春休みが明けて、次女は新3年生になりました。

 

長女が不登校になって、ご飯が食べられず頻繁に不安定になってからも、

長女に「これ美味しいよ」「大丈夫、大丈夫」と声をかけて、

 

私と夫に対しても、自分のことは心配しないように気を遣って生活をしていました。

 

長女はトイレに行くにも風呂に入るのも、とにかくずっと一緒。

10分以上離れられません。

 

「お母さん、あそぼ。YOUTUBE一緒に見よう」など私にべったりです。そこに次女が入ってこようもんなら、「次女ちゃんはあっちに行って!!入ってこないで」

と次女を毛嫌いします。

 

私も長女優先だったので、「次女ちゃんごめん。あとで次女ちゃんのほう行くから、ちょっと待っておいてくれる?ごめんね」と後回しにしていました。

次女は習い事に行かず、宿題もしなくなりました。

朝は暗い部屋でうずくまり、学校に行きたがりません。

そんな次女を膝にのせて、「お姉ちゃんは、学校に疲れてしまって今あんなふうになっているけど、ゆっくり休んだらまた学校に行けるようになるからね。大丈夫だから。次女ちゃんは心配せずに学校にいこう」と毎日学校に送り届けました。

次女も、「学校には行きたいと思うんだけど、お母さんと離れるのが怖い」と言うようになっていました。母子分離不安。

できるだけ次女のサポートをしてきたつもりでしたが、長女もいるので手が回りません。

 

下校時は校門前で、次女を待つ。しかし、次女は放課後に友人と居残って遊ぶのでなかなか出てきません。

長女は私と離れると不安定になりがちなので、早く次女と帰宅したいのですが、、、

 

毎日40分ほど校門前で待たされる日々だったので、次女に「一人で帰ってきて欲しい」と何度もお願いしましたが、「ひとりで帰りたくない」と言われます。

私のストレスは降り積もりました。

 

 

ある日、次女が半泣きで校門から出てきました。

下駄箱前で、意地悪な上級生から「どけよ!!!」と言われたのです。

 

その上級生は学童で一緒だった女子で、よく下級生を奴隷のように扱って、下級生から怖がられている女子でした。私も他の親御さんも何度か苦情を言ったことがあり、学童を辞めさせられた女子でした。次女からしたら、トラウマのある女子に訳もなく怒鳴られたのです。絶望的な表情でした。

 

翌日、また次女の登校途中、信号前で次女がうづくまりました。

「もう学校行けない」

「そっかー。もう帰ろうかー」

 

もう私も頑張れませんでした。

 

一瞬たりとも長女の前では素の自分を出せなくなっていました。

 

常に笑顔、高い声(元々低い声なので大変)、「いつもご機嫌の素敵なお母さん」の仮面を被った生活が始まりました。

そもそも私はひねくれた性格をしているし、育った環境も厳しく、弱音を吐けずに怒りをパワーに変えて生きてきたタイプの人間です。不登校を簡単に受け入れられるタイプの人間ではなかった。

これまで生きてきて培ってきたアイデンティティ、私の傷だらけの40年の価値観を一瞬でも1ミリでもこの家の中で出してしまったら、長女は不安定になる。

 

そんな状況でした。

 

娘を生かせるために、自分を殺す。

 

朝、長女は10時頃に目が覚めます。

目が覚めたら、壁をコンコンとノックします。その音で、私が寝室に行き、「おはよー」と笑顔で声をかけ、長女をおんぶしてリビングまで運びます。

 

そこから朝食を少し食べ、二人でゲームをする。

 

「こんなダラダラしてたらダメ!!熱ないなら学校に行って。行けないなら何故いけないのか説明して」と言いたくなる自分が頭の中にいます。

その自分を私がボコボコに殴って刺して殺します。

絶対に言わない。言ってはいけない。言えば、この子が死んでいく。

代わりに、そんなことを言いたい自分を殺す。

 

 

 

心は死んでいるのに、顔は笑顔。そんな勢いで生活していました。

長女が不安定になってから、仕事には行けなくなりました。

 

子供たちの状況を、数か月前から詳しく上司には伝えていたので、しばらく長期休暇ももらいました。しかし、不登校は何か月、何年かかるかわからない旨も話していたので、私の中では退職を考えていました。ありがたいことに、退職は引き止めていただいてたのですが、やはり私の代わりの人材を早急に手配したほうがいいのではと思っていました。

しかし、退職するにも引継ぎに行かなければいけない。私にはそんな時間すらありませんでした。

長女は不安症の為、10分でも私と離れることが出来なくなっていました。

そのことも上司に説明していたので、「退職にしても休職にしても、まぁそんな焦らんでいいよ」を言ってくださっていました。

 

お言葉に甘えて、同僚には仕事は電話で指示をして、家庭内のことに集中していました。

 

