今住んでいる所から歩いて5分という所に市立の中央図書館があるのですが、その便利さが災いしてか、中央図書館以外の市立図書館には行ったことがありませんでした。今日ちょっとした気まぐれから2番目に近い市立図書館に自転車で行ってみてびっくり、AVコーナーは中央図書館以上に充実していました。CDもDVDもVHSも合わせるとなかなかのコレクションです。暫くはこれで楽しめそうです。
 借りて来て一番に聞いたのは何故かヘンデルのアリア集。やっぱり「Lascia ch'io pianga涙の流れるままに」はいつ聞いても心に沁みます。まさに、涙の流れるままにです。そもそも歌詞がいい。

 泣くがままにさせてください 過酷な運命に。
 抱かせてください 自由への憧れを。
 この悲嘆で 苦難の枷を
 打ち砕くことができたなら

 抱かせて下さい 自由への憧れを の原詩は
 e che sospiri
la liberta

「Liberta自由」に憧れ、自由に苦しみ。人生とは過酷な運命です。涙が流れるままにしておく他ない時もあります。
ネット上の動画を幾つか聞いてみましたが、ユリア・レージネヴァのものが良かったですね。今年初来日したソプラノということです。これからビッグになって行く予感がします。機会があれば生で聞いてみたいです。
https://www.youtube.com/watch?v=Yw1A5TQVwvQ
 相変わらず、昔せっせと買い込んだCDを聞き返す毎日です。
さすがに最近は新しいCDを買うことはありません。もうCDなんか買う人いなくなったんじゃないか、と思えるような時代になりました。レコードの消滅を見届けた世代ですが、CDまでもが消滅するとは。まぁこの高速デジタル通信のご時世に、あの大きさであの情報量というのは戦艦大和並みの時代遅れなのかもしれません。
 その一方、古楽器演奏の方が新しく聞こえるという昨今のクラシックの風潮も皮肉と言えば皮肉です。でも実際新鮮に聞こえるのも事実で、不思議なものです。
 久し振りに聞いてみた、ポッペンのシャコンヌ。ピリオド演奏の特徴がとてもよく出ている演奏に思えます。比較的ゆっくりしたテンポで語りかけてくるかのような演奏です。ガット弦独特の響きがいい味を出しています。ドラマチックな効果ではなく、細部の微妙な音色の変化を楽しむべき演奏なのでしょう。私が好きなシャコンヌの演奏の一つです。
https://www.youtube.com/watch?v=ncA9CiWo740


 何故だかわからないけれど、昔聞いた歌が突然思い出されて、夜中に何度も繰り返して聞いてしまう、ってことが時々あります。
 今夜は何故かジミー・バーンズのWhen your love is goneが聞きたくなりました。1990年頃の歌です。私は何故か1990年から5年程オーストラリアに住んでいて、その頃あちらでよくかかっていた曲です。ジミー・バーンズは日本では殆ど知られていないんじゃないかと思います。僕も向うに行くまでこんな人知りませんでした。(「ワーキングクラスマン」とか知っている人は知っていたのかもしれませんが。)あちらでは当時、インエクセスと同じくらいの?人気でした。タイプは正反対ですが。
 歌詞はありきたりと言えばありきたりです。何故か好きと言えなかった人に、いざ去られてみるとあら大変、そして僕は途方に暮れる、という、歌としても、現実としても、よくありがちな話と言えばよくありがちな話です。
 何故突然この歌を思い出したのかと考えてみるに、歌詞がどうこうというのではなく、ジミーバーンズのこのストレートなスタイルが心に残っているのかもしれません。(取りあえず歌詞を貼っておきますが。)日本ではあまり知られていないかもしれませんが、一度聞いただけで心に残る名曲だと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=IM5n1UhFA-0

"When Your Love Is Gone"

Well, I thought nothing was wrong, nothing was right
I turned to you but you were no where in sight
I left it too late and maybe I hurt your pride
I should have thought of you, now you've changed your mind

And just like a well your love has run dry
Loneliness was falling from the sky

I'm like a man with no heart, I just don't belong
I can't help it when your love is gone

