2023年・鉄道、この1年。 | 遠森一郎の「ゆるっと写真雑記」

遠森一郎の「ゆるっと写真雑記」

写真一枚から、ゆるっと文章でも書いてみます。

2023年11月23日、竹下駅(南福岡車両区竹下車両派出)にて。

留置線で休む、BE220-1。

 

2023年は、コロナウイルス禍への警戒が政府・財界の意向で緩められていった1年だった。ビジネス需要・観光需要による国内流動の増大と同時にインバウンドの拡大もあり、鉄道での流動もコロナウイルス禍前の状態に近づいているように見える。

 

災害とのたたかいは今年もまだまだ続いている。今年も残念ながら、美祢線全線、山陰本線の長門市~小串間といった、長期不通区間の新たな発生があった。この両区間はまだ再開のめどすらたたない。

鉄道での復旧断念となった日田彦山線添田~夜明間については、「BRTひこぼしライン」として、専用道も含むバス運行が8月にスタートした。BRT開通直後は被災前の鉄道よりも利用者が増加しているというニュースも流れていたが、ワタシとしては、鉄路は喪失、という理解である。

南阿蘇鉄道の立野~中松間が、熊本地震の被災から復活し、同時に豊肥本線肥後大津までの乗り入れを開始、といった明るいニュースもあったが、とりわけ地方路線の復旧には、莫大な復旧費用と、その後の利用者の確保が見込めるかどうかという問題が大きな影を落としている。

 

北海道新幹線の札幌延伸に向けた「並行在来線」問題も、大きな問題となっている。昨年バス転換の方針が決まった長万部~小樽間については、昨今のバス運転士不足などもあり、必要な代替輸送力を確保できるのかという疑問の声が出されている。さらに、函館~長万部間については貨物の大動脈となっていることから、今後のあり方についてまさに大激論となっている。

九州新幹線長崎ルートは、西九州新幹線として開業した武雄温泉から長崎までの区間と、九州新幹線(鹿児島ルート)との間をどう結ぶのかが議論となっている。地元の佐賀県が、財政負担のあり方や、「並行在来線」となる区間の利便性が低下する恐れがあることなどを理由にフル規格での整備に同意しておらず、着工のめどは立っていない。

整備新幹線区間の開業と同時に「並行在来線」をJRから経営分離する、というルールが、地方交通の正常な繁栄・発展の障害になっていると言わざるを得ない状況だ。北海道では特にそれが顕著に出ていて、地域輸送を担う機能がなくなる状況が懸念されている。公的な枠組みも含め積極的な解決が望まれる。

 

鉄道車両のほうでは、やはり新旧交代が大きな話題に。国鉄型の淘汰が相当進んできていて、JR初期の車両にもどんどんと大鉈が振るわれている。最近ではJR東日本がJR化後初めて新造した特急電車・651系が、クハ651-1001の先頭車1両を残して全廃となったことが話題となった。

3月には、山陽本線和田岬支線を走っていた103系R1編成6連が引退となった。国鉄時代に3447両が製造され、首都圏や関西などの通勤線区を席巻した103系も、もはや走っているのは播但線と加古川線、そして筑肥線だけに。本当に風前の灯火になってきた。その筑肥線の103系では今年、国鉄カラーにリバイバルされた編成が登場して注目を集めている。

保存車両の解体という知らせも。2月には、下関総合車両所本所で保管されていたクモハ11117が解体の憂き目にあった。お金もかかる話ではあるので難しい部分もあるというのは十分承知しているが、それでも、産業文化財としての価値のある車両が、こうして消えていってしまうというところが、非常につらい。

 

九州内でも様々な動きがあった。

門司機関区では、各種試験を終えたEF510-301の本格運用が始まった一方、EF81では、JR化後に製造された500番台も含めた廃車解体が行われた。EF510形300番台は新年以降、量産車の投入が始まろうとしていて、国鉄型電機もいよいよ後がなくなってきた。

2020年の豪雨災害の際に人吉駅で水に浸かり、走行不能となっていたキハ220-1102が、小倉総合車両センターで修復されたあと、再度入場して軌道検測車・BE220-1「BIG EYE」に生まれ変わったことについては、本当にびっくりだった。今回持ってきた写真もそのBE220-1なんだけども、これが本格稼働する段となれば、JRグループ最後のマヤ34である、熊本車両センターのマヤ34-2009はいよいよ引退ということになる。

「SL人吉」は相変わらず、熊本~鳥栖間での運行が続いているが、それもいよいよ来年3月で終了となる。今年2月には、小倉総合車両センターでの58654最後の解体整備の様子を見させてもらった。肥薩線の復活を待たずに引退を迎えるというのは、本当にやるせない。

一部座席撤去で不評を集めている813系では、今度はロングシート化改造されて出場する編成が出始めている。811系リニューアルと同じような流れではあるけど、福岡・北九州都市圏の近郊形電車では、これでクロスシートが消えていく方向に。415系鋼製車を引退させたあとの車両不足状態を、縮小均衡で解決しようとしているように見えるけど、結局は鉄道利用の減少につながることは避けられないだろうなと。コロナウイルス禍での低下から戻りつつある利用者を吸収するために、本来は列車の増結こそが必要だと思うんだけども。

福岡都市圏では、福岡市地下鉄七隈線の博多~天神南間延伸開業が大きな話題となった。文字通り、市内での人の流れが変わり、七隈線はラッシュ時を中心に混雑する状況が続いている。

 

来年は、3月16日に予定される北陸新幹線の金沢~敦賀間延伸開業が大きなトピックとなる。同時に「並行在来線」区間はJRから切り離されて第三セクターへの移行となり、大阪・名古屋方面からの特急は敦賀止まりとなるなど、大きな変化が起こりそうだ。

九州内では、久大本線に新たな観光列車「かんぱち・いちろく」が春に登場する予定。元「いさぶろう・しんぺい」のキハ47形2両と、キハ125形1両の計3両が現在小総車で改造中、今回は従来のドーンデザイン研究所ではない別の会社がデザインを行っているので、どんな姿になるのかに注目している。

 

ワタシ自身は、元日・2日に九州内乗り鉄で年明けを過ごし、あとはJR九州ウォーキング参加を中心にあちこち乗り鉄してまわった。1月には宮島、7月には錦川鉄道への遠征もあった。なかなか遠出はできなかったけど、近場での楽しみ方もだいぶこなれてきたような気がしている。

来年も、近場が多くはなるだろうけど、鉄道でのお出かけをいろいろやって、そこそこでの楽しみを見つけていきたいと思っている。

 

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