだよね~)物理学者。冷静で計算高く、自らの計画の実現に並々ならぬ熱意を持っています。これが最後になるにつれ、なりふり構わなくなって行く演技もお見事!

 

そしてそしてそして、とんでもない展開が待っている!!

 

ぜひ劇場でご覧あれ!!

 

【映画評】サンクチュアリー聖域ー 令和に投入されたスポ根ドラマのフォーマットは意外と古風

映画じゃないけど…

Netflixのオリジナルドラマ、シーズン1は全8話(たぶんシーズン2あるでしょう)。

 

大相撲、猿将部屋の新人力士小瀬は、相撲は強いが態度がすこぶる悪い。敬意も何も無く先輩にはタメ口。当然ながら先輩力士たちに目を付けられ散々イジメられるが、一向に態度が改まらない。

 

時を同じくして、記者の国嶋が上司の時津に連れられ、猿将部屋に取材に訪れる。米国出身である彼女は、相撲部屋の旧態依然とした体質に驚き、暴力によるシゴキを露骨に嫌悪。また相撲界の既成概念にとらわれず暴れまくる猿将に喝采を浴びせる。

 

小瀬は猿桜の四股名をもらい、快進撃を続けるも、土俵に敬意を表わさず、勝つ度に土俵上でパフォーマンスする態度に、相撲界の重鎮たちからも相撲ファンからも批判が殺到。中でも相撲界で発言力を持つ犬嶋親方は、かつて猿将親方から横綱への出世を阻まれた恨みから、露骨な猿桜下ろし、猿将部屋潰しを画策し始める…

 

さてこの後、ドラマはどのように展開するかと言うと。

 

紆余曲折あるも、基本的には猿桜は最初のスタンスのままで、対戦相手にプロレス技なぞかましながら、相撲界を上り詰めていき横綱に至り、やがて相撲界を変革する、のかと思ってました。

 

ところが途中で真面目になり、一念発起して稽古して強くなっちゃうんですね。スポ根ドラマというか、なにかスポーツ映画によくあるパターン。王道でもあり古臭くもあり。

 

ただ、強くなるプロセスで、猿桜の行動が部屋全体に影響を与え、古色蒼然とした相撲部屋が、新しい形に生まれ変わっていくんです。

会社組織にもあてはまるような、チームのあるべき姿が示されます。これはすごくいい。今日的なテーマ。令和の時代に相撲のドラマをやる意味がここに込められていると言っていい。

 

ただし、そこに至るプロセスが長い!映画と違って時間が十分にあるからか、猿桜さん、散々な目に遭っちゃいます。なんだか要素が多すぎて、猿桜が今、何のために何を望んで相撲取ってるのか、わかんなくなっちゃいます。しかも最終的に一念発起する直接のきっかけがアレか…もうちょっとそこは描き方があったような。

 

それと、記者の国嶋については、彼女を通して表現されるテーマと合わせて未消化な印象。

記者だけどぜんぜん記事書いて無いし、書いた記事が新聞に載った描写も無い(記事は最後の方でやっと書くようになった)。こんなに働かなくていいのか?

それと、いつの間にか猿桜に男女の情を示すようになったようにも見え(ほんとに唐突なんだが)、ジェンダーにも敏感そうな彼女が酔って「男のくせに女にこんなこと言わせるなー」って、ラブコメに出てくるただのOLみたいなセリフ。ある目的のため土下座までしたり…米国出身で、そういうの何よりも嫌いじゃなかったのか?

 

ともあれ、猿将部屋が一丸となって強くなっていくところは、テンション下がり気味な中盤を超えて一気に爽快感が広がります。スポーツって良いね!中だるみするけどぜひ全話ご覧ください。おじさんも久しぶりに走ってきました。これでビールが旨いんだ!(意味ねーじゃん)

【映画評】ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス え、「ワンダビジョン」の続編??

MCU沼はどこまで深いのか…

 

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス でございます。

 
「スパイダーマン ノーウェイホーム」に続き、マルチバースネタになります。
なんと、スカーレットウィッチが今作のヴィランになります。
 
ドクターストレンジが、街中で目玉怪獣に襲われる謎の少女を助けます。なぜかドクターストレンジはこの少女のことを夢で見ており、その夢の中では、自分(なんか見た目が微妙に違うのだが)がこの少女と共に魔物を倒そうとし、かつそのために少女を犠牲にしなければならない状況になっているのです。
 
後に少女を襲ったのはスカーレットウィッチであると分かります。少女はマルチバースを自由に行き来できる能力を持っており、スカーレットウィッチはその能力を欲している。「ワンダビジョン」の話の中で失った双子の息子は、マルチバースの他の世界では、母親である自分と平和に暮らしている。子供を取り戻したい一心での行動なのでした。もちろん他の世界の子供には各々母親がいるのであり、その子供を得ることは母親から奪うことに他ならない。しかしスカーレットウィッチは耳を貸さない。
 
ドクターストレンジは少女の力を借り、マルチバースを行き来しながら、最終的にはスカーレットウィッチの野望を砕くこととなります。
 

実際は話はこんなに単純ではなくて、同じく「ワンダビジョン」で出てきた禁断の書物ダークホールドだとか、マルチバースの他の自分を操れるドリームウォークの能力だとか、いろいろさまざま出てきます。結局「ワンダビジョン」はもちろん、過去作だとか原作コミックだとか、相当詳しくないと、この映画を心底楽しむことは出来ないと、そういう仕組みになっています。

 

ファンにとっては、ありとあらゆるところに過去作等との接点を見つけることが出来、楽しいことこの上無いだろうなと思わせます。

 

確かにMCUの「エンドゲーム」に至るまでで、そういった過去作の知識ありきの映画シリーズであることは明白になっていたわけではあります。しかし配信のドラマシリーズまで網羅するとなっては、いや正直言ってついていけません。

 

ネットを探せば、このあたりの考察を徹底的にやってるサイトも見かけます。いや大したもんだ。

某サイトによれば本作は、ワンダビジョンのケリをつけると共に、ドクターストレンジの変容(独断専行タイプから徐々に周囲の助けを借りられるようになる)をも描いているそうな。

言われてみれば確かにそうだが、これだけ要素が多いと、何回も観ないとその辺理解できない。

 

いやいや…フェイズ4まではもちょっと分かりやすかったような気がするが…

 

この船そろそろ降りなきゃならんか…と、そんな寂しい思いにも捕らわれた一作でありました。