そんな中、上司がリモートワークでの就業を提案してくださり、リモートで事務作業をすることになりました。

 

長女と一緒に1日中過ごすことは、苦悩の時間でもありました。

私はゲームが苦手(へたくそ)、ゲーム実況系のユーチューバーも苦手(うるさい)。ですが、長女は一緒に見ようと誘ってきます。ものすごいストレスです。

もちろん一緒に見るのですが、数時間はきつい。

そんな時、リモートワークのおかげで

「ごめん、お母さん、仕事せなあかんからー」と逃げることが可能になりました。

 

時には、仕事してるふりして、ソリテイアをやっていました。

あまりにも長女と過ごすのが辛く、ソリテイアの時間は5時間を超える日もありました。

長女が学校に行かなくなり、玄関にもベランダにすら出られなくなりました。

 

とにかくすべてが怖い。サイレン、コロナ、ハエ、宅急便、テレビから流れるコロナや災害、国際紛争、病気のニュース。

私はテレビをつけることを辞めました。すべての情報をシャットアウト、ずっとずっと欲しがっていた任天堂switchを買い、あつもりとマイクラをひたすら二人でやりました。私が以前使っていたスマホでYOUTUBEを見たり、今までとは真逆のダラダラした生活。

 

長女は私の表情にも、敏感になりました。以前は、私が不機嫌でもあんまり気づいてないことのほうが多かったような気がしましたが、この時は、常に私の表情を観察しているような感じでした。

 

例えば、ちょっと夫にイラっとしたとき(靴下脱ぎっぱなし、電気つけっぱなしなどしょうもないことです)でも、私は子供たちの前では不機嫌にならないように気を付けていたので、怒ったり低い声などでは返事はしなかったのですが、さすがに無表情で夫を見たりしただけで、不安そうにオロオロと長女が「お母さん、お父さんに怒ってる?」と聞いてきました。

 

私は一瞬たりとも長女を不安にさせるのを避けるため、この時から、常に口角を上げ、低い声は使わずに、「いつも笑顔の、誰から見ても優しそうなお母さん」の仮面をかぶった女になっていきました。

 

私の行動次第で、長女は簡単に不安定に陥るのでした。

 

また、このころはずっと食事も不安定で、好物を作って、最初は「おいしそー」と食べようとするのですが、次の瞬間、やっぱりちょっと休憩すると、リビングに横になることが多くなりました。そのたびに、長女の背中をさすって「大丈夫、大丈夫。ゆっくり休んだら、また食べられるようになるから」と励ましました。

 

励ましながらも、本心は「これからこの子はどうなってしまうのだろう。。。」と、ゆっくり弱っていく長女に対して、ものすごい絶望感を感じていました。

 

 

 

不登校になるとなぜ食べれないのか、いろんなものが怖いのか、友達を拒否するのか、まったく理解できなかった私は、とにかくアメブロ内を”不登校”というキーワードで読み漁りました。

 

不登校に関するブログはとても多く、検索しても毎日違うブログが出てきます。

血眼になって、読み漁りました。

 

子供が不登校になってカウンセラーになったママさんのブログ、

子供はね~、心のエネルギーが切れてしまって不登校になったんですよ~

お母さん、よく頑張ってらっしゃいましたね~

自分を責めないで~

大丈夫、お母さんは息抜きが大事ですよ~

 

とか。

 

そんなブログばっかりでした。やたらと行間をあけて、肝心なことは全く書かれておらず、なにかと「セッションを申し込みたい方はこちらまで」とか。

 

セッションって何ですか?あなた、ほんとにカウンセラー資格持ってるんですか?

心のエネルギーって、何のことですかね?

エネルギーがなくなったら、なぜご飯食べれなくなるんですか?

それって、どうやって、どのくらい待てば溜まるんですかね?

食事中にぐったりして、床に寝転んでしまったとき、なんて声をかければいいんですかね?無理やり食べさすんですか?今の長女の状態で、朝起こしてもいいんですかね?

 

読み漁りながら、私の頭の中は、常にこの疑問でいっぱいでした。

その中で、「不登校ブログ」という小児科医の先生が書かれていて、脳科学など詳しく解説されているブログに辿り着きました。

子供の脳の説明、子供にトラウマが出来てしまう仕組み、大人の脳ではもちろん理解できないことであることなど、子供の異常行動、詳細に書いてくださっています。

 

長女の異変、不登校との繋がり、脳科学、これまで不思議だったことがストンと腑に落ちました。

 

数ある不登校ブログの中で、高田ぶらりさん、不登校ブログの赤沼先生、このお二人は、母親の機嫌取りをしたり、下手な慰めをしたりするのではなく、

まず、苦しんでいる不登校児の心を守ることを第一に、惜しみなく具体的に書いてくださっています。

このお二人の知識や具体的な事例、ブログを参考に長女のケアを始めていきました。