Well, I missed all the signs, never read between lines
And all I can say to you is that my love was blind
It's breaking my heart knowing right from the start
You tried to reach for me, now we had to part

And just like a well your love has run dry
Loneliness was falling from the sky

I'm like a man with no heart, I just don't belong
I can't help it when your love is gone
And it's all I can do to carry on
I can't help it when your love is gone

Well, I'll tell you no lies, you've opened my eyes
Made me feel like a man again
You've walked out that door and you left me alone
I broke down and I cried 'cause I don't think I can make it alone

Oh, listen, I would sail the deepest ocean
Just to be by your side again
And all I want is for you to love me
Just say you love me again, again, again, again

I'm like a man with no heart, I just don't belong
I can't help it when your love is gone
And it's all I can do just to carry on
I can't help it when your love is gone

I'm like a man with no heart, I just don't belong
I can't help it when your love is gone
And it's all I can do just to carry on
I can't help it when your love is gone

I'm like a man with no heart, I just don't belong
I can't help it when your love is gone
And it's all I can do just to carry on
I can't help it when your love is gone

I can't help myself when your love is gone
Your love is gone
 今日は皆既月食ということで、晩方近所を散歩がてら月見をしてきました。実は月に映る地球の影を見てるんだ、と思うと不思議な気がしてきました。宇宙スケールのイベントです。
 地球の影にすっぽり入って赤茶けた物体と化した月は、宙にあって何か周りと違和感のある存在で、空に浮かぶ岩を描いたマグリットの絵が思い浮かびました。
 Total Eclipseと言えばボニー・タイラー。
Once upon a time I was falling in love.
Now I'm only falling apart.

I really need you tonight.
Forever's gonna start tonight.

(Nothing I can do. Total eclipse of the heart.)

 1982年のヒット曲です。リアルタイムで知ってる私にとっては心に残る曲の一つです。今日は世界中でこの曲を聴いている人も少なくないんじゃないでしょうか。映像も80年代してます。
https://www.youtube.com/watch?v=lcOxhH8N3Bo
近所の市立図書館のCDコーナーには、貧弱な品揃えの割には、何でこんなものがここにあるの?って感じのCDがあったりします。昨日は、ピーター・ゼルキンのブラームスピアノ協奏曲第2番、仲道郁代のベートーヴェンピアノソナタ集、チックコリアのOrigin、鬼束ちひろとGarnet Crowのアルバムを借りてきました。
 鬼束ちひろのものは月光や眩暈などが入ったアルバムですが、彼女のヴォーカルと新しいスピーカの相性はバッチリです。心に沁みます。
 この頃の鬼束ちひろの歌は良かったなぁ。(まぁ今の彼女も、面白さ、という点では相当なものですが。)そういえばTrickも終わっちゃうし、仲間由紀恵も結婚しちゃうし。「この腐敗した」世の中も、何だかんだと移ろい行くものです。
 月光アルバムバージョンのビデオがありました。Trickっぽい映像と、アコースティックなピアノがたまりません。
 「こんなもののために生まれたんじゃない。」名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=JI2EZU6KpAA
 メシアンのピアノ曲集『鳥のカタログ』。これまた好きな曲です。ウゴルスキの生演奏を聞いたこともあります。ずっと昔鎌倉で。丁度その週末東京への出張だったのですが、ちょっと早めに大阪を出て、鎌倉で途中下車しました。古き良き時代でした。
 ウゴルスキのものも含めてCDも3セット持っていますが(まぁ廉価版とか中古屋で買ったものですが)、ピーター・ヒルのものは持っていませんでした。たまたまyoutubeで見つけましたが、これはいい。買っとくべきでした。
 鳥は神のメッセージを伝えるもの、と敬虔なカトリックだったメシアンは信じていたようです。まぁキリスト教に限らず、(洋の東西を問わず)鳥は一種のお告げものと思われていたようですが。
 とにかく、ピアノがいろんな響き方をして、ついつい聞き入ってしまいます。聞いたことのない人は是非ご一聴を。
 https://www.youtube.com/watch?v=DnDx33-oTFY
 私はピアノの曲を聴くことが多いのですが、最近は特にスクリャービンにはまっています。まだショパンぽい初期の曲も、完全にあっちの世界に行っちゃった後期の曲も、手当たり次第聞いているという感じです。ネットにちょっと珍しいんじゃないかと思えるポゴレリッチの演奏がありました。こないだ最近の写真を見て、こんなんなっちゃったのか、と衝撃を受けたことがありました。元々風変わりな人ではありましたが、この方もついにあちらの世界に行ったきりになっちゃったのかもしれません。この演奏はまだ比較的若い頃のものかと思われますが、甘いマスクとは不釣り合いなおどろおどろしい雰囲気に包まれています。
https://www.youtube.com/watch?v=K79XjcbnMEA
 お気に入りの曲を聞き直している毎日です。心に沁みる、と言えばマイルスのトランペットは外せません。晩年の彼のお気に入りの一つ、Time after Time。ネットにも様々なバージョンがうpされています。いずれも甲乙付け難いものがありますが、ライブ映像付きのものをひとつ貼っておきます。一日中でも聞いていたい。この世で天国の歌を漏れ聞いているような気がしてきます。

