とは言え、このサインを感じるとどうしても思っ切り動くことへの怖さがでてきます。
この怖さの原因を探る(克服する)為に、医学的な見地からドクターと連携して評価をしてもらったこともあります。しかし、多くの場合、原因となる現象は見つかりません。
今回の桐生選手の決勝のレースではこのケイレンが出現してしまったようです。
でも、誰にも予想はできなかったと思います!
ネット上の記事を見ると
『スタート後に右足がケイレンしたが酷くならないように走った』とのこと。
こんな微調整をしながら走ることができるのも凄いと思いますが、勝負という面では悔しさが残ってしまったようです。
このレベルにいる選手が自己記録を破るとき!
それは、ある意味ZONEと言われる領域を体験するのではないかと思われます。
特に未知の世界『9秒台!』というのは、日本人ではまだ誰も経験したことがない領域。
我々一般人が思いっきり走るのとは次元が違います。
おそらくはまった時の感覚は、ほぼ力みもなくただ速いだけという状態なのかもしれません。
2003年(世界陸上)で200mで銅メダルを奪った末續選手は、練習のときでも流して走っているつもりでも他のトップ選手が全く追いつかない感じでコーナーを走り抜けていました。これは正直驚きでした。力むより力まない方が速い!?かもなんて事もよく言ってました。当時、本人と話をしていても不思議な感じでした。
それでもコンマ数秒の違いはあるようなので、レースとなるとこのコンマ数秒を追い込んで未知なる世界で戦うんだろうなと思ってました。
さて、ここからは復帰までのプロセスについて、おはなしします。
ケイレンを起こしたり、肉離れをするとある一時は痛みや違和感を感じます。
しかし、これも程度にもよりますが治療を施すことで早期に解消されていきます。
問題は、この先です。
日常生活は、無理なく!負担なく!違和感も全く感じなく!なります。
日常生活レベルの負荷には耐えられるという評価となります。
そして徐々に練習を再開していきます。
このときトレーナーもいろんな形でチェックしていますが、最終的には本人の感覚を頼りにしているところがあります。
いつも見ているコーチ(指導者)であれば、ある程度動きのスムーズさや思っ切りの良さなど様々な角度から客観視して判断もしていると思います。
もちろんトレーナーも同じです。
そして、ケアを担当するトレーナーに至っては、患部の細かい状態だけでなく動きに関わる部位との連動性も確認しています。
ハムに違和感がでる場合、接地(地面と足が着くタイミングのことを陸上関係者の間では『接地』という言葉で表します)の時の課題と切り替え動作などを大まかに想定します。
接地のことから考えるなら足元から膝、股関節、体幹の安定など
切り返しの動作から見ると体幹の安定から骨盤、股関節、ハム、ひざ下の捻じれ、足元、足先までを検証していきます。
その中で、気になる箇所を修正していきます。
可動性という見方もありますが、動けば(曲がれば)いいわけではないので、『稼働性』という言葉の方がいいのかも知れません。
我々トレーナーの間では、使えてる!使えてない!?などの言葉でも表現しています。
ある程度動ける感覚ができれば、徐々に出力を上げて(スピード)いくことをして耐えれるかどうかをチェックしていきます。
そして、選手自身が試合に出れる!
ここまで練習ができていれば全力でイケる!と判断されればあとは、動きの修正とレースへの慣れへ移行していきます。
最終的には、選手自身がスイッチを入れていくことになります。
このスイッチは、選手それぞれ違いがあると思います。
レースを重ねて調子を上げていくタイプ
ウォーミングアップで仕上げていくタイプ
試合会場に入ってから
レース用のユニフォームに着替えた時に
などいろいろなタイミングでスイッッチが入る選手がいます。
ある動きでは思いっきりできても、ある動きではまだ100%(以上)の力では出せないと選手自身では感じていることも良くあると思います。
練習では、ある部分は妥協しながら(様子を見ながら)調整をしていきます。
そして、ここぞという時!
それも今回のような調子が良く、自分でも思いっきりいけそうな時には、自分での想像以上の能力(リミッターを振り切ること)が起きるんだと想像できます。
この振り切れたとき。
もしかしたらこの僅かなズレが怪我につながるのかも知れません。
しかし、残念ながら、このズレは誰にも予想できないし、確証もできません。
近年、筋膜というキーワードが話題になっていますが、これもひとつキーワードなのかも知れません。もしかすると(生きた人間を解剖できないので確証はないが)この筋膜(細胞)レベルでの変化を克服することが今後の鍵となるのかもしれないと期待していますが、明確にすることが難しいので想像でしかありません。
実際、肉離れを起こした選手の患部を超音波で検査してみると筋肉の動きが悪い(滑走性が悪い。収縮がない。)ということは10年以上も前から分かっています。
そして、それを克服できるように私も含めて色んな取り組みをしています。
鍼治療、マッサージ、、超音波治療、マイクロカレント治療。
筋膜リリース、組織間リリースなどがある。
どれも超音波で変化を確認して回復を確認(検証)している方もいるようです。
しかし、実際には、アスリートが本気で動いている状態で起きているからだの変化については、どこまで回復ができているのかはまだ不明確です。
経験則で大丈夫だ。
この動きから徐々に進めていこう!
とリハビリを進めていても
ある時!
ちょっと気になる!と選手が言うことがあります。
この時!
私は、気のせいだよ!?絶対に何もない!?と、私は思わないようにしています。
なぜならば。。。
何かがおかしいから選手自身の身体がサインをだしているのだからです!
このアスリートとの感覚の格闘!
トレーナーという立場で身体のコンディショニングを任される身としては、手先(指先)の感覚をもっともっと磨きあげなくてはいけないといつも思います。
昔よりは、はるかに成果をだせるようにはなってきていますが、完全に同調できているかというろ、恐らくまだまだなのかもしれません。
このあと来る選手の治療
しっかり感覚を研ぎ澄まして触っていきます。
そして、選手自身がコレならイケる!と思えるとこまで調整できる存在で居たい。