https://www.youtube.com/watch?v=PCK15RJCCq0

PS 追加で別バージョンも貼っておきます。(貼りだすと切りがありませんが。)

https://www.youtube.com/watch?v=hL5JrivCaLM
 新しいスピーカーになってからにわかにアコースティックな音に快感を感じるようになってきた今日この頃です。というわけで今日はキースの弾くゴールドベルグ。ハープシコードは日本製です。
 ネットで得た情報によればキースは今年大阪で例の即興ソロ演奏の最中お客のマナーの悪さ(咳など)にキレて、途中で帰っちゃったとか。私ももしまだ大阪に住んでいたら当事者の一人になっていたかも。でもまぁフェスティバルホールってそもそも集中して音楽を聴くって感じのところじゃないですからね。いくらキースをもってしても、あの場所に素晴らしい音楽の霊感が降りてくるってことはそもそもありえないでしょう、っていうことに関係者は思い至らなかったんでしょうか。私が昔ペンデレツキのコンサートに行った時は、明らかに招待券で前の方の席に並んでいたおっさん達がこれまたひどい態度でした。
 まぁそんなくだらないことは忘れて、キースの透明なハープシコードの音に浸りましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=QGpN4FxIk_M&fmt=18
 フランツ・ブリュッヘンも鬼籍に入っちゃったんですね。つい先日偶然知りました。彼のコンサートもこれまたずいぶん以前に行ったことがあります。あれは京都でしたか。バッハのミサ曲ロ短調だったと思います。
 古楽器独特の音色が頭の中で万華鏡のようにぐるぐる回り出すような強烈な体験でした。ブリュッヘンはヤク中だったとの特に根拠のない噂を聞いたことがありますが、真偽はともかく兎に角イっちゃった人であることには変わりないと私は思ってました。偉大な芸術家というのはどこか針が振りきれたところがあるのでしょう。
 私が実際に出かけたクラシックのコンサートで、頭のなかで音がぐるぐる回り出すような経験をしたのは、このブリュッヘンのミサ曲とこれまた昔秋吉台で聞いたノーノのプロメテオの2回だけです。ノーノの場合、実際コンピュータで天井のスピーカから出る音を回転させていたので、音がぐるぐる回って聞こえたのも当然と言えば当然なのですが。その点アナログであんな効果を出したブリュッヘンは本当にすごかったと言えそうです。
 古楽の演奏スタイルというのは、今現在当たり前になっている演奏スタイル(慣習)を一旦白紙に戻して考え直そう、という発想から出てきているもので、その点においては所謂現代音楽と出発点を共有するものとも言えるのではないでしょうか。実際リコーダー奏者としてのブリュッヘンは現代音楽の作品も演奏していたようです。バッハの音楽を使ってある意味所謂現代音楽以上にアブナイことをやっちゃったとも言えそうです。ブリュッヘンという人は。稀有の才能でした。合掌。
 彼のミサ曲を貼っておきます。取り敢えず冒頭の部分だけでも聞いて見て下さい。この怪しげな雰囲気に引きつけられた人はもう彼の魔力から逃れられません。
 https://www.youtube.com/watch?v=ql1W2v7U9Ho